こんなことを思ったり。ぼちぼちかんげき。

アラフォー負け犬がビンボーと戦いながら、観劇したものなんかを感激しながら記録。

極上の幸せ@杜けあき40周年記念コンサート

8/17(土) 18:00〜 ヤマハホール

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出演者

杜けあき

ゲスト

南風まい/尾上五月(五月梨世

海峡ひろき/紫とも/鮎ゆうき/はやせ翔馬

 

杜けあきさまの芸能生活40周年ということで開かれた1日だけのコンサート。

昼の部と夜の部とあったのですが、客席数300強のヤマハホールでのチケットは即完売。

ヤマハホールの天辺からではありましたが、夜の部だけでも見られたことに感謝したい、すばらしいコンサートでした。

 

わたしは杜けあきさま(杜ちゃん)のファンなので、もう感激しかありません。

そんな感激の一部始終を書き残しておきます。

 

第一部

パラダイス・トロピカーナ

 

杜ちゃんトップ4作品目のショーの主題歌です。作・演出は酒井澄夫先生。90年7、8月の作品でした。公演中に杜ちゃんのお誕生日(7/26)があったこともあり、その日芝居、ショーともにバースデーアドリブがあって、すごく思い出に残っています。

杜ちゃんトップ時代唯一のラテンショーで、テレビ放映されなかったショーでした。

けれども本当に美しくて、楽しいショーだったので、大好きで大好きで、いつか再び見られる日が来るといいなあと思っていた、そんなわたしたちの気持ちを汲んでくださったのでしょうか。

OGショーなどでも歌われたサビの部分ではなくて、なんと幕開きのところを歌ってくださったのです。

29年前の光景が一瞬にして蘇りました。

 

基本的に海峡ひろき(ミユ)さんとはやせさんはダンサーとしてご登場。衣装もダンス用のシャツとパンツスタイル。

今ご自分のダンススタジオを運営なさっているはやせさんは男役そのままに、そして一般人に戻っていたことなんかチラリとも感じさせないミユさんのダンスもステキで、本当に感激でした。

 

杜ちゃんは今年還暦を迎えられたとのことで、赤いフワフワの生地のドレス燕尾服でご登場。

この衣装にネーミングされていたのですが、ちょっと聞き取れず残念。

ご挨拶のあと、宝塚時代の曲がメドレーで送られました。

 

【宝塚メドレー】

ブライト・ディライト・タイム

これは杜ちゃんトップ3作品目、90年のお正月公演のショーでした。作・演出は三木章夫先生。

ここも幕開きの部分を歌ってくださいました。

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当時銀橋の真ん中に立つ杜ちゃんだけにピンスポットがあたって、今回歌われたフレーズのあと、本舞台の幕が開いて、金色のスパンコールの衣装を着た雪組生たちが舞台を埋め尽くし、照明もいきなり明るく輝き、あまりのまぶしさに「うおおおおおーー!」と心の中で叫んだことを昨日のことのように思い出した瞬間でした。

 

ラ・パッション

杜ちゃんトップお披露目公演のショー主題歌です。89年の2、3月公演だったのかな?作・演出は岡田敬二先生。

これはテレビで見た限りですが、歌は6月の吉崎寺田コン

 

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でも聞いたばっかりだったので、ちょっと落ち着きを取り戻しました。笑

 

永遠の愛(ムッシュ・ド・巴里)

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これが杜ちゃんトップお披露目公演のお芝居の方で、わたしがテレビ越しに杜ちゃんに一目惚れした作品でした。

作・演出はかつて宝塚で演出家をなさっていた太田哲則先生。

この主題歌

♪あなたに憧れて、夢に見て

 見つめる瞳は輝いて

 なぜこの心はときめくの

という歌詞はもちろん杜ちゃんの役が相手役さんに向けて歌うものなのですが、まるでファンの気持ちそのもので、大好きな曲でした。

思わず口ずさんでいたら、ここで鮎ゆうきさん(アユちゃん)がご登場。

ものすごく美しくて、キラキラしていらして、杜ちゃんがアユちゃんの手を取って、アユちゃんが杜ちゃんに寄り添った瞬間、杜ちゃんもキラキラ輝いたんです!

ああ、これか。

これが杜ちゃんがアユちゃんを相手役に選ばれた理由なんだなあと涙しながら実感しました。

実力派のトップスターには、圧倒感はあっても派手さはなくて、そこをアユちゃんが本当に補ってくださっていたのです。

当時はお二人で登場されることが当たり前すぎて気づかなかったけれど、アユちゃんの輝きは周りもキラキラ光らせることを、それが杜ちゃんをもっと魅力的に魅せていたことに心から今さら感謝したのでした。

 

黄昏色のハーフムーン

杜ちゃんトップ4作品目のお芝居。90年の7・8月公演。作・演出は今はショー演出家の方を主にやられている中村暁先生。中村先生の大劇場デビュー作品で、軽いコメディーでした。

残念ながら作品としては良作とは言えず、あまり客入りもよくなかったことを覚えています。

おかげで夏休み中の中学生だったわたしは当日券がカンタンに買えて助かりましたし、軽くてかわいいコメディーは中学生のわたしには楽しく、大好きな作品の1つでもありました。

ここもアユちゃんとデュエット。

とはいえ、アユちゃんは残念ながら芸の方はそれほどではなくて、特に男役から娘役に転換したこともあり、高音域の歌は苦手でいらっしゃいました。

そんなわけでデュエットといっても、ほとんど歌う部分がないのが今さらながら残念。

でもこの作品のアユちゃんは本当にかわいくて、この時もやっぱりかわいくてキレイで、眼福のひとときでした。

 

この恋は雲の涯まで

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これが杜ちゃんトップ時代7作目の一本物。

92年の4、5月公演で76期生(瀬奈じゅんさん、貴城けいさん、大空祐飛さん、檀れいさんたち)の初舞台公演でもありました。

源義経チンギス・ハーンである、という仮説を基に作られた作品で、再演物でした。作・演出は植田紳爾先生。

トップ娘役のアユちゃんが、6作目で退団なさったので、ここで満を辞して紫ともさん(トモちゃん)が相手役に。

色気と実力を兼ね備えた相手役さんが来てくれて本当に嬉しかったことを思い出します。

トモちゃんとはデュエットもしっかり。

またトモちゃんは現在ジャズシンガーでもあるので、当時よりさらにパワーアップした歌声を披露してくれました。

 

スイート・タイフーン

杜ちゃんトップ時代5作目の洋物ショー。海外公演の試作ということで、日本物ショー「花幻抄」、二番手の一路真輝さん主演の短いお芝居「恋さわぎ」とともに上演されました。91年2・3月公演で、作・演出は三木章雄先生。

正直ほとんどプロローグしか記憶がないのですが、そのプロローグを模した布陣でミユさんとはやせさんが踊ってくださり、感動。

 

清く正しく美しく

宝塚の記念式典では必ず歌われる曲ということで、南風まいさん(マイマイ)が美声を轟かせてくださいました。

お昼の公演でまちがったホール名を言われたらしく「このヤマハホールヤマハホールで歌えて光栄です」とお話ししていらしたら、杜ちゃんが黒スパンコールのタキシード風お衣装で再登場。

めちゃくちゃマイマイに突っ込んでらしてました笑

 

ここで早月さんを除く出演者、演奏者全員の紹介があり、今回は南風まいさんと杜ちゃんのデュエットがないことを早々に告知。

おふたりのデュエットはディナーショー待ちってことでしょうか。残念。

そして次のコーナーからお芝居混ざりで当時を再演という形になりました。

 

【メモリアルin宝塚】

ヴァレンチノより

★アランチャ

★ラテン・ラバー

小池修一郎先生のバウデビュー作ですが、わたしが見ているのは再演のほう。

トモちゃんが相手役だったので、それだけでも見られていてよかったなあとしみじみ。

アランチャを少し歌って、ザクっとヴァレンチノのストーリーをセリフ形式で紹介。

「ある女性との出会いが人生を変えた」と今回のために作ったセリフがあり、ルディがジューンに歌う「アランチャ」がはじまります。

セットはもちろんありません。小道具は杜ちゃんのもつオレンジの枝だけ。

トモちゃんのセリフ間違いに杜ちゃんのツッコミもありました。

それでも、わたしが見たルディとジューンがそこにいて、というか、むしろジューンは今のトモちゃんの方がジューンにそぐわしくて感涙。

「チャオ、ジューン!」と劇中のセリフのままに去っていくルディ。

そして続く「ラテン・ラバー」。完ぺきでした。

 

天守に花匂い立つより

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★相合傘

天守に花匂い立つ

ここは先に杜ちゃんがアユちゃんとともに再登場。

90年お正月公演だったこの作品。先日お亡くなりになられた柴田侑宏先生の作・演出でした。柴田先生の作品としてはけっこうレアなアテ書き娯楽作品だったのではないでしょうか。

柴田先生のお名前で本日深紅のバラの花束が届いたことをご紹介、そして、柴田先生の思い出話しがありました。

この作品の頃から柴田先生の目はかなり見えなくなってきていたとのこと。「忠臣蔵」のときはすでに全く見えない状態だったそうです。

でもそんなしんみりしたエピソードのあと、おちゃめなエピソードをアユちゃんがご紹介。

この作品の主人公は杜ちゃんの故郷・仙台藩の藩主の嫡子で「加納真之介」という名前だったのですが、これが杜ちゃんの本名「狩野」から取られたということは当時から有名でした。

そうなるとアユちゃん演じる「ゆき」はどこから?というお話になりました。

真之介のセリフがすごく「ゆき」に対してまっすぐ愛を語るものが多かったので、杜ちゃんが「当時高嶺ふぶきちゃんがユキちゃんって言ってたんですけど、彼女が自分のことだと言い張ってたし、『ゆき』という名前のファンの方からよくありがとうございます、って言われた」というエピソードをご紹介。

アユちゃんはアユちゃんで「鮎ゆうきのゆうきを短くしたのかも」と思われていたそうです。

でも昨年杜ちゃんがパーソナリティをつとめられていたラジオ番組に柴田先生が登場されたのを聞かれてはじめて、「『ゆき』は柴田侑宏の『侑』からとられたことを知った」とのこと。

「どうりで先生、おけいこ中『照れるわー』てよくおっしゃってたはずだよね」と杜ちゃん。

わたしはラジオを聞いていたのですが、今さらながらこの作品の真之介のセリフは「柴田先生が自分が女性だったら言ってもらいたい言葉集」だったのかもしれないということに気付きました。

そんな柴田先生の愛が詰まったこの作品は、ラストシーン前の真之介とゆきのラブラブなセリフからはじまるということで、「今日客席に(アユちゃんの)旦那さん来てるけど大丈夫?」なんて杜ちゃんからの絡みがあって、懐かしくも愛おしいセリフから「相合傘」へ。終わって主題歌へと続きました。

 

小さな花がひらいたより

★夕焼け小焼け

★小さな花が開いた

★もう涙とはおさらばさ

何度か再演されている作品ですが見たことがなく、一度見なきゃなあと改めて思いました。

これも柴田先生の作品。山本周五郎の「ちいさこべ」が原作です。

これの81年星組版にマイマイが出演されていて、新人公演ではヒロインを務められたこともあり、マイマイは大好きな作品のようですね。

ここには杜ちゃんは登場せず、マイマイが作品の説明をされて、子どもたちの役をミユさん、トモちゃん、はやせさんが演じられました。

マイマイも歌唱も演技ももちろんさすがでしたが、トモちゃんの子役がかわいくて!

声もこまっしゃくれた女の子なんですよ。

(同じ柴田先生作品「大江山花伝」のふじこ役を思い出させるかわいさでした!)

ミユさんもはやせさんもかわいい子供たちを違和感なく演じ切っておられました。

 

そして杜ちゃんとアユちゃんの再登場。

「稽古はじめた当初はどうなるかと思ってたけどみんなすごい!全員人生半世紀以上も生きてるなんて信じられない」と一言(笑)

アユちゃんはデイジー風のヘアスタイルにチェンジされていて、お二人にとっても大事な作品について語られました。

 

華麗なるギャツビーより

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★デイジー

★朝日の昇る前に

杜ちゃんのトップ時代6作品目にして、アユちゃんのサヨナラ公演でした。

作・演出は小池修一郎先生。91年8・9月公演でした。

以前スカイステージで「演出家と語る」という番組に小池先生と杜ちゃんが出演なさったときに、バウデビュー作「ヴァレンチノかギャツビーか」と提示して、結局「ヴァレンチノ」になったとお話しなさっていました。

そのお話しをここで杜ちゃんからご紹介があり「よくギャツビーを待ってくれた。アユちゃんを待ってくれてたんだよ。アユちゃんだから、(ギャツビーの)セリフにウソがないのよ!」と力説。

謙遜するアユちゃんでしたが、こちらも心の中でその通りだなあと思っていました。

「君は薔薇よりも美しい」という名セリフがあるんですけれど、見ているこちらも「その通り」と頷くしかなかった美貌のデイジー

その全く衰えない美貌のままのデイジーがいて、初演から今までに宝塚と東宝で一度ずつ再演がありましたが、やっとホンモノのデイジーに再び出会えた、と思いました。

このお話しの前にも「映画を見てどう思った?」というトークもあったのですが、杜ちゃんは「これやるのかー。ロバート・レッドフォード、カッコいいな」という軽い感想。

対するアユちゃんは、デイジーが空虚で純粋で傲慢で、女性の内面の全てを持っていて、そのまま演じると「ヒドイ女」になってしまう、宝塚のヒロインがこれでいいのだろうかとかなり戸惑ったとのこと。小池先生が宝塚風に柔らかくしてくださってよかった、とおっしゃってました。

でも小池先生の柔和したところは原作と比較してもそこまで違えた訳ではなくて、最後墓参りに行くか行かないか、が1番違ったくらいだと思うんですよ。

だからあのデイジーの魅力はひとえにアユちゃんの美貌と努力の結晶だと思います。

 

再現シーンは、デイジーが事故を起こした後の2人の銀橋の場面。

運転していたのはぼくだ、というギャツビー。

そうしたらあなたが犯罪者になってしまうと嘆くデイジー

少しの間とちょっと切ないトーンを帯びてギャツビーが少し笑みを浮かべながら「裏街道にはなれているんだ」という。

デイジーには告げたくなかった真実。

わずかのセリフの間とトーンでその心の内を表現してしまう杜ちゃんの演技のすばらしさ。

今さら信じてもらえないかもしれないけれど、あなたが好きよ、と告げるデイジー

言う瞬間にはデイジーにはウソはないのでしょう。だって身代わりになってくれるのだから。

これからの自分の人生は空虚だけど変わらず豪華で贅沢なものだから。

そのデイジーの言葉をまんま受けたギャッビーが、このコンサートだけのセリフとして「ぼくは銃弾に倒れることになった。でもぼくは幸せだ。ぼくはこの死によって永遠に彼女の中で生き続ける」みたいなことを言ったのです。

当時見ながら、ギャツビーは幸せな最期をむかえたと感じていた自分は間違ってなかったんだと改めて思いました。

杜ちゃんがそういう気持ちでギャツビーを演じていたことがわかってよかったとともに、「ギャツビーってバカだ。本当にバカだ」と「朝日の昇る前に」を聴きながら涙せずにはいられませんでした。

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だって確実にデイジーはギャツビーを忘れるからです。

都合の悪いことは忘れるんです。

デイジーにとってギャツビーはちょっと大き目の自分が足蹴にしてきた石の1つでしかないから。

摩利と新吾」のエピソードの中で、戦争未亡人が「バカも貫きとおせば本物になるんですよ」というシーンがありました。

バカを貫き通したギャツビーの人生が、あまりにも鮮烈で、本物の愛だったとギャツビーだけが信じているのが哀しく愛おしくて、だから今でもずっと捕らわれているのかもしれません。

 

戦争と平和より

★生命こそ愛

ここはマイマイのソロ歌唱。

素晴らしいの一言。

 

忠臣蔵より

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★花ひとつ

★花に散り雪に散り

杜ちゃんのサヨナラ公演でかつ、旧宝塚大劇場の最後の作品でした。92年11・12月公演。

作・演出は柴田先生。

再度、杜ちゃんとトモちゃんがご登場。

当時の思い出がいくつか語られましたが、印象的だったのは、大石内蔵助役のとき、組子から稽古場の外でも「ご家老」と呼ばれるのだけが抵抗あったとのこと。今までも役によって「殿」とか呼ばれたけれど、スーパーで会ったときに下級生から「ご家老」と呼ばれたときは「本当、外でご家老だけはやめて」とお願いされたそうです。笑

「花ひとつ」はトモちゃんとのデュエットだったのですが、この作曲が今回ピアノで参加されていた吉田優子先生の大劇場2、3作目の作品ということが紹介されました。

吉田優子先生も杜ちゃんと同期入団とのことで、吉田優子先生の芸能生活40周年記念でもありました。

忠臣蔵」という男っぽい作品の中で、仇同士の男女が一夜をともにした後の歌であるこの曲が匂いたつように色っぽくお好きだそうです。

大石内蔵助がトモちゃん演じる間者のお蘭に名前をきくくだりからセリフの再現があり、この曲が歌われました。

アユちゃんとは、もともとデュエットがほぼない作品ばかりだったので、トモちゃんとのデュエットを堪能しました。

そして主題歌へ。

杜ちゃんの宝塚人生とともに一部が終わりました。

 

第二部

オーバーチュア(音楽演奏のみ)

祭り

深川(舞踊)

「祭り」は先述した「花幻抄」の中で使われた曲で杜ちゃんは客席からご登場。

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二階席だったのでほとんど見られなかったのが残念ですが、その分歌声と楽器演奏を楽しみました。

そして同じ作品の中から「深川」を同期生の尾上五月(五月梨世)さんと踊られました。

当時の公演では松本悠里先生が踊られたパートを現在日本舞踊の教師をされている五月さんが踊られました。

チャキチャキしたリズミカルな舞踊なので、個人的には松本悠里先生よりも元々男役だったという五月さんの方が、踊りの性質上とてもあっていたと思います。

杜ちゃんも気楽なのか伸び伸び踊られていました。

 

Here's To You

あなたを見つめると

お着物での舞踊だったためここからはマイマイが二曲続けて歌ってくれました。

「あなたを見つめると」はスカーレット・ピンパーネルの曲でなのですが、すごかったです。

マイマイの声って楽器のように響くんですよね。もちろん情感もたっぷりで、ステキなマルグリットがそこにいました。

 

ここでミユさん、トモちゃん、アユちゃん、はやせさんも登場。

それぞれに杜ちゃんとの思い出話がありました。

アユちゃんは相手役あるあるの、キスシーンで杜ちゃんの鼻の頭に赤い口紅をつけてしまったお話しでした。

トモちゃんの思い出話がなんと「はばたけ黄金の翼よ」の新人公演のときのことで、そうかこの2人が新人公演のヴィットリオとクラリーチェだったのかと感慨深く聞きました。

ミユさんのお話しがユキちゃんのお名前も出てきたのですが、忘れてしまったのが残念。

というかミユさんの「華麗なるギャツビー」のトム・ブキャナンが大好きだったので、ミユさんも交えて再現シーンもほしかったとか贅沢なことを考えてたからぽこっと抜けているのかも(^◇^;)

そして杜ちゃんが大好きな曲をみんなで歌いますってことで次の曲が歌われました。

ビューティフル・ラブ

マイマイのソロ歌唱から次々歌い継いで、最後コーラスになるんですけれど、マイマイの声量に他のみんながついていけないため、マイマイがグッと声量を押さえたのがすごかったです。

きっと宝塚で歌ってらしたときは、ソロ以外はいつもそうされていたんでしょうね。

 

杜ちゃんが白いドレスに着替えてご登場。

この道を

これは小田和正さんの歌で、一目惚れならぬ、一聴き惚れされた曲だそうです。

 

大根役者

これは当時バウホールでのシャンソンコンサートで、割り当てられた曲だったそうなのですが、すごく「役者バカ」な曲で、とても杜ちゃんらしいステキな歌でした。

 

That's Life

前述の「ブライト・ディライト・タイム」のフィナーレ大階段で歌われた曲。

この頃は今のようにショーのフィナーレテンプレートがなくて、杜ちゃん時代の雪組はデュエットダンスはなくて、杜ちゃんの大階段ソロ歌唱で終わって、階段降りになる流れでした。

三木先生のつけられた歌詞がステキで、わたしも当時ラジオを録音して、辛いことがあったら部屋に閉じこもって何度も何度も聞いて、がんばろうと立ち上がった曲ですが、杜ちゃんにとっても大事な一曲で、サヨナラショーやCDはじめ、今も歌い続けられている曲です。

この曲の中で

♪夢を捨てるやつ、拾うやつ

という歌詞があるのですが、聞いていた当時は「夢を拾うやつ」になるために命燃やして立ち上がって生きていくんだ、と思っていたのに、結局「夢を捨てるやつ」になったなあと感慨深かったです。

 

ここで全てのセットリストが終了。

でももちろん拍手は止まなくて、アンコールで歌われたのが、これからずっと歌っていきたいと紹介された曲でした。

My Life

なんと萬あきらさんの訳詩だそうです。

 

現役時代、杜ちゃんがあまりに厳しくて組子がついていけないというウワサは聞いていましたし、実際にラジオとか聞く限り、難しそうな方だなあと感じてもいました。

でも40周年にあたって、同期生はともかく、相手役さんお二人に下級生お二人が出演してくださって、さらに上級生の訳詩の歌を歌われる杜ちゃんを見ながら、杜ちゃんが心血をそそぎ、最上級のパフォーマンスを魅せるために本当に努力されていたんだなと思いました。

だから時間が経っても、当時の近しい人たちが集まってくれる。

時間が経ったから、かもしれませんが、あの頃には見えていなかった杜ちゃんの姿が見えたような気がした最高の時間でした。

杜ちゃんが「身体が動くうちにできてよかった」とおっしゃっていましたが、本当に生きていてくださって、歌える声が出て、コンサートをやり遂げられる体力があるときにこの時間をくださったことに、ただただ感謝しかないひと時でした。

レモンはレモネード以外になれたのではないか@柚希礼音ワンマンショー・ミュージカル「LEMONADE」

7/14(日)17:00~ シアター・ドラマシティ

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キャスト 柚希礼音

作・演出:小林 香

音楽:江草啓太

振付:川崎悦子 Oguri(s**t kingz)

美術:石原 敬

照明:高見和義

音響:山本浩一

映像:石田 肇

 

柚希礼音芸能生活20周年の記念ミュージカルで、小林香さんが作・演出をするということで、「REON Jack」のようなファンクラブイベント的ショーでもないだろうと思い、見に行きました。

でも結果的にはやはりファンクラブイベント的ミュージカルだったように思います。

柚希礼音さんが自身のファンのために、「こういう自分が見たいのではないか。そして、自分は今、こういう部分も見てもらいたい」というリクエストを小林香さんに託した結果、これができあがったような、そんな気がしています。

 

わたしは「一人芝居」はわりと見ている方だと思います。

ロンドンで所属していた小劇場劇団が「ワンマンショー」をよくやっていたからです。

 



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これ以外にもゴゴールの「狂人日記」の一人芝居も見ています。

彼らはプロではなかったけれど、きちんと専門学校や大学で演劇を学んだ人たちでした。優れた脚本と優れたパフォーマーでも「一人芝居」を成り立たせるのは1時間くらいがリミットではないでしょうか。

今回はミュージカルということで歌とダンスがあったけれども、それでも2時間弱はかなり長く感じました。

逆にいうと2時間弱を1人で歌い踊り続けた柚希礼音さんの身体能力はすばらしかったです。

 

ストーリーはこんな感じでした。

 

とある岬の先端にあるサナトリウムで療養しているハイル。

彼女は1年前に自身の広告代理店(ハイル・アド)を立ち上げ軌道に乗っていたが、ある日突然倒れ、病院に運ばれた。

無菌室を経てサナトリウムに移った彼女の中には、ブルーとリラという二つの人格が宿っていた。

自分が多重人格であることを受け入れられないハイル。サナトリウムの部屋で燈台の管理人だった男の古い日記を見つける。

 

ブルーが柚希礼音さんがファンにサービスとして見せた男役の部分、そしてリラがたぶん見せたかった女の部分。それを両立させるためにこのストーリーが作りあげられた気がします。

何が個人的にきつかったかというと主人公の仕事が「広告代理店」だったこと。

わたしも一応その関連の仕事の末端にいるので、せっかく芝居を見に行っているのに仕事のことばかり思い出してしんどかったので、今後は本当にきちんとストーリーくらいは読んで、見る演目を選ぼうと思いました。

 

ミュージカル「おもひでぽろぽろ」でも思ったけれど、風刺や誇張なしでリアルに「会社生活」をミュージカルで描くというのは結構むずかしいです。

ミュージカルを作る人たちよりもたぶん観客側の方が「会社生活」をよく知っている人が多いと思うから。だから、そこにウソがあるとすごく違和感を覚えてしまうのです。

小林香さんにしても、経歴を見る限り「広告代理店」と仕事はしても「広告代理店」勤めはしたことがないようです。だから、セリフの一つ一つがものすごく「違和感」で、軽く聞こえてしまって、残念でした。

 

たぶんに柚希礼音さん側からのリクエストがあったと思われるけれど、素材として「柚希礼音」を捉えて、柚希礼音さんの能力を、魅力を目いっぱい見せられる違う演目があったんじゃないでしょうか。そして小林香さんはそういう演目を見つけられたと思うのです。

そう思うとただただ残念でした。

映像・美術もふるわず、柚希礼音さんのダンスは相変わらずすばらしかったけれど、それを最大限引き出せる振り付けでなかったことも残念な要因の一つでした。

与えられたすっぱいレモンを、甘いレモネードにできなかった。

 

これを見てから、どんなものだったらわたしは満足したのだろうと考え続けています。

今のところ思いついたのが「イサドラ- when she danced-」。

ものすごく昔に麻実れいさんで見て、難しいなあと理解しないまま終わったので、今、再び見てみたいというのもあります。

麻実れいさんは踊らないイサドラだったのですが、柚希礼音さんが踊ることで、ピアニストだけ入れてワンマンショーに仕立て直せないでしょうか。

Anyone can dance. Anyone.
It's there, inside of you.
Touch your own spirit, feel it, nourish it, release it,
and then come forth with your own great strides, no one else's.
With your own leaps and bounds, no one else's,
with your own foreheads lifted and your own arms spread wide,
come forth then and dance!

誰だって踊ることはできる。誰でも。
踊りはそこにある、そうあなたの内側に。
自分の魂に触れて、感じて、育てて、解放するの。
そうすれば踊りになる、偉大なる一歩でね。誰でもない、あなた自身のその一歩が。
飛んだり跳ねたり、誰でもないあなた自身で。
頭を動かして、腕を大きくひらいて。

そうするとあらわれる、それがダンス!

「イサドラ」- When She Danced - 

このセリフを柚希礼音さんで聞きたいんですよね。

(あ、日本語はわたしの意訳なので、間違っているところあると思います。ご了承ください)

ワンマンショーでなくてもいいので、近いうちに再演を待ちたいと思います。

わかりやすく凄くて、ちょっとわかりにくい話@日本版「ピピン」

 7/13(土)12:00~ オリックス劇場

ピピン 城田優

リーディングプレイヤー クリスタル・ケイ

チャールズ 今井清隆

ファストラーダ 霧矢大夢

キャサリン 宮澤エマ

ルイス 岡田亮輔

バーサ 中尾ミエ

テオ 河井慈杏

 

ストーリー他は過去2回の観劇記録をどうぞ。

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上記の来日公演版をかなりいい席で見て大満足していただけに、今回の日本版はどうしようかなあとかなり迷っていたのでした。

その迷いを取り払ってくれたのが、演出のダイアン・パウルスのこのインタビューでした。

ブロードウェイミュージカル『ピピン』演出家:ダイアン・パウルス インタビュー | ローチケ演劇宣言!

キャストもさることながら、演出のダイアン・パウルス自身も日本人とのミックスだったことをはじめて知りました。

 

海外から演出家が来る場合、演出の際の指示や訳詞などの問題がうまく行っている場合とそうでない場合の両方を見ることがあります。

その差は何で生まれるのかはわかりませんが、英語を解する主要キャストと日本にもルーツを持つ演出家が、日本語で改めて作る舞台とはどんなものだろう、と再び興味が沸いたのです。

 

相変わらずビンボーなのに観劇続きでチケット代の捻出が厳しかったことと、あのイリュージョンな舞台を今度はてっぺんから見たらどうなるだろうという2つの理由で三階席を選択しました。

 

ところで、皆さまは太神楽曲芸というのをご覧になったことがあるでしょうか。

わたしは二年前にはじめてこれを目の前で見まして、人間技とは思えないことが繰り広げられるというのは単純にすごいと感動するものだなとしみじみ思いました。

シルクドソレイユがずっと流行っているのもたぶんそういう理由なのでしょう。

 

さてこのダイアン・パウルスのピピンではこの「曲芸」をショーにまるっと取り込んでしまった、ここが1番の優れた点だと思います。

 

1972年に作られたこの作品は、メタフィクションを使った内容的にははっきり言って「分かりにくい」部類に入ると思います。

この物語が何を語りかけているのか、この物語から何を受け取るのかは、かなり観客側に委ねられています。

 

その小難しさを楽しませる手法として「サーカス」という曲芸を用いたのは本当に素晴らしいです。

さらにその「サーカス」がメタフィクションになっているのがまたすごい。

 

演出や曲芸、振付、衣装、美術はブロードウェイ版そのままなので、日本語版でも本当に素晴らしかったです。

 

ただ残念だったのが、セリフを伝えることと訳詞でした。

公演中あれだけ笑って、盛り上がった熱い客席だったのに、ラストシーン近くではなんだか反応が薄くなり、帰りに「え、だから最後のあれはなんやったん?」と話している観客が多くいたのは、やっぱり伝わってないのだ、と思わざるを得ませんでした。

 

少なくともはじめて日本語で見たピピンでは、わたしは何の疑問も抱かず、この作品のメタフィクションを受け入れていたし、来日公演版では、その最初の日本語版で不満だった部分を、ダイアン・パウルスがめちゃくちゃゾクゾクするシーンに変換してきたことに感動しました。来日版が初ピピンだった友人たちからも「すごい!感動!」という感想はきいても「わからなかった」の声を聞かなかったということは、やはりセリフと訳詞に問題があったのだと思います。

 

個人的にはExtraordinaryが気になりました。

この曲のextraordinaryを訳さずそのまま歌い、特に歌詞の中でextraordinaryがどういう意味かの補足もなかったと思います。

(でも調べてみたら、わたしが最初見た日本語版と同じ小田島恒志さんの訳詞なんですね。音響のせいなんだろうか)

ピピンが「オレみたいな特別な人間は、もっと特別な人生をおくらなきゃならない」と歌うこの歌が全体に聞き取りづらかった上に、サビのextraordinaryが英語のままだったのは残念でした。ピピンのこの思考がこの舞台の世界すべてを作っているのだから、ここが伝わらないのはツライ。

そしてリーディングプレイヤーのセリフが全体的に平坦で聞き取りにくかったのもツライ。

 

この2点が、このピピンにあるメタフィクションをなくし、ただサーカスの楽しいだけの舞台にしてしまった気がするのです。

 

とはいえ、このなんでもない衣装が激しく似合う城田優はすごい!

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そしてやっぱり体格も声もズルイ。

トートの時に痛感したけれど、日本人には出せない声の響き方をするんですよね。胸骨の中で響かせて、喉を通ってくるような楽器のような声。あとは本当に聞き取りやすい発声を訓練してもらえたら、個人的にはいうことなしです。

チャーミングだし、華も存在感もあるし、もっともっと舞台で活躍してほしいです。

 

逆にクリスタル・ケイさんがわりと日本人的な発声だったことに驚きました。

とはいえ、フェイクの使い方なんかはさすがシンガー。さらにダンスもかなり訓練した感が伝わりました。

もともとボブ・フォッシー振付・演出の舞台。

そして今回の振付もそのフォッシーのニュアンスはしっかり残っているので、かなり踊れないとツライんです。

なのにクリスタル・ケイさんはちゃんと観られた。これは本当にすごいことだと思います。

 

キャサリン役の宮澤エマさん合わせて、この三人が主要キャストであったこと、これは今回のカンパニーならではの「日本」のミュージカルへの挑戦だったように思います。

でも城田優くんとクリスタル・ケイさんが宮澤エマさんレベルの伝わる発声になってくれていればもっとよかったなとも思いました。

 

なぜならファストラーダ霧矢大夢さんがすごかったから。もう歌もダンスも演技も発声も完ぺき。あのフロアいっぱいを使ってガンガン踊りまくる霧矢ファストラーダに夢中!

そして今回の露出の高い衣装ではじめて気づいたんですけれど、めちゃくちゃ身体がキレイなんですよ!

本当に魅力的なファストラーダでした。

そしてもちろん宮澤エマさんのキャサリンがかわいい!もうめちゃくちゃかわいい!演技もサイコー!ピピンとキャサリンのラブ・デュエットは数あるミュージカルのデュエットの中でも個人的に大好きな一曲です。

 

この演出でのバーサはある意味おいしい役なんですけれど、中尾ミエさんもサイコー!!

わたしが最初に見た「ピピン」でもバーサをおやりになっていたんですね(^◇^;)

でも今回の演出のバーサはおいしい役だけにかなりいろいろがんばらないといけないんですけれど、素晴らしかったです。

そしてみんなでバーサとサビを歌うのですが、ここは日本語がありがたかった。

(あ、英語版同様、字幕がちゃんと舞台にでますので、歌詞知らなくても大丈夫です)

メロディは単純なんですけど、英語歌詞だとわたしの能力ではついていけなかったので、日本語で一緒に歌えるのは本当に楽しい体験でした。

 

なので、ザクッとストーリーを頭の中に入れてもらって、ミュージカルに興味ないやって方に、ぜひともこの作品を見てもらいたいです。

観客サービスは来日版より満点だし、曲芸はすごいし、笑えるし、一緒に歌えるし、すごく楽しめる舞台なんですよ!そして城田くんはかわいい❤️←大事w

 

残すはこの週末の静岡公演のみになってしまいましたが、ぜひともこの機会を逃さないでいただきたいと思っています。

革命記念日の前日だったことさえも意味がある気がしてくる@花詩歌タカラヅカ「ベルばら名場面」

7/13(土)18:30〜 喜楽館

 

宝塚ファンとして「ベルサイユのばら」上演45周年を勝手に祝おう!

というのが趣旨だと聞いていたのですが、まず。

なぜそれなら、革命記念日の今日にやらなかったんだ!

と突っ込まずにはいられなくなる、この辺りからなんかもうすごいです。

 

さてわたしも花詩歌タカラヅカを「風と共に去りぬ」「ノバ・ボサ・ノバ」「エリザベート名場面集」「ファントム」と見てきて、ずいぶんと慣れてきました。

 

いつものように落語4席からはじまります。

桂三金『百貫で舞』

笑福亭生喬『ヅカタツ

桂春雨『代書屋(宝塚歌劇版)』

桂あやめ『歌劇場風景』

 

生喬さんの『ヅカタツ』と春雨さんの『代書屋(宝塚歌劇版)』は、はじめて花詩歌タカラヅカに行ったときに一度聞いているのですが、なんかパワーアップしていました!

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しかもより落語の方にではなくて、より宝塚の方に(^◇^;)

「ヅカタツ」はタツオというおじいちゃんが宝塚歌劇にハマる話しで、特にロミジュリがお気に入りっぽく、ロミジュリの歌が入るのですが、なんか前回より歌が多かった気がするのですが、気のせいでしょうか?

そしてセンスはシャンシャンにもなるんですね、すごいです。

 

代書屋のオチも、え、これだったっけ、前回?と思ったのですが、前に聞いたときは落語自体も初体験だったので、すっかり忘れていたのかもしれません、すみません。

いやー、でも面白かった、さすがです。

 

そしてあやめさんのまくらで、下記2点が大事な事項として告げられました。

①今まで宝塚メイクはメイクさんにしてもらっていたけれど、今回からは自前。

②アントワネットとオスカルのカツラがない。

アントワネットは貴婦人のものを使いまわして、一人貴婦人のカツラがどうなっているかはわからない。

オスカルはストレートヘア金髪カツラで間に合わせた。

 

さあそんな戦々恐々の「ベルばら名場面」は「ごらんなさい ごらんなさい(再びバラが咲きました)」からはじまりました。

あ、ちなみにわたしの本家「ベルばら」経験はこんな感じです。

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小公子の月亭天使さん&はやしや香穂さん、小公女の笑福亭生寿さんもかわいいけれど、うしろのJKたちがかわいいっ!ピュア!

そしてアントワネットさま(笑福亭生喬さん)のご登場!

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いやー迫力!白カツラもいいじゃないですか!

しかも生喬さんは芸大の美術学部だったとのことで、自前メイクもやってみたらほぼ絵画、芸は身を助けるとおっしゃっていたけれど、その通りメイクもお綺麗です。

そして、プロローグは加速していきます。

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オスカル(林家染雀さん)&フェルゼン(桂春雨さん)がご登場。先に告げられていたので、オスカルのカツラもそんなに違和感ありませんでした。

 

そしてお馴染みの浪曲(真山隼人さん&沢村さくらさん)で乳母がジャルジェ家にアンドレを連れてくることが告げられます。

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ジャルジェ将軍とジャルジェ家姉妹と、なぜかル・ルーも。あ、木も。
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そして子アンドレの登場。

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アンドレのJK、かわいい!f:id:morton:20190714112359j:image

そして子オスカルのJKもかわいい!

断言する。この2人は本家をしのいでいます、年齢で!
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そして木の裏を通って、大人のオスカルとアンドレ(桂あやめさん)に。
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そしてアントワネットとフェルゼンの逢瀬。
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↑これが何が起こったところなのかは、ぜひ横浜にぎわい座でご確認くださいw
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なぜかトートのようなマントを広げて、逢瀬完了。

そして貴族の奥さま方が、舞台設定とか説明していると、オスカルの登場。
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このモンゼット夫人とシッシーナ夫人のくだりは、ネタかと思われた落語ファンの方もいらっしゃるかもしれませんが、本当に植田紳爾脚本にあったシーンです。
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まあシッキンナ夫人はさすがに本家にはいませんが(^◇^;)
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そしてここで、オスカルがロザリー(桂三金さん)を引き取ったシーンをプレイバック。

サイコーでした。
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でもフェルゼンに「人を愛したことのないキミにはわからない」と言われる切ないシーンへ。
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ここの染雀さんの「愛の巡礼」は絶品。
でもオスカルにはアンドレがいる。

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アンドレ、わたしが好きか。わたしのことを愛しているか

の後に続く、アンドレの名台詞の途中でいきなり「わたしを抱け」が入り、あやめさんから「まだあんねん」と突っ込まれ、最初からやり直し(爆笑)

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無事、話しがすすんでホッ。

そして「今宵一夜」です。

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これ、これが「ベルばら45」でも見たかった(涙)
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そして名台詞「マリーアントワネットはフランスの女王なのですから」で
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幕。

すぐにはじまった二幕は浪曲で「青きドナウの岸辺に」を歌ってくれ、革命が進んでいる状況が説明されます。

そして、ジャンヌ(桂あやめさん)の登場!!
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あ、一部でも登場してるのですが、ここからがジャンヌの見せ場、名シーンなのです。
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無実の罪(本当は有実だけどw)を着せられた印の焼きごてあと。
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そしてここから「あの女をギロチンに」の迫力。「王妃を死刑に」の歌はやっぱりこのジャンヌのくだりがいりますよ!
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でお馴染みのシーンですが、アンドレが視力を失ってるくだりはなかったので、その辺りのセリフはカット。

ここのアンドレは生寿さんなので(前のシーンであやめさんがジャンヌで登場しているため)、ヅカメンズ!!の宣伝を一通りやるというw
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なので、オスカルも「やっと死んだか」と一言(笑)

でも「シトワイヤン、ゆこーー!!」とバスチーユダンスがはじまります。
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そして撃たれるオスカル。
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なんとか持ち上げる衛兵隊の天使さんと香穂さん。
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バスチーユに白旗があがって絶命。

1789年7月14日のことでした。f:id:morton:20190714112501j:image

さて物語はまだまだ続き、「駆けろペガサスの如く」でバシバシ叩かれる馬と、やたらとポーズがきれいな春雨フェルゼン。
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牢獄のアントワネットとロザリーのもとに
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フェルゼンがやってきます。
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でも「フランス女王」として断頭台に立つことを選ぶアントワネット。
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さようならパリ、さようならベルサイユ、さようならフランス!

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王妃さまーー!

ああ、いいですね。名シーンですね。

例え断頭台への階段が三段しかなくて、三段目でひたすらアントワネットが足踏みをしてても、いいシーンです(๑˃̵ᴗ˂̵)っf:id:morton:20190714112402j:image

でフィナーレになるかと思いきや、なんとバラタン(薔薇のタンゴ)みたいなのもありました!
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満を辞して、エトワール、電飾担当の百貫で舞さんこと桂三金さんのご登場。
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そしてフィナーレ。

なんと今回は1時間ちょっとで納まりました。

もう本当にね、本家も「ベルばら」やるときはこれくらいでいいと思います。

「ベルばら45」もジャンヌの復活とか、今や本家で見せてくれない部分を見せてほしかったです。

ということで、大喝采のちに花詩歌タカラヅカ、オリジナルソングで最後になりました。

来年の花詩歌タカラヅカの演目も気になりますが、それまでにこのオリジナルソングをマスターして、一緒に歌えるようになりたいと思います!

あなたが隣で一緒に笑ってくれるから生きていける@KERA MAP「キネマと恋人」

7/6(土)18:00~ 兵庫県立芸術文化センター 中ホール

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【台本・演出】 ケラリーノ・サンドロヴィッチ

【出演】

緒川たまき(森口ハルコ)
妻夫木聡(高木高助<俳優>/間坂寅蔵<映画の登場人物>)  

ともさかりえ(ミチル他)

三上市朗 佐藤誓   橋本淳
尾方宣久 廣川三憲 村岡希美

崎山莉奈 王下貴司 仁科幸 北川結 片山敦郎

 

stok0101.hatenablog.com

 

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 この二つの作品で、ものすごーく今さらながら「ケラリーノ・サンドロヴィッチ」作品のファンになったわたしは、「ケラさまの昔の作品が兵庫に来るよ」と聞いて、それだけで「行く」と答えました。

キネマと恋人

キネマと恋人

 

 

そして何の前知識のないまま、座席につきました。

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はじまってみたら、「カイロの紫のバラ

そのものの内容に驚愕。

え、これって「カイロの紫のバラなの?」ととまどいつつも、キャスト陣のすばらしい演技と、セットのステージング、そしてかわいらしいセリフたちにキュンとしたり、思わず笑ってしまったりしながら1部が終わってしまいました。

そして幕間に「カイロの紫のバラ」を元にした作品だったことを知ったのでした。

 

ちなみにウッディ・アレン監督の「カイロの紫のバラ」とはこんな作品です。

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 とはいえ、舞台は昭和初期の日本。どこかの田舎の小さな港町の設定になっていて、セリフは北国の方かなと思わせる架空の方言で書かれています。

映画の方の主人公セシリアは、普通に映画の主人公、スターを好きになる女性なのですが、ハルコはスターよりもわき役に心惹かれ「キネマ旬報」を熟読するオタク的な部分をたぶんに持っています。

そして、そんなハルコが好きな俳優「高木高助」はスターではなく売り出し中の青年なんですね。

だからハルコと高木高助が出会って話しをすると盛り上がって、高助がハルコに好意を抱く展開は映画よりもリアルに感じました。

映画は「夢物語」を強調することであのラストが活きてくるので、映画は映画で完ぺきなんです。

その完ぺきな映画を舞台化する際にこういったところで、舞台の生もの感とリアリティに差し替えてくるところが、もうさすがケラさまなのです。

 

しかしキャストの設定に多少のズレが生じているとはいえ、物語は映画のままに進んでいきます。

だからこの先どうするんだろうと、笑いながらもドキドキハラハラしながら凝視していたら、映画と同じく映画館に戻って、新作映画を見ながら少しずつ映画の世界に入り込み、笑顔になっていくハルコの横に妹のミチルがきてくれるんです。

 

ここでわたしの涙腺は崩壊しました。

 

ここも映画と違う点なのですが、ミチルが映画の主人公をやっているスターとひょんなことで一夜をともにしてしまいます。

もちろん彼は遊び。でもバツイチ子持ちのミチルは「本気」と信じたい。

そこですったもんだがあって、やっとミチルは現実を受け入れます。

経緯や質は違うかもしれないけれど、ハルコとミチルは結果的には同じような経験をするわけです。

スクリーンを見ながら笑い合う姉妹。

その心の内は見えないけれど、ハルコもミチルもきっとこれからはもっと強く生きていける、そう思えたのです。

 

映画「カイロの紫のバラ」のセシリアは一人でした。だから彼女はこの後、夫のはいた捨て台詞そのままに彼の元にもどるかもしれない。同じようなちょっと辛い毎日を支えるものとして「夢のような映画」はあるのだ。心がちょっとつかれているときに支えてくれる、それが「娯楽」なんだと痛感して、しみじみすごい「映画」だなあと思ったものです。

 

でも「キネマと恋人」では、わかってくれる人が一人でもいたら、人は少し変われて、少し強くなれて、ちょっとだけ違う人生を選ぶ勇気がでるかもしれない、と思わせてくれたのでした。

それはもちろん友だちであっても、単なる知り合いだったりしてもいい。

でも「キネマと恋人」ではそれは妹なのです。

劇中にもちょいちょいと「どうでもいい姉妹の会話」が入っていて、それがかわいくもわずらわしくおかしく、愛おしいです。

アナと雪の女王」でもそうだったのですが、わたしはそんなに関係性の悪くない姉妹なので、どうしても「姉妹」萌えに入ってしまい、ミチルの登場に涙腺を崩壊させてしまったのでした。

 

でもそんな個人的なところを抜いても、「キネマと恋人」は単なる「カイロの紫のバラ」の舞台化ではなくて、映画とはちょっと違うものを届けてくれるステキな作品でした。

なにより舞台美術がすばらしい!

大道具が出演者の手で運ばれ、並び替えられて、次々とシーンが変わっていく。

イスが音楽に合わせて踊るように位置を変えるのは、少し「トミー・チューン版グランドホテル」を思い出させました。

映画の「グランドホテル」も劇中の会話で登場するのですが、全体にMGMミュージカル黄金期を感じさせる演出が好きでした。

 

それにしても緒川たまきさんのチャーミングさといったら!

声の美しいので、ハルコの話す「どこかはわからないけれど北国っぽい方言」のセリフがいちいちかわいい。ばりんこかわいい。さらに動き方も美しい。

その点で最初ともさかりえの声が気にはなったのですが、どんどんとミチル役として魅力的になっていくのがさすがでした。だからミチルが来てくれて、嬉しくて、泣いてしまったのです。

妻夫木くんは映画の中の役の方が、彼本来がもっている柔らかさや明るさがでていてよかったです。もちろん高木高助も好演。高木高助としての最後の船での演技は情感たっぷりで魅せました。

 

その他の方は一人何役もこなされているのに、全くそれを感じさせないのが本当にすごい。

 

音楽は終始「Cheek to Cheek」がかかり、心から「愛おしいなあ。好きだなあ」と思える作品でした。

それにしてもあの劇中で流れていた「架空の映画」の不条理さよ(笑)

「ミイラのミは包帯のほ」って意味不明のセリフ、誰が書けます?もうケラさまサイコー!

あれを撮影しているときの出演者の気持ちを勝手に想像しては、またにやけてしまう、そんな何倍もおいしい舞台でした。

恋心を描けばもっと面白くなったはず@宝塚雪組「壬生義士伝」「Music Revolution」

6/7(金)13:00~ 宝塚大劇場

壬生義士伝

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脚本・演出 石田昌也

吉村貫一郎  望海 風斗
しづ/みよ 真彩 希帆  
大野次郎右衛門 彩風 咲奈  
ひさ 梨花 ますみ  
松本良順 凪七 瑠海  
佐助 透真 かずき 
土方歳三 彩凪 翔  
近藤勇 真那 春人  
伊東甲子太郎 煌羽 レオ  
斎藤一 朝美 絢  
原田左之助 橘 幸  
みつ 朝月 希和  
永倉新八 真地 佑果  
沖田総司 永久輝 せあ  
大野千秋 綾 凰華  
吉村嘉一郎 彩海 せら 

 

原作はこちらになります。

南部地方盛岡藩の下級武士・吉村貫一郎が、貧困に苦しむ家族を見かねて、剣の腕1つで身を立てられると聞いた新撰組に入るために脱藩する。

その剣の腕を認められ新撰組で活躍する貫一郎。人の嫌がるような残虐な仕事も引き受け、もらった俸給を妻子に送り続ける。

しかしながら刻々と変化していく世の中に巻き込まれ、鳥羽伏見の戦いで傷ついた貫一郎は、助けを求めて大阪にある南部藩蔵屋敷へ駆け込む。そこにいたのは、かつての幼なじみで今は南部藩蔵屋敷差配役の大野次郎右衛門だった。

 

昔、この映画を見た記憶はあるのですが、

壬生義士伝 [Blu-ray]

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残念ながら全く内容を覚えておらず、原作も未読のまま観劇しました。

 

宝塚版の「壬生義士伝」は華やかな明治時代の鹿鳴館からはじまり、明治時代と当時を行き来しながらストーリーが進む、という作りになっています。

そのため明治時代の人々は完全にストーリーテラー

耳で物語の説明を聞かなければなかないのはそれだけでけっこうなしんどさです。

だから吉村貫一郎の状況の把握具合や心境が分かりにくい、これが一番の問題だと思いました。

 

吉村貫一郎というキャラクターは原作の力で非常に興味深い人物に描かれています。

脱藩の際の大野次郎右衛門とのやりとりで、「新撰組」を正義のものと思っていないことはわかりますが、その後、変化する状況を彼はどうとらえているのか、妻子のことはどう思っているのか、何を思って「鳥羽伏見の戦い」に参戦したのか、そういうところがパコっと抜けているので、彼の最期がどうもしっくりこないのです。

望海 風斗さん(だいもん)がせっかく熱演してくれているのに、その心境に入り込めないのは一重に脚本のあり方だなあと思います。

 

ただ殺陣はしっかりしていましたし、新撰組の登場シーンはやっぱりワクワクするし、銀橋に芸妓衆がズラッと並んで踊るのは美しく華やかで、ショーとしての見せどころは押さえている分、月組の「夢現無双」よりは普通に楽しく見られました。

そして多分、原作を読んでいくと世界観にも入り込めると思うので、これからご覧になる方には原作を読んでいかれることをおすすめします。

 

わたしは観劇後に原作を読んだのですが、原作は色んな人や吉村貫一郎自身が当時を語る方式で書かれていて、面白いです。

そしてそれを整理し、宝塚歌劇としてふさわしいカタチにするのが、座付き作家の仕事じゃないかと思うのです。

ポーの一族」が時系列で宝塚らしいところを盛って、主人公の感情について行きやすいすばらしいエンタメ作品に仕上がっていたことを思うと、この演目も、もうちょっとやりようがあったはずなのです。

 

例えば華やかさには欠けるけれど、最初のシーンを「鳥羽伏見の戦い」に巻き込まれないよう声高に命令する大野次郎右衛門と緊迫した雰囲気の南部藩蔵屋敷吉村貫一郎がやってくる、にしたらどうでしょうか。

次郎右衛門の苦悩がもう少しわかりやすくなるし、吉村貫一郎がそんな緊迫した中でも郷里に帰りたいとやってきた必死の思いがもう少し伝わると思うのです。

 

わたしが一番わからなかったのが、吉村貫一郎が「みよ」との婚姻を断ったこと。劇作だけでは、彼は家族の生活のために守銭奴と蔑まれても、金銭を稼ぎ送っていたとしか受け取れなかったんです。だからより家族が安全で金銭的にも守られる体制になる婚姻を断った理由が、吉村貫一郎から語られるけれどもイマイチしっくりこなかったんです。

 

さらに深手を負っても故郷に帰りたいと南部藩蔵屋敷にやってくる吉村貫一郎の行動がわからなかった。そんな状態で故郷に帰っても本当に家族の負担になるだけなのに、帰りたい気持ちが理解できなかったのです。

 

でも原作を読んで分かりました。

吉村貫一郎は「しづ」に惚れて惚れて惚れぬいていて、しづとその家族を「自分」が守り抜くことが生きがいだったのです。

わしは命ばかけて働ぐことができる。何の脇見もする要はねえのさ。おのれの生ぎる道に、何の疑いも持つことはねえのさ。男として、こんたな有難え道はなかろう。

(浅田次郎壬生義士伝」より)

だから「みよ」とも結婚できないし、死を目前にして「しづ」に会いたい一心で南部藩蔵屋敷に来たわけです。

そしてこれは宝塚歌劇で最も描くべきところだと、わたしは考えます。

ええ、公式ホームページ浅田次郎氏×石田昌也 対談 | 雪組公演 『壬生義士伝』『Music Revolution!』 | 宝塚歌劇公式ホームページ

で石田先生と浅田次郎さんが「義」のことを語っていますが、それよりも描くべきは吉村貫一郎の恋」だったと思います。

そして原作によると、それこそが彼の「義」なんですよね?

 

だったら「南部賛歌」で故郷の美しさだけを歌わず、「美しい南部の地、それ以上に美しいお前」くらいに歌うべきなんですよ!

そして「石を割って咲く桜」で「お前のために」なんてぼんやり歌わず、もはや「華麗なるギャツビー」の「デイジー」的に「しづ、しづ、この身を捧げたお前」くらいダサくとも名前を連呼して歌ったらいいんですよ!

 

で華やかに南部のお祭りシーンか何かを作って、しづがモテモテ小町娘的なプロローグにする。

それを若き貫一郎と次郎右衛門が二人で見てて、「太王四神記」の若きタムドクとヨンホゲみたいに2人で仲良くしながら、お互いしづのことを好きだと告白しあい、でも次郎右衛門は大野家の跡取りになることになったから、身分違いで無理だな、とか、貫一郎お前がしづを幸せにしてやってくれ、とかやって、告白のシーンにつなげれば、2人の関係性も、しづへの恋心ももっとはっきりして、最期のシーンがもっと響いてくるんじゃないかと思ってしまうのです。

 

明治時代は全てカットで、狂言回しはみつと大野千秋にさせればいいと思います。

あと貫一郎に送ってもらったお金で、しづの故郷で百姓をしながらも穏やかに暮らしている家族の様子も描きましょうよ。なんで真逆を描くかな。その中で嘉一朗だけが百姓ではダメだと感じている様子をのぞかせておく。

 

あとの新撰組のくだりとか、みよとの見合いとかはそのままでいいから、最後は大阪の南部藩屋敷シーンに戻り吉村切腹までして、ぜひしづに迎えにきてもらいましょうよ。

わたしが一番グッときた次郎右衛門と実母のシーンは泣く泣くカットして、フィナーレでしづと貫一郎がデュエットする中、秋田征伐へ向かう次郎右衛門と嘉一朗、兄を止めてと大野千秋にすがりつくみつあたりを描写して終わって良かったと思うんですけれど、ダメですか?

 

トップコンビ一緒のシーンは少なくとも、そこにはっきりと「恋愛」が描かれていたら、それはそれでいいラブストーリーであったし、「1人の人間が生きた話」になっただろうなと思うと、惜しいです。

 

わたしが見に行ったのが、まだ初日開いて1週間目だったので、演技的なところはともかくも、とりあえず日本物の所作が気になりました。

特に吉村貫一郎斎藤一も、近藤勇土方歳三と違って、足軽とはいえ武家の出身です。

武士で剣客の2人が、刀を鞘に納めるところでしばしばもたついていたのがものすごく気になりました。

そして2人とも鞘に手をクッとかける仕草がバシッと決まらない。そこで「人を切る」狂気や覚悟みたいなものをにじませることができたら、もっとよかったろうなと思います。

 

とくに吉村貫一郎は普段の優しくて穏やかな人格と人を切るときの二面性をもっと明確に出してほしかったですし、斎藤一は「人を切りたくてたまらない」サイコパス的なムードがほしかった。

けれどそれ以外の演技はきちんとできてきたので、この辺は今ではもっと良くなっているんじゃないでしょうか。

 

大野次郎右衛門はお装束を美しく着こなしていましたし、庶子の出ながら幼くして位の高い家で育った上品さがありました。これは素晴らしいことだと思います。

ので、逆に「鳥羽伏見の戦い」の激しさの中でもきちんと状況を観客に伝えられるセリフの言い方をがんばってほしかったです。でもこれも今はちゃんと出来てると信じたい。

 

沖田総司は華やかで目をひきました。まだ若いので今はそれで十分かな。できるなら総司の明るさの中にあるもう少し深いところを表現できたら、より面白くはなると思います。

 

あと佐助が全然劇中の記憶がないんですけど、小説では重要な役どころなんですよね。

そう思うと原作を読み直した今、もう一度見たい。

そしてそう思えるだけ、まあまあ及第点な演目になったんじゃないかと思います。

 

それにどんなにこの「壬生義士伝」が平均点以下でも、今回もショーがあります!

「Music Revolution」ダンスダンスダンスのめっちゃくちゃ楽しいショーでした!

鉄壁の歌声と華やかさを誇るトップコンビと、ダンサー二番手ががっつり得意分野で活躍して魅せる。

かつスターとスター予備軍にたくさん場面を与えられて、惜しみなく銀橋渡ってアピールしてくれるので、もう意味なく楽しいです。

生徒の力と振付家の力を信じた中身のなくて楽しいこれぞショー!て感じなので、初心者の方でも楽しめるのではないかと。

 

そう思うと、やっぱり「壬生義士伝」にもう一つ惹きつける「何か」がほしかったなあと思います。

 

 

役者にとって難しいと観客にも難しい@シアターコクーン・オンレパートリー2019「ハムレット」

6/8(土)18:30~ 森ノ宮ピロティホール

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■作:ウィリアム・シェイクスピア
■翻訳:河合祥一郎
■演出:サイモン・ゴドウィン
■美術・衣裳:スートラ・ギルモア
■出演:ハムレット 岡田将生、オフィーリア 黒木華、ガートルード 松雪泰子、レアーティー青柳翔、フォーティンブラス 村上虹郎、ポローニアス 山崎一、クローディアス 福井貴一、ホレイシオ 竪山隼太、劇中妃 秋本奈緒美

 

新訳 ハムレット (角川文庫)

新訳 ハムレット (角川文庫)

 

今回はこの翻訳が使われていたようです。

有名な「to be or not to be, that is the question」を「生きるべきか、死ぬべきか、それが問題だ」と訳したバージョンです。

このセリフの後、実際にハムレットが首吊り自殺をするようなパフォーマンスを見せるのが、絵面として面白く見ました。

 

ただ全体に演出もセットもオーソドックスで、衣装もコスチュームでないだけのオーソドックスなもので、ビジュアル的にも解釈的にも新しいものはありませんでした。

 

改めて思ったのはこのハムレット役というのは、本当にセリフが膨大で、それを自分の中で消化して演技をするということは、とても難しいということでした。

 

「皆既食」で蠱惑的で弱くてズルいランボーをあれだけ魅力的に演じていた岡田将生くんも、このハムレットではセリフを言ってそれらしい演技をするだけで精一杯な印象を受けました。

ただ「尼寺へ行け」のシーンだけは、彼があの時点でどこまで考えていたのかは不明だけれど、「オフィーリアを守りたい」という気持ちから出てきたのかな、ということを初めて感じさせてくれました。

これは岡田将生くんの持っている何かなのか、演出のせいなのかは分かりませんが。

 

わたしのハムレット初体験は麻実れいさんがハムレットを演じたバージョンだったのですが、これはセリフの一部を歌にしていたのですね。

翻訳は小田島雄志さん版でした。

ハムレット (白水Uブックス (23))

ハムレット (白水Uブックス (23))

宝塚版「HAMLET!!」

TAKARAZUKA SKY STAGE 10th Anniversary Eternal Scene Collection「HAMLET! ! 」 [DVD]

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は映像を見ただけですが、こちらもうまくロックオペラ化されていて、そうすることによって観客も楽に見られる部分も多いのだなあと思いました。

 

ご存知のように、ほぼハムレットの葛藤が描かれる演目なので、オフィーリアをはじめ、クローディアス、ガートルードなどはほぼ描かれていないも同然です。

そうなるとそこにどれだけ演出と演技を入れていくかは、演出家と役者の力量によるのですが、そこのところの演出も今回はうまく働いていない気がしました。

 

黒木華ちゃんのオフィーリアは狂ってからはものすごく可愛くて透明感もあって素晴らしかったのですが、「どうしてオフィーリアは狂ってしまったのか」を想像させるまでには至らず、狂ってからがすごくよかっただけに残念でした。

 

そしてクローディアスとガートルード。

この2人も演出によってどうとでも味つけできると思うのです。

上記にあげた2つの「ハムレット」でのクローディアスが岡田真澄さん、越乃リュウさんが演じていたこともあって、色気のある人物だったのですよね。

だからガートルードが惹かれちゃったのもしょうがないか、と納得できたし、なんならガートルードもクローディアスと結婚したいから、夫の殺害に共謀したんじゃないの、くらい思わせてきたのが面白かっただけに、今回、正統派な見せ方をされると、全体的に人物がぼんやりした印象になってしまったのです。

 

そんな中、一番個人的に素晴らしかったのが、フォーティンブラスを演じた村上虹郎さん。

まあ最後をあれだけバシッと締められる存在感とセリフまわし!

まだまだ若いのにこれだけ存在感を示せるのは、これからの期待が高まりました。

 

ところで、わたしが初めて見た麻実れいさんのハムレットは誰の演出だったんだろうと調べて見たら、ジャイルス・ブロックさんという英国の演出家でした。

そしてその初演だけ羽野晶紀さんがオフィーリアを演じてらしたことを今、知りました。

本当に初演を見られてよかった、くらいにわたしの中でオフィーリアは羽野晶紀さんのイメージなのです。

羽野晶紀さんのオフィーリアにものすごくインスパイアされて、当時脚本家や演出家に憧れていたので、脚本を書いてみたりしたことを思い出しました。

今回の「ハムレット」という作品には、そこまで何かを掻き立てるものがなかったのです。

 

でも二部の方は展開早くスピード感があり、それなりに面白く見ることができました。

 

ところでジャイルス・ブロックさん脚本・演出の「ハムレット」が上演されたときには、小田島雄志さんの翻訳本が劇場で販売されていて、即購入して読みました。

シェイクスピア劇はじめいわゆる有名な戯曲が上演されるときには、一緒にこういう翻訳本の販売があると、戯曲を読むことに親しみができるのではないかと思うのですが、それ以降見たことないのは、いろいろとオトナの事情があるのでしょうか。