演出 荻田浩二
「サンセット大通り」は映画を先に見ていたがために「映画」と思ってしまったのかもしれません。
ということで、「ライムライト」は予備知識なしに見に行きました。
最盛期を過ぎたコメディアン・カリヴェロがひょんなことでテリーという娘を預かり同居生活をはじめることから物語ははじまります。
淡い照明とシンプルなセットが素晴らしいセリフたちを彩っていきます。
その名言ばかりのセリフたちはよろしければこちらでどうぞ。
老いること、生きること、そしてその意味、
そんなものをじんわりと
感じさせてくれます。
私は個人的におじいさんと若い娘の恋愛、
というものが苦手なのですが、
カリヴェロはきちんとテリーに
「君は若い。私を愛しているのは間違いだ」と
説くのです。
ここのカリヴェロに大人の分別と、時を重ねて人生経験を積んだその重みを感じました。
一方でカリヴェロは売れなくても、厭われても、道化師であることをやめません。
落ちぶれても、人を笑わせることをやめることができないのです。
芸を生業としたものの業も感じます。
それが、若くて、どこまでも真っすぐなテリーの思いと絡みあい、クライマックスに思うのは、
こんな人生は素晴らしいなということでした。
石丸さんは二枚目を封じ込めきちんと年老いた芝居をしていらしたし、
何より、野々すみ花さんのテリーが可愛らしくて素晴らしかったです。
陽気な場面は陽気だったのですが、
決して派手さはなく、
静かに美しい舞台でした。
クライマックスは哀しさと幸福感に満ちていました。
そして、これだけ素晴らしいと、
やはり原作を見てみたくなってしまいました。
映画、素晴らしかったです。
何が素晴らしいって、チャップリンが本当に
本物のコメディアンであることです。
これが「芸」というものか、と痛感。
舞台版で石丸さんにあまりコメディ部分を演じさせなかった演出は正解だと思いました。
このチャップリンの「芸」は誰にもできない。
そこに違和感が生じてしまったら、舞台は台無しです。
舞台はいつ再演があるか分かりませんので、
これも激しく「映画」の方をお勧めいたします。
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とは言え、なかなか映画も手に入れづらいのが難点なんですよねえ、これ。
こんな素晴らしい作品、ぜひとも再販をお願いしたいです!
