こんなことを思ったり。ぼちぼちかんげき。

保護猫と同居人と暮らすアラフィフがビンボーと戦いながら、観劇したものなんかを感激しながら記録。

きみは天海祐希を見たか@薔薇とサムライ

7月の三連休の話になるのだけど、劇団新感線のゲキシネ「薔薇とサムライ」を見て来た。
天海祐希の久々の舞台で話題になったこの作品。
もちろん舞台だって見たかったけれど、財政難とチケット難の二重苦で、新感線ならゲキシネになるからいいもん、とすっぱい葡萄のごとく諦めて、心待ちにしていたゲキシネ。なのに、ようやく見に行く始末^^;

そして、そのゲキシネを見た感想。
やっぱり、舞台を見に行けばよかったーーー!
いや、舞台そのものは、なんだかいろんな娯楽要素をしっちゃかめっちゃに詰め込んだごちゃっとした感じで、お約束にお約束が重なり、またその前の週に、新感線ミュージカルの傑作SHIROHのDVDを借りる機会を経て、見直していたため、どうしても比較してしまって、色々詰めが甘いなと感じざるを得なかった。

けれども、私は知っている。
天海祐希が舞台の上でどれだけの光を放つか。
映像では写しきることのできない、天性の華。
その天海祐希の輝きをもって、この作品を楽しみたかったと心底思ったのだ。

それほどまでに、「薔薇とサムライ」の天海祐希はステキだった。
何より、天海祐希と言えば、東京は上野の生まれ。
男兄弟に挟まれた真ん中のコで、子供の頃から祭り、御輿に興じ、下町文化をその背中に背負った人。
なので、下町言葉が異常に似合う。
私が天海祐希で好きな役はやっぱり「ミーアンドマイガール」のビルなんだけど、ビルはロンドンの下町育ちで、前半は下町言葉全開で話す。そのナチュラルさ。その言葉が段々気づかないうちに洗練されていく変身の見事さ。でも根っこのところは全く下町にいたころと変わらないというところが本当に魅力的だった。
そして、なんと「薔薇とサムライ」は、まんまそのビルを女海賊に置き換えたような話だった。
女海賊なので、ビルよりもよりべらんめえ調。そして、べらんめえ調が異様なほど似合う女優、天海祐希(笑)
もう正直8割は女に見えなかった。男に見えるわけでもなくて、普通に「男役」に見えるのだ。キザで作り込まれた宝塚の男役じゃなくて、天海祐希にしか出来なかった天海祐希ナチュラルな「男役」。その「男役」が普通に芝居にとけ込んでいるカオスさ。これこそが「薔薇とサムライ」の魅力だったんではないかと思うほど。そして、それは、天海祐希以外の誰も出来ない技で、改めて天海祐希という個性の貴重さを思う役だった。

ということで、まとめると、天海祐希が本気で本気で格好よかったー!もう前半の女海賊の部分だけでお腹いっぱいになるくらい格好よかった。

と、そんなわけで、天海祐希で大満足のゲキシネではあったのだけど、もう一つ特筆すべきことがある。それは、神田沙也加の存在。
ミュージカル女優としての神田沙也加は希有な存在である。舞台に立つ以上、そこには舞台に立つというスキルが必要である。つまり、動きの部分の訓練。意外にこれが出来ない人が多い。そんな中、神田沙也加は、舞台という広さで可愛いと感じさせる動きが出来るのだ。
大劇場で顔が見えなくても可愛いと感じさせる動きが出来る舞台俳優は少ない。なのに、神田沙也加をこともなげにそれをやってしまう。
そして、この「薔薇とサムライ」ではその能力を天性の才能を120%発揮しているのだ。そうなると、もう、血管が切れるかと思うほど可愛い。
特にヒップアクションのかわいらしさに卒倒。さらにウィンクの見事さ。もうこれは、聖子ちゃんのDNAのなせる技となんだろうなあとシミジミ。

そんなわけで「薔薇とサムライ」、面白かった。ストーリーやセットはともかく、この天海祐希と神田沙也加を見るためにDVDがほしいと思うほど、楽しかった。