こんなことを思ったり。ぼちぼちかんげき。

保護猫と同居人と暮らすアラフィフがビンボーと戦いながら、観劇したものなんかを感激しながら記録。

宝塚雪組「フットルース」

7月14日(土) 16:30~ 梅田芸術劇場

レン・マコーマック 音月 桂
アリエル・ムーア 舞羽 美海
ベティ・ブラスト 梨花 ますみ
ショウ・ムーア牧師 未涼 亜希
エセル・マコーマック 舞咲 りん
ウィラード・ヒューイット 沙央 くらま
ヴァイ・ムーア 早花 まこ
チャック・クランストン 蓮城 まこと
ラスティ 愛加 あゆ

映画も舞台も未見。だからこそ、あえて何も知識を入れずにまっさらに見ようと思った。そして、それが正しかったと確信した舞台だった。

 

雪組梅田芸術劇場公演ライブCD フットルース

雪組梅田芸術劇場公演ライブCD フットルース

 

 



一昔前のダンスミュージカルだとあまり期待もせずに言った。けれど、一世を風靡するものはそれだけの力と良さがあるのだと痛感させられた。
主人公レンが突然の父親の家出により母親と田舎町に引っ越してくるところから物語ははじまる。その田舎町ではある不幸な事故以降、ロックと踊ることを禁じられていた。その閉息感にとまどう主人公が、いろんな壁にぶつかりながら、少しずつ解放をもたらす物語は、特に今、風営法でダンスが禁じられていることと通じるところもあって、心を動かされた。
そのストーリーの単純だけど、シンプルな良さのあるなかで、これを良いエンターテインメントに仕上げたのは間違いなくまず、演出の力だと思う。
古いミュージカルで起こりがちなスローさを取り除き、常にテンポよくスピーディーに展開する流れ。人の動し方、セットのかわいらしさと機能性。コメディミュージカルに重要な衣装の可愛さも文句なし。さらに宝塚という特性を活かし、良い笑いに消化したヒーローの作り方。本当によく出来ていたと思う。
さらに、振り付けがまたいい。どれも良くまず場面と音楽を表現していたし、程良くヒップホップ的要素を取り入れた動きがよりこの作品の古さを取り除き、新鮮に見せた。
そして、そのスタッフ力が集結した中で見せる音月桂率いる雪組メンバーの安定感とパワーが素晴らしいエンターテイメント作品に仕上げていた。

今、踊るとき。

日本人的にはなかなかピンとこない感覚かもしれないけれど、踊るとき、踊りが必要な時はある。和解し、抱き合って体を揺らすムーア神父夫妻の「踊り」はそのことをしみじみ感じさせてくれた。時に言葉よりも歌よりも伝わる何かが、踊りにはあるのだ。
そして、だからこそ、一つだけ小さな不満があるとしたら、ラストシーンのダンスパーティーがもっと長くショーアップしたものだと楽しかったのに、ということだけだった。