こんなことを思ったり。ぼちぼちかんげき。

保護猫と同居人と暮らすアラフィフがビンボーと戦いながら、観劇したものなんかを感激しながら記録。

女の味方のミュージカル@キューティー・ブロンド

4月29日 13:00~ メルパルクホール大阪

エル 神田沙也加
エメット 佐藤隆紀
ワーナー 植原卓也
ポーレット 樹里咲穂

ヴィヴィアン 新田恵海
ブルック 木村花代
キャラハン 長谷川初範

セリーナ 中村百花
マーゴ 真瀬はるか
ピラー ダンドイ舞莉花
イーニッド 武者真由

翻訳/訳詞/演出 上田一豪

2001年に大ヒットしたコメディ映画「キューティー・ブロンド」が2007年にミュージカル化。

それの念願の日本版の上演ということで、いそいそと出かけていきました。

ストーリーはこんな感じです。
主人公エル・ウッズは容姿にも家族(ビバリーヒルズの豪邸住まい)にも恵まれ、ポジティブで明るい女のコ。
大学ではファッション・マーチャンダイジングを専攻して成績も優秀。
そして、社交クラブ「デルタ・ヌー」の会長も務める人気者。
婚約者のワーナーからのプロポーズを今かを待っていたら、政治家を目指すワーナーから、その妻にふさわしくないという理由で振られてしまう。
諦めきれないエルは、ハーバード大学ロースクールに入学したワーナーを追って、猛勉強して同じロースクールに見事入学。
でも、ワーナーとよりを戻すことだけが目的だったエルはその見た目と言動でロースクールで浮きまくり。
そして、ワーナーにはすでに黒髪で成績優秀なヴィヴィアンという新しい彼女ができていることが判明。
いくらハーバード大学ロースクールに入っても、このままでは「オツムの軽い金髪女」としか見られない、ということに気づいたエルは、ロースクールの先輩エメットの助けを借りて、再び猛勉強に励み、無事キャラハン教授のインターンに、ワーナー、ヴィヴィアンとともに選ばれる。
キャラハン教授は、ダイエットのカリスマとして活躍するブルックの夫殺害事件のブルック側の弁護を担当。エメットはその共同弁護士となりエルたちインターン生の世話係をすることになる。
ブルックは夫殺害を全面否定しているが、そのアリバイを絶対に明かさない。
そんなブルックに手を焼くエメットたちだが、エルはブルックが「デルタ・ヌー」の先輩であることに気づき、絶対秘密という条件つきでブルックのアリバイを聞き出すことに成功。けれど、絶対秘密なだけに他にメンバーにも言えないエルは、アリバイ以外の方法でブルックを弁護することを主張。
そして、1つずつそれをクリアしていくが・・・。


私はこのとき書いたように、2008年にニューヨークの友人からビデオをもらって、当時MTVで放映されたブロードウェイ版を見ています。
そして、そのビデオを送ってあげるという連絡があってから、内容がわかるようにとはじめて映画をDVDで見たような記憶があります。
キューティ・ブロンド〈特別編〉 [DVD]
リーズ・ウィザースプーン,ルーク・ウィルソン,セルマ・ブレア,マシュー・デイヴィス
20世紀 フォックス ホーム エンターテイメント


だもんで、ブロードウェイ版の映像を見た感想は、
スピーディーで恰好良くて、すごくショーアップされていてめっちゃめちゃ素晴らしいミュージカルだ、だけど、エルが可愛くない
でした。
ビッグ・フィッシュ」の感想にも書いたんですが、大きな舞台で可愛く見せるのも技術であって、劇場で見ればブロードウェイ版でエルを演じたローラ・ベル・バンディも絶対可愛かったはずなんですよ。これでトニー賞主演女優賞獲ってますしね。
画面で見ちゃったのが問題だっただけなんです。
でも、この作品において、エルが「可愛い容姿」をしていることはブロンドであることと同じくらい重要な「記号」だと思うんですよね。
だから、日本版を作ることがあったら、ぜひ神田沙也加ちゃんで、と望んでいました。
いやー、まさか、9年たって、それが現実化するなんて!願ってみるもんですね
この映画も大人気で女性賛歌の素晴らしいミュージカルが、観劇人口の多くが女性である日本で、商業的日本版が10年も制作されなかったのは、私と同じく、これを日本でやるなら、神田沙也加ちゃんで、と思って待っていたんじゃないか、とかまで思ってしまいますね(笑)
神田沙也加ちゃん、ミュージカル界では存在感を示していましたが、一般的な知名度がアップしたのはアナ雪だと思います。
(さらにたまたま今、結婚報道で毎日お顔を拝見しますねおめでとうございます!)
おかげで、堂々の主演が今成り立ったのではないかと。

ということで、念願の日本版「キューティー・ブロンド」最高でした!
いい感じに映像で見たものはぼんやりしていたので、改めてこんな話だったのか、と。
エルみたいに記号的に可愛い女性でなくても、女ということで差別されることはあるんですよね。
私の場合、就職活動がそれでした。就職超氷河期のシュウカツ最前線は公にしていなくても「男性のみしか受け付けていない」という企業がたくさんありました。
だから、いわゆる「男社会」で働いている女性なんかは、エルのような経験をされた方はいるんじゃないでしょうか。
そのエルの屈辱をね、まさか彼女が助けてくれるなんて展開、もう目から汁ですよ!
これ、映画では違うようなので、ミュージカル版の脚本のいいところかもしれません。
逆に、法廷でブルックの愛人だと名乗る男性が登場して、彼をゲイかもと疑うくだりは映画版の方が良かったです。
(私がこちらで書いてる理由は映画版のものでした。ミュージカル版が違っていたなんて←私の英語力が丸わかりですね
でも、屈辱と哀しみから復活したエルと女性たちの活躍、そして、あのプロポーズ、全てが完璧でした!
もちろん、音楽は全体に現代的で格好良くて、ジャマイカからアイルランド、そして、ザッツ・ミュージカル調までバリエーションに富んでいて、ダンスシーンもチアリーディング、ヒップホップからリバーダンスのバリエーションまで、ショーアップされていて、すっごく楽しいです!これが今日で最後だなんて本当に残念。
もっともっと、たくさんの女性に見てほしいです。スカッとしてパワーをもらえる素晴らしい作品です。
再演を願って、ネタバレなしの方向で書いています。

そして、再演していただけるなら、大阪ではもうメルパルクホールはやめてください。
というのも、古いだけあって横に長く見やすいホールではあったのですが、その分音響がいまいちで。
セリフも聞き取りにくいし、現代的でスピーディーな音楽なので歌詞が壊滅的に聴き取れなくて、日本語版を見ている意味がないです。
まあ、ブロードウェイと比べると予算も限られているだろうし、セットがチープだったのは仕方ないし、チープながらも最大限に努力されていたと思います。
ダンスシーンがブロードウェイ版に比べてパワーダウンしていたのは残念ですが、それも無理矢理できないのにやるよりは今回くらいに抑えて全体のクオリティを保ったのは英断だと思っています。
訳詞はもう一工夫欲しかったかな。
スピーディーな音楽だけに日本語つけるのすっごく難しいんですけれど、音響が悪くてももう少し聞き取りやすい言葉になっていたらありがたかったのと、エルたちのセクシーポーズ「Bend and Snap」の日本語訳も私はあんまり好きではありませんでした。
エルは上流階級の娘だし、そもそも英語ですら、コーラスラインの「Dance Ten Looks Three」の中の歌詞「Tits and Ass」ほどあからさまじゃないのに、日本語であんな風な言葉にするのは、私は苦手でした。
でも、言語で「リガリー・ブロンド」と歌っているところを、曲に合わせて「キューティー・ブロンド」と「リガリー・ブロンド」に使い分けていたのはさすがだと思いました。これ、日本ならではできることなので、いいですよね。

で、エルの神田沙也加ちゃんなんですが、本当に可愛かったです
嬉しかったのは、髪をブリーチしてきれいなプラチナブロンドにしてくれたこと。
鬘ではできないナチュラルな動きと、そこまでしてくれた神田沙也加の意識の高さに感動
しかも、結婚報道のおかけで金髪のままの姿でテレビに映っていますが、普通に似合っているすごさ。

私がはじめて、神田沙也加を見たのが、2007年の「ウーマン・イン・ホワイト」でした。惚れました。
さらに2010年の「ファンタスティックス」では、mixi日記にこんなミーハー感想を残していました。
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初めての田代万里生くんは、なんていうか、特にこれといった印象は残らず^^;最後の最後の方の声楽っぽい歌は良かったけれど、それ以外はスムーズな声すぎて、また、相手役の神田沙也加が上手くないんだけど、ものすごく空気を貫くタイプの声質なのでかき消されてしまって、歌の人なのに歌で見せられなかったのは残念だった。その他リズムのある曲はリズムに埋もれてしまった感じ。

一方の神田沙也加。可愛いです
こういう役は、顔が可愛くて動きが可愛い、それが一番大切なんです(笑)
そして、こういう「とりあえず何もなくても可愛くなきゃダメ」な役を出来る若手ミュージカル役者は限られているので、その存在が貴重です。
後は、歌唱力自体はおぼつかないのだけど、やはり彼女の声質はものすごく透るので、これはミュージカルやる上で最大の強み。勿体ないので、一層歌唱力を磨いて欲しい。若いし下手じゃないから、まだまだ伸びる、はず。
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あれから7年たって、神田沙也加は確実にスキルアップしてきていました。歌もダンスも遜色なしです。
その上で、あの天性の動きの可愛らしさ、です。
カーテンコールでさえ、片足あげるポーズの完璧さ、そして、投げキッスの完璧さを見せてくれました。
本当に素晴らしいです。

他のキャストもみんなうまいし良かっただけに、ちょっとエメットが惜しかったかな?
いや、演技とか歌とかじゃないんです、見た目だけねすみません
せっかくエメット変身シーンがあるのに、いいスーツ着てもあんまり代わり映えしないのがちょっぴり残念だっただけです。

ところで、9年越しに念願叶ったということで、言霊を信じてもう一つ、私が彼女とソニンで見たい演目があるので、書いておきます。
WICKED
ウィキッド オリジナル・ブロードウェイ・キャスト
ユニバーサル ミュージック クラシック
ユニバーサル ミュージック クラシック

現在、劇団四季さまが日本での版権を持っておられるので「キューティー・ブロンド」よりずっとハードルは高いんですが、
ソニンのエルファバ、神田沙也加のグリンダでどうしても見たいのです。
せめて、ガラコンサートとかで、二人共演して「Popular」と「For Good」だけ聞かせてくれる、とかできないですかね、東宝さん。