こんなことを思ったり。ぼちぼちかんげき。

保護猫と同居人と暮らすアラフィフがビンボーと戦いながら、観劇したものなんかを感激しながら記録。

初心を思い出す@宝塚雪組「私立探偵ケイレブ・ハント」「Greatest HITS!」

ケイレブ・ハント作・演出 正塚晴彦
ケイレブ・ハント/早霧 せいな
イヴォンヌ/咲妃 みゆ
ジム・クリード/望海 風斗
カズノ・ハマー/彩風 咲奈
アデル/沙月 愛奈
ナイジェル/香綾 しずる
ホレイショー/彩凪 翔
ハリエット/ 星乃 あんり
マクシミリアン/月城 かなと
ライアン/永久輝 せあ
レイラ/星南 のぞみ

宝塚ファンなら、正塚先生好き派と苦手派に分かれると思うのですが、私はどちらかというと苦手派です。

とは言え、モチーフが暗いとか照明が暗いとか、地味とか、そういうことは気になりません。
単に正塚イズムの男性のロマンティシズム満載のストーリーとキャラクターが苦手なだけであって、メランコリック・ジゴロとかは好きだし、とても良くできたミュージカルだと思っています。
(まああんな当て書き作品がこんな再演されるとは当時思ってもいなかったけれど)

ということで、何の期待もなしに見にいきました
なぜ、見に行ったか。
それは、彩風咲奈が3番手になったからです!!さあ、ポスター行きましょう!

2番手さえはっきりしない組とかがあるなかで、トップコンビ、2番手、3番手がどどどーんと並んでるポスター、久しぶりです
そして、こんなことで喜んでしまうあたり、私はそこそこ宝塚ファンなのかもしれません

でも、内容も殺し屋とか復讐とか革命とか記憶喪失とかもない(←この辺で正塚先生の傾向がお分かりになるアナタも間違いなく宝塚ファンですw)、珍しく明るい正塚先生でした、ほっ!

内容はこんな感じです。
私立探偵ケイレブハントが仕事のために訪れた映画の撮影現場で、エキストラの女優・アデルが謎の死を遂げます。
なんとなく気にかかって、事務所に戻ると共同経営者のジムとカズノも、アデルが所属していた事務所について、謎を持っていることが判明。なんか、あやしい、となるわけですね。
連絡が途絶えたアデルを探しにきた両親の突然の死。荒らされたアデルの部屋。
犯罪の香りがプンプンです。
そのうえ、ケイレブの彼女がアデルが所属していたプロダクションの社長と仕事をすることになってしまって、ケイレブはアデルの死の真相に迫っていかざるを得なくなります。


というような、2時間サスペンスの世界です(笑)
色々突っ込みどころはいっぱいあるんですけど、それも2時間サスペンスだと思えば、楽しめます!

私は完璧に2時間サスペンスモードで見ていたのですが、途中でナイジェルという人が出てきて、ケイレブが戦争で一緒だったんだ、とか話し出すので、ここで来たかー、正塚イズム、と笑いを堪えるのに必死でした
油断してると正塚イズムも入ってきますので、用心してご覧ください(笑)
でも、正塚先生が大好きな戦友は、今までだと高い確率で主人公とラブラブな男の友情を築きあげ、完全トップ娘役を無視しがちなのですが、今回はそれはなく、たっぷりとトップコンビがラブラブしているのを楽しめます。
だから、これはこれでいいと思うのです。

ただ、早霧せいなという役者は不思議な人でして、変な役はすごい魅せてくるのに、こういう普通の2枚目みたいな役はなんか物足りないのですよね。
今回、割と笑いの部分を2番手のだいもん(望海 風斗)が担ってたのですが、あまりコメディの間合いは得意に見えなかったので、いっそそれをちぎ(早霧せいな)にやらして、ルパンみたいなシリアスとコメディを使い分けるような役だと面白かったのになーと思いました。
トップ娘役の咲妃みゆちゃんは芝居も歌も上手いのですが、正塚芝居ではその地味さがスタイリスト、という職業をフリーランスでやっている女性に見えなかったのも残念でした。
まあでもこれは咲妃みゆちゃんのせいではないのです。正塚芝居の娘役は、演技とかぶっとんでていいから、バーンと主張するタイプの娘役じゃないと目立てないのです。
そういう意味で、だいもんの彼女役者だったレイラを演じた星南のぞみちゃんのが合っていました。

あ、お目当のさきちゃん(彩風咲奈)は可愛くて堪能いたしましたそれでいいのです。
これは正しい宝塚歌劇の楽しみ方のはずです!

今回、私の後ろの席に、修学旅行の自由行動で観劇しにきたっぽい女子高校生たちが座っていたのですが、彼女たちが本当にきゃあきゃあと楽しそうに興奮してみていて、本当に微笑ましかったのですよ!
やばい、だいもん、イケメン!
とか
さっき、こっち見たよね!
とか、
2階席の後ろの方でオペラグラス越しに見ているわけですから、ありえないのですけれど、
ああ、私も彼女たちと同じくらいの年の頃は、オペラグラス越しに目があった、とか思ってきゅんきゅんしながら見てたなー、
とその時の自分がとても懐かしくなりました。

正直、ちぎは「ロジェ」

宝塚雪組公演2010年 ロジェ ロックオン 宝塚大劇場パンフレット 水夏希 音月桂 早霧せいな
宝塚歌劇団
宝塚歌劇団

のときの、天使の顔した悪魔の殺し屋役がすっごく素敵だったので、ちぎが血も涙もない殺し屋で、みゆちゃんがそれでも彼を純粋に慕うお嬢さまの方が2人にはしっくりきたかなーとか思うのですけれど、彼女たちが「めっちゃ楽しかった!」と仰っていたので、もうこれでいいのです、きっと

ショーは稲葉大地先生作ですが、緞帳があがったとたん、「GREATEST HITS!」という文字が七色に輝いていて、彼女たちが「めっちゃキレイ」と盛り上がっておられたので、それでいいのです!
色使いはとてもきれいでしたし、さきちゃんはショーでもちゃんと3番手、として扱われておりましたので、私も大変満足いたしました。
それに、時期がそろそろクリスマスのCMが入る頃に差し掛かっていたので、中詰めのクリスマスシーンはそれほど違和感も感じませんでした。
むしろ、セットに雪があしらわれていて、雪組が雪の季節のショーをやっている感じを好ましく見ました。
ちぎのサンタはめっちゃくちゃ上手かったし。しかし、繰り返すようですけど、この人こういう色物、本当に上手いですよねえ。
ただ、どちらかというと、この中詰めシーンの盛り上がりに欠けることの方が気になりました。
中詰めを有無を言わせず盛り上げる、が稲葉先生の一番のネックで課題だなあと思います。
でも、全体としてはとてもきれいで、印象に残るシーンも多いし、楽しいショーでした。
後ろの女子高校生たちの興奮っぷりがそれを証明していました!

本当、いい席で見たなーと。
こういう気持ちで宝塚を見る、それが一番大事なんだな、と彼女たちから学んだ観劇でした。
本当にありがとう