こんなことを思ったり。ぼちぼちかんげき。

保護猫と同居人と暮らすアラフィフがビンボーと戦いながら、観劇したものなんかを感激しながら記録。

ブロードウェイショーを求めて@グランドホテル初放映に思うこと

月組宝塚大劇場公演 ザ・ミュージカル 『グランドホテル』/モン・パリ誕生90周年 レヴューロマン 『カルーセル輪舞曲』 [Blu-ray]
宝塚歌劇団,珠城りょう,愛希れいか,美弥るりか,憧花ゆりの
宝塚クリエイティブアーツ

が本日、スカイステージで初回放映されますね。
ブロードウェイの実力をドドーンと知らしめたこの作品を思いだすと、ふと昔見た「Dream Trail」
風花舞さんを思い出しました。

ほぼシンガーまたはショースタータイプのスターさんがひしめく中で、風花舞さんは唯一の「Dream Trail」のダンサースターでした。
もちろん、ダンサーとして格好良かったのは大真みらんさん。
もう宝塚の雰囲気も全然なくて、一人だけ明らかに「プロダンサー」の雰囲気。
踊りそのものがどれも余裕があって、力が抜けていて、普通にダンサーのお姉さんを見るかのような格好良さ。
彼女が安室ちゃんの後ろで踊ってても全然違和感ないし、寧ろ踊ってもらいたいくらいです。
でもOGとは言え「宝塚歌劇」のショーを見に行く気持ちだったから、それにはやっぱり風花舞さんがステキでした。
古い宝塚の舞台に絶対必要だった、品。
上品で可愛らしい雰囲気を保ちつつ、ダンスは格好良い。
2部は特に下級生のダンサー陣を率いて風花舞さんが踊る、踊る、踊る!踊りまくる!
真ん中の華やかさ。そして、品。
さらに、NY公演でリンダ・ヘイバーマン振り付けも経験し、グランドホテルでトミー・チューンの振り付けも受けた彼女ならではの、ブロードウェイの香り。フォッシー的ダンスでは、群を抜いて風花舞さんが一番雰囲気がありました。

その時しみじみ感じたのは、私が宝塚の舞台に求めていたものは「外国の香り」だったということ。
(あとは歌舞伎では味わえないすらっと華奢で儚げな日本物の美しさ)
その「外国の香り」の中でも、私はやっぱりブロードウェイ的なもの、MGMミュージカル映画的なものを宝塚に求めていて、そういうことを感じられる舞台が好きだったのです。
そして、昔の宝塚はそういうことを提供してくれていました。
本場ブロードウェイからの振付家や演出家がやってきて、香りのカケラを運んでくれました。
さらに当時の演出家の先生たちもMGMミュージカル黄金時代や本物のパリのレビューに憧れて宝塚へやってきた方々だったから、自然、そういう作品作りになったのでしょう。

ハイスクール・ミュージカル」の監督&振付家ダニー・オルテガもきっと、そういうショービジネスがベースにある人。だから、あんなに私にとって魅力的なダンス&ソングシーンとショーを作るのだと思います。
High School Musical 3 - Last Chance (Lyrics) 1080pHD

High School Musical 3 - Now or Never (Reprise) Lyrics 1080pHD

このプロローグからオープニングの流れは最高に格好いい!そして、このプロローグ、宝塚でもやってほしいとずっと願っています。
銀橋に横たわりながらトップスターが歌い出して、バッて幕があがったら、ミラーボールがまわってキラキラ衣装のみんながいて、明るく楽しくノリよく歌い踊るとか妄想するだけで楽しい♪

ただ、今の宝塚ファンが「ブロードウェイ的」なものを欲していないということを再び宝塚を見だしてから、少しずつ理解しました。
そして今、東京で上演中の「BADDY」の成功を思うと、「ブロードウェイショー」はもはや誰も必要としていないコンテンツなのかなのかもしれません。

というより「ショー」自体がもう必要とされなくなってきつつあるのは確実です。
レビューやショーの専門だった劇団は衰退し、今大きく残っているのは宝塚歌劇団だけ。
流行っている「グレイテスト・ショーマン」を逆行するようにサーカスが「パフォーマンス・ショー」として進化をし、人を魅了しています。
そしてダンスショーは「バーン・ザ・フロア」のようなダンスのみのもの、歌はガラコンサートで楽しむというように細分化されている気がしています。

そう思うと歌と踊りが一体となった「ブロードウェイショー」はもうトニー賞のオープニングくらいでしか見ることができないのでしょうね。

でも「グランドホテル」はじめ、ブライアント先生のダンスとか、ショービジネスのトップスキルを生徒さんたちが知り、それに挑戦することは決して悪くないはず。
だから、ぜひタイス・ディオリオにぜひ宝塚ショーの振り付けを!
25 Travis and Martha's Broadway (Part 1 The performance) Se2Eo6

ちなみにこれがタイス・ディオリオの振付の一つで、これはご本人もおっしゃっているようにとても「クラシック」です。
でもジャズやコンテンポラリーも、アートじゃなくてエンターテインメントとして本当に素晴らしい振付をしてくれるので、ぜひ彼のショーを宝塚で見てみたいのです。

さらに「グレイテスト・ショーマン」がヒットしていることを考えると、今必要なのは新しい音楽。
新しいショー音楽を生み出す才能を見つけだして、新しい振付で、新しいブロードウェイ的なショーを宝塚が産み出してくれたら、「BADDY」とは違う方向のショーの可能性が広がらないでしょうか。

これから何でもAIに取って代わられる世の中になるといいます。
そのうち「ストーリー」はロジカルだからAIが作る、と明言されていた劇作家もいらっしゃいました。
現に宝塚のショーもロジカルなものが発表され、観客に受けています。
そこにロジカルじゃないショーを作るのは難しいかもしれないし、出来たとしても受けないかもしれない。
でもそれでも私は、舞台に立つ個々の人々が、理論じゃなくてパフォーマンスで魅せてくれるものが見たい、そのパフォーマンスに思考を飛び越えて興奮したい、そう思っています。