こんなことを思ったり。ぼちぼちかんげき。

保護猫と同居人と暮らすアラフィフがビンボーと戦いながら、観劇したものなんかを感激しながら記録。

言葉の魔術。

土曜日に「nine the musical」を見に行った。初めてのデビット・ルボー氏の演出作品の観劇となる。
ミュージカル自体は、どちらかと言うと、抽象的なアーティステックな作品で、恐らく昔の私なら受付けなかっただろうな、と思った。これを見れるだけ、好みも変わり、大人になったのかもしれない。作品の感想は本ページに近いウチにUPしたい。
この作品を見ようと思ったきっかけは、やはり大浦みずきさん、純名りささんの出演だった。ナツメさんの舞台を見るのも、おととしの「イーストウィックの魔女たち」以来だから、かなり久しぶり。今回は元パリのショースターで、映画のプロデューサーという役どころ。これが、なんともステキで、なぜこの方はこんなにヨーロッパの女優さんの雰囲気があるのだろうと改めて不思議に思う。おそらく白人女性が纏ったら本当に美しかっただろうなと思われる、素晴らしい衣装のせいで、残念ながら、日本の女優さんたちの違和感が目立ってしまっていたのだが、唯一ナツメさんだけが、なんとも、自然で違和感がなく、雰囲気があった。かつてのパリのショースター時代、のシーンがあるのだけれど、このシーンがナツメさんがかつてトップスターだった時のオーバーラップして、とにかく素晴らしかった。じゅんちゃんを見ながらも思ったのだけど、例えば、この作品も言語上の問題がなければ、出来ればロンドンで見てみたかったと思う。けれども、その場合、あのショーシーンを見ても、こんな感慨を得られただろうか、と思うと、ここ10年以上、日本で見てきた経験が、より日本で見ることの楽しさを教えてくれた気がした。

終演後、全く知らなかったのだけど、ラッキーにもデビット・ルボー氏のトークイベントがあって、初めて、生で通訳さんを見た。見ながらこの人の頭の中はどうなっているんだろうなあ、とほとほと感心。「Selective Memory」を「淘汰された記憶」と訳された時には、その日本語の語彙力、言語能力の素晴らしさに、こういう方もいるんだな、とため息さえ出てしまった。

お供本は

スローグッドバイ (集英社文庫)

スローグッドバイ (集英社文庫)

軽く、優しい恋愛小説。あとがきを読むと、作者の意図したことは100%発揮されている作品だと思った。ただ、読む私が、作者の意図したことを経験したことがないことに、ちょっと落ち込んだ。