こんなことを思ったり。ぼちぼちかんげき。

保護猫と同居人と暮らすアラフィフがビンボーと戦いながら、観劇したものなんかを感激しながら記録。

恋心を描けばもっと面白くなったはず@宝塚雪組「壬生義士伝」「Music Revolution」

6/7(金)13:00~ 宝塚大劇場

壬生義士伝

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脚本・演出 石田昌也

吉村貫一郎  望海 風斗
しづ/みよ 真彩 希帆  
大野次郎右衛門 彩風 咲奈  
ひさ 梨花 ますみ  
松本良順 凪七 瑠海  
佐助 透真 かずき 
土方歳三 彩凪 翔  
近藤勇 真那 春人  
伊東甲子太郎 煌羽 レオ  
斎藤一 朝美 絢  
原田左之助 橘 幸  
みつ 朝月 希和  
永倉新八 真地 佑果  
沖田総司 永久輝 せあ  
大野千秋 綾 凰華  
吉村嘉一郎 彩海 せら 

 

原作はこちらになります。

南部地方盛岡藩の下級武士・吉村貫一郎が、貧困に苦しむ家族を見かねて、剣の腕1つで身を立てられると聞いた新撰組に入るために脱藩する。

その剣の腕を認められ新撰組で活躍する貫一郎。人の嫌がるような残虐な仕事も引き受け、もらった俸給を妻子に送り続ける。

しかしながら刻々と変化していく世の中に巻き込まれ、鳥羽伏見の戦いで傷ついた貫一郎は、助けを求めて大阪にある南部藩蔵屋敷へ駆け込む。そこにいたのは、かつての幼なじみで今は南部藩蔵屋敷差配役の大野次郎右衛門だった。

 

昔、この映画を見た記憶はあるのですが、

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残念ながら全く内容を覚えておらず、原作も未読のまま観劇しました。

 

宝塚版の「壬生義士伝」は華やかな明治時代の鹿鳴館からはじまり、明治時代と当時を行き来しながらストーリーが進む、という作りになっています。

そのため明治時代の人々は完全にストーリーテラー

耳で物語の説明を聞かなければなかないのはそれだけでけっこうなしんどさです。

だから吉村貫一郎の状況の把握具合や心境が分かりにくい、これが一番の問題だと思いました。

 

吉村貫一郎というキャラクターは原作の力で非常に興味深い人物に描かれています。

脱藩の際の大野次郎右衛門とのやりとりで、「新撰組」を正義のものと思っていないことはわかりますが、その後、変化する状況を彼はどうとらえているのか、妻子のことはどう思っているのか、何を思って「鳥羽伏見の戦い」に参戦したのか、そういうところがパコっと抜けているので、彼の最期がどうもしっくりこないのです。

望海 風斗さん(だいもん)がせっかく熱演してくれているのに、その心境に入り込めないのは一重に脚本のあり方だなあと思います。

 

ただ殺陣はしっかりしていましたし、新撰組の登場シーンはやっぱりワクワクするし、銀橋に芸妓衆がズラッと並んで踊るのは美しく華やかで、ショーとしての見せどころは押さえている分、月組の「夢現無双」よりは普通に楽しく見られました。

そして多分、原作を読んでいくと世界観にも入り込めると思うので、これからご覧になる方には原作を読んでいかれることをおすすめします。

 

わたしは観劇後に原作を読んだのですが、原作は色んな人や吉村貫一郎自身が当時を語る方式で書かれていて、面白いです。

そしてそれを整理し、宝塚歌劇としてふさわしいカタチにするのが、座付き作家の仕事じゃないかと思うのです。

ポーの一族」が時系列で宝塚らしいところを盛って、主人公の感情について行きやすいすばらしいエンタメ作品に仕上がっていたことを思うと、この演目も、もうちょっとやりようがあったはずなのです。

 

例えば華やかさには欠けるけれど、最初のシーンを「鳥羽伏見の戦い」に巻き込まれないよう声高に命令する大野次郎右衛門と緊迫した雰囲気の南部藩蔵屋敷吉村貫一郎がやってくる、にしたらどうでしょうか。

次郎右衛門の苦悩がもう少しわかりやすくなるし、吉村貫一郎がそんな緊迫した中でも郷里に帰りたいとやってきた必死の思いがもう少し伝わると思うのです。

 

わたしが一番わからなかったのが、吉村貫一郎が「みよ」との婚姻を断ったこと。劇作だけでは、彼は家族の生活のために守銭奴と蔑まれても、金銭を稼ぎ送っていたとしか受け取れなかったんです。だからより家族が安全で金銭的にも守られる体制になる婚姻を断った理由が、吉村貫一郎から語られるけれどもイマイチしっくりこなかったんです。

 

さらに深手を負っても故郷に帰りたいと南部藩蔵屋敷にやってくる吉村貫一郎の行動がわからなかった。そんな状態で故郷に帰っても本当に家族の負担になるだけなのに、帰りたい気持ちが理解できなかったのです。

 

でも原作を読んで分かりました。

吉村貫一郎は「しづ」に惚れて惚れて惚れぬいていて、しづとその家族を「自分」が守り抜くことが生きがいだったのです。

わしは命ばかけて働ぐことができる。何の脇見もする要はねえのさ。おのれの生ぎる道に、何の疑いも持つことはねえのさ。男として、こんたな有難え道はなかろう。

(浅田次郎壬生義士伝」より)

だから「みよ」とも結婚できないし、死を目前にして「しづ」に会いたい一心で南部藩蔵屋敷に来たわけです。

そしてこれは宝塚歌劇で最も描くべきところだと、わたしは考えます。

ええ、公式ホームページhttps://kageki.hankyu.co.jp/sp/revue/2019/mibugishiden/special_006.html#special004_2

で石田先生と浅田次郎さんが「義」のことを語っていますが、それよりも描くべきは吉村貫一郎の恋」だったと思います。

そして原作によると、それこそが彼の「義」なんですよね?

 

だったら「南部賛歌」で故郷の美しさだけを歌わず、「美しい南部の地、それ以上に美しいお前」くらいに歌うべきなんですよ!

そして「石を割って咲く桜」で「お前のために」なんてぼんやり歌わず、もはや「華麗なるギャツビー」の「デイジー」的に「しづ、しづ、この身を捧げたお前」くらいダサくとも名前を連呼して歌ったらいいんですよ!

 

で華やかに南部のお祭りシーンか何かを作って、しづがモテモテ小町娘的なプロローグにする。

それを若き貫一郎と次郎右衛門が二人で見てて、「太王四神記」の若きタムドクとヨンホゲみたいに2人で仲良くしながら、お互いしづのことを好きだと告白しあい、でも次郎右衛門は大野家の跡取りになることになったから、身分違いで無理だな、とか、貫一郎お前がしづを幸せにしてやってくれ、とかやって、告白のシーンにつなげれば、2人の関係性も、しづへの恋心ももっとはっきりして、最期のシーンがもっと響いてくるんじゃないかと思ってしまうのです。

 

明治時代は全てカットで、狂言回しはみつと大野千秋にさせればいいと思います。

あと貫一郎に送ってもらったお金で、しづの故郷で百姓をしながらも穏やかに暮らしている家族の様子も描きましょうよ。なんで真逆を描くかな。その中で嘉一朗だけが百姓ではダメだと感じている様子をのぞかせておく。

 

あとの新撰組のくだりとか、みよとの見合いとかはそのままでいいから、最後は大阪の南部藩屋敷シーンに戻り吉村切腹までして、ぜひしづに迎えにきてもらいましょうよ。

わたしが一番グッときた次郎右衛門と実母のシーンは泣く泣くカットして、フィナーレでしづと貫一郎がデュエットする中、秋田征伐へ向かう次郎右衛門と嘉一朗、兄を止めてと大野千秋にすがりつくみつあたりを描写して終わって良かったと思うんですけれど、ダメですか?

 

トップコンビ一緒のシーンは少なくとも、そこにはっきりと「恋愛」が描かれていたら、それはそれでいいラブストーリーであったし、「1人の人間が生きた話」になっただろうなと思うと、惜しいです。

 

わたしが見に行ったのが、まだ初日開いて1週間目だったので、演技的なところはともかくも、とりあえず日本物の所作が気になりました。

特に吉村貫一郎斎藤一も、近藤勇土方歳三と違って、足軽とはいえ武家の出身です。

武士で剣客の2人が、刀を鞘に納めるところでしばしばもたついていたのがものすごく気になりました。

そして2人とも鞘に手をクッとかける仕草がバシッと決まらない。そこで「人を切る」狂気や覚悟みたいなものをにじませることができたら、もっとよかったろうなと思います。

 

とくに吉村貫一郎は普段の優しくて穏やかな人格と人を切るときの二面性をもっと明確に出してほしかったですし、斎藤一は「人を切りたくてたまらない」サイコパス的なムードがほしかった。

けれどそれ以外の演技はきちんとできてきたので、この辺は今ではもっと良くなっているんじゃないでしょうか。

 

大野次郎右衛門はお装束を美しく着こなしていましたし、庶子の出ながら幼くして位の高い家で育った上品さがありました。これは素晴らしいことだと思います。

ので、逆に「鳥羽伏見の戦い」の激しさの中でもきちんと状況を観客に伝えられるセリフの言い方をがんばってほしかったです。でもこれも今はちゃんと出来てると信じたい。

 

沖田総司は華やかで目をひきました。まだ若いので今はそれで十分かな。できるなら総司の明るさの中にあるもう少し深いところを表現できたら、より面白くはなると思います。

 

あと佐助が全然劇中の記憶がないんですけど、小説では重要な役どころなんですよね。

そう思うと原作を読み直した今、もう一度見たい。

そしてそう思えるだけ、まあまあ及第点な演目になったんじゃないかと思います。

 

それにどんなにこの「壬生義士伝」が平均点以下でも、今回もショーがあります!

「Music Revolution」ダンスダンスダンスのめっちゃくちゃ楽しいショーでした!

鉄壁の歌声と華やかさを誇るトップコンビと、ダンサー二番手ががっつり得意分野で活躍して魅せる。

かつスターとスター予備軍にたくさん場面を与えられて、惜しみなく銀橋渡ってアピールしてくれるので、もう意味なく楽しいです。

生徒の力と振付家の力を信じた中身のなくて楽しいこれぞショー!て感じなので、初心者の方でも楽しめるのではないかと。

 

そう思うと、やっぱり「壬生義士伝」にもう一つ惹きつける「何か」がほしかったなあと思います。

 

役者にとって難しいと観客にも難しい@シアターコクーン・オンレパートリー2019「ハムレット」

6/8(土)18:30~ 森ノ宮ピロティホール

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■作:ウィリアム・シェイクスピア
■翻訳:河合祥一郎
■演出:サイモン・ゴドウィン
■美術・衣裳:スートラ・ギルモア
■出演:ハムレット 岡田将生、オフィーリア 黒木華、ガートルード 松雪泰子、レアーティー青柳翔、フォーティンブラス 村上虹郎、ポローニアス 山崎一、クローディアス 福井貴一、ホレイシオ 竪山隼太、劇中妃 秋本奈緒美

 

新訳 ハムレット (角川文庫)

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今回はこの翻訳が使われていたようです。

有名な「to be or not to be, that is the question」を「生きるべきか、死ぬべきか、それが問題だ」と訳したバージョンです。

このセリフの後、実際にハムレットが首吊り自殺をするようなパフォーマンスを見せるのが、絵面として面白く見ました。

 

ただ全体に演出もセットもオーソドックスで、衣装もコスチュームでないだけのオーソドックスなもので、ビジュアル的にも解釈的にも新しいものはありませんでした。

 

改めて思ったのはこのハムレット役というのは、本当にセリフが膨大で、それを自分の中で消化して演技をするということは、とても難しいということでした。

 

「皆既食」で蠱惑的で弱くてズルいランボーをあれだけ魅力的に演じていた岡田将生くんも、このハムレットではセリフを言ってそれらしい演技をするだけで精一杯な印象を受けました。

ただ「尼寺へ行け」のシーンだけは、彼があの時点でどこまで考えていたのかは不明だけれど、「オフィーリアを守りたい」という気持ちから出てきたのかな、ということを初めて感じさせてくれました。

これは岡田将生くんの持っている何かなのか、演出のせいなのかは分かりませんが。

 

わたしのハムレット初体験は麻実れいさんがハムレットを演じたバージョンだったのですが、これはセリフの一部を歌にしていたのですね。

翻訳は小田島雄志さん版でした。

ハムレット (白水Uブックス (23))

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宝塚版「HAMLET!!」

TAKARAZUKA SKY STAGE 10th Anniversary Eternal Scene Collection「HAMLET! ! 」 [DVD]

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は映像を見ただけですが、こちらもうまくロックオペラ化されていて、そうすることによって観客も楽に見られる部分も多いのだなあと思いました。

 

ご存知のように、ほぼハムレットの葛藤が描かれる演目なので、オフィーリアをはじめ、クローディアス、ガートルードなどはほぼ描かれていないも同然です。

そうなるとそこにどれだけ演出と演技を入れていくかは、演出家と役者の力量によるのですが、そこのところの演出も今回はうまく働いていない気がしました。

 

黒木華ちゃんのオフィーリアは狂ってからはものすごく可愛くて透明感もあって素晴らしかったのですが、「どうしてオフィーリアは狂ってしまったのか」を想像させるまでには至らず、狂ってからがすごくよかっただけに残念でした。

 

そしてクローディアスとガートルード。

この2人も演出によってどうとでも味つけできると思うのです。

上記にあげた2つの「ハムレット」でのクローディアスが岡田真澄さん、越乃リュウさんが演じていたこともあって、色気のある人物だったのですよね。

だからガートルードが惹かれちゃったのもしょうがないか、と納得できたし、なんならガートルードもクローディアスと結婚したいから、夫の殺害に共謀したんじゃないの、くらい思わせてきたのが面白かっただけに、今回、正統派な見せ方をされると、全体的に人物がぼんやりした印象になってしまったのです。

 

そんな中、一番個人的に素晴らしかったのが、フォーティンブラスを演じた村上虹郎さん。

まあ最後をあれだけバシッと締められる存在感とセリフまわし!

まだまだ若いのにこれだけ存在感を示せるのは、これからの期待が高まりました。

 

ところで、わたしが初めて見た麻実れいさんのハムレットは誰の演出だったんだろうと調べて見たら、ジャイルス・ブロックさんという英国の演出家でした。

そしてその初演だけ羽野晶紀さんがオフィーリアを演じてらしたことを今、知りました。

本当に初演を見られてよかった、くらいにわたしの中でオフィーリアは羽野晶紀さんのイメージなのです。

羽野晶紀さんのオフィーリアにものすごくインスパイアされて、当時脚本家や演出家に憧れていたので、脚本を書いてみたりしたことを思い出しました。

今回の「ハムレット」という作品には、そこまで何かを掻き立てるものがなかったのです。

 

でも二部の方は展開早くスピード感があり、それなりに面白く見ることができました。

 

ところでジャイルス・ブロックさん脚本・演出の「ハムレット」が上演されたときには、小田島雄志さんの翻訳本が劇場で販売されていて、即購入して読みました。

シェイクスピア劇はじめいわゆる有名な戯曲が上演されるときには、一緒にこういう翻訳本の販売があると、戯曲を読むことに親しみができるのではないかと思うのですが、それ以降見たことないのは、いろいろとオトナの事情があるのでしょうか。

やっと憧れのTMP音楽祭に行けた気持ち@吉崎憲治&岡田敬二ロマンチックコンサート

6/1(土) 18:30〜 梅田芸術劇場

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上記のポスターに掲載されているメインOGの中でわたしが現役時代を見たことない方は瀬戸内美八(ルミ)さん、南風舞(マイマイ)さんのお二人になります。

とはいえ、朝海ひかるさん(コムちゃん)、大和悠河さん(タニちゃん)はほぼ下級生時代しか知らないし、実咲凛音さん(みりおん)もトップ娘役時代にたぶん2、3回拝見したことあるだけ、です。

そんなわけで、知らない曲もたくさんありましたが、1部、2部それぞれ体感時間は5分くらいなのに濃度が高いコンサートでした。

構成はただ歌い継ぐだけのシンプルなもの。

本当にわたしが熱いファン時代の「TMP音楽祭」の感じです。

でもルミさんが真ん中にいて、学年順に並ぶので紫苑ゆう(シメ)さん、杜けあきさん(杜ちゃん)が2番手、3番手みたいに見えて、ファンになる前の見られなかった「TMP音楽祭」を見ているようなときめきの時間でした。

 

どんな書き方をするのが一番いいか、考えたのですが、せっかくなので一曲ずつ振り返ってみようかと思います。

 

構成・演出 岡田敬二

作曲・指揮・音楽監督 吉崎憲治 

コーラス:穂乃ゆい·天羽珠紀·舞城のどか·桜一花・鶴美舞タ·咲希あかね·隼海惺

Act 1

I LOVE REVUE~「ザ·レビュー」より ALL

ルミさん、シメさんのソロ歌唱のあとに杜ちゃん、カナメちゃん、コムちゃん三人組で歌われる部分があって「東北しばり!」と個人的に楽しかったです♪

歌のあと、ルミさんよりご挨拶があって、なんと上級生順に名乗られました。

ルミさんの気取らなくて明るい雰囲気が客席まで伝わってきて、とても楽しくはじまりました。

OGも男役さんはパンツスタイルだった中で、白いドレスでロングカーリー金髪ヘアの涼風真世さん(カナメちゃん)がいい感じに浮きだっていて、ちょっとほほえましくもありました。

 

ジュテーム~「ジュテーム」より
杜けあき・南風舞·こだま愛·実咲凛音

マイマイは言わずと知れた歌姫、こだま愛さん(ミミちゃん)はダンスがたぶん一番お得意だったけれど、歌も演技もすごくうまい三拍子そろった娘役。

そしてこのお二人は1期違い、しかも同時期にトップ娘役を務めていらっしゃるので、みりおんが合わせるの大変かなと思われたのですが、そこはさすが歌うまさん。三人の娘役のハーモニーが絶品で贅沢、耳福な時間でした。

オーケストラを挟んで舞台の奥に数段の階段がセット的に置かれていたのですが、マイマイ、ミミちゃんともロングドレスで階段降りにちょっと危うさがあったのに、みりおんだけはササッと降りてきたところに若さを感じました(;^ω^)

ナルシス·ノアール~「ナルシス·ノアール」より
朝海ひかる

これわたし、ものすごく好きなショーだったんですよ。

もちろんコムちゃんはいまだに「ザ・美少年」という雰囲気で、このショーのテーマには合っていました。

でもせっかくだから、本当に出演されていたシメさんでも聞きたかったかなあ。

花にふれた私~「ザ·フラワー」より
南風舞・こだま愛・実咲凜音

知らないショー、知らない歌だったので、3人がうまかったくらいしか記憶がない・・・。

すみません。

愛の媚薬について~ 「ル・ポァゾン」より 涼風真世
ル・ポァゾン~ 「ル・ポァゾン」より
こだま愛涼風真世

ここ1回目の感涙ポイントでした。

実は「ル・ポァゾン」自体は特に好きなレビューじゃないんですが、「ナルシス・ノアール」が好きすぎて、星組でかつてこの2つの組み合わせショーが上演されたとき、もうワクワクで見に行ったんですね。

なのに、やっぱりセットとか衣装とかの問題もあって、あの頃ときめいたものはなくて、気落ちして帰ってきたんです。

けれどパンツスタイルに衣装替えして、髪の毛も男役っぽく整えたカナメちゃんが登場して「愛の媚薬について」を歌ったとたん、一気にゴージャスなレビューになったんです!

ぶれない音程とリズム。声量。クリアな発声。聞きやすく明瞭な歌詞。

そして体温を感じさせない「人以外の生き物」感を醸し出す涼風真世

今、舞台にあるのは現実じゃない、きらびやかで儚い夢だ、媚薬だ、と思わせる何か。

ああ、これだ、これがわたしが見た「ル・ポアゾンだ」と。

衣装とかセットの問題じゃなかったんだと痛感。

さらにミミちゃんも登場して、当時の月組ショーといえば、カナメちゃんが歌い、ミミちゃんが歌って踊って、いいところだけドーンと剣幸さんが出てくる、というスタイルだったので、ミミちゃんとのコンビも懐かしく、岡田レビューの世界観に酔いしれました。

センセーション! ~「センセーション!」より 悠真倫
アンドロジェニー~「アンドロジェニー」より 美穂圭子
テキエロ(君を愛す)~「テ·キエロ(君を愛す)」より 愛月ひかる/美穂圭子·悠真倫

すみません、この辺の記憶が飛んでますね。

「ル・ポァゾン」というか、青い血が流れている妖怪じゃないフェアリー、カナメちゃんの存在と歌声に圧倒されたんだと思います(;^ω^)

いつか~「ディーン」より 朝海ひかる

安寿ミラさんが再演された「ディーン」を見て、CDも持っているくらい感動して好きだったはずなのに、まったく「ディーン」の歌と気付いていませんでした。

コムちゃん、ちゃんと演技もしてくれたのに、なんかすみません。

Rose Garden ~「Rose Garden」より
実咲凜音

ここも知らなかったので記憶が飛んでますね。

うーん、なんでだろう。

アランチャ~「ヴァレンチノ」より
杜けあき

「セレブレーション100」のときに、トークコーナーでアカペラで紫ともさん、高嶺ふぶきさんと歌われたのは聞いたのですが、ちゃんと生で聴くのは本当にたぶんバウホールの再演以来だと思います。

歌い始めた瞬間、まだ20代くらいのみずみずしいルディがそこにいて、感動。

そしてやっぱりこの歌を聴くとなぜか行ったこともないイタリアの「ブーツのかかと」の田舎の風景が目に浮かぶんですよ。

きらめくシチリアの海、輝く太陽をさんさんと浴びてキラキラ光るオレンジの実。

そしてそれを一つ手にして家族に駆け寄る少年の影。

まだ何もはじまっていない時期のルディ。夢にあふれたルディ。

その高揚感と幸福感に包み込まれる一曲でした。

 

この歌のあとに杜ちゃんのトークがちょっとありました。

(正確には全く覚えていないのでニュアンスでとらえてください)

「今や大先生になられた小池修一郎先生のデビュー作でした。この曲ができたとき、(小池)先生が本当にうれしそうに譜面台の横にちょこんと立って聞いてらしたのを思い出します。小池先生は岡田先生の助手をされていたのですが、岡田先生がとても熱心に導かれていました」

そして、次の曲ははじめて歌うんですけれど、という前置きではじまりました。

Drifter in the city ~「ダンディズム!」より 杜けあき

真矢みきさんのショーの歌とのことでしたが、見ていない時期なので初体験。

でもちょっと悪くてキザな男が街にやってきているシーンが見えました。

衣装は変わっていないのにトレンチコートとハットが見えました。

「アランチャ」とあわせると、なんか「ヴァレンチノ」という芝居と「ダンディズム!」というショーの2本立てを見せてもらったくらいの充実感でした。

テンプテーション! ~「テンプテーション!」より 
ロンリー·ハート~「ロンリー·ハート」より
大和悠河

タニちゃんは金髪パーマロングヘアに派手なビジューのついたトップス、コートのパンツスタイルでかなり中性感が強かったのが面白かったです。というのも、杜ちゃんの「アランチャ」はルディという人で、「Drifter~」は宝塚男役感が漂っていたので、タニちゃんの在り方も宝塚OGとしての面白みだなと。

夢アモール~「シトラスの風」より
大和悠河·実咲凜音 
シトラスの風~「シトラスの風」より
愛月ひかる

これは時期はかぶっていないけれど、元宙組のトップスターとトップ娘役が歌うのがなんか感動しましたね。宙組が誕生したときのショーの曲を歌うにふさわしい二人でした。

続く主題歌は宙組出身の現役生徒さんが歌われましたが、やっぱり記憶がない。すみません。

ラ·カンタータ! ~「ラ·カンタータ!」より 
熱愛のボレロ~「ラ·カンタータ!」より
紫苑ゆう

ザ・紫苑ゆうの見せ場です。

白のレースを贅沢に使った変わり燕尾服みたいな衣装の美しいこと。

そして、それを普通に着こなすシメさんの美しいこと。

シメさんのトークもあって「熱愛のボレロ」は岡田先生・吉崎先生にいただいた大切な曲です、とのお言葉がステキでした。

この世にただひとつ~「心中·恋の大和路」より
瀬戸内美八·南風舞

青天かつらと日本髪かつら、日本物の装束で日本物化粧でルミさん・マイマイのご登場。

これは有名な梅川・忠兵衛の物語の中の歌なのですが、セリフ入りでもはや「再現」でした。

ルミさんの所作、足の運び、裾さばきの美しさ。

その魅せ方の美しさの上に乗った「演技」。

これこそが「プロのパフォーマンス」でしょう。

マイマイももちろん、所作も歌もうまくて、このところ宝塚の日本物にがっかりし続けている身としては感動の嵐でした。

 

紙吹雪も散って幕。

これもまるで一芝居まるまる見た濃厚さでした。

Act2

すいません、Act1が長くなりすぎたので、Act2は印象強かったところだけでいきます。 

エイサー~「ASIAN SUNRISE」より
美穂圭子・悠真倫・愛月ひかる他
アジアン・サンライズ~「ASIAN SUNRISE」より 南風舞・こだま愛
ザ·ダンディー~「ダンディズム!」より
大和悠河/悠真倫・愛月ひかる

ここ愛月ひかるさんがタニちゃんトップ時にお手伝いしてくれていた下級生、悠真さんがタニちゃんと同期生ってことで、すごく楽しくおしゃべりしてたのが微笑ましかったです。

アジアン·ウィンズ~『ASIAN WINDS」より 大和悠河
白い蓮の花~「テンプテーション」より
実咲凜音/ダンス: 舞城のどか
仙女の祈り~「長靴をはいた猫」より
実咲凜音
この愛フォーエバー~「ダンディズム!」より 
タカラヅカ·グローリー!~「タカラゾカ·グローリー!」より
朝海ひかる

宝塚歌劇90周年のときのショーとのことで、歌詞の中に「宝塚90周年~♪」というのがあったらしいのですが、そこをちゃんと「105周年」に変えたコムちゃん!すばらしい!

 

ロマンス!!(Romance)~「ロマンス!!(Romance)」より こだま愛
悪魔の涙~「天使の微笑·悪魔の涙」より 涼風真世

これは残念ながら生では見れていないので、生で聴けて感動。

「愛、なんてむなしい響き。愛、なんてうつろな。愛、金で買える代物。愛、ただの幻」って歌詞があるんですけれど、この演目の前の公演が星組の「ベルばら」で「愛、それは甘く。愛、それは強く。愛、それは尊く。愛、それは気高く。」と歌っていたので、そのギャップ感も当時面白くきいていたのを思い出しました。

ここでもカナメちゃんの魅力全開!

人外のものを演じさせ歌わせたら右に出る人はいませんね。

でも後のトークショーで話されましたが、この悪魔という役がご本人にははじめとても難しかったそうです。

ただ歌っているうちにだんだん気持ちよくなってきたので吉崎先生の音楽は素晴らしいとのこと。

カナメちゃんのトークが入って、「大好きな作品」と紹介されたのが次の曲です。

LOVER'S GREEN ~「PUCK」より
涼風真世

「昔、妖精、今、妖怪」というのが現在カナメちゃんがご自分でおっしゃってるキャッチフレーズなんですけれど、ちゃんと妖精でした。

これ聞いていた当時は何も思わなかったのですが、スカイステージの企画で当時の月組トップスター霧矢大夢さんが、歌も上手な方なのにこの曲に苦戦してらして、はじめて難しい曲なんだと知りました。

再演の龍真咲さん版も好きで、その再演に出演されていた元月組生がコーラスに入っていたのも嬉しかったですね。

そしてこの曲の難しさを知ったうえで聴くカナメちゃんの「LOVER'S GREEN」は圧倒的でした。

La Jeunesse! ~「La Jeunesse!」より
美穂圭子·悠真倫·愛月ひかる

当時まだ中堅どころだった美穂圭子さんが、お姉さま然として歌うのがほほえましい一曲でした。

ラ·パッション!~「ラ·パッション!」より 杜けあき

杜ちゃんのトップお披露目公演ショーの曲で、その時の芝居「ムッシュ・ド・巴里」で杜ちゃんに一目ぼれし、翌月に放映されたこのショーは録画を本当に何度も何度も見た1つです。だから楽しかった!

でも岡田先生ごめんなさい、ショー自体はあんまり好きではありませんでした(;^ω^)

朝日の昇る前に~「華麗なるギャツピー」より 杜けあき

ここが2度目の感涙ポイント。

トークの後、これを歌いますと紹介されるとバックスクリーンに星空を模したライトがきらめき、階段の上で杜ちゃんが背をむけたまま 

「誓い。タバコをやめる、一日おきに入浴、毎週最低一冊読書、毎週5ドル・・・訂正3ドル貯金。親孝行」

とセリフを言って振り返るんです。

もうすべてが終わったあとのジェイ・ギャツビーがそこにいました。

暗闇をさまよい、明けようとしている夜を見つめながら、あそこに行こうともがいて、馬鹿げたこともして、それでも決して太陽の元で生きられなかった彼の人生がそこにありました。

それを掴もうとするジェイはやっぱりどこか変で、無邪気な少しの狂気があって、それがわたしのギャツビーなんだな、瀬奈じゅんさんのジェイにも井上芳雄くんのジェイにもなかったのが「それ」なんだろうな、と思いました。

まあ、井上芳雄くんの場合はギャツビーの「ちょっと変」なセリフが全部まるっとなかったので、演じようもなかったから気の毒でしたれど。

ちなみにディカプリオのジェイにはその「少しの狂気」があって、好きでした。

 

華麗なるギャツビー(字幕版)
 

 

魅惑のサンバ~「魅惑」より 瀬戸内美八/美穂圭子·悠真倫·愛月ひかる他
わが歌 君がため~「わが歌 君がため」より  瀬戸内美八

もう「華麗なるギャツビー」一本まるまる見た余韻を残したあと、どうするのかと思っていたら、さすがは上級生トップスター!

ルミさんが赤いスーツ&パンプスで、下級生たちの客席降りも含めながら、一気に空気を明るくカラッと変えてくれました。

ここでルミさんと吉崎先生が同郷(徳島県)であることを明かし、吉崎先生の徳島県への貢献を楽しく面白く紹介するルミさんがステキすぎる!

蒼いくちづけ~「蒼いくちづけ」より
紫苑ゆう

宝塚ファンになりはじめの頃に伝説として聞いていたこの演目。

シメさんはなんと黒いマントで登場。

そのマント捌きがなんて美しく魅惑的なこと。

冷たい美貌のドラキュラ伯爵の腕の中に入れるのは、歌詞通り本当に「美しい乙女」でないと許されないなと思いました。

(見てないけどその乙女はきっと毬藻えりさん、シギちゃんですよね!シギちゃんじゃないと許されないわ)

小池先生がシメさんの美しさと「ポーの一族」への憧れから生み出した作品だと思うのですが、シメさんは最初にこの話を聞いたとき「宝塚がオカルトか」と驚いたとのこと。

そんな宝塚が大好きなシメさんが次の曲に選んだのが、持ち歌ではなく、峰さをりさんが歌われた曲でした。

愛の祈り~「西海に花散れど」より
紫苑ゆう

平家物語をお芝居にした作品だそうです。

その最後のシーンで歌われたそうですが、それを同じ舞台で聴きながら「いつかこんな歌を歌ってみたい」と思われたというエピソードが、宝塚愛にあふれていてステキでした。

愛の歌~「皇帝と魔女」より 南風舞
この愛よ永遠に(TAKARAZUKA FOREVER)~「ザ·レビューI」より ALL

フィナーレが終わったあと、ずっと指揮をされていた吉崎先生と岡田先生のご挨拶があって、お二人が本当にうれしそうに手を取り合っているのが、失礼だけどとても可愛らしかったです。

吉崎先生が「作曲家としてずっと憧れていた中学の同級生」のご紹介もあり、なんともアットホームな雰囲気のあとで歌われたのが、海外公演の最後で歌われていたという「さよなら、グッバイ」という曲でした。

わたしは全く知らなかったのでビックリ。

歌詞は本当にシンプルで「さよなら、グッバイ。あなた方の笑顔がわたしたちを幸せにしてくれました。わたしたちはあなた方をずっとずっと忘れません」というのを英語にして繰り返すだけなんですけれど、これが「見てくださってありがとう」という気持ちが伝わるすごくステキな曲で、最後の最後に三度目の感涙をポイントを押されたのでした。

 

そして、この日はトークショーがありました。

本来はルミさん、シメさん、杜ちゃん、コムちゃん、タニちゃんの5名のトークショーだったのですが、杜ちゃんが無茶振りしたらしく吉崎先生もご登場くださいました。

インタビュー記事なんかでも読みましたが、杜ちゃんが「演者はやっているうちにどうしてもここを早くしたいとか、ここで時間を取りたいとかが出てくるけれど、吉崎先生は柔軟に対応してくださる」エピソードをここでも紹介。

ルミさんにしても、シメさんにしても、とても吉崎先生と距離が近く感じたのです。

先生も生徒も一緒に「一つのモノ」を作りあげていたことを感じました。

杜ちゃんがギャツビーを演じるときにそういう気持ちがあって、先生に伝えなければ「朝日が昇る前に」は今とは違う曲になっていたかもしれない。

そうやって完成した曲は、作っていただいた「大切な一曲」になるのがすごく納得できるのです。

今の宝塚事情は全く分かりませんが、これからの生徒さんたちにも、そういう自分だけの「大切な代表曲」がもっとできるといいなと思います。

 

それにしても翌日はカナメちゃんから剣幸さん(ウタコさん)にバトンタッチということで、なんと「ウォーターフロントララバイ」の曲がライナップされてたんです。

もちろんバウなんて中学生のなりたてファンには見に行くお金もすべもなく、ラジオで主題歌を聞いただけなのですが、これがもしかしたら、わたしは1番好きな吉崎先生の曲かもしれないくらい大好きだったので、聞きたかった!

そんな思いも残してくれる、贅沢な贅沢な時間でした。

これはスナワチ、ただのカバン自慢@おと文

事のはじまりは、倉敷に住んでいる妹がこの特注のサイフバッグ&手帳カバー

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を手にし大満足したころだった。

次はこれがほしいと後藤さんのインスタの写真が送られてきたのだ。

後藤さんの入賞作品でもあるこのカバンはものすごくステキだ。

ほぼ時期を同じくして、東京のお友だちが「スナワチに行ってみたい」とのことで、ご案内することになった。

(お店の詳細は下記からどうぞ)

sunawachi

それを妹に伝えると「このカバンは売ってもらえるものなのか、その場合おいくらなのか聞いてこい」と司令が送られた。

結論として、カバン自体は売れないけれども、同じものを作るのは可能とのことだった。でもスナワチオーナーの前田さんが「女性には重いかもしれない」とアドバイスをくださった。

持たせてもらうと確かに片手で下げるには重い。

ましてや中にモノを入れたら、片手で持ち運びがラクではないことは容易に想像できる。

再考しますと告げて店を後にしたら、前田さんが下記の写真を送ってくれ、これなら女性にちょうどいいサイズ感だし、妹の好みではないか、と。

この写真を見て、一目惚れしたのはわたしの方だった。

 

がしかし、ビンボーなのにやたら金がかかる上に消えモノ(観劇とか社交ダンスとかオーセンティックバーとか)ばかり好きなわたしに取って、カバンは軽くて使いやすければ十分で、それがより安ければ問題ないものだったから、値段を聞いて「これはわたしの持ち物ではない」と諦めようとしていた。

正月に帰省してきた妹が「他にもほしいものが出来たからスナワチに連れていけ」と言うので、母と三人家族総出でお店にお邪魔した。

妹がPCスリーブを、そして母がこのわたしのサイフと同じ型のモノ

 

stok0101.hatenablog.com

 

がほしいということで、発注。

妹はちょっと事情があって、ハンドバッグが不便になり、これまた後藤さんの私物のカバンを今狙っている。

ちょうどその一週間後に東京のお友だちも、同様にわたしと同じ型のサイフがほしいのでスナワチに行かれるということで、同行した。

そこで例のハンドバッグの話しをしたところ、カバンにこだわりのあるお友だちの「オレンジでそのカタチ。エルメスみたいでステキ」という言葉がわたしの心を揺り動かした。

「一生に一度、気に入るカバンを作ってもらおう」と決心。

そこでとりあえず何に使いたいカバンか、ということを決める。

このサイズなので主な目的はお出かけ用。

月に1度以上は観劇するので、その際に便利だといい。

ということで、カバンに入れたいものを整理。

サイフ、携帯、化粧ポーチ、タオルハンカチ、鍵、そして双眼鏡、できたら500mlのペットボトル。

前田さんと後藤さんが入るかなーと思案していると、同じ観劇を趣味としているお友だちがまさしく観劇帰りだったので、双眼鏡もペットボトルも出してくれる。

そう、双眼鏡も飲みものも観劇には割と必需品なのだ。

 

写真のカバンの現物はないので、後藤さんの大事なカバンで開け閉めなどは試させてもらう。

これが結構難しい。

え、ICカードはどうしよう。

こうなると取り出ししやすく、もはや閉じなくてもいいんじゃないか。

なんて言い出すわたしに、お友だちが一言。

「こういうカバンは見た目の美しさが一番。使う女性はサイフなど出さないものだ」

神田うのさんがおっしゃってた「ミュールは歩くための靴ではない」と同じことか、と納得。

ということで、「美しいカバンを作ってもらおう」と形状はそのままにして、色だけ全てオレンジにすることを指定して発注した。

(ちなみに「ドクターバッグ」という型の名前もこの時はじめて知ったくらいカバンに興味がないというか、無知である)

そして心の中で「ICカード」は最悪、今使っているものを持ち手にひっかけたらいいやと思っていた。

 

ゴールデンウィークで妹がまた帰省しているころ、妹と母の発注品が完成したとの連絡を受け、再び家族三人総出でスナワチへ。

妹はPCスリーブを受け取るとともに、カバンではなく、また別のものを発注。

そして後藤さんにわたしのカバンの詳細を詰めましょう、と言われる。

美しいカバンには納得したが、使えず結局タンスのこやしになるのはもったいない。

ICカードの件を持ち出すと妹が一言。

「今の現状で完ぺきな見た目のキレイなカバンに、変なもんつけんといてほしいわ!」

ICカードを携帯に入れればいい、とも言われるがそうすると改札で携帯を取り出さなければならないので、同じことだ。

そんなわたしと妹のやりとりを聞いていた後藤さんが、専用のカード入れを作り、落とすといけないので、専用のポケットを作るのはどうだろうと提案してくださる。

糸の色はいろいろ組み合わせを見た結果、一番革の色に近い朱色に決めて、あとはおまかせすることにした。

 

途中、中のスエードの色を何色にするか、と連絡をいただいた。

オレンジ×ブルーの組み合わせが好きなので、青とも迷ったけれど、後藤さんが赤がおススメです、とさりげなく書いてくださっていたので「わたしは自分より後藤さんのセンスを信じる!赤にしよう」と決断し、赤でお願いする。

 

そして完成の連絡を受けて取りにいったものがこちら。自宅の照明の関係で赤っぽく見えるが間違いなくオレンジ色の美しいカバン。

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その見た目を全く損なわない美しいICカード専用のホルダーが付けられていた。

さらにこれは金具の部分のカバーを動かすことで外れにくく、取り外しもしやすい設計になっていた。

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後藤さんの美しさへのこだわりと機能性も兼ね備えてくれる神業にただただ感動。

本来こういうバッグは、それこそミュールを履いてタクシー移動するような人や、ステキな車を自ら運転する人が使うものかもしれない。

けれども残念ながらわたしにはタクシー移動する経済力もなければ、車もない。

なんなら運転免許すら持っていない。

公共交通機関は出かける際になくてはならないもの。ICカードは必須なのだ。

 

そしてなんと開け閉めも金具のボタンを押し引いたら、パカッと簡単に開いてくれる。閉めるのはカバンの口金の境目を軽く押して、ベルトの先の金具に留めるだけ。

使ってみてこのサイズ感で開け閉めのしやすさがかなり便利なことが発覚。

お店のレジカウンターに設けられたカバン置きスペースにピッタリ収まるので、そこでパカッとあけて支払いもスムーズなのだ。

こんな美しいカバンに実に庶民的で申し訳ないが、これがとくにコンビニで大活躍。

最初、入らないかもと言われていた500mlのペットボトルもこのように余裕で入る。

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中の赤のスエードも本当に美しい。

妹に自慢げに写真を送ってみたら

「バッチリペットボトルまで入ってるし、完璧理想通りって感じよね。

パスケースがまためっちゃええし。
外して違うバッグの日も使えるし…」

とのこと。

そうなのだ。つまりわたしは美しいカバンと同時に美しいICカードホルダーをも手に入れてしまったのだ。

なんというお得感(笑)

そんなわけでこの週末から自慢げに、でも大切にこのカバンを使っていきたい。

 

ところで、前田さんにこのようなステキな写真を撮影していただいたのだが、

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これを見ながら、ふとこのバッグと安物の靴は似合わないのではないか、ということに思い至る。

このときはたまたま、妹に強くすすめられたクラークスの靴(アウトレットモールのさらにシーズンセールで手に入れたので価格は安かったけれど)を履いていたからいいけれど、夏モノのサンダルは履きやすさが1番と安物しかもっていないわたし。

もはやこのカバン専用サンダルも後藤さんに作ってもらいたい気分(^◇^;)

どちらかにならなくてもいいはず@キンキーブーツ再演

5/19(日)18:00〜 オリックス劇場

チャーリー 小池徹平
ローラ 三浦春馬
ローレン ソニン
ニコラ 玉置成実
ドン 勝矢
ジョージ ひのあらた

 

3年前の初演が好評だったとのことで、再演が決まり、今度こそと気合いを入れてかなり早い段階でチケットを手に入れました。

チケ取りには紆余曲折あったのですが、とりあえず「記載されていることはキチンと読んで入力しよう」と反省しました。そしてわたしが誤って取ってしまったチケットを快く引き取ってくださった皆さまに改めてお礼を申し上げます。

本当にありがとうございました。

 

で、そんなに早く取ったチケットなのに、2階4列とは何事かと怒っていたのですが、行ってみたら、オリックス劇場の2階1桁列はちょっとせり出したバルコニー席的な感じの場所でして、前後の座席とも高さがきっちり取ってあり、非常に舞台全体が見やすい席でした。ほっ。

 

ところで、わたしが日本版初演を観ていないのは、チケット難だったことよりも、日本版初演の後にすぐブロードウェイから来日公演が来ることが決まっていたことが大きかったのです。

 

日本版よりホンモノ、英語で先に見たかったのです。

その来日公演の感想が下記です。

ストーリーなどはよろしければこちらからご覧ください。

 

stok0101.hatenablog.com

 

このように自分で驚くくらい感動しまして、だから、満を持して日本版再演を見ました。

 

セットや照明などはブロードウェイ版と同じでした。

開幕前にドンが演じながら観劇注意事項を言ってくれるのも同じく楽しかったですね。

そしてここはやっぱり日本語がありがたかったです(^◇^;)

 

この演目はどうしてもローラに注目されがちだと思うのですが、主人公チャーリー役の小池徹平くんがちゃんと物語の中心にいていたのが素晴らしかったです。

この辺は「1789」などで主演を務めた経験が勝ったかなと思います。

「1789」の時にも思いましたが、小池徹平くんのハモりのうまさはミュージカルには宝ですね!

そしてチャーリーがきちんと主役としての仕事を果たしているからこそ、ローラが輝けるのです。

 

以前に一度、地球ゴージャスの舞台に立つ三浦春馬くんを見たことがあったのですが、その時に彼は舞台の方が光るなと感じていました。

何より身体能力が高い。

テレビ出身の役者さんが舞台に立つとどうしても姿勢とか身のこなしとかが出来てない場合が多いのですが、三浦春馬くんはこれが自然に出来ているんです。

そして歌も充分なレベル。

これからもミュージカルでも活躍してもらいたいと思います。

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ただやはりソニンと他とのレベルの違いは気になりました。

というかせっかくの日本語なのに、ソニン以外の役の歌詞が聞き辛かったのが残念です。

 

なのに妙な言葉は耳につくのですよね。

1番残念だったのが、来日版で心からスカッとしたWhat a woman wants

主旋律が聞き取りにくいうえに「what a man」の部分だけが「男」と訳されて繰り返されるので、まるで「女がほしいのは男」みたいに聞き取れてしまったんです(涙)

本来は「女が男に本当に望んでいることは、男が思ってることと違う」ということを訴える素晴らしい一曲なのに、そう聞こえなかった悲しさ。

 

確かに曲調が早いので、訳詞が難しいことはよくわかるのです。

でもNot my father's son のサビをそのまま英語で使ったのだから、ここも変に「男」に訳すより「what a man」でよかったのでは。

 

訳でもう一つ気になったのが、ladies &gentlemenに続くthose who have yet to make up your mind

これが「まだどちらか決めかねている人たち」となったのですが、ローラは男でも女でもなく、ただ「ありのまま」のローラですよね。

ローラが「どちらか決めかねてる」とは思えない。そしてどちらかに決める必要なんてないことを示す存在がローラじゃないのかな、と思うととても違和感。

その前にチャーリーがローラに留守電を残すセリフで「きみこそ本当の男だよ」的セリフもひっかかりました。

来日版のときに気になった記憶がなかったので、英語の脚本が見られるサイトで確認してみたのですが、それらしきセリフがないんです。

https://ja.scribd.com/document/359611276/Kinky-Boots-Libretto

 

3年前よりもっと現在はジェンダーは大切にされている問題です。

気になったので、英語をいろいろ調べてみたところ、yetが肯定文の中で使われるときは

 

①昔から今にいたるまでずっと(相変わらず)

②期待感がないときに特に使われる

 

という回答がありました。

これが正しいのかはわからないのですが、少なくとも今の時代、男と女の2つのどちらかに当てはめるというのはナンセンスだと思うんです。どちらでもない人は現実にいるのです。

そして日本語版を作るということは、英語そのままでなくても良いということがメリットなのだから、「レディース&ジェントルマン、そしてどちらでもない方々」でよかったんじゃないかと思うのですよ。

それこそ、ローラ役のオリキャス、ビリー・ポーターさんのアカデミー賞のタキシードドレスが話題となり、評価される時代です。

インパクト絶大! 2019年アカデミー賞のレッドカーペットで話題をさらったタキシード・ドレス

せっかくの再演なので、その辺はアップデートしてもいいのになと思いました。

 

とは言え、この作品の持っているメッセージも、音楽も素晴らしくて、心揺さぶられるながらも元気になれるステキなミュージカルであることはたしか。

ぜひこれからも再演を期待したいです!

 

【追記】

2020年7月18日、宝塚花組の「はいからさんが通る」の配信を涙涙で見ていたときに、三浦春馬さんが亡くなったニュースが飛び込んできました。

この感想を読んでいただくと感じられたかと思いますが、わたし個人は三浦春馬さんのローラが特別に好きだったわけではありませんでした。

というよりも、わたしは実は普通にミーハー的に三浦春馬さんが好きでした。

あのそこはかとなくただよう品と美しさ、なによりチャーミングな笑顔に癒されていたので、「おんな城主 直虎」の井伊直親のような役を演じている三浦春馬さんの方が好きではありました。

ただ昨日10月27日、キンキーブーツを制作したブロードウェイのプロダクションからこのような素晴らしい映像が公開されたので、それをぜひ残しておきたいと思います。

youtu.be

スター性もローラ役としての魅力も充分、でも歌だけがまだ歌詞がクリアに聞き取れるレベルではない。だからこそ、再演を重ねるごとに進化していく彼のローラに会いたかったな、と改めて思いました。

そして何より、見ている側の心を和らげてくれるあの笑顔をずっと見ていたかったです。

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どこかで彼が今、心の底から笑顔を浮かべていられることを、ただ祈っています。

真剣に、でも「笑い」も忘れない@花詩歌タカラヅカ「ファントム」

5/12(日)18:30~ 繁昌亭

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第1部  落語

月亭 天使 「初天神

笑福亭 生寿 「秘伝書」

桂 春雨 「昭和任侠伝」

桂 あやめ 「?」

 

第2部「なりきりファントム」

エリック/ファントム 林家染雀(さざ波乃の)

クリスティーヌ 笑福亭生寿(高原らな)

カルロッタ 桂あやめ(逢坂夕陽)

シャンドン伯爵 桂春雨(小石川みや美)

アラン・ショレ 月亭天使(絹越うの)

ジャンクロード 立川らく次

少年エリック はやしや香穂(しんまち穂)

 

年々人気が高まる「花詩歌タカラヅカ」。

なんと今年は発売日に2時間でチケットが売り切れたそうです。

そんなわけで、毎年最前列に近いところで見上げていた舞台を今年は2階席から見おろす形になりました。

これはこれで、舞台のいろんな工夫が見えて面白い!

当たり前ですけれど「繁昌亭」って落語・演芸の専門劇場なんだなと、やっと気づきました。

毎年ながら、舞台転換、セットの出し入れに特にたぶん初日は苦労が見えるのですが、そもそも落語や演芸ってセットないですものね…。

しかし演じられるのはそんな話芸のプロたち。

だもんでセット転換の苦労部分は全部アドリブで笑いに変換。

そんな笑い要素もたっぷりの「ファントム」の様子をご紹介します。

 

の前に落語ですが、今回は4名とも宝塚にかけた落語でした。

天使さんと春雨さんがそれぞれ今公演中の「オーシャンズ11」を元ある落語に練りこんだ形。

生寿さんが「宝塚歌劇団に関わる秘伝書」。そのネタの1つ「男でも大勢の観客の中で銀橋の真ん中に立つ方法」が、わたしは知らなかったので、それってそんな儀式なのかー、見てみたいと思いました。

あやめさんは好きなタカラジェンヌの姿形にしてくれる整形外科に行く話でした。なんと「カサノヴァ」のプログラムをご持参。

とはいえ、全体にみなさん枕も早口、落語も早巻き。

これも、もはや花詩歌タカラヅカの見どころじゃないかとさえ思います(笑)

 

ということで、落語はキリッと45分で終わり、中入り後、第2部の「なりきりファントム」がはじまりました。

 

真山隼人(阿倍野こぶし)さんがHear My Tragic Tale(僕の悲劇を聴いてくれ)を少し歌ってくれたあと、すっかりおなじみになった浪曲でザクっとファントムのあらすじを紹介。

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今回から三味線の沢村さくらさんにもジェンヌ名がつきました。桜一花さんをイメージして「一か八か」と三味線の「バチ」をかけた「桜バチ花」さんです。すばらしい命名ですね(笑)

 

まずMelodie De Paris (パリのメロディー)から華やかにスタート。

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この曲、名曲だなあとあらためて。

安定のトップ娘役・生寿さんもかわいい。

カルロッタと衣装係がオペラ座を探索するシーンもあります。

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あやめさんのカルロッタ、ものすごく楽しそうでイキイキしています(笑)

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そして生喬師匠キャリエールがいきなりオペラ座の支配人を解雇されるシーンへ。これは本編と一緒なのですが、こまかいやりとりは割愛。まあここは解雇された事実がわかればいいので、問題なし。

その後のエリックとキャリエールのやりとりの中で聞こえてくるあやめさんカルロッタの歌声が絶妙すぎて爆笑。音をお聞きいただけないのが残念です。

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染雀さんのエリックはとにかくかっこいい。

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さらに歌も、当たり前だけどうまい。

Where In The World (世界のどこに)すばらしかったです!

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さて無事オペラ座で働けることになったクリスティーヌがファントムに出会うシーン。

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染雀さんが歌う間、お針子の振りで笑いをきっちり取る生寿クリスティーヌ。

染雀エリックに「歌のじゃまするな」的に怒られていました(笑)

でもとりあえず歌の稽古をつけてもらうことに。

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あれ?ファントム素顔!?

これはとりあえずファントムとクリスティーヌの間にカーテンみたいな仕切りがあって、お互い顔を合わせない設定なのかな?

と思っていたら、のちに仮面を忘れていることを暴露されました(^◇^;)

 

それにしても染雀さんが歌唱指導の先生なので、生寿クリスティーヌと常に「師弟感」が出るのがこの辺りではすごいいいバランスです。

無事クリスティーヌの歌のお披露目もすみ、

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カルロッタから怪しげな薬を飲まされ、

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オペラの舞台本番へ。

声が出ないシーンのクリスティーヌの演技!顔!(笑)

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しかし笑ってばかりはいられません。

ここでふっとよぎる本物の一幕終盤のシーン。

そうファントムがシャンデリアを打ち落とす迫力のシーンです。

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あ、シャンデリア、階段から降りて堕ちた!

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爆笑のまま、一幕終了。そしてすぐに二幕がはじまります。

浪曲での説明後、キャリエールの昔語りへ。

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キャリエール、若いころの方が恰幅がいいです(笑)

生喬師匠のキャリエールは、キャリエールという役本来がもっているはずの貫禄とかそういうものが宝塚版より出ていてよかったです。

そして、わたしが宝塚版で好きではなかった「私が耐えられなかったのは、彼女が彼をこの上もなく美しいと思っていることだった」的なセリフがなくなっていたのが最もよかったです。

これ本当いります?

まあキャリエールのエリックに対する今までの対応は、このセリフがあることで納得はするんですけど、キャリエールの残酷さというかそういうのが強調されすぎる気がするんですよ。

なのでこのシーンは花詩歌タカラヅカ版の方が個人的に好みでした。

はやしや香穂さんのエリック少年はかわいいし。

残念ながらエリックがとっておきの場所をクリスティーヌに紹介するシーンはまるっとカット。

まあ時間とセット上、しかたないと思います。

カルロッタとファントムのシーンで、ファントムがまちがって「クリスティーヌ」というと「カルロッタやで」とミスは絶対逃がさないあやめカルロッタ。

そこからアドリブ合戦の爆笑殺害シーン。楽しかった!(笑)

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そして雪組版でまあやクリスティーヌに感動したMy True Love (まことの愛)へ。

 

stok0101.hatenablog.com

生寿さんはがんばっていました。はい。

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しかしすでに一幕で仮面なしの素顔を見てるはずなので、歌の意味がない(笑)

染雀ファントムも台無しやないか、と自虐アドリブ。

そして逃げたあとのシーンが最高!このセット!

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あやめカルロッタが発見され、追い詰められたファントムとキャリエールのYou Are My Own (君は私のすべて)がまた良かったんですよ。

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やっぱりキャリエールがファントムより年上感が自然にでるのは落ち着きます。

生喬師匠キャリエールの愛に泣きます。

この辺のやりとりはさすが二人ともプロフェッショナルです。

そして怒涛のエンディング…。

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なんか知らないけど、感動してしまいました。

 

けれどその感動を一瞬にして吹き飛ばすエトワール(笑)

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そしてパレード&客席降り。

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2階席にも生喬師匠とショレ役の月亭天使さんがいらしてくださいました!

そういえばショレとカルロッタの軽妙なやりとりはほぼカットだったのが残念です。あの辺も噺家さんたちの方がうまくできそうですよねえ。あ、だからカットなのか(;^ω^)

そして時間は21時25分。

なんと繁昌亭は21時半を過ぎると15分毎に5,000円追加料金が発生するしくみだそうです。

でもオリジナルソングで締めて、21時半きっかりに終わりました。すごい!

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本当、役替わり公演の千秋楽が見られないのが残念でたまらないくらい、満足の3時間半でした。

次の喜楽館、勝手にベルばら45周年を祝う「ベルばら名場面集」も楽しみです!

 

あ、観客は大多数が宝塚ファンのようでしたが、万が一宝塚の「ファントム」見てないぞという方がいらしたら、こちらの映像をどうぞ。

 

雪組宝塚大劇場公演 三井住友VISAカード ミュージカル『ファントム』 [Blu-ray]

雪組宝塚大劇場公演 三井住友VISAカード ミュージカル『ファントム』 [Blu-ray]

 

 ストーリーはともかく、まあやクリスティーヌの「My True Love (まことの愛)」は聞く価値ありです!ぜひ!

天下無双の夢がわからないからクルンテープありがとう@宝塚月組「夢現無双」「クルンテープ」

4/13(土)11:00~ 宝塚大劇場

夢現無双

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宮本武蔵 珠城 りょう
お通 美園 さくら  
佐々木小次郎 美弥 るりか 
沢庵宗彭 光月 るう  
お杉 夏月 都  
柳生石舟斎宗厳 響 れおな  
新免無二斉 紫門 ゆりや
お甲 白雪 さち花
吉野太夫 海乃 美月
本位田又八 月城かなと
吉岡清十郎 暁 千星


脚本・演出 齋藤 吉正

たしか中学の卒業旅行で巌流島にいって、ここが「宮本武蔵佐々木小次郎の対決の場だよ」と教えてもらった記憶があります。

よくわからないまま武蔵と小次郎のキャラがついたキーホルダー的なものを買った記憶も^^;

しかし日本史に疎いまま学生時代を過ごし、今再び日本史を少し勉強しはじめた身なのですが、それでも「宮本武蔵」という人がよくわからない。

日本の歴史の流れに何か大きく関わったわけでもなさそう。

けれども原作小説を読むわけでもなく、大河ドラマを見るわけでもなく、なんならバガボンド

バガボンド コミック 1-37巻セット (モ-ニングKC)

 

さえ未読で、なんの知識のないまま見に行ったことを後悔しました。

一応

stok0101.hatenablog.com

 は見ていたのですが、これは井上ひさしさんがちゃんと人間ドラマ、コメディとして書いててくれていたし、設定も巌流島で小次郎が死んでいないことになっていたしで、武蔵も小次郎もなんか間抜けで可愛くて愛おしいなと感じた記憶があります。

今回の無現無双の話はこうです。

宮本村の武蔵は幼いころから力強く、敵知らずの暴れん坊。

そんな彼を好意的に想うお通と訳あって村を飛び出します。

そして武蔵は「天下無双の剣の達人」を目指し、日々鍛錬し、とうとう世に名をはせた剣の達人・佐々木小次郎との対決に挑むのですが・・・。

 

ということで、ずっと武蔵が「オレは天下無双になるんだ」とか言って、人を斬ったり、反省したり、鍛錬したり、が繰り返されるだけの話になっちゃっているんです、残念なことに。

なんで武蔵が剣の達人を目指すのかはわかるんですけど、正直「武士でもないのに剣の達人になってどーすんの?てかそんな幻みたいな夢追いかけてるだけで生きていけるの?食べていけるの?」という思いが消せないのです。

(すみません、わたしは「男のロマン」を全く理解しない人間です。でも原作小説が日中戦争から太平洋戦争に向かう時代の新聞連載小説だったとのことなので、人々を戦いに鼓舞せざるを得なかったのかもしれないですが)

ここで、先日見たゲキシネ「髑髏城の七人season鳥」のような華麗な殺陣のパフォーマンスでもあれば、「ああ、剣の達人って魅力的!」とか「そうか、武蔵はこのようなプロフェッショナルだったから人々を魅了したのね」とか思えたかもしれないんですけど、宝塚歌劇団であそこまでの殺陣パフォーマンスをやろうと思ったら、相当な月日をかけて訓練するしかありません。

となると、そういう見せ場がつくれない限り、もっと心情面や人柄を描いて、なんならお通とのラブロマンスをメインにもってきて「恋と夢の中で揺れる武蔵」を描いた方がまだおもしろかったんじゃないかと思うと残念というほかありません。

セットも衣装も魅力なく、見せ場も盛り上がりもなく、久々に見ていてつらい時間でした。

 

しかし宝塚にはショーがある!

しかも作・演出は安定の藤井大介先生です。芝居が終わった時点で祈るような気持ちで「大介先生、お願い、この下がりきったテンションをあげて」と思っていたのですが、大介先生は裏切りませんでした。ありがとうございます!

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クルンテープとはタイの首都バンコクの正式名称の略称とのこと。

ということでなんと舞台は「タイ」です。

中近東らへんが舞台になったショーはありましたが、日本以外のアジア圏がショーの舞台っていうのはなかなか珍しいんじゃないでしょうか。

まあプロローグ終わって、最初にムエタイのゆるいシーンがあったときは「ショー、お前もわたしを裏切るのか」というがっかりした気持ちが抑えきれませんでしたが、すぐに「一蓮托生」というトップスター珠城りょうさんと二番手・美弥るりか さんの言葉に尽くせぬほど美しいダンスシーンが繰り広げられました。

そこからは素晴らしいシーンが続いて感涙。

新しくトップ娘役になられた美園さくらさんと若手スターたちの「セ・マニフィーク」が個人的にはとても良かった!

宝塚ショーにテクノミュージックが取り入れられるようになってずいぶん経つのですが、どうしてもわたしには受け入れられない感じを醸し出すものが多かったのです。

そんな中「セ・マニフィーク」という古い宝塚のショーの主題歌をテクノ風にアレンジする、という手法にやられてしまいました。

これなら今のファンも古いファンも楽しめる。たぶん。

ぜひとも他の先生方にもヒップホップやらテクノやらで歌ったり踊ったりアイドルっぽいシーンを作るなら、古い宝塚ショーの誰もが知ってる名曲たちをアレンジして使っていただきたいです。それなら著作権の問題も発生しないし、いいとこだらけじゃないですか?

あとは舞台がタイなので、ミュージカル「王様と私」の名曲「Shall we dance?」が中詰めでさまざまなアレンジで繰り返されたのも、わたし的に大介先生グッジョブ!

王様と私」のストーリーはアジアの文化をバカにするようで大嫌いなのですが、曲はめちゃくちゃいいし大好きなので、こういう楽しいシーンによみがえらせてくれて本当にうれしいです。

あとはデュエットダンスの振り付けがかわいいなあと思っていたら、なんとANJUさんの振り付けだったのですね。さすがです。

その前の黒燕尾群舞に後から入っていく美弥るりかさん、というワンシーンに涙。あの一瞬。あの一瞬を本当にありがとうございます、大介先生。

 

そんなわけで、みやちゃん(美弥るりかさん)大劇場、ご卒業おめでとうございました。卒業されるときは皆さん特別に美しくなられるけれど、今のみやちゃんの美しさはもはや菩薩の域でした。

東京公演でもその神がかった美しさで最後まで観客を魅了してくれることでしょう。

ということで、東京千秋楽のライブビューイングは見に行きたいと思います。美弥るりかの最後の「男役としての美」を見に。