こんなことを思ったり。ぼちぼちかんげき。

保護猫と同居人と暮らすアラフィフがビンボーと戦いながら、観劇したものなんかを感激しながら記録。

舞台を目指すものの夢をつめて@第70回トニー賞授賞式

あれ、シンガポールの2日目は?と思った方がもしおられたら、すみません
書きます、書きますとも。
しかしながら、一応、観劇ブログなので、先にこちら、いかせてください。

ようやくですね、親友の計らいで「第70回トニー賞」を見ました。

感想は・・・
オープニングから泣きました

だって、司会者が「いつかここに来るのが夢だった、いつかあなたもこの世界の住人に」
なんてショー形式で歌い踊るわけですよ。
しかも、ミュージカルの名曲を色々つなぎ合わせてね。
もうここだけですんばらしいショーになっているわけなんですけれど、それ以上にかつての自分の夢、みたいなものを思い出しちゃったんです。

お恥ずかしながら、私はジュリー・テイモアみたいになるのが夢だったのです。
忘れもしないライオン・キングジュリー・テイモアが女性で初トニー賞の演出賞を獲ったときのこと。
私はまだ大学生でした。
いつの日か、できればそう遠くない未来に、ジュリー・テイモアのように演出賞を獲りたい、なんて、思っていたのですよ。
だから、その時の自分を思い出して、そして、今、ブロードウェイを夢見ている人々のことを思うとやられてしまいました。
さらに、今、トニー賞にノミネートされている人々もそうだったわけで、色んな思いが渦巻くオープニングに鷲掴みにされてしまったのです。
明るく、皮肉もいっぱいで、笑って楽しいオープニングなのに、感動もさせてしまう、ブロードウェイのショーづくりの巧みさが凄すぎます。

劇場はビーコンシアターだったのですが、個人的にはラジオシティミュージックホールよりビーコンシアターの回の方が毎回楽しんでいる気がします。
ビーコンシアターの方がセットの再現率が良い気がするんですよね。
真実のところは分かりませんが。

しかし、気になるところが一か所。
オープニングは割とメッセージ的なものが含まれる回があるのですが(印象深いのはニール・パトリック・ハリスが「ミュージカルはもうゲイだけのものじゃない。普通の人々も見に来てね」というメッセージを歌った回)、今回は、舞台の上では差別なんてない、舞台はダイバーシティーだというのがメッセージでした。
けれども残念ながら、「日本人の観客」と皮肉られていました。日本人の印象が観客から俳優に転換するのはまだまだ先のことのようです。

でもそれ以外は終始楽しいトニー賞でした。
もちろん、今回は前評判から「ハミルトン」旋風が吹いていましたし、実際に「ハミルトン」が圧勝。
けれども、第70回という区切りの年だったせいか、これまでのミュージカルへのオマージュも多く、いつもよりお祭り騒ぎな感じが映像からも感じられました。

何より、パフォーマンスをした各カンパニーが、劇場の外に出て、違うミュージカルの曲を歌ってくれるっていうの、たまらなかったです。
ああ、(4か月前の)ブロードウェイに飛んでいきたい!と心の底から思いました。
だって、中に入れなくても、今最も旬な舞台に出ている人たちの生の歌声が聞けるなんて、羨ましすぎます!
いつか、せめて、トニー賞開催中のブロードウェイにいって、その空気感だけでも味わいたい、と思わずにはいられなかったです。
個人的には「ハミルトン」のカンパニーが「RENT」の「NO DAY BUT TODAY」を歌ってくれたのが感動でしたね。ラップが本格的にナンバーに取り入れられた先駆けの作品の歌を彼らが歌うというのはとても印象的でした。

全体的に「ハミルトン」の脚本・主演・音楽を手掛けたリン=マヌエル・ミランダが大活躍だったのですが、司会者のジェームズ・コーデンとの「カープール・カラオケ」が傑作でした。
これ、ジェームズ・コーデンの番組での人気コーナーらしいですね。
まとめがあったのでどうぞ)
まあ、車の中でカラオケして熱唱するってだけのものなんですけど、はじめは「ハミルトン」の曲を2人で熱唱していたところ、後部座席に3人乗ってきて、「レ・ミゼラブル」の「ONE DAY MORE」を熱唱しちゃうのが、普通にミュージカルオタクのカラオケを見るようで(もちろんすっごい上手いんですけど)妙な親近感(笑)





後は11月に大統領選を迎えるということで、トランプ氏ネタが色々あったのですが、その中でも、「11月には2つのショーがはじまります」と案内されて、「The Book of Mormon」をもじった「The Book Of Moron」と「コーラスライン」をもじった「Clinton Line」が凄かったです。どう凄かったか、書くのは色々と問題がありそうなので、ぜひご覧になってください。すみません、私は爆笑してしまいました。
(そういや「The Book Of Mormon」も来日公演ないですね。来てほしい)

爆笑と言えば、トニー賞授賞式はテレビ放映されているので、テレビの視聴者向けにあんまり馴染みのない役者だって、意外とテレビに出ているんだよ、と紹介するシーン。
それが全部「Raw&Order」という番組だったんですよね。
きっとアメリカでは有名な番組なんでしょうね。
しかし、舞台役者ってアメリカでもやっぱり知名度、低いんですね。

もちろん「ハミルトン」のパフォーマンスは熱く、勢いがあって素晴らしかったです。
個人手にうおおもうそんなになるか、と思ったのが「春のめざめ」がリバイバルされているということ。つい最近トニーで見た気がしていたのに、もうリバイバルになるんですねえ。
手話を取り入れたパフォーマンスは、トニーを獲った年のものより洗練されていて、大変興味深く見ました。

「ハミルトン」の制作は「イン・ザ・ハイツ」とほぼ一緒なんですが、私は、振付はともかく個人的に「イン・ザ・ハイツ」のストーリーがダメだったんですね。だから、大好きなラテンダンスもあんまり楽しめなかったのですが、「On Your Feet」のパフォーマンスがラテンダンスの楽しさが溢れていてとても魅力的でした。
そして、「カラーパープル」のシンシア・エリヴォの歌声はやっぱり圧巻でしたね。
スタンディングオベイションも納得です。

あ、セットは「シーラヴズミー」が可愛いなあと思ってみていたら、セットデザイン賞を獲得して嬉しかったです。

そして、スタンディングオベイションといえば、バーブラ・ストライサンドでしょう。
もう、出てくるだけでスタンディングオベイションが起こる存在の凄さ。
彼女の声が想像よりも高くて可愛らしくてまた感激。

全体に
ああブロードウェイってやっぱりいいなあ
と思う第70回トニー賞授賞式でした。
キンキーブーツにいまいち乗り気じゃなかったのですが、俄然見に行きたい気持ちが高まりました。
久々の海外公演、楽しみたいと思います←チケットはまだ取っていない