数年前から、オタク仲間に勧められている演出家がいました。
それが、小林香さん。
絶対、私好みだから、と言われた演出家なので気にはなっていたのですが、大阪ではなかなか見るチャンスがなく(とりあえず、平日夜公演はせめて7時半始まりになりませんかねえ。東京と違って、皆、そんな帰れないところに住んでるわけじゃないんだし)、これがようやく初めての小林香演出でした。
ブエノスアイレスのある本屋に妙齢の独身女性が勤めていて、彼女の開く読書会に集う人たちのあれこれを歌とアルゼンチンタンゴで見せていくショー形式。
本で木のように積み上げられたセットと暗めだけど美しいライティングも素敵でした。
ポスターも素敵だったのがポイント高いです!
でもその中で一番素敵だったのは2010年タンゴ世界選手権にて日本人初のチャンピオンとなる快挙を成し遂げたCHIZUKOさん。
久々に本物のアルゼンチンタンゴを見ました!
実は私、アルゼンチンタンゴもかじった事があるのです
その時、片方の肩と肩を半分完全に密着させて、リーダーはフォロワーを抱くようにホールドする、そして、音楽に合わせて自由に足を動かせばいい、と言われたのですが、まず、ホールドが恥ずかしい!
そして、これが顕著に出ていたのが、主役の彩吹真央さんでした。まあ、元宝塚男役なので仕方ないのですが、とりわけ、本場の男性と組むシーンで、体と体の間に不自然な距離感があるんですよ。これは彩吹さんの抵抗感かな、とちょっと同情しました。
完全にリーダーに身体を預けて踊らなければならないのは、今までリーダー側だった方には難しいと思います。さらに宝塚の場合、フォロワー側も男役に負担をかけないように自立して踊るわけで、まさしくダンスの種類としては正反対のところにあるわけです。
歌はもちろん素晴らしかったので、石井一孝さんのように、ダンスを失くして、歌のみ、の方が受け取りやすかったかもしれません。
芝居ももちろん、よく似合った役で彩吹さんが、小林香さんのミューズだという意味がよくわかりました。
大月さゆさんのアルゼンチンタンゴはそこそこ形になっていたのを思っても、男役のほうが難しそうです。
これについては、ぜひ翌年見た「Algen Tango」についても書きたいなと思ってます。
それにしても、CHIZUKOさんの上半身が固定された上でのあの見事な足の動き。
スピード感と哀愁のコラボレーション。
もう素晴らしいの一言でした。
Claudio Villagraさんとのペアワークのなんとスムーズで官能的なこと!
夫婦の哀愁を見事に表現されていました。
https://www.youtube.com/watch?v=GQ13NmU5pQ0
ショーはこの夫婦の哀愁や、大月さゆちゃんの可愛い恋愛、そして、恋愛と遠ざかった彩吹さんとそんな彩吹さんを思う石井一孝さんの大人の感情を乗せていきます。
そして、妙齢の独身女性が、らしい、結末を迎えます。その辺りの描き方が、好みだなと思いました。
初めての小林香演出を見て、思ったのは、
この人、絶対、海外経験あるだろうな、
ということでした。
なぜなら、演出に挨拶のキス&ハグが普通にあるからです。他にも思ったところかあったのですが、思い出せないのが残念です。
で、調べてみたら、やっぱり留学経験あり。
確かに、好きまではいかなくとも、微妙なところで、感性が近いかなと思うところがありました。
ところで、西島千博さんも出演、振付されていたのですが、ダンス畑の方はやはり違いますね。
肌が触れ合うのが当たり前なので、アルゼンチンタンゴも見ごたえのある仕上がりでした。
とりわけ、最後、ショーの部分で男性同士で踊るアルゼンチンタンゴは迫力も色気も素晴らしかったです!
相手役のAndres Gonzalezさんが格好良くて!
あの人となら私もアルタン踊りたい、なんて下心が湧きました(笑)