こんなことを思ったり。ぼちぼちかんげき。

保護猫と同居人と暮らすアラフィフがビンボーと戦いながら、観劇したものなんかを感激しながら記録。

レモンはレモネード以外になれたのではないか@柚希礼音ワンマンショー・ミュージカル「LEMONADE」

7/14(日)17:00~ シアター・ドラマシティ

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キャスト 柚希礼音

作・演出:小林 香

音楽:江草啓太

振付:川崎悦子 Oguri(s**t kingz)

美術:石原 敬

照明:高見和義

音響:山本浩一

映像:石田 肇

 

柚希礼音芸能生活20周年の記念ミュージカルで、小林香さんが作・演出をするということで、「REON Jack」のようなファンクラブイベント的ショーでもないだろうと思い、見に行きました。

でも結果的にはやはりファンクラブイベント的ミュージカルだったように思います。

柚希礼音さんが自身のファンのために、「こういう自分が見たいのではないか。そして、自分は今、こういう部分も見てもらいたい」というリクエストを小林香さんに託した結果、これができあがったような、そんな気がしています。

 

わたしは「一人芝居」はわりと見ている方だと思います。

ロンドンで所属していた小劇場劇団が「ワンマンショー」をよくやっていたからです。

 



stok0101.hatenablog.com

これ以外にもゴゴールの「狂人日記」の一人芝居も見ています。

彼らはプロではなかったけれど、きちんと専門学校や大学で演劇を学んだ人たちでした。優れた脚本と優れたパフォーマーでも「一人芝居」を成り立たせるのは1時間くらいがリミットではないでしょうか。

今回はミュージカルということで歌とダンスがあったけれども、それでも2時間弱はかなり長く感じました。

逆にいうと2時間弱を1人で歌い踊り続けた柚希礼音さんの身体能力はすばらしかったです。

 

ストーリーはこんな感じでした。

 

とある岬の先端にあるサナトリウムで療養しているハイル。

彼女は1年前に自身の広告代理店(ハイル・アド)を立ち上げ軌道に乗っていたが、ある日突然倒れ、病院に運ばれた。

無菌室を経てサナトリウムに移った彼女の中には、ブルーとリラという二つの人格が宿っていた。

自分が多重人格であることを受け入れられないハイル。サナトリウムの部屋で燈台の管理人だった男の古い日記を見つける。

 

ブルーが柚希礼音さんがファンにサービスとして見せた男役の部分、そしてリラがたぶん見せたかった女の部分。それを両立させるためにこのストーリーが作りあげられた気がします。

何が個人的にきつかったかというと主人公の仕事が「広告代理店」だったこと。

わたしも一応その関連の仕事の末端にいるので、せっかく芝居を見に行っているのに仕事のことばかり思い出してしんどかったので、今後は本当にきちんとストーリーくらいは読んで、見る演目を選ぼうと思いました。

 

ミュージカル「おもひでぽろぽろ」でも思ったけれど、風刺や誇張なしでリアルに「会社生活」をミュージカルで描くというのは結構むずかしいです。

ミュージカルを作る人たちよりもたぶん観客側の方が「会社生活」をよく知っている人が多いと思うから。だから、そこにウソがあるとすごく違和感を覚えてしまうのです。

小林香さんにしても、経歴を見る限り「広告代理店」と仕事はしても「広告代理店」勤めはしたことがないようです。だから、セリフの一つ一つがものすごく「違和感」で、軽く聞こえてしまって、残念でした。

 

たぶんに柚希礼音さん側からのリクエストがあったと思われるけれど、素材として「柚希礼音」を捉えて、柚希礼音さんの能力を、魅力を目いっぱい見せられる違う演目があったんじゃないでしょうか。そして小林香さんはそういう演目を見つけられたと思うのです。

そう思うとただただ残念でした。

映像・美術もふるわず、柚希礼音さんのダンスは相変わらずすばらしかったけれど、それを最大限引き出せる振り付けでなかったことも残念な要因の一つでした。

与えられたすっぱいレモンを、甘いレモネードにできなかった。

 

これを見てから、どんなものだったらわたしは満足したのだろうと考え続けています。

今のところ思いついたのが「イサドラ- when she danced-」。

ものすごく昔に麻実れいさんで見て、難しいなあと理解しないまま終わったので、今、再び見てみたいというのもあります。

麻実れいさんは踊らないイサドラだったのですが、柚希礼音さんが踊ることで、ピアニストだけ入れてワンマンショーに仕立て直せないでしょうか。

Anyone can dance. Anyone.
It's there, inside of you.
Touch your own spirit, feel it, nourish it, release it,
and then come forth with your own great strides, no one else's.
With your own leaps and bounds, no one else's,
with your own foreheads lifted and your own arms spread wide,
come forth then and dance!

誰だって踊ることはできる。誰でも。
踊りはそこにある、そうあなたの内側に。
自分の魂に触れて、感じて、育てて、解放するの。
そうすれば踊りになる、偉大なる一歩でね。誰でもない、あなた自身のその一歩が。
飛んだり跳ねたり、誰でもないあなた自身で。
頭を動かして、腕を大きくひらいて。

そうするとあらわれる、それがダンス!

「イサドラ」- When She Danced - 

このセリフを柚希礼音さんで聞きたいんですよね。

(あ、日本語はわたしの意訳なので、間違っているところあると思います。ご了承ください)

ワンマンショーでなくてもいいので、近いうちに再演を待ちたいと思います。