こんなことを思ったり。ぼちぼちかんげき。

保護猫と同居人と暮らすアラフィフがビンボーと戦いながら、観劇したものなんかを感激しながら記録。

映画のリアリティ@サンセット大通り

ノーマ・デスモンド/濱田めぐみ 
ジョー・ギリス/柿澤勇人
マックス/鈴木綜馬 ベティ/夢咲ねね

ラ・マンチャの男」のときにも書きましたが、
サンセット大通り」も安蘭けいさんで上演されたときに
ああ、見に行かなきゃなあ
と思ったものです。

本当、これで食っているわけではないばかりか
生活資金をすり減らしてまでいるのに
この強迫観念はなんなんでしょう。

もはや、舞台も中毒性のものと一緒としか思えません。

とはいえ、安蘭けいさんで上演されたときには
資金不足で見に行けなかったのですが(涙)
再演をよけい「見に行かなきゃ」と思わせたのは
彩吹真央さんのコンサートがあったからです。

彩吹さんが「元男役としてどうしても歌ってみたい!」
とおっしゃって、ジョーが歌うメインソング「サンセット大通り」を歌われたんですよね。

さすが、最盛期のアンドリュー・ロイド=ウエバー作。
ミュージカルの大曲としての迫力が素晴らしく、
これが作品の中でどう使われているのか興味津々で見に行きました。

感想としては、申し訳ないけれども、
私は映画の方が好きだな…
でした。
濱田めぐみさんは、確かな演技力と歌唱力で
本当に素晴らしかったのですけれど、
映画のノーマは「本物のサイレントムービースター」なんです。
その辺が映画だからこそというかなんというか。
その時代だから撮れたもの、の醍醐味がずるいというか。

かつてスターだった時代で時間を止めたノーマ。
そんな時間が止まった屋敷に売れないシナリオライター、ジョーが迷い込む話です。
そこでジョーが見るもの、体験するもの、変化する意識。
スリルとドンデン返し。
見どころは山ほどある素晴らしいドラマです。

ノーマの狂気にも似た過去への執着と孤独。
そんなノーマの姿は哀れでもあり、滑稽でもあり、それを、映画はカメラワークでノーマの表情を大きく映し出すことで表現できたりするんです。
こればかりは、舞台では無理です。

とりわけ、最後、ノーマがカメラに取り囲まれながら屋敷の階段を降りてくるシーンが素晴らしいです。
余裕たっぷりでスター然としていて、
でも表情で、かつてのノーマではないことが分かるのです。

これを遠目の舞台で表現するとなると、
ああいう風に演出するしかないのかなあ、
とも思います。

映画には映画の舞台には舞台の得意分野って
あるんだなあと久々に思った作品でした。
ただ、例のメインテーマ曲「サンセット・ブルバード」は聞けて大満足!

そんなわけで、ミュージカルも楽しかったですが、映画も激しくオススメです。
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名作は名作なんだ、と実感させてくれます。

最後、キレイに化粧して、
堂々と優雅に階段を降りるノーマを
ぜひご覧ください。