こんなことを思ったり。ぼちぼちかんげき。

保護猫と同居人と暮らすアラフィフがビンボーと戦いながら、観劇したものなんかを感激しながら記録。

残り少ない日々に妖精の姿を思い出す@宝塚月組「PUCK」

龍真咲さん(まさお)の卒業がとうとうそこまで迫ってきましたね。
無事、ラストデイの生中継は見られることになったので、画面の向こうから最後の「トップスター」としての輝きを見てきたいと思います。

その前にせめて、もう一つくらい宝塚時代の作品を振り返られたら、ということで「PUCK」について思い出してみます。
初演、涼風真世さん(カナメちゃん)主演の「PUCK」も見ています。
好きな作品の一つでした。
何より、席と行った日が良かったんですよねえ
ラジオで当選したので、確か前から4列目センターブロック。
さらに、なんと、当時二番手の天海祐希さん(ユリちゃん)の誕生日だったため、バースデーアドリブ満載ですごく楽しかった思い出があります。

ところで、当時はそれが通常仕様だったので、あまり気づかなかったのですが、まだ霧矢大夢さんがトップスター時代に、この「PUCK」のエンディング曲「EVER GREEN」を月組で歌う、という取り組みがありました。
その時、あの3拍子揃ったトップスター霧矢さんでも、この歌に苦戦していらして、いかに、カナメちゃんが歌が上手かったか、を今更ながら実感します。
しかしながら、カナメちゃんは演技には長けてなかった。
見た目さえなんとかなれば、カナメちゃんより伝わるパックをまさおが作ってくれるんじゃないか、という期待の元、赴きました。

 

 



そして、その期待にきっちり応えるまさお、素晴らしいです。
音程やリズムだけ取るなら、カナメちゃんの方が上手いです。
でも、まさおの「ミッドサマーイブ」からは、ハーミアの髪の香りが指に残っているのを感じました。
切なくて、愛おしい、ステキなパックでした。
見た目もすごく工夫されて、とてもきれいでした

この作品はポスターも凝っていて、とても素敵でしたね


こういった作品は初演のキャストに当て書きされていることが殆どなので、そこをクリアしたきた、だけでも、まさおの実力が推し量れます。
相手役の愛希れいかさん(ちゃぴ)はそれこそ、4拍子(歌、ダンス、芝居、容姿)揃った娘役さんなので、ハーミアに何の心配もしていませんでした。
ピッタリの役柄だとすら思っていました。
事実、初演の麻乃佳世さん(よしこ)より、ちゃぴの方が3拍子(歌、ダンス、芝居)の部分では上手でした、本当に!
ただ、私がよしこを好きすぎた
私にとって、よしこは、理想の「美少女」でした。
そして、そのことを可愛いちゃぴがやることにより、改めて、よしこが「理想の美少女」であることに気づかされたのです。
ちゃぴには本当申し訳ない。
ただ、よしこ、本当に本当に可愛かったんですよ

当て書き、が一番可哀想だなあと思ったのが、ユリちゃんの役ボビーを演じた珠城りょうさん(たまきち)。
これもね、たまきちの方が演技も歌もうまいんですよ。それは本当なんですよ。
でも、でもね、等身大のユリちゃんまんまの役を「演じる」ってそりゃあ無理でしょう
あとはボビーが物語の後半でスターになる設定なので、その辺のアイドル性、スター性はユリちゃんの天然のものに演技で追いつくのは大変です。
そんななかで、たまきちは本当にずいぶん健闘したと思います。

逆に初演ヘレンの汐風幸さんが休演され、そのまま当時ド新人だった彩輝なおさんが演じたので、ヘレンだけ実力が劣っていたのですが、ここを沙央くらまさん(コマ)が演じたのは再演の醍醐味でした。ヘレンの悲哀も出て、物語に深みが増しました。

オベロンとタイテーニアは、もう安心の領域でしたね。
でも、初演当時、真織由季さんという、それこそ、フェアリー系の若手(新人公演でパックを演じた)スターが演じていて、それがとても良かったので、その辺、若手スターに冒険させても良かったのかなあと思います。
逆に星条海斗さん(マギー)にドラァグクイーン的にタイテーニアをやってもらっても面白かったのでは、と思います。

小池先生が脚本を書くと、必ず同じキャラクターになる敵役(笑)ダニーの美弥るりかさん(みやるり)も、演技派久世星佳さんが演じた役を良く演じて大健闘。
ビリヤードが下手なのは、初演も再演も一緒なのでご愛敬です(笑)

ところで、この作品で、私が最も大好きなところは、「グローイング・アップ」という、妖精の目から見た人間の時間の速さと成長過程を歌とダンスで一気に見せるシーンなのですが、音楽が変わってもこのシーンは秀逸でした。
完璧な「ミュージカル」です
ミュージカルは良い音楽とともにこういうシーンを作れるか、どうか、なのだと個人的には思うのです。

月組宝塚大劇場公演 ミュージカル『PUCK(パック)』/ショー・ファンタジー『CRYSTAL TAKARAZUKA ―イメージの結晶―』 [Blu-ray]
宝塚歌劇団,龍真咲,愛希れいか,星条海斗,沙央くらま
宝塚クリエイティブアーツ



それにしても、この作品はラストシーンの余韻がいいですねえ。
ちょっとだけ切なくて、でも可愛らしく、希望が見えて。
大人から子どもまで楽しめる、良い「宝塚歌劇」だと思うので、またの再演もぜひお待ちしています。