1月24日(土)15:30~ @宝塚大劇場

ビート・シアター
「恋する天動説-The Wand'rin' Stars-」
スタッフ
作・演出 大野拓史
作曲・編曲 玉麻尚一/高橋恵
装置 清家三彦
衣装 木津未希
キャスト
アレックス[モッズのリーダー格]暁 千星
シンシア[ホテルグループ社長の孫娘]詩ちづる
レスリー[ロッカーズのリーダー格]瑠風 輝
ドロシー[ホテルグループ社長] 万里柚美
クラーク・ミラー[医師] 美稀千種
ゴードン[シンシアの叔父] 輝咲玲央
ティモシー[シンシアの兄] 碧海さりお
ピート・ダグラス[王立天文台所長] 朝水りょう
モーガン[観光協会の協会長] 蒼舞咲歩
エース[テーラー] ひろ香 祐
ジュディー[テーラー] 星咲 希
ロビン[アレックスの弟分] 天飛華音
バート[アレックスの弟分] 稀惺かずと
アレックス・ニュートン[ブライトンFCのファン] 大希 颯
キアラ[シンシアの妹] 乙華菜乃
ケイト[キアラの友達] 碧羽 陽
エリカ[キアラの友達] 茉莉那ふみ
ウィリアム[若き日のドロシーの恋人] 天希ほまれ
若き日のドロシー 藍羽ひより

2026年の観劇はじめは宝塚歌劇の新生星組からになりました。
毎回新体制になると本当にずっといたはずなのに見える顔が違ってきて、そこが宝塚歌劇の面白いところでもあるなと改めて思いました。
舞台は1960年代の英国、当時の若者たちに流行っていた「モッズ」とか「ロッカーズ」とかいう文化やスタイルが登場して、実際にモッズとロッカーズの対立・乱闘が、今回のお話しの舞台でもあるロンドン近郊都市・ブライトンであったらしいのですが、とりあえず、そんな歴史や文化を前もって勉強しておくことは一切必要のない作品です。
見ながら初演の「めぐり会いは再び」(原作/マリヴォー「愛と偶然の戯れ」)を思い出しました。あそこまで上質の「ロマンティック・コメディー」にはなっていないのですが、新生星組の「顔見世公演」的な楽しさと可愛らしさに満ちた作品でした。
何が面白いって、オープニングの乱闘でボーイたちを見せておきながら、物語の中心はガールであるトップ娘役なんですよ。そのトップ娘役・詩ちづるさん演じるシンシアの周りにさまざまな問題があって、でもシンシアはトップスター・暁千星さん演じるアレックスに恋に落ちることから物語が軌道を外れて回りだす、のがとても興味深かったです。
しかもシンシアがなぜアレックスに恋したか、というと「自分の夢の価値を分かり応援してくれる人」だったから、という理由もすごくいいなと思いました。
上流階級の結婚にはいろんな事情が絡むもので、今回は「はいからさんが通る」と同じ「祖母の初恋」だったりするので、まあ二番煎じではあるんですが、観客としては理解しやすい。偶然が作用した取り違いと勘違いもシェイクスピアの昔からよくある要素だから、その辺も分かって見られるので、最初からこれは「ハッピーエンドしかない」と分かる物語を終始ニコニコしながら眺められるって、私個人はとても好きな観劇時間の過ごし方なんです。
簡単に言えば、賢くて強いお嬢さまが、賢さゆえに「家のために生きる」決意をしたけれど、アレックスに出会い、視野が広がり恋をして、夢を追いかける決断をする、だけのお話しなんですけれど、これに当時の文化とファッションを散りばめて、可愛くて格好いいビジュアルを作りあげ、ダンス&ソングで盛り上げているので、本当に難しいことは何も考えず、シンシアの運転する車に乗った気分で、ぶーんぶーんと振り回されて楽しめる作品だと思いました。(トップ娘役さんがトップスターを助手席に乗せて華麗な走りを披露するのも恰好よかったし、あのシーンの作り方も好きでした!)
思いましたが、これがどこまで通用するかは分からないな、という感想でした。
突っ込みどころは多々あるので、そこがひっかかって前に進めない方もいる気もするし、何より現段階では特に歌詞が聞き取りにくかったので、ここが改善されて、お芝居のテンポ感が整うと、もっとこの作品の面白さは引き出されそうです。なので、セリフの言い方や間の演出はもっとしっかりやった方がよかったかな、と思います。
その点は、碧海さん、大希さん、乙華さんが上手いんですよね、本当。そしてこの3人もしっかり物語に関わっているところがいい。
もちろんトップスター暁さんはかわいいし、二番手の瑠風さんは恰好いい!そして何よりトップ娘役さんの詩さんがすっごくかわいいのです。(大野先生といえば衣装とセット、なのですが、今回は衣装の方がよかったです。大野先生、本当に英国衣装の可愛らしさを魅せるのうまい。そして詩さんによく似合った衣装だったのもさすが!)もうアテガキここにあり、だったし、アテガキされた役を魅力的に演じられるのもスキルなので、この3人の体制の魅力と上級生から下級生まで、全力で作っているのも伝わるので、お披露目作品としては本当に「アリ」だと思いました。
なので東京公演に向けて、もっともっとブラッシュアップしているといいなと思いますし、とりあえず、私個人は大好きすぎる作品なので配信は絶対見ようと思いました。
ところで、多分、この作品で一番の引っかかりどころがタイトルじゃないかと思うんですが、私個人はこのタイトル、天才だと思ったりしてるんですよ。多分サブタイトルの「The Wand'rin' Stars」、迷える星たち、惑星たち、の方がピッタリしたタイトルなんですけれど、そこを敢えて「恋する天動説」というキュートな日本語の語感にしたのが本当にステキだと思っているのです。
だって「地動説」の太陽を中心に完璧な軌道を描く惑星ではなくて、「地動説」が定着するまで、宇宙の中心は「地球」でその周りを太陽をはじめとする惑星が回っていると考えられていたけれど、星を観察すればするほど、動きが複雑で理論が整わないと考えて考えてたどり着いたのが「地動説」だったわけで、「天動説」の時の惑星たちは、思わぬ動き方をした。
そんな天動説の惑星のように、登場人物全員が知らぬ間に思わぬ動き方をする物語で(そして一応、天文学の話しもでます)、特にシンシアが恋をした時から軌道がおかしくなって、あらゆる方向に回り始めるから「恋する天動説」、めちゃくちゃいいじゃないですか!
でもまあ私が観劇した日も、お芝居が終演してから「何が天動説だったの?」というお声が聞こえてきましたので、いいタイトルではないのだと思うのですが、私は好きなタイトルで、そして万里柚美さんの聡明でできる社長からオチの乙華さんキアラの賢さや度胸、その位置につけるパワーのある人間像までが、とてもいい。本当に女性たちが輝いているのがすごくいい。そういう意味では、本当に伝わりにくいのが残念だけど、そしてもっと伝わりやすくする必要はあったと思うけれど、エンパワメントもしてくれる作品ではないかと思っています。
ギャラクシーレヴュー
「DYNAMIC NOVA」
作・演出 稲葉太地
装置 國包洋子
衣装 河底美由紀

撮影タイムのオープニング前が本当に美しかったです!
いや、ショー自体も楽しかったんですよ。
ただ世界観が「宇宙」で統一されすぎて、セットは美しいけれどあまり変わらないし、もちろんアラビア風とか、スパニッシュやらスーツやらのシーンもあるんですけど、それすら全体のテイストが統一されすぎてて、個人的には少し退屈してしまいました。
そして改めて「BADDY」が苦手だった一因がここにもあったのか、とか気づきました。あれもショーらしく南国風とか衣装やセットは変えてはきてくれたのですが、世界観はずっと一緒で、私はそういう「世界観が統一されすぎたショー」というのがあんまり好きじゃないんだという発見があったので、よかったかなと思います。
もうこういうのは好みですからね。
とはいえ、スーツで歌う瑠風さんが格好良くて、その歌声の中、踊る暁さんもステキで、何よりここの相手役・稀惺かずとさんがめちゃくちゃ色気のある美女でたまらなかったです!
(4:45くらいからご覧ください。因みに「恋する天動説」は1:15くらいからの娘役さん4人の恋する気持ちの歌うシーンもキュートで素晴らしかったです!)
暁さんと瑠風さんのバランスが本当にいいので、今後バンバン、ショーで、稀惺かずとさんの女役を取り合う二人の男、みたいな宝塚王道ショーシーンを見たいんですけど、次はもう「RRR√Rama」の一本物が決まっちゃってるのが残念なくらいです・・・。
もう若手というより中堅くらいのスターもたくさん育っていますので、この体制がどこまでどう続くかは分からないのですが、この体制で王道のクラシックショーも見てみたいなと思いました。

















