こんなことを思ったり。ぼちぼちかんげき。

保護猫と同居人と暮らすアラフィフがビンボーと戦いながら、観劇したものなんかを感激しながら記録。

アラフォーの心を溶かす美少年@十二夜

翻訳◆松岡和子
演出◆ ジョン・ケアード
美術・衣裳◆ ヨハン・エンゲルス
音楽・編曲◆ ジョン・キャメロン

キャスト
ヴァイオラ/セバスチャン◆音月桂
オーシーノー◆小西遼生
オリヴィア◆中嶋朋子
マルヴォーリオ◆橋本さとし
フェイビアン◆青山達三
サー・アンドルー◆石川禅
サー・トービー◆壤晴彦
フェステ◆成河
マライア◆西牟田
船長◆宮川浩
アントーニオ◆山口馬木也

シェイクスピアで何が好き?と聞かれたら
「夏の夜の夢」と「十二夜」と答えます。
いいじゃないですか、喜劇。
意味なく楽しいもの!

その中でも「十二夜」はシェイクスピアお得意の
双子ものとりかえばやドタバタコメディーです。
だもんで、演出によって全然違う。
双子を1人でやるか、2人でやるか、
男女でやるか、男男でやるか、女女でやるか
それだけでもいろんなパターンが見れちゃう
お得な演目なのです!

個人的には最後に双子の対面シーンがあるので、
双子は2人、オールメールキャストでやるのが
一番自然なので好きなのですが、
今回は音月桂一人二役バージョン。
どうするのかなあ、とワクワクと向かいました。

とりあえず、一番にいえるのは、
さすが、ジョン・ケアード!
さすが、ロイヤル・シェイクスピア劇団の演出家!
シェイクスピアを熟知していらっしゃる。
もうセットも音楽も演出もキャスティングも
すんばらしかったです。

中世の庭園を彷彿とさせる迷路のような美しいセット。
古典的でシンプルだけど流麗な音楽。

そして、今となっては長ったらしくて、
つまんないといつも感じてしまうシーンさえ
面白く、そして、美しく見せてくれました。

一応ストーリーはこんな感じです。

航海中のセバスチャンとヴァイオラの双子兄妹が嵐にあってはぐれはぐれに。
ヴァイオラが打ちあげられた場所はオーシーノ公爵の領土でした。
そのオーシーノ公爵はオリヴィアという女性に恋をしているのですが、
オリヴィアは兄の死に悲嘆にくれていて、公爵の求婚を受け付けません。
ヴァイオラは自分を守るために男装し、シザーリオという名で公爵の小姓になります。
そして、公爵は可愛い少年の使いならオリヴィアも心動かすかもとヴァイオラをオリヴィア邸へ。
すると、オリヴィアは一目でヴァイオラに恋をして・・・。

この先はご想像どおりの誤解が誤解を呼び続ける
ドタバタコメディーが続きます。
そのため、どうしても女性がオリヴィアを演じるとそこはかとなく
痛々しさを感じてしまうんです、私。
しかし、今回はここを中嶋朋子さんが演じることにより、
可愛いアラフォー女性が美少年に夢中になる、
という図式になり、すごくスムーズに見れたんですよ!

その上で、音月桂の「美少年」ぷりが堪りません!
オーシーノ公爵の恋をオリヴィアに伝言するときにオリヴィアの耳元で「オリヴィア、オリヴィア、オリヴィア」と囁くのですが、
これが、奥さん、もう!

とろけました。

なんですかねえ、あの音月桂独特の
肉食系美少年性は。
宝塚時代の「ロミオ&ジュリエット」の「おやすみ」もかなりとろけさせられたんですけど、
あれに匹敵する「殺し文句」ならぬ「殺し声音」でした。
もう気持ちはオリヴィアと一緒です。
アラフォーに忍び寄る麻薬です。

もちろん、ヴァイオラ、シザーリオとセバスチャンの演じ分けも見事でした。
音月桂の演じ分けがあったからこそ、
あの素晴らしい「兄妹の対面シーン」ができたと思います。
1人2役版の「十二夜」で私が今まで見た中では
一番スムーズな、そして、一番見事な「兄妹の対面シーン」でした。

分かっているのに、どう入れ替わっているのかわからないという悔しさ

ということで、ジョン・ケアード版「十二夜」、激しく再演を希望します!
今度は死ぬ気で1階の前方席をゲットして、あのトリックを見抜きたいです!
そして、それ以上に、もう一度、音月桂シザーリオにとろけたいです