こんなことを思ったり。ぼちぼちかんげき。

アラフォー負け犬がビンボーと戦いながら、観劇したものなんかを感激しながら記録。

今でも、そして今だからこそ輝く人たち@宝塚花組「はいからさんが通る」

7/25(土)13:00~ 宝塚大劇場

脚本・演出 小柳奈穂子

キャスト

伊集院 忍  柚香 光  
花村 紅緒  華 優希   
青江 冬星  瀬戸 かずや    
鬼島 森吾  水美 舞斗   
伊集院伯爵  英真 なおき  
伊集院伯爵夫人  美穂 圭子 
花村 政次郎  冴月 瑠那 
如月  鞠花 ゆめ  
狸小路伯爵  舞月 なぎさ  
ラリサ  華雅 りりか   
ばあや  真鳳 つぐみ   
印念中佐  優波 慧  
花乃屋 吉次  朝月 希和  
高屋敷 要  永久輝 せあ   
青江 須磨子  春妃 うらら  
牛五郎  飛龍 つかさ     
北小路  環 音 くり寿    
藤枝 蘭丸  聖乃 あすか 

 

1.はじめに

わたしの「はいからさんが通る」の第一印象はマンガでもアニメでもなく、こちらでした。

われながらアラフォーらしい・・・。
原作マンガも読んだ記憶はきちんとあり、青江冬星さんが雑誌社の編集長で大好きだったことは覚えていたのですが、逆にいうとそれ以外の記憶が抜け落ちておりました。
そして観劇にあたり、原作を読みなおすか読み直さないか迷っていました。

そうこうしているうちに感染症が大流行し、4月に観劇予定だったこの作品は開幕することもなく、休演してしまったのです。
あらゆる舞台が休演や公演中止に追いやられ、さまざまにいろいろな活路を見出そうとがんばっている様子を感じながら、いつか再開することを信じて待つしかできない自分がはがゆい時期でもありました。

休演したまま3週間ほどだった3月30日の宝塚歌劇の公式インスタグラム。

本来であれば華々しくトップスターとしてお披露目公演をむかえていたはずの柚香光 さんのこの堪えたトーンのメッセージに泣きました。
 
そこから待つこと約2ヶ月。
待ちに待った「はいからさんが通る」の公演再開が決まり、7月中旬になんとかチケットを手にしたわたしは、もういろいろ待ちきれず原作マンガの電子版を大人買い

 

読んでみていろいろ衝撃を受けました。

 

2.原作マンガと物語

はいからさんが通る」とはこんな話しだったのです。

大正七年

時・・・浪漫のかおりみちみち

人々の心 いまだ情けを知る

武家・花村家の一人娘、紅緒は好奇心旺盛で新しいものを好んで取り入れつつ、武芸にも秀でる女子学生。時折周囲を騒動に巻き込みながらも自分らしく元気に生きていました。
親友の環は華族令嬢でありながら、「平塚らいてう」の「原始女性は太陽であった」という思想と「女性解放運動」の影響を多いに受け、自立して生きていきたいと願っています。
しかしながら紅緒にひょんなことから縁談が舞い込みます。
お相手は父親の部下で華族の令息・伊集院忍少尉です。
実は二人は産まれたときから決められた婚約者同士だったのです。
それに反発する紅緒でしたが、少しずつ少尉の人柄に惹かれていくのです。
少尉も紅緒の枠にはまらない個性に惹かれていきます。
ただ時は戦時中。少尉は軍命で小倉からシベリアへ。
そしてそこで暴動に巻き込まれ消息不明に。
華族といいつつも体面を保つのが精いっぱいだった伊集院家。
紅緒は自ら出版社で働き、職業婦人となり、少尉の家族を支えていくことを決意します。なんと環も新聞記者に。
ロシアから亡命してきた貴族のニュースを追いかけて、その滞在先である狸小路伯爵家へやってきた2人は、少尉そっくりのサーシャ・ミハイロフ侯爵に出会います。彼にはラリサという妻が。
実はサーシャは、ドイツ貴族と日本人の混血児であった伊集院忍の父親違いの弟だというのです。
サーシャは少尉なのか、紅緒の恋と人生の行方は・・・。

 

まずは原作マンガが「女性が自立して生きる」ということを描いていたことに驚きました。
紅緒さんはもちろん、それを体現している環がとにかくまぶしい。
最後に環は身分は捨てるものの、仕事と恋は捨てずに旅立つのです。
この両立のあざやかさ!いまだに仕事を選ぶか結婚を選ぶか、はたまた両立ができるかで悩むというのがテレビドラマなんかの定番だったりするのを見かけたりする(テレビドラマはよりリアリティーやら共感やらが大事なので当たり前の選択です)ので、この環の選択の格好よさに今さらながらしびれます。
ここまで女性二人がまぶしいと、逆に男性キャラクターが単なる魅力違いの架空の王子様ぽく感じてしまったのは、単にわたしが歳を取ってしまったせいでしょう。
原作マンガは大正時代の時事風俗なども巧妙に織り交ぜてあり、今読んでも色あせることのないすばらしい作品でした。
ただ原作マンガの個人的に苦手だった部分が、ギャグを多用しているところでした。もちろん面白いところも多くあって、時にシリアスになる物語にいい感じの軽さを与えてもいるのです。
でも青江冬星編集長にストーカー並みにせまるつめ子さんと、紅緒さんが投獄されたときに出会う牢名主さんの描き方が個人的にちょっと受け付けなかったのです。

しかし全体に改めて原作マンガにはまったわたし。
残念ながら初演を見ていないので、ワクワクと宝塚歌劇版「はいからさんが通る」を見ました。

 

3.4ヵ月ぶりの劇場とその対策状況

舞台の感想の前に、まず宝塚大劇場の中に入れることに涙してしまいました。

もちろん、恒例のここで写真撮影できることも嬉しい!

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チケットは1公演1人1枚しか取れなくて、当日発券もしくはメールに送られたQRコードを入り口にかざして入場する新しい方式だったのですが、これがまたはじめて宝塚を観劇するときのようなドキドキ感。

改札と呼ばれる入り口や並ぶ必要のあるいたるところにこのような距離感を保つ印がありました。

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QRコードを機械にかざして発券されたシートを取るのは、まるで空港のゲート入場のようでもありました。
ちなみに大劇場の2階軽食・お菓子売り場の品ぞろえもほんの少しだけで、ペットボトル飲料以外の自販機は使用禁止になっていました。

また飲食はできるかぎり控えてもらいたい等のアナウンスもありました。
なので、途中でお腹が空かないよう先にどこかでしっかり食べておく方がよさそうです。

それからキャトルレーヴ に行かれたい方は整理券が絶対に必要なので、劇場着いたら速攻キャトルレーヴ 入場整理券配布受付に立ち寄ってください。キャトルレーヴ 入り口近くにあります。

 

さて開演を待つ間も信じられないほど静かです。
録音上演のためオーケストラの調律の音も聞こえません。
かつてあったざわめきを懐かしく思いながらも、観客全体がものすごく覚悟を持ってその席に座っているような雰囲気に震撼。
劇場マナーも客席係が大声を張り上げるのではなくアナウンスで流されます。

(これについては今後もこの方式でいいと思いますが)

そして緞帳があがるとタイトルバック。

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ダサい!笑

でも1970年代の少女漫画っぽくて愛おしい。

というか、これを写真に撮れるのが嬉しい。
続く開演アナウンスでは大拍手。

観客が半分以下とは思えないほどです。

思いはみんな一緒なんだ、と感涙。
そしてお芝居がはじまり、プロローグに移り、セリあがってきたときの柚香光さんのキラッキラの笑顔に涙腺崩壊。
舞台がいつも以上にまぶしくてまぶしくて、プロローグは涙が止まりませんでした。

4ヵ月も劇場で芝居を見なかったことなんて、観劇をはじめてからの約30年間で1995年の大学受験の年以来でした。(しかも1995年も阪神大震災で3ヵ月ほど大劇場公演がなかったのですよね。)

 

4.そして作品の感想

しかしすばらしかったのはそんなわたしの感傷を弾き飛ばす紅緒さん(華優希さん)の好演。
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 メリーベル役の時もかなり夢中だったのですが、そのあとの「A Fairy Tale」

 

で令嬢から老婦人まで自然に演じたのに感心していましたが、今回はどこから見ても紅緒さん。
あのメリーベルの美少女特有の魔性性もきっと演技力のなせる技だったんだなと今さらながら感心。

というか、華優希・・・恐ろしい子
そして紅緒さんというキャラクターの最も個人的に素敵だと思っているところを全く殺すことなく演出して魅せてきた小柳先生に完敗。

 

宝塚歌劇というのは不思議なところで、出演者全員が女性だというのにいわゆる「男尊女卑」的な制度が垣間見られるのです。
男役を娘役がたてる、のが大前提としてなりたっています。
バラをひきたてる「かすみ草」のような娘役がよし、とされがちなのです。
もちろん宝塚歌劇は人気商売ですし、その特性からも「男役」に人気が集まるから、そこを大切にしていくというのは、劇団運営としては正しい方向性だと思っています。
それでも時折、何かと戦うかっこういい男性、それを支えて待つ女性またはそんな男性に守られる女性という形状に「またか・・・」と思ってしまうのです。

 

しかし舞台でも紅緒さんは紅緒さんでした。
竹刀や傘を振り回し、けんかをしては相手を負かせる。
ME&MY GIRL」のサリーもそうですが、サリー以上にナチュラルに膝をひらいて堂々と椅子に座る。
どんなに偉い人にだって正しいと思うことはそう言い、言葉の分の覚悟を持つ。
さらに「おいしいお酒がありますよ」という言葉に感傷にひたっていても、うっかり興味津々に笑ってしまう。
一番最初に少尉と出会い、笑いが止められない少尉を「えちけっとに反することをご存知ないのですか」と平手打ちする紅緒さんの流儀は、まああの状況でそれが正しいかどうかは別としても、今の我々が持っていてもいいのではないだろうか、と改めて思いました。というかずっとこの流儀を貫いていたら今ごろ女性が性差別を受けることももう少しは少なかったのではないだろうかと思ってしまいました。

 

もちろん紅緒さんは流儀に厳しいだけではない。

投獄された紅緒さんの元に少尉が駆けつけるシーンでは、自分の方が大変な状況なのに、少尉に「おかえりなさい」という紅緒さんの強さに心打たれます。
この紅緒さんの強さこそ、少尉が守りたかったものなのだと自然に思えたのでこの後の少尉の行動も納得できるのです。

実は楽天TVで有料ライブ配信された「はいからさんが通る」を見て、どうしても初演版も見たくなり、タカラヅカ・オンデマンドを思わずポチ。

 

 

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テレビの大画面で見せてくれたこれ↑↑↑ 本当にありがとう!

それからこの観劇に挑みました。

 

舞台は大劇場ならではの盆やセリを使いながら、初演時よりもパワーアップしているシーンはいくつもあります。

(違いを楽しみたい方はぜひタカラヅカ・オンデマンドをどうぞ。660円で見れますぜ笑)
環と出会うシーンで、女学校の先生から「古典的女性の価値観」を告げられ叱責される紅緒さんを環が華麗にかばうくだり。
原作がもっていた「時代背景」を元々あった駆け落ちシーンに街の情景としてオペラ歌手を登場させてきたところ。
花乃屋のシーンに移り変わるところで、セリにずらりと並んだ芸妓さんの盆が回って登場してくるシーンはその華やかさにため息。
個人的には紅緒さんモンペ姿のお輿入れが、ちゃんと牛五郎がひく人力車に乗っての登場だったところにだだ萌えしました!
(しかも紅緒さんの衣装がマンガをみごと再現しててかわいいんですよね)
けれども最大のこの作品の魅力は初演時からあった二部幕開けの「大正デモクラシー・ガールズ」ではないでしょうか。
環とモダンガールズたちが新時代の女性の価値観を歌い踊るのですが、この歌詞がすばらしい。以下抜粋です。

自由とプライドを

小脇にかかえ

支える手はいらないの

ひとりで立てる

こんな歌詞をババーンと宝塚歌劇で聞く日が来るとは。

宝塚歌劇の女性役たちが歌い踊るシーンでこんなにスカッとした気分になったのははじめてです。
このシーンを見るだけでも、この作品には価値がある、と個人的に思います。

を演じた音くり寿ちゃんは初演時の城妃美伶ちゃんに比べると「マンガの容姿の再現度」ではやや劣るものの、何より歌がうまい!
なので二部幕開けのこの(個人的)大切なシーンは彼女で聞くとよりパワーアップしている気がしました。
さらに花乃屋吉次を演じた朝月希和ちゃんがしっとり艶やかでいい芝居をするので、どうしてもマンガ同様女性キャラクターに目がいってしまうのですが、そこをくつがえすのが、宝塚歌劇の男役なのです。そして小柳先生の演出なのです。(つめ子さんも牢名主さんも出ない方向で調整してくださったことにも感謝!)

少尉がドイツ人との混血であることを紅緒さんに説明しようと「僕をよく見てください」と近づき壁ドンにニヤリ。
そして「ラブぬきの結婚」論争から続くソファプレイ(と勝手に命名)はあまりに可愛くてキュンキュン!
もちろん数々の麗しい衣装を着こなす柚香光さんの美しさ(特にロシアの毛皮の帽子をかぶった姿はあまりにきれいでまぶしかったです。何あの美のかたまり!)、大劇場バージョンからストーリーテラーもこなすことになった高屋敷要を演じる永久輝せあさんの爽やかさ、コミカル要素をもちながらもきっちりと二枚目に仕上げてきた青江冬星役瀬戸かずやさんは初演では残念ながらカットされていたという「きたな・・・恋人」というセリフもさらりとかっこうよく言ってくださいました。
鬼島軍曹の水美舞斗さんは安定の仕上がり、そして戦闘シーンのキレキレのダンスが最高でした。

そんな男性陣を見ながら思ったのですけれど、みんなわかりやすく「紅緒さん自身をを守る」わけではないのですよね。紅緒さんがケンカをはじめても彼女が強いのは十分に分かっているから、下手に手出しはしない。
そして彼女が好きだから、彼女といるために自分の最善を尽くす。
つまり「ありのままの彼女」を彼らは受け入れ認め、それを魅力的だと思っているのです。
そして今、それこそが支持される男性像の1つではないだろうか、と宝塚歌劇を見てやっと思いました。
その点では「紅緒さんを守ってあげて」という蘭丸がちょっとポイント落ちるくらい、紅緒さんの強さとたくましさを認識している男性陣を評価したいと思ってしまいました。

ただ男性キャラクターとしての個人的ポイントはともかくとして、蘭丸は役としては女装もあり男役としてはかなり演じるのが難しい部類に入ると思うのですが、聖乃あすかさんがキラキラとがんばっていました。
セットもバージョンアップしていたので「藤娘」のシーン、舞いだけはもうちょっとがんばって稽古してほしかったなあとは思うのですが、今回は公演期間も長いので、さらなる成長に期待。
あとは伊集院伯爵の英真なおきさんがよかったですねえ。こういうコミカルでかわいいおじいさん役、本当にうまいです。さらに如月役鞠花ゆめさんがしっかりした芝居で脇を締めていてくれていました。
 
そうそう魅力的な女性キャラクターの中でラリサは逆になかなか難しい役どころではあるんですが、この役や気持ちに説得性を持たせた華雅りりかさんもさすがでした。

と全体には大満足なのですが、クライマックスまでのシーンだけ、少し駆け足すぎるかなと感じました。
もちろんクライマックスですから、そこへもっていくスピード感は大事です。なのでこの選択も納得なのですが、個人的にはもう少し説明がほしかったです。
というのも火の中に戻る紅緒さんをもちろん冬星さんは追いかけようとするのですが、母親に止められて行けないだけになっているのがちょっと不満。
ここはやはり原作どおり最初は紅緒さんと一緒に火の中に入っていく。そして燃えさかる建物内のシーンで蘭丸を抱えて脱出するために一旦冬星さんだけが火の外に出る。(もちろん逃げ口は原作どおり紅緒さんが作るのですよ)蘭丸の介護&火の勢いが強すぎてなかなか紅緒さんを助けに戻れないんだろうと観客に想像させる方が自然な気がしました。
あとは少尉がラリサに紅緒さんのことを告げるシーンで「小石川」という地名がほしい。そうすればウワサに翻弄される民衆シーンにちらっと登場して「小石川はどうですか?」と聞くことで少尉が紅緒さんを探しているシーンを追加できると思うのです。つまり突如現れるのではなく、その前から「必死で紅緒さんを探していた少尉」を見たい。
そうすれば紅緒さんの前に現れる少尉に「ああ、やっと来れたね」と感動もひとしおだと思うのです。あと誰でもいいので少尉に「水、もってけ」といってこのシーンの前までに渡してほしい。
そして紅緒さんにも「のどが焼けるようだ。水がほしい」と言わせてほしい。
これがあれば「紅緒さんが今一番必要としているもの」を少尉が与える、という構図がもっと浮かび上がる気がするんですよね。

宝塚歌劇の番手構造上、冬星さんのソロ曲は必要なのは重々わかるのですが、ここはもうぐっと短くして、原作マンガのモノローグ

いつかこの廃墟にも新しい家がたちならび

人々の新しいくらしが始まるときがくる

人々が生きていくかぎりそれは

くりかえしくりかえし

愛も人生もそれにて

こわれてはつくりあげ

来たっては去りゆくもの

だけちょろっと歌うでもよくないですか?ダメですか?「My Dear」とか冬星さんの気持ちソングよりマンガ原作のここから立ち上がる人々の方が今の時代にもあうと思いますが、やっぱりダメですか?

しかしまあラストシーンの環の華麗なキメ台詞と2人の幸せそうな笑顔に心いっぱい。なんてステキな作品!と感動していたら、大劇場公演なのでフィナーレがあります。

瀬戸かずやさんの歌からフィナーレがはじまると、音くり寿ちゃんを中心に大正モダンドレスに身を包んだモダンガールズたちが、再びあの個人的名曲「大正デモクラシー・ガールズ」を歌い踊ってくれたのです!
娘役中心のダンスシーンというもの自体もそう多くはない宝塚歌劇で、なんと途中で登場してきた男役が娘役に取り変わることなく、ただただ娘役のダンスをサポートだけして消えていったことにまた感動!
明らかにこれは「女性賛歌」の演目であると確信しました。
これだけでも大満足で「あ、いいよ、いいよ、お決まりの大階段群舞は」なんてとんでもないことを思っていたら、黒燕尾服を着こなし金色の髪の毛をオールバックになでつけた柚香光が登場!
今回フィナーレは「大正バージョン」と「浪漫バージョン」があったのですが、楽天TVライブ配信で見たのが「大正バージョン」で大階段群舞の衣装が軍服だったのです。
「浪漫バージョン」が黒燕尾。
正統派黒燕尾&オールバック姿の男役たちが踊る。しかも中心で踊る柚香光さんも水美舞斗さんもダンスが得意。わたしは「ダンスの花組」で育ちましたから、見ながら思ったことは一つですよ。

花組だ、花組を見てる、わたし今、花組を見てるんだ・・・

この感動が伝わる方には伝わると嬉しい。
さらにここから続くデュエットダンスが物語の見たかったラストシーンを見るようで、本当に幸福感に包まれました。
このフィナーレは本当にいい。もはやラインダンスの衣装すら過剰さがダサかわいく思える。笑

そしてよかったのはフィナーレだけではないのです。
舞台上の密を避けるために、大階段に並ぶ人数は制限されていましたが、大階段降りが、というか、シャンシャンじゃなくて竹刀を肩にかついで登場した紅緒さんがもう・・・!
しかも大階段の上で竹刀をぶんぶん振り回し、本舞台での挨拶が終わってもシャンシャンに持ち替えることなく竹刀のままパレードに加わるんですよ!
挨拶終わって本舞台に戻るとき「はいからさんがと・お・る♪」という主題歌の歌詞の部分で、紅緒さんが竹刀を肩にかついで本舞台に走っていく。

ああ、まさにはいからさんが通ってる、今、目の前ではいからさんが通ってるんだ・・・!

本当に最初から最後まで紅緒さんに夢中でした。
もう頼むから、銀橋の挨拶は少尉から紅緒さんの手にキス方式の挨拶に変えてほしい。
ダメですか、歌劇団さま。

 

5.見てみたい方たちへと歌劇団への要望

ところでここまでわたしを夢中にさせた「はいからさんが通る」、このご時世で残念ながら後半のチケットはまだ余っています。
この状況での積極的な外出を推進することはもちろんできないし、個々人での外出に対する考え方も違うだろうので、おすすめはできないのですが、行きたいな、チケットあるのかな、と考えておられる方は下記よりチケット状況をご覧ください。

https://www.takarazuka-ticket.com/rt/twjkn.do?ki=265&kc=001

クレカさえあればサクサクっと買えます。チケット発券も入りません。
B席でも十分楽しいです。しかも安い!3,500円。今なら前後左右の席が空いてるので見やすいのもいい!気になる方はぜひこの機会にどうぞ。

(残念ながら8/2〜16まで休演となりました。

観劇予定だった方々や公演に関わる方々の無念を思うと辛いのですが、17日からの再開を信じてURLを残しておきます。

実はわたしも休演となった期間にもう一度見る予定でした。再開になってまたチケットを手にすることができることを期待しています。

 

さらに下記に書きました無料YouTube配信についてはより希望したいところです。

こんな記事もあることですし。

継続利用したいメディア1位は「テレビ」、2位は「YouTube」 withコロナにおけるメディア行動調査 #宣伝会議 | AdverTimes(アドタイ) by 宣伝会議)

 

公式チャンネル・スカイステージでのライブ配信楽天TVでの有料ライブ配信、映画館でのライブビューイングと宝塚歌劇団はこの状況で観客のために最善を尽くしてくださっています。

だからこそこの機会に新しいファンを増やしたい、とも思ってしまうのです。

そして新しいファンを増やすためにはこの「はいからさんが通る」という演目は最適だと思いますし、そのための大劇場での再演でもあったと思うのです。

今有料ライブ配信が大切なことは重々承知で、そしてアーカイブ配信がめちゃくちゃ費用がかかることを知ったのですが、それでもあえて、お盆休み・夏休みのどこかで楽天TVで有料配信した映像の第一幕だけでもYouTubeで期間限定無料配信してみませんか?

どこにも行けないお休みは、動画漬けになることは自粛期間で実感しました。

しかし有料コンテンツはよっぽど自分が好きなものでないと手を出さない。

つまり全然興味のない人がたまたま宝塚を見てくれる可能性は低いのです。

 

わたしはかつてテレビで放映された宝塚歌劇の映像を本当にたまたま見てファンになりました。みんなが家にいる今、そういう機会を創出してみるのは今後の可能性に広がらないでしょうか。

 

関西圏に住む舞台芸術を愛する1人として、宝塚歌劇団があったからこそ、こんなに早く舞台を生で見れることができたのだと感謝しています。さすがに今日本の舞台芸術の中心地・東京まで見に行くのはなかなかの勇気がいるからです。だからこそその存在がずっと続いてくださることを願って、検討してもらえれば嬉しいなと思う次第です。

好きと思いをのせて@花詩歌タカラヅカ「ロミオ&ジュリエット」

7/23(木) 18:30〜 喜楽館

 

この感染症の影響で喜楽館も約4ヶ月の休館となっていたそうです。

そして久しぶりの観客入りの出し物がこの花詩歌タカラヅカでした。

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いいのか、悪いのか笑

客席は前後左右一席ずつ開けた限定74席。

入場も距離感を保ったラインが足元に引かれていて、皆さん規則正しく順番通りに並んで入場されていました。もちろんマスクも着用。

その分、初の配信も用意されていました。

 

まずはいつも通り落語4席から始まります。

月亭天使 創作落語

笑福亭生喬 掛け取りロミジュリバージョン

真山隼人(浪曲) 水戸黄門宝塚の巻

笑福亭生寿 蔵丁稚ロミジュリバージョン

 

限定74席は発売日に1時間で完売したそうですが、天使さんのマクラでその観客の半分がはじめての「花詩歌タカラヅカ」ということが判明。

そんな不安半分を抱えながらもはじまれば、落語も浪曲も宝塚ネタをふんだんに入れた内容に爆笑の連続。

ちなみに天使さんの「かつての花詩歌タカラヅカ失敗談」は去年の繁昌亭ファントムネタも多く、楽しく思い出して笑ってしまいました。

 

stok0101.hatenablog.com

 

生喬さんと生寿さんはこれからはじまる「ロミオ&ジュリエット」の曲を落語の中でたくさん歌ってくださったのですが、それが見事に本編では使われていない曲で、その辺の気遣いがさすが!

というか、本編でも歌いたかったけれどあえなくカットされた残念さゆえでしょうか。笑

 

さて落語のあとは生寿さんの化粧のための中入りがありました。

そして懐かしいオープニング曲がかかります。

ちなみに本来花詩歌タカラヅカも生演奏なのですが、蜜を避けるために録音上演でした。

そして予定通りであれば、今ごろ星組で「ロミオ&ジュリエット」再演が公演されている頃。

そう思うとちょっと切なくもなりながら、開幕。

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愛のまりこさんはダンサーさんだから良いとして、死の笑福亭松五さんがなかなか雰囲気出ています。

そして幕が開いて花詩歌タカラヅカ恒例、浪曲での「ヴェローナ」が真山隼人さんによって歌われます。

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そしていよいよヴェローナの街へ。

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舞台上での蜜対策にフェイスガードがわりの布を巻かれているですが、これがあんまり違和感ない。ぱっと見、衣装みたいです。

これはしばらくこのウイルスと付き合っていかない中で一つの手段かもしれません。

そして、天使さんのマーキューシオがカッコいい!

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思わずマーキューシオばかり連写笑

この後、個人的に大好きな歌「憎しみ」もありました!

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モンターギュー夫人が花詩歌タカラヅカ新人の桂笑金さんだったのですが、なかなかの魅惑の歌声。

これでも稽古のときよりはマシになったそうですが、これもなかなかの才能なので、ぜひともこのまま移ろいやすい音程を持ち味にしてもらいたいものです。

さてようやくあやめさんのロミオが登場。

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さすが花詩歌タカラヅカのトップスター!

華やかです。すっかりあやめロミオに魅せられていたら、なにやら舞台の奥でごそごそと物音がします。

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うっかり忘れていましたけれど、そうそう「いつか」は出会い前のロミオとジュリエットのデュエットなのでした。

生寿ジュリエット、安定のかわいさなのですが、突然の登場の衝撃に思わず笑ってしまいました。

 

さて場面はみんな大好き「世界の王」です。

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ここは残念ながら、ロミオ、マーキューシオ、ベンヴォーリオの3人のみで。

そして「僕は怖い」。

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近づけど、近づけど、あやめロミオにソーシャルディスタンスを取るようはねつけられる死に爆笑。

そして舞台は「仮面舞踏会」へ。

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ジュリエットとキャピュレット夫人、乳母のシーンはまるっとカットなので、誰ですか、これ状態↓↓↓

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そして何の説明もなく誰か(パリス伯爵)から逃げるジュリエット。笑

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でも強引に運命の人と出会います。

天使の歌が聞こえる
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しかしこのドレスがなんか似合っちゃう生寿さんに嫉妬!笑

そのジュリエットに惚れてるくだりの説明がほぼないにも関わらず、染雀ティボルトの「本当の俺じゃない」はさすが。哀しさが伝わってきます。

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そんなティボルトの気持ちを知ることなく、恋に突っ走るロミオとジュリエット

有名なバルコニーのシーンです。

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写真で見るといいシーンです。

でもこのバルコニー、登り下りが大変そうで思わず笑い。

ロレンス神父とロミオのくだりはカットで「綺麗は汚い」へ。

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これは曲の性質上、生喬師匠の乳母が本当にすばらしくて、わたし的このシーンの上位に入ります。

(因みにわたしのロミジュリ観劇歴。

 2010年宝塚星組初演

 2011年宝塚雪組

           梅田芸術劇場(山崎育三郎&昆夏美)

 2012年フランス招聘版

 2012年宝塚月組

 2013年宝塚星組再演)

そして続く「あの子はあなたを愛している」も情感たっぷりで聞き惚れました。

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まあ師匠が弟子を思って歌ってるようにも聞こえないでもないですが。笑

そして一部のラスト、結婚式へ。

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キスシーンもきっちり濃厚接触を守っています!

いつもならすぐに二部がはじまるのですが、今回は換気のために少し中入りがありました。

そして二部は「エメ」から。

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えっとロミオとジュリエットも急成長しました(^◇^;)

そして物語も加速します。

年若くなったけれど恰幅がよくなったティボルトとマーキューシオの死闘。

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マーキューシオの歌がない代わりに、天使さんがしっかり宣伝。しかも刺したティボルト真山隼人さんとの2人会の宣伝。生喬ロミオが思わず「オレも入れて3人会にならないのか」と言っている間にお亡くなりになりました。

僕は怖いリプライズ」はとにかくみんなでずり落ちる生喬師匠のベルトを直すのに必死。

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まあそんなこんなしている内にロミオの追放がジュリエットの耳に入ります。

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え、もうロレンス神父に相談しちゃいます?

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え、もう仮死の薬飲んじゃいます?

ジュリエットの寝室がまるっとカットされていました。

なのでロミオもマントヴァへ。

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ベンヴォーリオからジュリエットの死を知らされるロミオ。
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絶望のあまり薬売りから毒薬を買います。

そして物語はラストシーンの霊廟へ。

ここからは世界一有名な物語の幕切れを写真のみでお楽しみください。

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そして花詩歌タカラヅカですから、本家宝塚と同じように天国のデュエットダンスもありました。

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宝塚ファンが胸ときめかせた額コツンからの染雀さんお得意の背中反り。

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そしてこの名振付もありました。

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本家もチラッとご紹介(^◇^;)

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ここからはフィナーレなのですが、まりこさんをリフトする松五さんに感動!

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今回からエトワール就任した真山隼人さんの歌からオリジナルソング「WE LOVE TAKARAZUKA」を歌って幕。

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なんと2時間で終わりました。

いろいろカットされてはいたのですが、なんかフルで見たような満足感が僕は怖い・・・!

 

さて次回は5月上演予定だった繁昌亭でのPUCKリベンジですね。

チケ取り、がんばりたいと思います。

役替わりで見える二面性@National Theatre Live at home「フランケンシュタイン」

このままでいくと恐らく日本で演劇が見られる日が来るは、早くても7月以降だと思われます。

そんなわけで今現在、わたしの2020年度最後の観劇は2月22日梅田芸術劇場で公演されたミュージカル「フランケンシュタイン」です。

残念ながらわたしはこの作品をあまり楽しむことができず、これが現在最後の観劇となっている事実をとても哀しく思っていました。

 

ところでみなさんは「フランケンシュタイン」と聞くと、想像されるのはなんですか?

わたしはこれ↓↓↓でした。

TVアニメ 怪物くん DVD-BOX 下巻<最終巻>

しかしミュージカルを見るとフランケンシュタインはなんだか傲慢でエラソーで不器用な科学者で、親友となった人物がこの科学者の手によって「怪物くん」のフランケンみたいなものにされるのです。

さらにこの怪物がなぜか「北極」に行きたいと歌う。

原作を知らなかったために、頭にハテナマークが飛び交いました。

そこでWikipedia先生に頼り、最低限の情報を得たのでした。

 

さて新型インフルエンザの流行で、世界の主だった劇場は閉鎖し、代わりに4月上旬から寄付を目的とした過去上演作品のコンテンツ配信がはじまりました。

 

見たい作品はたくさんあったのですが、何しろ「英語」のみの上演。

とりあえず見るのはミュージカルだけにしていた頃、2015年に英国ナショナル・シアターで制作されたお芝居「フランケンシュタイン」が1週間限定配信されるよ、という情報が入ってきました。

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数年前まで英国留学していた友人曰く、チケット瞬殺した人気公演だったそう。

理由は、ドラマ「シャーロック」でシャーロック・ホームズを演じたベネディクト・カンバーバッチとドラマ「エレメンタリーホームズ&ワトソン in NY」でシャーロック・ホームズを演じたジョニー・リー・ミラーが、交代でフランケンシュタイン博士と彼が生みだした怪物を演じるから、でした。


Official Trailer | Frankenstein w Benedict Cumberbatch & Jonny Lee Miller | National Theatre at Home

ついでに演出はダニー・ボイルです。

ええ、あの「トレインスポッティング」の!あの「ザ・ビーチ」の!

(「スラムドッグ・ミリオネア」の方が有名なのはわかっていますが、わたしはこの2作が好きだったんだよ)

 

とそんなわけでお分かりのように、わたしはカンバーバッチさまに特に思入れも知識もありません。たまたま紹介されていて面白そうと思ってみた映画「イミテーション・ゲーム」の主役を演じていた姿しか知りません。

 

stok0101.hatenablog.com

ただミュージカル「フランケンシュタイン」が分からなかった理由がこれでわかるかも、と思ったのがこの英語の芝居を見ようと思った理由かもしれません。

運よく日本はゴールデンウイークに入るところでした。

今のところ会社員のため、現時点ではありがたいことに収入の心配はありません。

時間にも気持ちにもゆとりができたことに感謝したいと思います。

 

まず最初に配信がはじまったカンバーバッチが怪物バージョン。

冒頭10分、誕生して歩きだすまでの言葉のないカンバーバッチの芝居と身体能力に圧倒され、気づいたら2時間が経過してしまいました。

 

そして

これは何が何でも逆バージョンも見たい!

と終わった瞬間に思いました。

翌日に見たジョニー・リー・ミラー怪物バージョン。

昨晩見た印象と全く違う「何か」がそこにはありました。

そしてその答えを探すべく、両バージョンをもう一度見直していたら、ゴールデンウイークは明けていきました。

 

ここまでくると原作に手を出すのが正しいかと思うのですが、逆に手を出したのがこちら。

 劇中にも登場するミルトンの「失楽園」といい、原作の「フランケンシュタイン」は名著も多く登場し、その知識も必要なのですが、その辺もこの番組では補ってくれます。

長い前書きになりましたが、この番組を見たうえでの映像の感想を残したいと思います。

 

「怪物」と表記するのが分かりやすいとは思うのですが、劇中では「creature」と表現されています。

WEBの辞書でひいてみると

1.生き物、動物、人間
2.不快な[恐ろしい]生き物
3.創造された人[もの]
4.〔あるタイプの〕人間
5.〔他の人やものに〕支配されている[従属する]人

と出てきました。ちなみに発音は[US] kri't∫эr  [UK] kri':t∫э。

英国での上演ですので「クリーチャ」とカタカナ表記するのが正しいのかもしれませんが、どうもわたしの耳には「クリチャー」と聞こえるので、「クリチャー」と表記します。

「クリチャー」は上記5つの意味の中では「2.不快な[恐ろしい]生き物」と「3.創造された人[もの]」の両方を示していると思われますが、「怪物」ではないと思うからです。

そして「怪物ではない」ことがこの作品の、そしてこのお芝居の悲しいところであり、胸をうつところなのです。

 

両バージョンを見てみると、原作のイメージにはミラークリチャー、カンバーバッチフランケンシュタインの方が近いのかなと思いました。

カンバーバッチの終始子犬のようなあどけなさを残すクリチャーに対し、ミラーのクリチャーは成長します。だからこそ「なぜ自分がこのような生を受けたのか」を考え、苦しみます。

一方でカンバーバッチフランケンシュタインの感情の欠如を感じるからこそ、クリチャーとフランケンシュタイン、一体どちらが「人間」なのか、ということを考えさせてしまうのです。

おそらくこれは原作でも追求したい点であったような気がします。

カンバーバッチフランケンシュタインは、クリチャーに対する残酷さがナチュラルというか、こういう人だよね感が強いのです。

他者とのコミュニケーション不全、他人に対する想像力の欠如。そしてそれらを持ち合わせなかったけれども、美しい容姿と高いIQ、さらに金銭的に恵まれた家庭環境を授かり、より傲慢に独りよがりになったがゆえの「神の領域」への挑戦。

美意識の高さから自分の生み出したクリチャーの醜さを受け付けられなかったのも納得して見られます。

カンバーバッチフランケンシュタインはミラークリチャーを理解することは一切ないけれど、ミラークリチャーは最後にはカンバーバッチフランケンシュタインを理解し、許し、「Kill me」ではなく「Destroy me」とフランケンシュタインに呼び掛けたように思えるのが、哀しい。

しかしミラーがフランケンシュタインを演じると、科学者としての自分とその良心のなかでの迷いが見えるのがこの役替わりの面白いところでした。

上記の番組の解説で「科学者としての葛藤」もふれられましたが、それが見えるのはミラーの方のフランケンシュタインなのです。

クリチャーが「花嫁」を作るようにフランケンシュタインに要求するシーン。

なぜクリチャーが「花嫁」を希望したかについても、二人の演じ方によっても受け取るものは違いますし、ミルトンの「失楽園」がどのくらいクリチャーに影響を及ぼしたかは芝居だけでは見えづらい点なので、その辺を加味するかどうかでも変わってきます。

ただその「花嫁」をフランケンシュタインが作る動機もその後破壊してしまう理由も、二人の演技でわたしが受け取ったものは全く違いました。

カンバーバッチフランケンシュタインの動機は「より完璧な作品を作りたい」という欲望。そして破壊するのは、自分でさえ「愛」がわからないのに、クリチャーがそれを理解し手に入れ、大切に育てようとすることへの嫉妬。

ラーフランケンシュタインの動機はクリチャーへの恐れ。破壊するのは、もし本当に二人が結ばれたならその先にできてしまう「未来」、自分が作り出してしまったものへの恐怖。

その二人のフランケンシュタインが合わさったものが原作が描いているフランケンシュタインなのだとしたら、本当にいろいろなことが複合された作品なのだなと思いました。

もちろん演劇として複合したフランケンシュタインを見せることは可能です。

でもこの一方ずつを切り取って役替わりで見せたことにより、原作に潜んでいる多面性を分かりやすく引き出しているように感じます。

どちらのパターンでもフランケンシュタインが「クリチャーを産み出したことへの責務」を放棄しているのは確かで、上記番組でもこの状況が「ネグレクト」にも思えると紹介されていました。そういう視点で見たとき「ネグレクト」へ至る「親」の在り方もさまざまなパターンがあるんだろうな、ということも二人が演じることで想像が膨らみます。

もちろん約2時間の芝居ですので、原作どおりとはいきません。それでも原作で見せたかったものはきちんと見せられていた、それが一番この舞台の素晴らしかったところではないだろうかと思います。

 

ところで現在のこの状況の中でこの作品映像を見て、一番ゾッとしたのがフランケンシュタインがなぜクリチャーを作ったか、の理由の一つとして「School was so boring!」と言われたシーンでした。(このセリフも、ミラーフランケンシュタインバージョンではすごく耳に残ったのに、カンバーバッチフランケンシュタインバージョンではさらりと流れたのがおもしろかったです)

退屈がゆえに産まれてくるものが、この先の未来にあるとしたら、それはどんなものなのか、この作品を見ていると少し怖いような気分にもなったのでした。

宝塚ファンに40の質問

恐らくこのブログを読んでくださっている奇特な皆さまも、一枚また一枚と紙切れになっていくチケットを見ながら、仕方ない気持ちとやるせない悲しみを抱えていらっしゃることかと思います。

エンターテインメントの先行きを考えると暗澹たる気持ちにしかなれないですが、今は出演者、スタッフの皆さまの健康をただ祈りたいと思います。

そんな中、表題のような質問をakeneさんが作成してくださっていました。

note.com

わたしが「宝塚ファン」か、というと、これがyesともnoとも言い難いのですが、こういう「質問」自体が懐かしく、わたしが読んでて楽しかったので、広がればいいなという思いで答えてみます。

 

宝塚ファンに40の質問(作成者:akane)
1、 お名前、年齢、大体のお住まいを教えてください
おといーぬ、もうすぐアラフィフ、大阪在住


2、 観劇歴は?
89年〜92年くらいまではガッツリ見て、その後4年くらいかけてフェードアウト。

2008年からまた細々と見始めました。


3、 初めて観た舞台は?映像でもOK。

関西圏ですのでその昔「花の指定席」という宝塚歌劇の舞台が月に一度放映されていまして、それを偶然見た最初は、月組の「南の哀愁」になります。

今調べてみたら1988年の公演なんですね。

この時は本当になんの興味もわかなかったのですが、とあるシーンだけ覚えていて、それが天海祐希さんだったというのを後で知りました。

剣幸さんの帽子を持って引っ込む、だけの役なんですけど、印象に残ったのが天海祐希のすごさでしょうか。

次に見たのが運命の1989年3月18日「ムッシュ・ド・巴里」、杜けあきさんトップお披露目公演でした。もちろん初観劇はその年の8月「ベルサイユのばらアンドレとオスカル編~」ここから杜さんが卒業されるまでの4年間は「激しく宝塚ファン」でした。


4、 宝塚を好きなったきかっけは?

あ、もう上に書いちゃってる(;'∀')

ムッシュ・ド・巴里」で杜さんに一目ぼれです。


5、 年間どのくらい宝塚を見ますか?

去年、3回しか行ってない・・・。

たぶん3回~5回くらいだと思います。


6、 御贔屓の組は?

そんなわけで現在はありません。

今やや贔屓にしようと思っているのは花組なんですが、「はいからさん」が・・・涙

あとやっぱり雪組は永遠に好きです。


7、 各組の印象を教えてください

花組→ショーの組。華やかでオーラがある。

月組→形態が自由自在。対応力があるのかな。

雪組→芝居にきっちり取り組んでいる。真面目。

星組→ノリがよく、元気。

宙組→いろいろ自由そう。


8、 御贔屓の男役さんは?

杜けあきさま(別格)

大浦みずきさん、安寿ミラさん、麻路さきさん、霧矢大夢さん、柚希礼音さん

「映像、または写真集を買った」を基準にしてみました。

最近は柚香光くんが気になります。

あと割と若手のころから彩風咲奈ちゃんが好きでした。

好きな男役の見た目がさきちゃんです。


9、 御贔屓の娘役さんは?

夢咲ねねちゃん

はじめて夢中になった娘役でした。

あのスタイルが神すぎる。

 

昔なら紫ともさん、白城あやかさんが大好きでしたね。

あとわたしの中の永遠の美少女は麻乃佳世さんです。

そんなわけで華優希さんも好きです。


10、 おすすめの下級生はいますか?

これがね、本当、ファンじゃないなあと思う一番の理由なんですよ。

下級生が全くわからない・・・。


11、 知名度は高くなくても、この生徒さんは見るべき!という方のプレゼンお願いします。

同上です・・・。

知名度高いと思うんですけど、現在いる生徒さんで若い頃から好きだったのが、天寿光希さん。とにかくセリフ回しと、演劇的な動き方がうまい!個人的には一番杜さんに近い存在です。


12、 好きなお芝居は?

華麗なるギャツビー

原作はあるけれど宝塚オリジナルという点では、これを超える作品に宝塚でまだ出会えていないかな。

ニックの引っ越しからオープニングへの流れ、ギャツビーとデイジーの過去についてジョーダンとニックが語るシーンからアイスキャッスルへの転換は今見てもゾクゾクします。

ゴルフコンペのシーンをショーにしてくる作りもすごいし、その中に大事な芝居を入れ込みつつ、全体なコミカルさを持っているところにも惚れ惚れします。

一つも無駄なシーンがなく、作品自体にリズムがある。

本当に、二幕ものではなく、初演通りの再演を希望します。

比較的最近上演されたものでは「幕末太陽傳」。

この和製ミュージカルの作り方が素晴らしかったですね。

お気づきのようにストーリーより演出派、ビジュアル派です。

そして最も優れている演出はやっぱり「グランドホテル」ですね。

これはトミー・チューン版をフルバージョンを一度上演してほしいです。宝塚でなくてもいいから。


13、 好きなショーは?

生で見ていないけれど「メモワール・ド・パリ」。

もーおしゃれ!パッツィの館の好きだけど、それ以上にカフェのシーンがセットも振付も素敵すぎてしびれます。

ショーはダンスと振付が素晴らしければそれでいい派なので「ザ・フラッシュ」がめちゃくちゃ好きでした。

ロマンチックレビューシリーズは「ナルシス・ノワール」派。

比較的最近見てあがったショーは「ロック・オン」「ガトー・ボニート」くらいですかねえ。

あと「ノバ・ボサ・ノバ」はショーのソウルの基本だと思うので、定期的に再演してくれていいですよ。

 

そうそう和ものショーは「花幻抄」。

これね、本当に今のファンの方にも見てほしいんですよ。

いえ、素晴らしいよ、という押し付けじゃなくてね、「宝塚歌劇団はかつてこんな衣装にお金かけられたんだよ」という証拠に。

もうね、衣装と鬘が半端ないんですよ。え、日本物の鬘ってこんなバリエーションあるの?ってなりますから、ぜひ!


14、 好きなデュエットダンスは?

「1990年TMP音楽祭」大浦みずきさん&毬藻えりさんの「ニューヨーク・ニューヨーク」。

なぜ好きなのか全然わからないんですけど、すごく好きでこれが踊りたくて社交ダンスはじめたようなものです。

印象的だったのは「宝塚レビュー’90」、日向薫さん&毬藻えりさんの「レコード盤の上のデュエットダンス」。今や「レコード盤」すらもノスタルジックなアイテムになりましたね(;'∀')

デュエットダンスって美しいな、と思ったのは霧矢大夢さん&蒼乃夕妃さんの「スカーレット・ピンパーネル」フィナーレかな。

二人の身体能力の高さが本当にすばらしいデュエットダンスでした。


15、 歴代で一番好きだったトップコンビは?

上記デュエットダンスから、きりまり。

はじめて「コンビ萌え」というのを知りました。


16、 今まで一番感動した場面は?

感動って難しいですね。

ネット辞書をググってみると一番多かった答えが

「深い感銘を受けて強く心を動かされること」

 

必死で記憶をたどったのですけれど、この言葉自体だとやっぱり前述した「華麗なるギャツビー」のニックとジョーダンの電話からアイスキャッスルへの転換、なんです。

なんてかっこういいんだ、こんなかっこういい舞台を作る人になりたい、と思ったので。

ただこの質問の意義から考えると、たぶん、「泣いたシーン」だと思うんですよね。

はじめて泣いたのは「ヴァレンチノ」のラスト、若かりしルディがジューンにオレンジの枝を渡すところ、ですかね。

あと「ME & MY GIRL」のランベス・ウォークは泣く!何度見ても泣く!


17、 今まで一番笑った場面は?

いろいろあるけど「メランコリック・ジゴロ」(初演)のティーナがショッピングしたものを一つ一つ取り上げられて泣いちゃうシーンかな。

華陽子ちゃんが天才的にかわいくてキュンキュンしました。


18、 印象に残ったセリフは?

これ何度も書いてるのであれなんですけれど、まあやっぱりこれを超えるセリフには出会わないので書きます。

「あなたは終わったものにこだわりすぎるわ。女はそんなロマンチストじゃない」

by華麗なるギャツビー ジョーダン・ベイカーより


19、 宝塚の楽曲で好きなものは?

和ものの曲が好きです。

たまゆらの記、大江山花伝の主題歌

紫子「花吹雪」

ショーだと「花夢幻」とか、言葉がキレイなので。


20、 好きだった登場人物は?(男役)

炎のボレロ「ジェラール・クレマン」一択で(笑)

わたしの中で、唯一ロマンのある役がこれなんです。


21、 好きだった登場人物は?(娘役)

わたし、昔から女性の登場人物の方が好きでして、こっちはいっぱいあります。

紫子/お香、炎のボレロ/モニカ、秋・・・冬への前奏曲/レナーテ、華麗なるギャツビー/ジョーダン・ベイカー、ヴァレンチノ/ジューン・マシス、エリザベート/エリザベートロミオとジュリエット/キャピュレット夫人

まだまだあるのに、思い出せない!

思い出したらまた足します!


22、 ダンスが上手い!と思うのは?

今は水美舞斗さん。


23、 歌が上手い!と思うのは?

望海風斗&真彩希帆コンビ。

音程、リズムの確かさ、音域の広さ、聞き取りやすさという点では涼風真世さんを超える人はなかなかいないと思っています。

あと永遠の歌姫は峰丘奈知さん。


24、 このコンビ(またはペア)が好き!

これってヤンミキとか、まさみり、とかの枠でしょうか。

あんまりこういう萌えないんだよなあ。


25、 あなたの中の永遠のスターは?

ここは大浦みずきさんを書いておくべきな気がするので、そうします。


26、 タカスぺで見たいと思う演出はありますか?

1987年「TMP音楽祭」ラ・シャンソン みたいにしてほしい。

この映像を見たとき衝撃だったんですよ!

オケはオケボックス内で大きな舞台めいっぱい使って、4組選抜スターが普通に「ショー」をやっているんです。

しかもかなりおしゃれなレビューで、「贅沢なショー」感がすごかったんです。

実はわたし、「音楽を聴くだけ」という行為が苦手なんです。

だからダンスと組み合わさるショーが好きなんです。

それでも昔のTMP音楽祭はいろんな国の音楽とか知られて、それなり楽しかったのですが、現在のタカスペって通年全作品宝塚見てないとあんまりおもしろくないですよね。

その辺が残念だなあと思います。

 

27、 あなたの好きな演出家は?

小池修一郎先生。

仕方ないよね。小池先生の「華麗なるギャツビー」で「演出家になりたい」なんて大それた夢描いて、30歳手前まで人生突っ走っちゃったんだもん(;'∀')

大野拓史先生、小柳奈穂子先生も好きです。

あとテンプレといわれようと、かたくなに娘役ダンスシーン作ってくれる中村一徳先生が好きです。中村一徳先生のショーを大野先生がビジュアル担当してくれたら完璧なのになあ。


28、 この方の退団はもったいなかった…!と思う方は?

これね、昔はよく思ったんですよ。

でもね、大人になった今、生徒さんも節目節目に考えることはあるだろうと。

だからその時の決断は大事にしたいなと思うのです。

まあ無念の退団もあるだろうから、それは厳しいなとは思いますが。


29、 買ってよかった!と思う宝塚のグッズはありますか?こんなのあったらいいのにな~と思うのは?

水夏希さんのグッズが好きで、今もハンドタオル、愛用していますね。

水夏希さんを知る前にグッズ見て、普通に好みだと思って買ったくらいですからね。

だから在庫の再販をお願いします。後から映像でファンになった人とかも欲しいと思ったりすると思うんですよ。

未だに大事にしているのは初演「ロミオ&ジュリエット」の時のペアマグカップ

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この時のグッズは全体にセンスよかったですね。どなたが担当していたんだろう。


30、 宝塚を見たことない人にすすめるとしたらどのお芝居orショー?

これは「All for One」一択で。

ブログにも書きましたが、定期的に組変えて再演したらいいと思います。

毎夏休み、これでいいと思います。

ダルタニアンと三銃士、そしてベルナルドの誰かには惹かれると思うので。


31、 あなたが演出家だったら、どんな舞台を書きたいですか?(芝居、レビューどちらでも)

これは断然ショー。

昔はUAさんの「AMETORA」というアルバムを丸っと使って作りたかったのですが、今なら椎名林檎さんに楽曲お願いして、バーレスクっぽいショー作りたいですね。


32、 宝塚で舞台化してほしい作品はありますか?

今や2.5次元ミュージカルとかもあって、きれいな男の子も多いので、絶対宝塚、っていうのが難しいですよね。

でも木原敏江さんの「夢幻花伝」は宝塚でやってほしいなあと思います。

昔ほどでなくなったとはいえ、日本物の訓練を受けていること、華奢な体形の人が多い、という点で一番宝塚が再現にふさわしいのでは、と思っています。


33、 宝塚ファンとして人に自慢したいエピソードは?

うーん、今の宝塚大劇場こけら落としを見たよ、くらいですかね。

こけら落とし公演ではなくて、本当に劇場のこけら落としです。

当時「歌劇」かなんかで抽選があって、当選したような気がします。

杜ちゃんが「祝いの舞」的なものを踊られたので応募したのですが、本当にセリとかだけあがってぐるぐる回ったり、舞台機構の紹介だったの、今となっては面白かったです。


34、 劇場(どこでもOK)の中、周辺で美味しい食べ物や店はありますか?

これは「バー・ジュニパーベリー」と答えておかないといけないでしょう(笑)

単にわたしの行きつけのバーなんですけどね。

でも「新・宝塚ホテル」内にはバーがないらしいので、ぜひ!

お酒もチョコレートもおいしく、そして優しいマスターもステキなので、おすすめです!

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(チョコレートはバー専用ブランド、アトリエAirgeadさんのもの)
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(わがまま言って作ってもらったカクテル「月組」)
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(わがまま行って作ってもらったカクテル「シシィ」)


35、 宝塚を好きになって良かったことは?

良かったか悪かったか、死ぬときにしかわからないんですけど、ひと時でも「演劇」という夢を追う時期を持てたことは貴重だと思っています。

 

36、 「宝塚って見たことないんですよね。面白いんですか?」と聞かれたときの答えは?

あう、あわないがあるから、もし機会があったら見てみて。

で見るならその作品でいいか確認するから教えて。

と言ってます。


37、 観劇の感想をSNSなどで書いていますか?または人の感想を読みますか?おすすめのサイトなどあれば教えてください。

書きますね、つぶやきますね。もはやそれするためにブログもSNSもやってるので。

なのに人の感想はほぼ読みません(;'∀')

それでもお気に入りサイトあったんですが、今更新されなくなってしまいましたね、残念。


38、 宝塚以外にも好きな舞台はありますか?

えーと宝塚以外の方が本拠地でして、ジャンルでいうなら「ミュージカル」と「ストレートプレイ」が、パフォーミングアートの中でも好きです。

昔はブロードウェイやウエストエンドまで行ってみていたのですが、さすがに身持ちを崩したので、今は大阪で程よいおつきあいを心掛けております。


39、 あなたにとっての宝塚とは?

全てのはじまり。


40、 宝塚歌劇団への愛を叫んでください

そこにいてくれるだけで重要だったんだと今更ながら気づきました。

変わらずいつまでもありつづけてくれますように、祈りを込めて。

それ以上でも以下でもなく@映画版「CATS」

ミュージカル「CATS」というのは、不思議な演目でして、ミュージカルはそれほどでもないけれど「CATS」だけは好き、とか、「とにかくCATSファン」という方が多く存在する作品なのです。

一方でミュージカルオタク層の中には「CATSとライオンキング、どちらがマシ?」という議論が成り立つ、「嫌いじゃないけど、特に好きでもない。ちょっとつまらない」と感じている人も多い作品だったりもします。

ちなみに、わたしは後者。

昔、仲間内で「CATS派かライオンキング派か」を問うたときには、10人くらい中、わたしともう1人だけが「ライオンキング派」で、残り8人ほどは「CATSのがまだマシ」という回答を得たことがあります。

「CATS」派の意見としては、とにかく「曲が好き」。

これは反論するところもありません。

アンドリュー・ロイドウェバー最盛期の曲たちは、とにかく名曲ぞろい。

代表曲「メモリー」はミュージカルを知らなくても、この曲だけは知っているという人が多いことでしょう。


Cats Musical - Memory

 

さてそんな「CATS」が流行りにのっかり「ミュージカル映画」になりました。

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昨年も軒並みディズニーミュージカルが映画化されていたのですが、タイミングを逃してまだ見ないままなのに、この映画版「CATS」を見に行ったのにはわけがあります。

それは・・・あまりにも酷評されていたから!

もともと先行ヴィジュアルの「白猫」がかわいくてダンスもうまいなあ、と心惹かれていたのに、まさかの酷評で逆に「いったいどんな映画になっているのか」と興味シンシン!


Cats – Official Trailer (Universal Pictures) HD

 

そして見た感想は一言でした。

「期待以上でもなく期待以下でもない」

つまり舞台の「CATS」を見たときとほぼ同じ感想を抱きました。

 

宗教的だという意見も見かけたのですが、とりわけそれが舞台版より強調されているとも思いませんでした。

原作はT・Sエリオットの詩集『キャッツ - ポッサムおじさんの猫とつき合う法』(The Old Possum's Book of Practical Cats)。

 

キャッツ (ちくま文庫)

キャッツ (ちくま文庫)

 

 

読んだことがないので、どうなっているのか分かりませんが、詩集というところからも、おそらくストーリーらしいストーリーはないと推測しています。

 

ミュージカルは一匹ずつ猫が紹介されていって、最後に「ジェリクルキャッツ」が選ばれる、だけの物語です。

そして、それを歌とダンスで見せるショーです。

この「ジェリクルキャッツ」が一匹だけ選ばれ、転生できる、というところが宗教的に感じられる点なのだと思うのですが、それは映画版に限ったことではありません。

ただ映画では、白猫「ヴィクトリア」が主人公&ナビゲーター的に登場します。

野良猫になりたてのヴィクトリアに、周りの野良猫たちが「ジェリクルキャッツとは何ぞや」というところをセリフで説明していくのです。

この演出が「ジェリクルキャッツに選ばれるためにがんばる」という構図が強調されて、より宗教的に感じられたのかなと思います。

そして酷評の要因のもう1つ。

人間が演じるネコがグロすぎる、という意見。

これはわたしは「映画の方がアリ」と思いました。この辺は好みの問題ですね。

わたしが「CATS」より「ライオンキング」派の要因がここなんです。

わたしは「舞台版CATSの衣装とメイク、つまりヴィジュアルがダサい」と感じてしまうのです。

映画版CATSのヴィジュアルがとくべつ優れているとは思いませんが、わたしにとって少なくとも舞台版よりマシ。

特に上記の「メモリー」を歌うグリザベラのヴィジュアルが映画の方が断然よかったです。

ソバージュのカツラはないし、毛皮のコートはあったけれど、それよりも毛並みのボソボソさが現在のグリザベラを物語っていて好きでした。

さらに演じているジェニファー・ハドソンがいい!

さすがミュージカル映画「ドリーム・ガールズ」で鮮烈なデビューをしただけあります。


Jennifer Hudson - And I Am Telling You I'm Not Going

 

舞台版は20年以上も昔に、大阪とロンドンで計3度くらい見たことがあるのですが、グリザベラ役は全員「かなりおばさん感」があった記憶なんです。

でもジェニファー・ハドソンは「いい女感」がまだ残っていて若く見えた。

グリザベラの「一瞬の栄光」と現状をイメージできたからこそ、「メモリー」の歌詞が沁みました。

あのボサボサで抜けおちている部分も見えるカラダに「touch me」と訴えられる切なさは迫るものがありました。

 

あと映画版の方がよかったのは、長老猫オールドデュトロノミーがジュディ・デンチが演じていた点です。

舞台では男性が演じているのしか見たことがなかったので、「そうだよね、オールドデュトロノミー、別にメスだっていいんだ」と新たな発見。

ジュディ・デンチの圧倒的な重厚感、運命の支配者感がすごくマッチしていました。

 

ところでわたしが予告から気になっていた白猫・ヴィクトリア。

演じているのはフランチェスカ・ヘイワードさんという英国ロイヤルバレエ団のプリンシパルダンサーだそうです。

そりゃあもう動きがいちいちキレイ✨

ゆったりとしたデュエット・ダンスシーンなんて夢見てるのかってほど美しかったので、映画版に言いたいことは一つだけです。

 

もっとダンスをそのまま見せてほしかった・・・!

 

せっかく「ダンスでも魅せる数少ないウエストエンドミュージカル」なので、ダンスシーンをいっぱい、これでもかってくらい見たかったんです。

むしろ、そこだけが期待だったのに、見事に裏切られました。

 

それでも劇場猫ガスをイアン・マッケランが演じる贅沢感は期待以上。

 I have played in my time every possible part

 ってイアン・マッケランが歌うんですよ!なんちゅうホンモノ感!

(↑CATSの歌の中で「劇場猫ガス」が一番好きなので、大興奮!)

 

そんなわけで舞台版も映画版もたいくつなところはたいくつだし、好きな曲、好きな猫(推しネコ笑)のシーンは楽しい作品でした。

そして個人的に冒頭のピカデリーサーカス「エロスの像」に群がる野良猫たちのシーンに爆笑。

まさかの大ロングラン作品「The Mousetrap(ねずみとり)」の看板が野良猫たちとともに大きく映し出されるとは!

 

ということで、推しネコ、推し曲がある方は一回見といても損はないと思います。

描きたかったものの違い@劇団四季「ノートルダムの鐘」

1/13(月・祝)13:30~ 京都劇場

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スタッフ・キャスト表はこちら。

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わたしがロンドンで3度、来日公演で1度見ているフランス・ミュージカル「ノートルダム・ド・パリ」とは原作は同じでも違う作品です。

 

Notre Dame de Paris [DVD] [Import]

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  • 出版社/メーカー: Sony Music France
  • メディア: DVD
 

 

英語タイトルは「Hunchback of Notre dame」となっているので、日本語訳として有名だった「ノートルダムのせむし男」が英語になっている感じです。

 

 アラン・メンケンが作曲しているので、ディズニーアニメ版「ノートルダムの鐘」をミュージカル化したのかと思っていたら、一部同じ曲は使っていても歌詞が違ったり、キャラクター設定や物語の結末も違っていたりするようです。

 

 ストーリーはこんな感じ。

聖職者を目指すフロローの弟は放蕩者で、ジプシーの女性と駆け落ちし、子どもをなす。

死の間際、駆け付けたフロローにその子どもを預けるが、その子どもは醜い容姿をしていたため、フロローは「出来損ない」という意味のカジモドという名前をつけ、ノートルダム大聖堂の鐘楼に閉じ込め、鐘衝きとして育てる。

司教となったフロローは、外の世界は醜いカジモドにとって危険だと言い聞かせ、自分だけが保護するものだと洗脳する。

しかし外の世界への憧れを募らせるカジモドは、ある祭りの晩、大聖堂を飛び出しパリの町に出て、ジプシーの踊り子・エスメラルダと出会う。

エスメラルダのすすめで、とある祭りのイベントに出場したカジモドは、その容姿の醜さを民衆からあざ笑われ、暴力にあい、大聖堂に逃げ帰る。

このような結果になってしまったことに心痛めたエスメラルダはカジモドに謝罪しようと大聖堂へやってくる。心を通わせるカジモドとエスメラルダ。

一方でエスメラルダの踊っている姿を見たフロローも、大聖堂の護衛隊長フィーバスもエスメラルダに惹かれ・・・。

 

正直フランスミュージカル版の「ノートルダム・ド・パリ」を見た時には話しは一切分からず、その演出方法のせいもあって、主要キャラクターのストーリーには何の関心も抱かずに、ただ目の前で繰り広げられる夢のようなパフォーマンスに心奪われていたのです。

来日公演のときにやっと内容を知り、友人の「フロローが粘着質な恋心と宗教心のはざまで揺れ動く気持ちを見るのがいい」というような言葉にそんなもんか、と思った程度でした。

しかしこのスコット・シュワルツ版ミュージカル「ノートルダムの鐘」で描かれるのは、愛憎の紙一重、正常と狂気の紙一重ではなくて、「怪物と人間」の紙一重でした。

演出からして、前段が終わってカジモド役が登場するとその顔に墨を塗り、目の前で醜く変身させるのです。

そして「怪物と人間 どこに違いがあるか」というような問いかけがあります。

その後、起こる事件や駆け引きを通じて「怪物」と「人間」の違いは何なのか、を考えさせるというのは「BAT BOY the musical」を思い出させるなあと思っていたら、なんと「BAT BOY the musical」も同じスコット・シュワルツの演出だったのですね。

 

Bat Boy

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  • 出版社/メーカー: RCA Victor Broadway
  • 発売日: 2001/06/05
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これもたまたまロンドンで見て、日本版も見たのですが、こちらの最期の絶叫「I'm animal」に比べると、「ノートルダムの鐘」は全体に柔らかい印象を受けました。

そしてこの柔らかさ、問題提示の分かりやすさがこの作品を日本で受け入れやすくしたのではないかと個人的には思っています。

石像たちがたびたび登場人物の心情や、ストーリーの展開をセリフで説明してくれるという小劇場演劇っぽい手法を取っていて、取り立てて面白い演出方法ではないのですが、これも「わかりやすい」という意味では効果をなしている気がします。

そして「何をもって人間というのか」というのはスコット・シュワルツ氏の永遠のテーマで、観客に提示したい問題なのだな、というのがよくわかりました。

その辺に好き嫌いはでそうですが、アラン・メンケン&スティーヴン・シュワルツコンビの音楽がとにかくいい!素晴らしい!

フランスミュージカル版「ノートルダム・ド・パリ」の音楽が個人的にあまり好みではなかったというか、あんまり耳に残らなかったのですが、こちらは聞いている途中でも「この曲好き」と思わせる力がありました。まあこれももちろん好みの問題です。

そして好みというと、前述した友人のフロローに対する解釈、これは完全に好みがわかれるところではないでしょうか。

 

この「ノートルダムの鐘」のフロローはどこにも同情する余地のない人物です。

エスメラルダへの恋も恋と言っていいのか。自分の中に湧き出た感情を自分の知っている範囲でしか解釈できず、都合の悪いことは全部相手のせいにする。

あげくの果てに権力行使して、罪人に仕立て上げるさまはゾっとしました。

また演じられた野中万寿夫さんの見た目がグレイヘアで真面目一直線のおじさん、という感じだったので、今まで見た色気を残した「男」としてのフロローとは一線を画していたのも、そう感じた理由かもしれません。

こういう狭い考え方しかできない人物が、絶対的に自分は「正しい」と信じて疑わない人物が、権力を握ることへの恐怖感。

スコット・シュワルツ氏は「何が人間で、何が怪物か」の「問い」をフロローという人物に課したのかもしれません。

その分、エスメラルダへの愛憎で揺れ動く人間らしさ的なものは全く感じることはできず、結果的にエスメラルダそのものが「ファム・ファタール」的な位置づけにならなかったのは残念ではあります。

それでもエスメラルダを演じた松山育恵さんの踊りが美しくて、「エスメラルダの踊りに惹かれた」という部分がものすごく納得できたのがよかったです。フランスミュージカルは分業制ですから、歌のあるエスメラルダは歌手が演じることが多く、その「踊り」を魅せられる部分が少なかったことを思うと、「エスメラルダの踊り」を魅せてこれたのは、原作にも近くすばらしかった点でした。

 

ノートルダム・ド・パリ」と違って、タイトルも「ノートルダムのせむし男」であるこの「ノートルダムの鐘」の主役はカジモドです。

その分エスメラルダやフィーバスのそこそこに込み入った恋愛事情を描かれなかった部分は残念ですが、カジモドの寺元健一郎さんがまたよかった。

元々の素顔もイケメンの部類だとは思うのですが、醜いカジモドを演じているときの方がずっとかわいらしく、愛おしい存在だったのです。

きれいはきたない、きたないはきれい。

カジモドという人物にはそういう部分が求められると思うのですが、そこを軽々クリアしていて、とても惹かれました。

 

フランスミュージカル「ノートルダム・ド・パリ」とこのスコット・シュワルツ版「ノートルダムのせむし男」どっちがいいか、というのは、「オペラ座の怪人」と「ファントム」どっちが好きか、と同じかもしれません。

個人的にはフランスミュージカル「ノートルダム・ド・パリ」の振り付けとパフォーマンスがもたらした幻想的な光景ほどには、この「ノートルダムの鐘」には夢中になれる部分はありませんでしたが、日本ではこちらの方が好きな人が多いのではないかと思いますし、十分に興味深い作品でした。

過ぎた夢と恋の果て@宝塚雪組「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」

1/4(土)15:00~ 宝塚大劇場

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ヌードルス 望海 風斗  
デボラ 真彩 希帆   
マックス 彩風 咲奈  
ジミー 彩凪 翔    
キャロル 朝美 絢  
ファット・モー(壮年期) 奏乃 はると  
コックアイ 真那 春人   

サム 煌羽 レオ
ペギー 愛 すみれ  
チャン・ラオ 天月 翼  

ファット・モー(少年期・青年期) 橘 幸  

ニック 綾 凰華

エヴァ 彩 みちる

パッツィー 縣 千

ドミニク 彩海 せら
 

原作 ハリー・グレイ/セルジオ・レオーネ監督による同名映画
脚本・演出 小池修一郎
作曲・編曲 太田健

原作映画はこちらになります。

 

もちろん、わたしは何の予備知識もなしに見に行きました!←いばることではない・・・。

でも何の予備知識がなくても、ちゃんと「宝塚歌劇」になっています。

そんなあらすじはこちら。

 

1950年代アメリカ・ニューヨーク。

ファット・モーが経営するダイナーにヌードルスがやってくる。

かつて彼はユダヤ系移民でニューヨークのローワーイーストサイドで生きていた。

しかし今は違う名前で田舎で細々と暮らしているという。そんな彼のもとに大金と妙なパーティーの招待状が届いた。その理由を知るべくかつての故郷に戻ってきたのだった。

鍵は彼が捨てた人生にあるかもしれないと、過去を振り返るヌードルス

貧乏でどうしようもなかった少年時代(1920年代)。友情に恋にまっしぐらだった青年時代(1930年代)。

彼の人生が浮き彫りにされていく・・・。

 

観劇後に映画を見たのですが、映画ではこの3つの時代を行き来します。

しかし舞台は1950年代から過去に戻り順にヌードルスの人生を追い、1950年代に戻ってきます。

この辺の編集作業はさすがです。

特に第一部は圧巻。

小池修一郎先生の輸入ミュージカルではない一本モノでここまでショーアップされた作品を見たことがない気がします。

ヒロインのデボラはミュージカルスターになることを足掛かりにいずれ一国の王妃になることを夢見るキャラクターなのですが、彼女がみごとにミュージカルスターになったシーンの見せ方がすばらしい。

さらに「ショースター」であることをこれでもかと見せつけるまあや(真彩希帆)ちゃんの存在感と華と歌唱力がすごい。

ここだけでも圧倒されるのに、その後にマックスたちが経営する潜り酒場(スピークイージー)「クラブ・インフェルノ」の歌姫・キャロルとショーガールズの歌い踊るシーンが続くあたりが、本当に魅せられました。

キャロルは男役であるあーさ(朝美絢さん)が演じているのですが、音域的に女役の方が声が出やすいのか、歌も歌姫のまあやちゃんに劣らず魅せてくれたのです。

宝塚歌劇という特性上、仕方ないこととはいえ、女役が真ん中のショーシーンが続く、というショーをほぼ見ることができないので、この部分だけでも個人的にはすごい、と思うのです。

1930年代アメリカのショービズ界は本当にこんな感じじゃなかったんだろうか、と思わせる空気感を久々に味わいました。

何より一部のすばらしい点は、ヌードルスの恋を主軸に描いたこと。

子どもの頃からデボラが好きで好きでたまらなくて、とある事件をきっかけに刑務所に入ることになり、出所してもデボラへの恋心は募るばかりであることをしっかりと見せたからこそ、一部のラストシーンの「ヴィジュアル」が魅せるのです。

もちろん「男ってなんちゅうバカ!」と心から思いました。

もうほんと腹の底から。

怒りさえわくぐらい。

それでもヌードルスを演じるだいもん(望海風斗さん)の絶唱に「まあ、そんだけ好きだったんだもんな」とちょっとだけ同情できるくらい仕上げてきたことを心から評価したいです。

そんなわけで一部はいい意味でメロドラマに仕上がっているんです。ギャング映画をショーアップされたメロドラマに変換したのは「宝塚歌劇」として正しい選択だとわたしは思っています。

(正直「壬生義士伝」もこのくらいの変換が必要だったと思います)

 

だからその一部に比べると二部が弱かったのが残念と言えば残念。

幕開きのハバナと「サヨナラ禁酒法」のショーアップさ加減はよかったのですが、ここからはヌードルスとマックス、二人の人生の選択とその分かれ道となる大きな事件を描いていくので、どうしても暗い。というか二回目ですけれど「男ってバカ」。

それでもマックスの方は悲哀性をもって「バカ」の説明があったのですが、ヌードルスに関してはどこか中途半端なんです。

まあ映画を見ると一部のヌードルスをああいう風に描いてしまったので仕方ないのですが、そこを信仰心の方に傾けてしまったがゆえの歪みだったのかなあと思います。

とはいえ、アヘン窟での悪夢のシーンの作り方は、これを一本モノにした意味があるなあと感心しましたし、人生の帳尻というか、何が幸せで何が不幸かなんて本当にわからない、という小池先生が描きたかったところは、プログラムを読まずともちゃんと感じることができました。

まあこの辺はわたしが多感な時期に「ヴァレンチノ」と「華麗なるギャツビー」の二本をむさぼるように見たから、というのもあるかもしれません。

ヌードルスの生きる時代 | 雪組公演 『ONCE UPON A TIME IN AMERICA(ワンス アポン ア タイム イン アメリカ)』 | 宝塚歌劇公式ホームページ

(データないのは重々承知ですけれど、スキャンとか方法あったと思うので、初演のポスターも掲載してほしかったです)

 

何より1950年代の再会のシーンとセリフで、ああそう言えば一部の子ども時代にプレゼント持っていたな、と思い出させたところがすごくいいです。

(そして「壬生義士伝」でもこのくらい見せられただろう、と思わずにはいられませんでした。けっこう引きずっているな、わたし)

子ども時代からずっと交差している二人の人生。その選択と結末。どっちも「バカ」です。でも貧民街から生き抜き、大それた夢を必死につかもうとした生きざまは切なくもありました。

あれほど正しく努力を重ねて、駆け上がっていったデボラでさえ、最終的に戻っていくところはそこなのか、と思うと哀しくもありました。

その一部始終を見届けたヌードルスが今、何を思いここを立ち去っていくのか、その余韻が公演を重ねるごとに出てくることに期待します。

 

残念ながら1/4の時点では、まだだいもんの演技はそこまで追いついていなかったです。でも圧巻の歌唱力でその辺をねじ伏せてきました。これがトップスターの力です。

さき(彩風咲奈)ちゃんのマックスも、その二面性を自然に身体の中に取り込むにはまだまだという感じでした。けれどだいもんの横に立ち、張り合える存在感が備わってきていました。そして何より子ども時代がかわいい!だからデボラの選択もなんとなく理解できるのは大事。

デボラのまあやちゃんとキャロルのあーさはいうことなしですね。

華、美しさ、そして歌と魅せるべきところは魅せましたし、デボラのまっすぐな気性が「人を惹きつける」ものであること、そのヒロイン性を高めていました。

 

ジミーのなぎしょ(彩凪翔さん)、よかったです。

まさかなぎしょがここまでキーパーソン的なわき役をしっかり演じるとは。

そして映画を見ると、この役をこう描いたのも面白いです。

そしてニックの綾凰華ちゃんがかわいかった。かわいくていい人の役で、ちゃんと印象に残ってきたあたりが、美貌の若手としてちゃんと活躍してましたし、逆にワルを演じることが板についてきた煌羽レオも、とてもいい仕事をしていました。

 

こういう話ですから、ヌードルス、マックスとつるむコックアイ、パッツィ、ドミニクあたりはすごく美味しいかわりに娘役さんが割を食うのがかわいそうではありました。

エヴァ(映画の字幕ではイブ)もちょろっと登場しただけなので、ペギーあたりは映画くらいに役割分担させてもよかったように思います。まあどう描くかが宝塚歌劇の難しさではあります。

だから総括すると、本当にあの映画をよくぞここまで「宝塚歌劇化」したな、と思うのです。

これはギャングの物語ではなく、1人の男の物語で、その男が愛した女と友人の物語なのです。だから映画の人物像の在り方が好きな方には向かないと思います。

 

映画は映画で映像美がすごかったです。そしてロバート・デニーロが漂わせる雰囲気がめちゃくちゃかっこいい。

でも本当にギャング映画、なのですよね。

ヴァイオレンスはともかくとして、女に対する扱いがひどい。

舞台を見ながらも「男ってバカなの」と何度も思ったのですが、映画は「バカ」なんて柔らかい言葉では済みません。長い映画なのでインターミッションがあるのですが、ここでインターミッションに入られてもどういう気持ちでいたら・・・くらいの怒りしかありませんでした。

(おかげで後半は全くヌードルスが格好よく見えなかった。この犯罪者!みたいな気持ちでいっぱいでした涙)

ここで怒るか、しかけた方が悪いと思うかは人それぞれかもしれないですけれど、今ならかなりの問題になりそうです。

ただ映画に描かれていたマックスとヌードルスの友情というか愛憎というか、そういった複雑な感情から生まれたセリフで、使用してもよかったのにな、という部分はありました。

でも総じて「宝塚歌劇」としてはこれでよかったと思っています。

昔むかしアメリカで、こんなバカな男たちがこんな人生を送りましたよ。

そんなほろ苦さを味わえる作品でした。