こんなことを思ったり。ぼちぼちかんげき。

保護猫と同居人と暮らすアラフィフがビンボーと戦いながら、観劇したものなんかを感激しながら記録。

ア・ソング・フォー・ユー

【監修】
栗山民也

【脚本・作詞・演出協力】
鈴木聡

【上演台本・作詞・演出】
菅野こうめい

【音楽】
久米大作

【出演】
川平慈英
松本紀保 吉沢梨絵 大和田美帆 杜けあき
羽場裕一 山口賢貴 上田悠介 尾藤イサオ 上條恒彦
春野寿美礼

カーペンターズの音楽を使ったミュージカルということだったのだけど、私の方にそれほどのカーペンターズの知識がなく、ショーシーンでカーペンターズの曲として歌われる曲や、明らかにそれと分かる有名曲以外の歌がそうだったのかは区別がつかなかったのだけど、それなりに音楽と芝居が溶け合ったジュークボックススタイルのミュージカルとしてはなかなかの出来だったと思う。
とりわけ「Rainy Days And Mondays」がそれぞれの物語で歌い継がれていって、一つのシーンとなるところが、音楽とともにある気持ちを上手に表現したミュージカルとしてとてもスムーズな良い場面に感じた。

1970年代前半の福生を舞台に基地をフェンスで簡素に表したシンプルなセットも悪くなかったし、何より、あの年代の女性ファッションがとても可愛らしく、色のバランスと照明が調整されて、ヴィジュアル的にもよく整った舞台だった。クリスマスのシーンでは、フェンスの向こうのバンドの人たちもサンタ帽を被っていたり、細かく気を配られていて好感。

話自体はなんてことないし、特に歌を歌う三人組の女の子の内の2人の話はあまりにベタな傷つけられた物語は少し興ざめ感もあったけれど、だけど、それぞれにそれぞれの物語を抱えて交わって生きていく、ということを、そうなんだなとしみじみ感じた少しだけ心が温まる部分もある佳作だったと思う。

キャストの中では大和田美帆の成長ぶりに感嘆。歌も芝居もしっかり訓練してそれをきちんと舞台で表現できるようになっていることに驚いた。これからもますます楽しみ。そして、尾藤さんと杜さんのカップルが実に可愛く、微笑ましく、少し憧れた。