こんなことを思ったり。ぼちぼちかんげき。

保護猫と同居人と暮らすアラフィフがビンボーと戦いながら、観劇したものなんかを感激しながら記録。

ショーもアメリカ・ファースト@トニー賞2017の感想

友人が録画してくれた今年のトニー賞をやっとゆっくり鑑賞。
今年はラジオシティミュージックホールに戻ったのだけど、やっぱりビーコンシアターの方が楽しかったな、という印象でした(涙)

というのもここ数年、ずっと盛り上げてくれたオープニングのショーがね。
いえ、司会のケビン・スペイシーのせいではありません(オープニングショーがケビン・スペイシーが自分が司会で視聴率が取れるのだろうか、という内容だったので)
完全に演出の問題だと思うのです。
今回のオープニングショーは全部、ノミネートされたミュージカル作品の曲を替え歌にしていたんですよね。
ということは、現地の人でないと元ネタが分からないんですよ(涙)
現地じゃない視聴者はアウェイ感ハンパなかったです。悲しい。
アウェイ感でもパーッと盛り上がったらいいんですけど、そういう盛り上がりもなく、大丈夫、ブロードウェイ?な気持ちが高まってしまいました。
去年までとは明らかに違う。

オープニングも最後はブロードウェイらしい燕尾服のダンス、途中にニューヨーク・ニューヨークでロケットのダンスもあるんですけど、これもどちらもイマイチだったのが、余計、大丈夫?感を煽りました。
来年はアメリカ・ファーストでもいいから、パーッと盛り上がるオープニング、さっすがショー作りについては一流だなと思わせてくれるオープニングに戻してくれることを切に切に願います。

その中で今回の演出で唯一良かったなと思ったのが、ノミネート演劇作品の紹介。
各劇作家が舞台写真とともに作品を自分の言葉で紹介する内容。
ワンシーンを上演したりできるミュージカル作品に比べて、どうしても演劇作品は印象に残りにくいので、これはいい演出でした!
しかも、普段は表舞台に立たない劇作家たちが語るというのも、舞台は俳優だけで出来上がっているのじゃない、というトニー賞の側面が見えたのが一時期裏方していた私には感動的でした。

そうそう、演劇主演女優賞はシンシア・ニクソン(大ヒットドラマSEX&THE CITYのミランダ役)が獲ったのですが、スピーチがステキでした!
普通のスピーチなんですけれど、「私の妻」とパートナーに感謝を示したのがいいなあと。男性バージョンは毎年受賞者の2人くらいは見るんですけれど、女性バージョンはなかなか聞くことない気がするんです。

スピーチと言えば、ミュージカル主演男優賞を獲得したDear Evan Hansenのベン・プラットが初々しく、時間がないから、と早口で嬉しげにまくしたてたのに対して、ミュージカル主演女優賞獲得のベッド・ミドラーが余裕たっぷりジョークも交え、さらに時間がきても気にせず言いたいことを最後まで言っちゃったのが、さすがというかなんというか笑

それにしても圧勝だったDear Evan Hansenのパフォーマンスは良かったです!

(画像は公式サイトhttp://dearevanhansen.comより)



SNSで溢れ流れていく今の世界が、バッと舞台に上げられるあのセットと人の使い方、さすがはマイケル・グライフです。
「今」を演出する才能というのが彼にはあるのかもしれませんね。
ものすごく見たくなったし、そして、これがすぐに過去になる前に、早々日本語版も作られるといいなあと思っています。
若い人たちが「自分の物語」と思える作品になりそうな気がするんです。
作詞・作曲は「ラ・ラ・ランド」の2人なので、音楽もいい!(楽曲賞を獲得した2人のスピーチも良かったですねえマイケル・グライフは新しい才能の使い方が上手いわ、やっぱり)

パフォーマンスはエヴァ・ノブルザダの「ミス・サイゴン」が圧巻。あの役で迫力はそのままに柔らかな歌声が素晴らしかったです!
そして、やっぱりパティ・ルポンとクリスティ・エバソールのface to face(ウォーペイントより)も見応えというか、聞き応えありました。

ところで、前アメリカ副大統領夫人ジル・バイデンという人はどういう方なんでしょうか。彼女が登場するだけでスタンディングオベイションが起きてまして、この辺もカルチャーギャップを感じたのでした。