こんなことを思ったり。ぼちぼちかんげき。

保護猫と同居人と暮らすアラフィフがビンボーと戦いながら、観劇したものなんかを感激しながら記録。

人はなぜアルタンに魅せられるのか@Algentango



多分、私がアルゼンチン・タンゴなるものを知ったのは、
純名りささんが退団されて、
某テレビ番組でアルゼンチン・タンゴに挑戦されているのを見たときだと思うんですよね。
ずいぶんと苦戦されていて、 さらに
レッスン相手から猛烈にアプローチされて、
すっごく困ってらっしゃったのが印象的でした。

この純名さんの苦戦を実感したのが、
東京の某社交ダンスサークル特別レッスンで、
私自身がアルゼンチン・タンゴのレッスンを受けたときでした。

先生のお名前は忘れたけれど、
世界大会で2位くらいになられた方で
はじめて目の前で見るアルゼンチン・タンゴは本当にステキでした。

しかし、いざレッスンがはじまると、色々な抵抗感との戦いがやってくるのです。
ステップが覚えきれないのに、
ステップの順とか気にせず、
音楽に合わせて自由に踊れ
とかで苦労するのは、
私のダンスセンスのなさのせい
です。
でも、ステップの練習のあと、いざ、ペアで踊るぜ、という段階で
リーダーの右肩に左肩をくっつけて!
おでことおでこをくっつけて!
ほほをよせあうように!

と言われましても、サークル仲間とはいえ、
それほど知らない人を目の前に
大和民族には結構な高いハードルです。

今さらながら、あの時の困り果てた純名さんの気持ちがちょっとわかりました。

そのあと、サルサにも手を出した私は、
サルサのイベントで、
何度かホンモノのアルゼンチン・タンゴを目にする機会を得るわけですが、
見るたび、ステキだなあと思います。
そして、これは、私にとっては「見るだけのもの」に認定しています。

けれど、踊れる人には魅力的なのでしょうか。
それともダンスをかじった人は一度やるとやりたくなるのでしょうか。
それともあの、なんともいえない魅惑的な音楽が、踊れる人を躍らせてしまうのでしょうか。
宝塚を卒業されて、アルゼンチン・タンゴにはまる方々をよく見る気がします。
古くは大浦みずきさん。
大浦さんのアルゼンチン・タンゴを見る機会を得られなかったのは今でも心残りです。
新しくは柚希礼音さんもアルゼンチン・タンゴに挑戦されていますね。

そして、この「Algentango」でも湖月わたるさん、水夏希さん、彩吹真央さんが出演なさっていました。
こちらは前の彩吹さんが出演されていた「ロコへのバラード」と違って、
完全なるアルゼンチン・タンゴショーです。
様々な曲に合わせて、いろんなシーンが描かれる、ショー好き、ダンス好きにはたまらない構成になっていました。
リーダーの男性はみんな本場のダンサーということで、こうなると、フォロワーの女性陣が気になります。

一番自然だったのはやはり原田薫さんでした。
色気もあって、ダンスも申し分なく、うっとりとシーンに酔うことができました。
そこへ行くと、湖月さん、彩吹さんあたりは、
自立して踊りすぎて
純名さんの苦悩が頭によみがえる感じ。
仕方ないよなあ、なんて(←上から目線)
思って見ていたのですが、
なんと水さんが良かったのです。

アルゼンチン・タンゴ専用のクラブみたいなシーンがあって、それぞれ登場して踊るのですが、
このシーンの水さんが、本当に「少し踊りに遊びに来たキレイなお姉さん」な雰囲気で
めっちゃめちゃ色っぽい!
何人かと踊るのもすごくさまになっていて驚きました。
だからこそ、男性に口説かれる、みたいなシーンも自然に見ることができたし、
「でも私、ちょっと踊りたかっただけで、ワンナイトスタンドはしないの」的な水さんのあしらい方が
めっちゃくちゃ格好いい!!

私のなかの
タカラジェンヌ=アルタン苦手
を完全に覆しました。

でもなんで水さんだけできたのか不思議でしょうがないです。
彩吹さんのコンサートのゲスト出演のとき、
未だに役でずっと女性の格好をしていると
無性に男っぽい恰好をしたくなる、とお話しされていたのに。

踊るスイッチの「差」がどこかにあるのかもしれません。
とりあえず、ぜひ、水さんにはアルゼンチン・タンゴを続けていただきです。
本当に「色っぽくて格好いいオトナの女性」だったので。
「ロコへのバラード」水さんバージョンで新しい物語りを見たいくらい。

ところで、私、真山葉瑠(ルンパ)さんのサルサレッスンを受けたことがあるのですが
ルンパさんがこうおっしゃってました。

宝塚時代、男役、さらにおっさん役ばっかりだったからこそ
女の部分を取り戻そうとラテンダンスをはじめられた
と。

確かにラテンダンスを習うと
男性は男性らしく
女性は女性らしく

と必ず言われます。
で、本当に女を強調する、いわゆる「セクシー」な動きを勉強させられるんですよね。

それをどこかで、ジェンダー論的に嫌だなあと感じていたのです。

でも、ルンパさんが
普段殆ど使っていない女性の部分をラテンダンスを習うことによって、少しだけ、使えるようになるのが目標
とおっしゃっていて、自分の中でやっと納得できました。
確かに、普段、女の部分なんて、会社で利用できるときくらいしか使ってない!←負け犬の真実。
(蛇足ですが、ルンパさんとサルサ躍らせていただきましたよー!めっちゃ緊張した!でもめっちゃ嬉しかった!イケメン先生と踊るときより嬉しかったかもしれない)

なので、元男役の方もラテンダンスを始められるのはいいんじゃないか、と思うのです。
でもそのはじまりはアルゼンチン・タンゴだとハードルが高い!
普通の社交ダンスのラテンか、サルサあたりから、フォロワーのダンスとはなんなのかというところを学ばれて、アルゼンチン・タンゴにいかれたらいいのになあと思います。

そして、ちゃんと学ばれた先輩方が、宝塚のショーや芝居に時々登場するアルゼンチン・タンゴもどきをなんとかしてくれることを心から望みます!

アルゼンチン・タンゴは見るには本当にステキな踊りです。
哀愁を含んだ音楽も魅力的です。
だからこそ、それが本当に効果的になるモノであってほしいのです。