こんなことを思ったり。ぼちぼちかんげき。

保護猫と同居人と暮らすアラフィフがビンボーと戦いながら、観劇したものなんかを感激しながら記録。

2019かんげき振り返り

さて今年もこの時期がやってきてまいりました。

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(↑なんとなくオープニングイメージ画像笑)

毎年ここに書き出すとかかった費用がぼんやり見えてくるので、ちょっと…な気分になるのですが、記録して振り返っておきます。

★12月

新作歌舞伎「風の谷のナウシカ」昼の部、夜の部

★10月

A New Musical「FACTORY GIRLS~私が描く物語~」×2

来日公演「ボディーガード」

劇団☆新幹線「いのうえ歌舞伎《亞》けむりの軍団」

★8月

杜けあき40周年記念コンサート

★7月

柚希礼音ワンマンショー「LEMONADE」

日本版「ピピン

KERA MAP「キネマと恋人」

★6月

宝塚雪組壬生義士伝」「Music Revolution」

シアターコクーン・オンレパートリー「ハムレット

吉崎憲治&岡田敬二「ロマンチックコンサート」

★5月

日本版「キンキーブーツ」再演

 ★4月

宝塚月組夢現無双」「クルンテープ

★3月

キューティー・ブロンド 再演

宝塚花組「CASANOVA」

★2月

ベルサイユのばら45 ×2回

 

合計16本・・・しかもベルばら45とFACTORY GIRLSは2回行き、ナウシカは1本に見えつつ、実質2本分。

そして合間に花詩歌タカラヅカも追いかけ、NT Liveやら、ゲキシネドクロ6本制覇やらやっていたおかげで、完全に予算オーバーしております。

来年もうちょっと引き締めます、はい。

 

とりあえず今年の個人的な各賞。

★作品賞

A New Musical「FACTORY GIRLS~私が描く物語~」

今年、最もわたしを勉強させた作品。

ブログも1番いろいろ調べて書きました。

stok0101.hatenablog.com

 作品賞を「ナウシカ歌舞伎」じゃなくこちらを選んだのは、日本では「まだ誰も知らない作品」だったこと。そしてアメリカでも「ほとんど知られていない作品」でした。

そしてそういう作品を日本で新作として作る、という新たな日本発ミュージカルの可能性を広げたというところもかっています。

でも何よりこの作品が持っているメッセージ性が好きでした。

おかしいと感じることを声に出しておかしいと言い、そのために暴力ではなく、紙とペンと友情で闘うこと、の意味を考えさせてくれる作品でした。

 

★演出賞

新作歌舞伎「風の谷のナウシカ

これ以外ないでしょう!

あのマンガ全7巻を歌舞伎にしたんですよ!

stok0101.hatenablog.com

みごとな歌舞伎とナウシカの融合。

イヤホンガイドのおかげで、どうしてそういう演出にしたのか、歌舞伎の持つ意味合いも一つ一つ知れて、本当すごい、しか言葉がありませんでした。

その上であんなに美しい世界を、カッコいい登場人物たちを息づかせたのが素晴らしいです。

 

脚本賞

KERA MAP「キネマと恋人」

ナウシカ歌舞伎と比較すると面白いのですが、こちらは映画原作を舞台化してるんですよね。

stok0101.hatenablog.com

長さ的に当たり前なんですけれど、ナウシカ歌舞伎はあの原作マンガのどこをピックアップするか、という作業で本当に難しかっただろうなあと思うのです。

しかし序幕は、脚本的には、ほぼほぼアニメ映画とマンガ原作と同じでした。

それはナウシカ歌舞伎にとって重要なことだったので納得の選択でした。

でもそれがあったからこそ、この作品の脚本のすごさを改めて痛感したのです。

「映画」ならではのすごさ、「映画」というエンターテインメントの意義をまざまざと見せつけたすごい原作映画を、舞台化するにあたって「舞台」だから伝わることに書き換えてきたところ。

ポーの一族」を見たときに、ああ舞台化するということはこういうことか、と思ったのが、書かれている台詞でも、役者が言うことによって、感情が乗るということでした。

マンガや小説はそれを自由に想像できるのがいいところです。

けれど読み手によって想像できず伝わらないこともある。

ポーの一族」が特にわたしは全くもっていい読み手じゃなくて、マンガから読み取ること、想像することができなかった哀しみを、役者が演じてくれることではじめて心に響いたのです。

舞台の魅力ってそこじゃないかな、とナウシカ歌舞伎を見てやっと気づきました。

「キネマと恋人」でだだ泣きしたのは、いろいろなことが目の前で繰り広げられ、リアルに伝わってきた結果で、それを伝えることが「舞台」なのだと、「映画」とは違う「舞台」ならではの魅力を描いてきたところが、さすがだなと思わずにはいられなかったのです。

 

★主演俳優賞

満を持してFACTORY GIRLSのソニンに。

この荒削りの作品をここまでの完成度に導いたのは間違いなく彼女です。

このハリエット役を見ながら「血の婚礼」で花嫁役を演じていたソニンを思い出しました。

あの時ソニンの演技に圧倒されながらも、あまりにも100%入り込みすぎている、もっと洗練されたらすごくいいだろうと書いた記憶があるのですが、その洗練の結果をこのハリエット役で見れた気がしています。

徹底した調べと緻密な計算の上で、ハリエットに乗り移ったソニンの演技とペーパードールの歌、圧巻でした。

 

ということで、こちらのソニンさんのFACTORY GIRLS スペシャルページもぜひご一読ください。

SONIM’s Review Factory『FACTORY GIRLS~私が描く物語~』編 | アミューズモバイル

あー早くローウェル・オウファリング買って、ソニンさんが答えてくださったところだけでも読まなきゃ。

 

★助演俳優賞

風の谷のナウシカ中村七之助クシャナ殿下に。

いろいろ考えたのですが、わたしが七之助ファンということを置いておいても、新作歌舞伎「風の谷のナウシカ」を熱狂に導いた功労者じゃないかと思ったのです。

本当の1番の功労者は菊之助さんであることはよく分かっているのです。

まずこれをやろうとしたことが素晴らしい、やってくれたことが素晴らしい。この2点だけでもものすごい情熱がなければできないことだと思います。

その上であのナウシカを演じて作り上げて魅せたこと、本当にすごいです。

ただやはりマンガやアニメ原作のものって、観客はビジュアルから入りがちなわけですよ。

登場した瞬間に「クシャナ殿下」と思わせたそのビジュアル力をわたしは今回あえて評価したいと思うのです。

そして男性ばかりの中で男勝りなクシャナという女性、を演じることはそうたやすくもないとも思います。

今回のクシャナ女形独特の作った高い声を出すこともなく、割と低めの声音だったのに、それでも一度もクシャナが男性に見えなかった。

所作や着こなしも女性らしさを強調するものはなかったのに、クシャナが皇女であること、さらには臣下を魅了する人物であったことを魅せてきたところ、をわたしは評価したいと思っています。

 

舞台美術はもちろんナウシカ歌舞伎に。

あんなに美しいセットを見たのははじめてです。

音楽はFACTORY GIRLSに。

大学の卒論の課題でこういうのがあるところで、やはり日本は舞台に全体に対してまだまだだなあと思いました。

演劇教育、本当、やりませんかね、日本。

 

なんか最後はグチっぽくなってすみません。

でも2019年は「ベルばら45」「吉崎&岡田コン」からはじまり、杜けあきさま芸能生活40周年ということで、本当に杜けあきさま漬けになれた、かつてない幸せな一年でした。

 

30年前、杜さんに出会ってなければ、舞台を見る生活はおろか、演劇を学ぶ機会も、そのためにロンドンに行く機会もない人生だったはず。

杜さんと小池修一郎先生からもらった人生だと思っています。

 

そんなわけで、2020年は今年ないがしろにしすぎたくらい見なかった宝塚歌劇を観に行きたいなあと思っています。

観劇初めは雪組小池修一郎先生の新作から。

何気に順調に5月までの観劇がもう決まっていたりするので、お財布との相談しながら、今さらですが360°アラウンドシアターも体験したいです。