こんなことを思ったり。ぼちぼちかんげき。

保護猫と同居人と暮らすアラフィフがビンボーと戦いながら、観劇したものなんかを感激しながら記録。

設定変更の面白さ@CHICAGO

9月15日(土)13:00~ 赤坂ACTシアター

米倉涼子ロキシー・ハートを演じる凱旋公演を見てきた。ヴェルマ・ケリー役アムラ=フェイ・ライトをはじめ、他のキャストは全員ブロードウェイの俳優・ダンサーたち。その中で米倉涼子はまずまずきちんと「ロキシー・ハート」を演じていた。

私がCHICAGOを見るのは8年ぶり4回目。その4回とも偶然全て英語での上演である。その中で今回米倉涼子ロキシーを演じることにより、最も面白かったところは、ロキシー日系人である、という設定が加わったことだった。
ステロタイプではあるけれど、日系人の女、だから、透明人間のようなエイモスの存在がもう一つ別の面が見えてくるというか、欧米人には全然相手にされなくて、日系の妻、だったのかな、とか、アジア系でアメリカで女優になる難しさとか、それでも目指してしまうロキシーの軽さやしたたかさやこズルさいつもより少し際立って、なるほど、ロキシー役に人種を変える、というのはあり、だなと非常に面白く観劇した。

それにしても、アムラ=フェイ・ライトのヴェルマが良かった。後半のヴェルマは段々と残念な感じになっていくのだけど、その説得力の一番あったヴェルマだったと思う。本来ならそれこそ「透明人間」なくらい、比べ物にならないアジア人の女にしてやられて、それでもそこに必死にすがっていく姿が人間らしくチャーミングでたまらなかった。もちろん、前半のスター然としたヴェルマの迫力も素晴らしかった。

何より改めてこの作品の振り付けの素晴らしさを感じた。緩慢で手や足の先でも魅せていく、本物のダンサーでないと踊れない動き、その格好良さ。ジャジイでキャッチーな音楽、シンプルで格好いい衣装、劇場であること、を最大限に活かした演出、そして、人間を描き風刺するエンターテインメント。
私は、楽曲と振り付けと脚本と三拍子揃ったものがミュージカルとしての価値が高いと感じるタイプなので、やっぱりCHICAGOは稀にみる一級品のミュージカル作品だな、と改めて痛感した。