こんなことを思ったり。ぼちぼちかんげき。

保護猫と同居人と暮らすアラフィフがビンボーと戦いながら、観劇したものなんかを感激しながら記録。

あの日の記憶@アミューズ×PEOPLE PURPLE「ORANGE」

神戸の震災から今日で23年になりますね。
今やすっかり人気脚本家になった宇田学くん
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出世作、神戸の震災と消防士を描いた「ORANGE」の思い出をアップします。
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2011年2月末、アミューズ×PEOPLE PURPLEの「ORANGE」を見に行ってきました。
PEOPLE PURPLEとは友人・袋小路 林檎が所属していた神戸ベースの小劇場劇団。
ここの脚本・演出家宇田学くんがなかなか才能のある方で、「神戸の震災」をテーマにした劇団の代表作「ORANGE」は評価も高く、劇団の枠を飛び出すかも、という話は数年前から聞いていました。
それがようやく一つの形で実現。
芸能プロダクションのアミューズとタッグを組んで、渋谷のPARCO劇場で約1週間の公演を打つことになったのです。
大泉洋が所属するユニットTEAM NACSの一員・音尾琢真さんを主演に据えての公演ってことで、母体が大きくなればこんな風になるのか、と始まる前から驚きの連続。
各種演劇系雑誌には、音尾さんと宇田くんの対談やらがカラーページ見開きでドーン!
福山雅治のラジオ番組にも音尾さんと同じく出演するアミューズ田島ゆみかちゃんが番宣で登場!

ということで、これは私も友人として見に行かねばならない、と決意。
ところで、私はこの「ORANGE」を見るのはこれが二回目です。
いや、私、宇田くんは実に才能があるというのにはなんの疑問もないのですが、作風がどうしても私とは合わないのです、すみません。
袋小路林檎はそんなことも承知なので、1部は素晴らしいけれど2部がどうにかならんか、という感想を前回突きつけたところ、初演では2部のメインでもある若き消防士・山倉という役を、割りに地味な風貌なコがやっていて、その時は2部も結構評判が良かったのだとのことでした。
(因みに1回目に私が見た時は濱谷くんという劇団きってのイケメンが演じておりました。ジャニーズJrに受かったのに蹴った、という正当派イケメン)

ということを念頭において見た、今回の「ORANGE」。
ちなみに1部は、神戸の震災を体験した消防隊員が若手に当時のことを語る内容、2部は若手消防隊員の山倉が特別救助隊隊員を目指すという物語です。

今回の山倉役は、アミューズの若手イケメン林剛史くん。実際に神戸で被災した経験があるとのこと。しかしながら、見た目の感じも演技も濱谷くんと同じイメージ。
なので、2部の感想は変わらず、これ1部だけでやったらもっといいのにな、と改めて思いました。

山倉役は濱谷くんといい林くんというイケメン自覚のある人がやると、とても自信満々でちょっと鼻が高くなっているイメージに見えて、だからこそその後の無茶な行動がとても浅はかに思えてしまうのです。
けれど、これが地味なイメージの人がやったらどうだろうと考えてみたら、良いんじゃないか、と思えたのが、今回の発見。
しっかり者で出来る姉の元で育ってきたから、なんとなく自分に自信がなくて、でも憧れと目標のために毎日一生懸命頑張っている男の子。
似合いの彼女がやっと出来て、ようやく人生に晴れマークが見えてきて、それを必死に掴もうと一生懸命生きている人だったら、まっしぐらにそういう行動を取ることが、それなりに切なく響くのじゃないかと思ったのでした。
イケメンも善し悪しw

逆にピーパーで見たときより良かったのが、その山倉の彼女役・折笠富美子さん。声優さんもやられているだけあって、声もとても可愛い。その可愛いアニメ声がよりこの女のコをリアルでなくしていて、だから割りに受け入れやすかったのです。
だから、よけいに山倉役のイメージが変わったら良かったなあ、と思ってしまいました。

でも、そんな2部は置いておいても、1部は間違いなく素晴らしい力のある舞台。
その1部の震災シーンで、主役の隊員が倒壊した家に閉じ込められたおばちゃんと話すところがあります。そのシーンのセリフで隊員がおばちゃんに時刻を告げます。16時と。
あの日、1995年1月17日の16時。
私が高校から帰宅して、あまりのことに散乱した部屋を片付ける気力もなく、こたつに入って呆然とテレビの画面を、信じられないくらい広がっていく炎の波を眺めていたあの時間。
被災地ではこんなことになっていたのか、と知らされて改めて、うっ、ときました。

そんな芝居を見た数日後にクライストチャーチの震災のニュースが飛び込んできた。
世界各国、どこでも災害は起きうるものだとは分かってはいても、動揺。
悲劇の数が少しでも少なくあるよう、祈るのみ。
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と書いていた3週間後には、東北の大震災が起こったのでした。
けれど今日はやはり、神戸の震災に祈りを捧げたいと思います。