こんなことを思ったり。ぼちぼちかんげき。

保護猫と同居人と暮らすアラフィフがビンボーと戦いながら、観劇したものなんかを感激しながら記録。

素材としては好みのキャラクターだったのに@宝塚雪組バウWS「灼熱の彼方-コモドゥス編」

ということで、私が彩風咲奈さん(さきちゃん)になぜはまったかを紐解くシリーズ第2弾(笑)←誰も興味ないけどやる。
----------------------
友人から誕生日プレゼントとして「灼熱の彼方ーコモドゥス編」のチケットをいただき、ワクワクと赴きました!

本編の前に、前日に千秋楽を迎えたH2$組が客席に駆けつけていて、開演前にギリギリ飛び込んできたキムみみ(音月桂さん&舞羽美海さん)にテンションあがったことを付け加えておきます(笑)
いやあもうキムくんの頭がちっちゃい!後ろから見下ろすと頭蓋骨つかめそう、とかどうでも良いことを思ってましたw すんごい可愛かったです、キムくん少年のようでしたあの人が30代なら私もアラフォーになるよなあとか、本当にどうでもよいことしか考えさせない無敵のかわいさでしたね

さて、コモドゥス編。
若者は成長が早い、ってのを痛感させる出来でした。
一番は暗殺団リーダーの煌羽レオくん。
オデュセウス編の時は、確かに男っぽくて格好良いけど、まだ全然男役でなくて、しかも演技がこれまたものすごい下手で、なんでこの子がこのおいしい役なんだろうとため息ついてたくらいなのに、今回は若手として及第点を叩き出すくらいの出来。
そして、今回は二番手となったさきちゃんが、セリフ回しがぐっと良くなっていて、肩の力の抜けたキラキラぶりが余裕さえも感じさせ、若者の成長に目をみはるばかり。

一方でなぎしょ(彩凪翔さん)の技術面での進歩は感じられず、主役としてより肩に力の入った感じがちょっとお腹いっぱい感があったのが残念。

ところで、オデュセウス編を見たときのコモドゥスがああなった理由というのは、父親とオデュセウスへのコンプレックス、妹への恋心がずっと前提にあって、幼なじみのアンヌもオデュセウスを選び自分を拒否したことが一つのきっかけとなったと私は見ていました。
そして、宴会の席で、息子ではなくオデュセウスを呼び寄せたとき、この父親が少しでもコモドゥスを誉めて抱きしめてやれば、彼はまだ戻れるのではないかと思ったのです。

その感想は間違っていなかった。コモドゥス編を見て、よりそれはそう思いました。
コモドゥスが「おまえには私が何に見える」と、ことあるごとにいろんな人に聞くんですけど、そのたびに「愛に飢えて傷ついた子供、もしくは捨てられた子犬にしか見えないよ」と心の中で呟いたくらい。
ただ、コモドゥスの抱えていたコンプレックスが「皇帝の本当の息子ではない」ことだったとは思わなくて、それは見ていて唖然。
でもだからこそ、国のために犠牲になっているコモドゥスを省みなかったことは、哲学王と呼ばれたこの皇帝の無慈悲さをかいま見せて、よりコモドゥスに強く共感しました。

そして、思ったことは、父親、とは本当に難しい生き物なのだということ。
私は現在親ではないから余計、こんな年でも子供の気持ちに共鳴します。だから、どうしても皇帝が許せなかったし、そして、その皇帝と血のつながらないことを嘆くコモドゥスが哀れでした。
私は父親と血がつながっていることにずっと悩み、コモドゥスはその逆で、でも根底にある父親へのコンプレックスは変わりなく同じ。
だから父親と上手くいっている関係というのが、どんなものなのか感覚的にさっぱりわからない代わりに、それがそこにある苛立ちにはきっと普通以上に反応してしまう。だから、オデュセウス編の時から、コモドゥスという役にこんなにとりつかれたのでしょう。
一部幕切れのコモドゥスが皇帝を殺すシーンは圧巻。
多分、コモドゥスに自分の顔を見たからこそ、堪えがたい痛みと恍惚を味わいました。

そんなわけで、そんな大きな山場を迎えたあとの二部がどうにもこうにも。申し訳ないけど、妹への恋心の成就は本当どうでも良かった。寧ろそんなものがない方がコモドゥスのどうしようもなかったところは伝わったと思うのです。
そして、なぎしょが、山場を越えてからのコモドゥスの煩悶を表現するには本当に至っていなかったことも一因でした。父親を殺すまでは子供の心のまままっすぐ進めても、それからのコモドゥスはそうはいかない。
より強くなる孤独、皇帝の責務、望んだ人生ではない絶望、雁字搦めの縄の中で生きていく姿、そういうものを求めていたし、そこから狂気に走る部分も描ければもっとおもしろい舞台になったろうにと思うと脚本、演技力ともに残念としかいいようがありません。

このコモドゥスというモチーフで藤原竜也あたりがやって、蜷川先生が演出したらすんごい重くて辛くて痛くて、でもどーんと心にとりつく面白い作品になる気はするけれど。

とりあえず、セリの上で風にはためくコモドゥスに盛大に腹筋を鍛えさせていただきました(^◇^;)←必死に笑いを耐えたのです!
うん、でも、最後まで妹に「おまえには私が何に見える」と語りかけるコモドゥスに、彼女は「私の太陽」とかふざけたことを言わずに「お兄さまはいつまでもお父様の愛情を求める傷ついた子供に見えます」って言ってくれた方が、演劇としては、何か、を生み出したと思うんですけどね。
素材が面白かっただけにいろいろ残念な公演でした。
----------------------
こんなわけで、役柄としてはなぎしょに夢中だったのに、ちゃんと演じてくれているという点で、さきちゃんが好きになったのがはじまりだったんですよね。
でも、この時、さきちゃんは既に二度新公主演をしていたけれど、なぎしょが急に伸びてきて、W主演という、わりかし不遇の時代に入っていくんですよね。伸び悩むというか。
なので、私もさきちゃんがまさか二番手になるとは思ってもみなかったので、本当に今、二番手になってくれて嬉しいです!
なぎしょにこの時、こんなに文句言ってるけど、寧ろ今は逆転して、なぎしょの方がスキル伸びた気がするので、さきちゃんにはいろいろがんばってもらいたいけど
この頃のキラキラ感が演技で出せるようになったら、きっともっと魅力的になれると信じています!