6/8(土)18:30~ 森ノ宮ピロティホール
■作:ウィリアム・シェイクスピア
■翻訳:河合祥一郎
■演出:サイモン・ゴドウィン
■美術・衣裳:スートラ・ギルモア
■出演:ハムレット 岡田将生、オフィーリア 黒木華、ガートルード 松雪泰子、レアーティーズ 青柳翔、フォーティンブラス 村上虹郎、ポローニアス 山崎一、クローディアス 福井貴一、ホレイシオ 竪山隼太、劇中妃 秋本奈緒美
- 作者: ウィリアムシェイクスピア,William Shakespeare,河合祥一郎
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2003/05/24
- メディア: 文庫
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今回はこの翻訳が使われていたようです。
有名な「to be or not to be, that is the question」を「生きるべきか、死ぬべきか、それが問題だ」と訳したバージョンです。
このセリフの後、実際にハムレットが首吊り自殺をするようなパフォーマンスを見せるのが、絵面として面白く見ました。
ただ全体に演出もセットもオーソドックスで、衣装もコスチュームでないだけのオーソドックスなもので、ビジュアル的にも解釈的にも新しいものはありませんでした。
改めて思ったのはこのハムレット役というのは、本当にセリフが膨大で、それを自分の中で消化して演技をするということは、とても難しいということでした。
「皆既食」で蠱惑的で弱くてズルいランボーをあれだけ魅力的に演じていた岡田将生くんも、このハムレットではセリフを言ってそれらしい演技をするだけで精一杯な印象を受けました。
ただ「尼寺へ行け」のシーンだけは、彼があの時点でどこまで考えていたのかは不明だけれど、「オフィーリアを守りたい」という気持ちから出てきたのかな、ということを初めて感じさせてくれました。
これは岡田将生くんの持っている何かなのか、演出のせいなのかは分かりませんが。
わたしのハムレット初体験は麻実れいさんがハムレットを演じたバージョンだったのですが、これはセリフの一部を歌にしていたのですね。
翻訳は小田島雄志さん版でした。
- 作者: ウィリアム・シェイクスピア,小田島雄志
- 出版社/メーカー: 白水社
- 発売日: 1983/10/01
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は映像を見ただけですが、こちらもうまくロックオペラ化されていて、そうすることによって観客も楽に見られる部分も多いのだなあと思いました。
ご存知のように、ほぼハムレットの葛藤が描かれる演目なので、オフィーリアをはじめ、クローディアス、ガートルードなどはほぼ描かれていないも同然です。
そうなるとそこにどれだけ演出と演技を入れていくかは、演出家と役者の力量によるのですが、そこのところの演出も今回はうまく働いていない気がしました。
黒木華ちゃんのオフィーリアは狂ってからはものすごく可愛くて透明感もあって素晴らしかったのですが、「どうしてオフィーリアは狂ってしまったのか」を想像させるまでには至らず、狂ってからがすごくよかっただけに残念でした。
そしてクローディアスとガートルード。
この2人も演出によってどうとでも味つけできると思うのです。
上記にあげた2つの「ハムレット」でのクローディアスが岡田真澄さん、越乃リュウさんが演じていたこともあって、色気のある人物だったのですよね。
だからガートルードが惹かれちゃったのもしょうがないか、と納得できたし、なんならガートルードもクローディアスと結婚したいから、夫の殺害に共謀したんじゃないの、くらい思わせてきたのが面白かっただけに、今回、正統派な見せ方をされると、全体的に人物がぼんやりした印象になってしまったのです。
そんな中、一番個人的に素晴らしかったのが、フォーティンブラスを演じた村上虹郎さん。
まあ最後をあれだけバシッと締められる存在感とセリフまわし!
まだまだ若いのにこれだけ存在感を示せるのは、これからの期待が高まりました。
ところで、わたしが初めて見た麻実れいさんのハムレットは誰の演出だったんだろうと調べて見たら、ジャイルス・ブロックさんという英国の演出家でした。
そしてその初演だけ羽野晶紀さんがオフィーリアを演じてらしたことを今、知りました。
本当に初演を見られてよかった、くらいにわたしの中でオフィーリアは羽野晶紀さんのイメージなのです。
羽野晶紀さんのオフィーリアにものすごくインスパイアされて、当時脚本家や演出家に憧れていたので、脚本を書いてみたりしたことを思い出しました。
今回の「ハムレット」という作品には、そこまで何かを掻き立てるものがなかったのです。
でも二部の方は展開早くスピード感があり、それなりに面白く見ることができました。
ところでジャイルス・ブロックさん脚本・演出の「ハムレット」が上演されたときには、小田島雄志さんの翻訳本が劇場で販売されていて、即購入して読みました。
シェイクスピア劇はじめいわゆる有名な戯曲が上演されるときには、一緒にこういう翻訳本の販売があると、戯曲を読むことに親しみができるのではないかと思うのですが、それ以降見たことないのは、いろいろとオトナの事情があるのでしょうか。