こんなことを思ったり。ぼちぼちかんげき。

保護猫と同居人と暮らすアラフィフがビンボーと戦いながら、観劇したものなんかを感激しながら記録。

出会いと結果が面白いザッツブロードウェイミュージカル@宝塚月組「ガイズ&ドールズ」

8/9(土)15:30~ @宝塚大劇場 

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キャスト

スカイ・マスターソン    鳳月杏
サラ・ブラウン    天紫珠李    
ネイサン・デトロイト    風間柚乃        
ミス・アデレイド    彩みちる
ナイスリー・ナイスリー・ジョンソン 礼華はる    
アーヴァイド・アバナシー 悠真倫
カートライト将軍    梨花ますみ    
ミミ    白雪 さち花
ベニー・サウスストリート 夢奈瑠音
ラニガン警部    佳城葵    
ビッグ・ジュール  英かおと        
ホット・ボックス・ドールズ 彩海せら/咲彩いちご/八重ひめか/一乃凜/花妃舞音

クリエイティブ

原作/デイモン・ラニヨン 
作曲・作詞/フランク・レッサー
脚本/ジョー・スワーリング、エイブ・バロウズ
脚色・演出・訳詞/稲葉 太地

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宝塚でも何度か上演されているこの有名作品なんですが、実は初めての観劇でした。

作品自体は2004年に「エジンバラ・フリンジ・フェスティバル」でアマチュア団体が公演していたのを見たことがあるのですが、英語でかつ遠い記憶すぎて「アマチュアでもこんなに歌えて踊れるんだ」くらいの感想しか思い出せないレベルの知識で赴きました。

そして私のブログを読んでくださる方は何度も書いているのでご存じかと思いますが、私は「ボーイがガールにミーツして、サムシングハプンのちにハッピーエンディングというシンプルストーリーをソング&ダンスでゴージャスにしたエンターテインメントショー」が大好きです。古いブロードウェイミュージカル、大好物です。

そんなわけでこの作品もめっちゃくちゃ楽しく見ました。

1950年代の古いミュージカル作品ですからもっと繰り返しが多くて中だるみするかなと思ったのですが、まあ長尺だなと感じるシーンはないとは言えないんですけれど、それでも終始、楽しく見られるくらいには、きちんと仕上がっていたと思います。

逆に古いミュージカルにしてはボーイがガールにミーツする理由があるのが非常に面白いなと思ったりしたくらいです。

スカイは偶然とかじゃなく、ネイサンに仕向けられてサラに会いに行っている。「偶然の出会い」ではなくて、意図的に計算的に「サラを落としに行く」のです。

なのでスカイとサラの駆け引き部分がとても興味深く、かつ、まさしくそこが「男役力」が試される部分なのですが、これをもう鳳月スカイが軽々やっちゃう。

てか、もう出てきた瞬間にかっこいい!そしてサラをなんとか口説き落とそうとするそのやり方もいたってスマート。

一方のサラなのですが、「救世軍」に属する女性で、これが多分英語で見ていたときも分からなかったところだったのですが、ザクっとWEBで調べるところ「キリスト教プロテスタント」の一派が始めた慈善事業団体、のようですね。でまあその団体の考え的に効率的だということで「軍隊形式」を取っているみたいです。梨花ますみさん演じるカートライト将軍はおそらくその慈善事業団体の最高責任者に当たるようです。

サラの「軍曹」は単なる活動する信者の呼称でボランティアっぽい。(Wikipedia先生によると「他教団における教会役員」とありましたが、これすらよく分からない・・・。ただボランティア活動に身を投じられるということは、アメリカのキリスト教文化の下地ももちろんあるけれど、そもそも経済的に困っていない余裕のある家庭で育っている可能性は高いのかな、と思っています)

作品解説には「お堅い女性」と書かれていることが多いのですが、プロテスタントキリスト教信者でその布教活動に精を出していることがイコールで「お堅い」のかどうかが私にはちょっと分からないのですが、とりあえず、サラは彼女なりの信条があって情熱を持ってその活動を行っていることは分かりました。

で、そういうことが重要なので、サラの「救世軍」あたりはもうちょっと分かりやすい、というか、誤解が少なくサラの生い立ちや背景が分かる設定になるといいのになあとは個人的に思いますが、これがカルチャーギャップで、こういうことを今さらながら学べたりするのも、観劇のオプションかなとも思います。

まあそんなわけで、使命に燃えるサラにはスカイのスマートだけど軽々しい誘い文句はなかなか通じない。その辺の二人のやり取りはやっぱり見ててニヨニヨできて、楽しいです。

ハバナに移るシーンの盛り上がりからのサラが伝道所巡りばかりするくだりの盆くるくるの装置は、スカイのまいった感も伝わってきて、非常に面白く見ました。

 

一方で、14年も婚約中のカップル、ネイサンとアデレイドなんですが、こっちは私は割と親しみやすく感じました。それこそ2004年に一緒に「エジンバラ・フリンジ・フェスティバル」に参加していた仲間が当時からカップルでしたけれど、未だに「婚約中」で、「永遠に婚約中で結婚はしない」と宣言してたりするからです。

それに身近な男性の友人たちからも「好きで付き合ってて長く一緒に暮らしていても、いざ結婚、となるにはなかなか」的なお言葉を聞いていたりしたので、ネイサンはまあ「普通の男性」だな、という印象でした。そしてその普通の、しかも14年も婚約しているくらいには年齢を重ねている男性に見えたあたり、本当に風間柚乃さんの演技力には毎回唸らされます。

ただネイサンは「婚約中」がちょうど良くても、アデレイドはそうではない。そして、なかなか結婚に踏み込んでくれないネイサンに不満はあっても、「自分がネイサンを好きで愛しているからがんばる」姿を、ものすごくチャーミングでコミカルに魅せてくれた彩みちるさんが本当に素晴らしかったです。

やりすぎると哀れにもなりそうなこの役を、もう本当、終始キュートでチャーミングに演じて、ちゃんと台詞の抑揚や間合いで笑いに変えてくれて、対するネイサンもやっぱり受け方がうまくて、その絶妙なズレが笑いを産んでいるのは、本当なかなかできることではないので、お二人のお芝居のテンポ感の結晶だな、と思いますし、何より二人が同じに愛し合っているというのがちゃんと伝わってくるのは、この二人の関係性においてめちゃくちゃ大事だと思うので、そこが本当に良かったです。

そこへ行くと、割と「笑い」を産みやすい部分を振り分けられているはずのナイスリー、ビッグ・ジュール辺りは、もっともっと自然にこなれてくれるといいな、とこれからの進化に期待します。でもお二人ともやりすぎ感はないのがいい。こういう役はやりすぎると存在が煩わしくなるので、その辺りもきちんと抑えられていて、こういうなんてことない話しを楽しく、ハッピーに見せてくれて、個人的にはとてもいいなと思いました。

そしてもう一つ、こういう古いミュージカルなのにしては珍しいなと思ったのが、「男が変わってハッピーエンド」になるところでした。

今年になって観劇した「ホリデイ・イン」や、宝塚でも上演されている「TOP HAT」とかでも主人公の男性は変わらなくて、その男性にぴったり合う女性とカップルになる、みたいなことが多いし、作品としては大好きな「GREASE!」なんかは、なぜかヒロインが男性にあわせて変身してしまうのが納得いかなかったので、この逆転はとても見ていて心地よかったです。

そのハッピー感を引きづったまま、幕が下りてもオーケストラの演奏が続いて、演奏終わりにオーケストラに拍手できるのも、「ああー、ミュージカル、見てる!」という昂揚感が増して、個人的にはとても大好きになりました。

時間とお金に余裕があったら役替わりの彩海せらアデレイドも見たかったです。

 

でも本当に彩さんのアデレイド、よかったんですよ。

「ホット・ボックス」のショーでドールズたちと最初に歌い踊る「A Bushel And A Peck」の可愛らしさといったらもう!

心の中でもう「かわいい、かわいい、かわいすぎる!」とずっと叫んでいたくらいです。

もちろん二幕幕開きの「Take Back Your Mink」のせり上がりの存在感と華やかさもすごくて、今までさまざまなヒロインを演じた経験があってこその「この真ん中力」なんだな、そして、こういうチャーミングな役がめちゃくちゃ似合う人だったんだな、と痛感しました。

ええもちろん買いに行きますよ、舞台写真。

shop.tca-pictures.net

(しかしなぜ「A Bushel And A Peck」の全体写真がないのかが疑問。あそこのみちるが本当にめっちゃくちゃ可愛かったし、ドールズたちもキュートので、東京公演版はぜひ全体写真をください!1人映りが出せないからこそ、みちるバージョンで!

あと何気に私が一番萌えたぎった妄想のスカイと妄想のネイサンもあるんですね!ここがステキに見えるお二人がさすがですよ)

まさしく集大成で、二番手娘役というあり方も悪くなかったなと思わせてくれたんですよね。寧ろ最後なのにこの役なの?というトップ娘役もいることを考えると、この大役は役替わりとはいえ、彼女の最後にふさわしいものだったと思います。なので、昔みたいにサヨナラショーもやらせてあげてほしかったです。

 

ところでこの作品といえば、の曲は数曲あるんですが、やっぱり「Luck Be a Lady」かなと思います。そしてこの曲に至るまでの理由をわかっていなかったので、改めてこういう内容の曲だったのか、面白い!ってなりました。本当にスカイの心のすべてを賭けて願って歌われているのが伝わるパフォーマンスで、改めて鳳月さんのすごさも感じられ、少なくとも私みたいな、オールドブロードウェイミュージカル好きにとっては良き作品でした。

 

ということで映画も機会があったら見てみたいです。当時のアメリカが詰まった作品ではあるので、それをもうちょっと理解したいなと思いました。

最高のダンスを楽しめる人生もまたよし@Burn The Floor2025来日公演

7/25(金)17:00~ @フェスティバルホール

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DANCERS

GUSTAVO & LILY(グスターボ& リリー)
ALBERTO & JORJA(アルベルト& ジョルジャ)
IGOR & ERIKAイゴール& エリカ)
DYLON & MARCELLA(ディロン& マルチェラ)
ANDREA & FLAMINIA(アンドレア& フラミニア)
IVAN & NICOLE(イワン& ニコル)
MARCO & ELLIE(マルコ& エリー)

LEONARDO LINI(レオナルド・リニ)
JEMMA ARMSTRONG(ジェマ・アームストロング)

GUEST 柚香光

VOCALS & BAND
MARK STEFANOFF(VOCALS & KEYS)
DION HOLGANZA(VOCALS)
TYLER AZZOPARDI(VOCALS & PERCUSSION・MUSICAL DIRECTOR)
MARTIN RUVIRA(DRUMS)
JAMIE VALENTE(GUITAR)

 

前回バーン・ザ・フロアを見たのはいつだっただろうと調べてみたら、2012年でした・・・。知らないうちに干支一周以上回ってました・・・。

そんな13年ぶりの「バーン・ザ・フロア」、想像以上に熱狂してしまいました。

恐らく前回は社交ダンス&サルサを3年くらい習った後、やめていた時期だったので、見方が違ったのかなと思います。

現状、私は社交ダンスのみを団体レッスンでゆるーく続けているだけなのですが、だからこそ久しぶりにいわゆる世界のトップダンサーの踊りを魅せつけられると、もうその全ての技術に圧倒されまくってしまったのでした。

 

ありきたりではあるけれど、オープニングのスモークの中のワルツは夢のように美しかったですし、そこから弾けるようにダンサー全員で踊るジャイブにもうただただ圧倒されました。

 
 
 
 
 
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しかも席がS席の中では前から二列目。いわゆるボックス席の2列後ろだったので、ボックス席前で踊ってくれるのなんて、もう本当に至近距離で見られるわけで、こんなの興奮しないわけがないのです!(もうチャチャチャの速さとステップの細かさに発狂!)

基本的にスタンダード種目が好きなので、全体にラテン種目が多かったのは残念なのですが、一幕はクイックステップのシーンが一番印象に残っています。

今回久々に「バーン・ザ・フロア」を見に行こうと思ったのは、もちろん柚香さんのゲスト出演があったから、なんですが、柚香さんは特に一幕はソロ歌唱メインで、後は群舞やバックダンサー、ミューズ的な扱いだったところ、このクイックステップが唯一ちょろっとペアダンスをしてくださったんです。

でもこうやってブログに思い出を残そうとダンサーの皆さんのお名前を書きだしてみると、基本ペアの相手は決まっていることを改めて実感し、決まったパートナーとそれなりの時間の間ずっと組んで、世界中を踊りながら巡っているダンサーの皆さんに混ざるのは、いくら柚香さんとはいえ、なかなか難しいものだな、と改めて思いました。

柚香さんが冒頭4小節くらい踊られたクイックステップをフル尺で踊ってくれたペアが本当に素晴らしくて、こんなに軽快なんだ、ランってこんなにピッタリとあうんだ、ともうワンステップごとに感動の嵐でした。

 

衣裳もとてもステキで、とりわけ二幕幕開けのフリンジパンツでのサンバは、踊りも伴ってゴージャスそのもの!

 
 
 
 
 
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大迫力の熱量に巻き込まれていたら、ウエストサイドストーリーの「America」みたいなガーリーでかわいい衣裳で踊ってくれたサルサも楽しくて、ああ、また、サルサも踊りたい、と心から思ってしまいました。

でも二幕の個人的なナンバーワンは「ハレルヤ」という音楽にあわせて踊られた、ルンバからの裸足のヴェニーズワルツ。

あの清らかさ、あの流れるような美しさ。

踊りがかつて天に捧げられたもの、であることをふと思い出させつつも、二人のなかのコネクション、つながりを感じて、妙に胸に迫ってきました。

柚香さんのダンスの中も二幕の方が全体によかったです。とりわけ男性ダンサーを率いて同じ振付で踊るシーンは、男役として、ではなくて、女性ダンサーとして、とっても格好よかったです。

そこからのフラメンコっぽい衣裳でのコンテンポラリーダンスは、柚香光の美貌と表現力をフルに活かしていてステキでしたし、そこから他のダンサーがパソドブレに入っていく流れも美しくて感嘆。

当たり前なんですけど、柚香さんは宝塚歌劇団の元トップスターではありますが、トップスターに至るまではロケット、バックダンサー、群舞などをやられてきていますので、ペアで踊ること以外は普通に他のダンサーに混じって踊れるのが、改めてすごいなと思いました。しかも浮くわけでもなく、埋没するわけでもなく、主張しすぎるわけでもなく、演出家に求められたちょうどいい塩梅で存在し踊れるわけです。

欧米諸国の百戦錬磨の麗しきプロダンサーたちの中で違和感なくいられる、というのは、なかなかすごいことだと個人的には思うので、もし練習時間がもっとあったなら、苦手分野であるソロ歌唱をカットして、ペアのラテンダンスを一曲でいいからフルで踊られるのを見たかったです。(スタンダードは常にフォローなので、1人でも踊れる強みを活かせるラテンの方が柚香さんのようなダンサーには踊りやすいかと思います)

それだけが心残りかな?

 

ショーには基本10ダンス全部あったと思います。それにサルサとかがプラスである感じかな?

でもスタンダードドレスが登場したのは一度だけで、そのスタンダードドレスで踊られたのがフォックストロット(スローフォックストロットだったのかな?でも音楽が通常のスローより早いように感じました)で、スタンダード好き、特にスローフォックストロット好きには堪らないものがありました。あの音楽とともにあるコネクションと華麗さに、ただただうっとり。

そして怒涛のようにスピーディーなダンスが押し寄せるフィナーレなんて、アドレナリン出すぎて、本当「熱狂せずにはいられない!」ですよ。

しかもダンサーの皆さまが惜しみなくアンコールで何回も踊ってくれちゃう!

ああ、時間とお金があったら「追いバーン」したかった・・・。

次回あったらVIP席(最前列) ※VIP特典つきに座って、「ステージ上でBTFダンサーたちと記念撮影」したいです!

(撮影メンバーは日ごとに決まっているようなのですが、個人的にはイワンさんと組んでもらって撮影してもらいたかったです!)

そしてこれが今回、大阪公演だけなのが本当にもったいない・・・。東京の方が圧倒的に社交ダンス人口は多いのに・・・。

とりあえず熱が冷めやらないので、過去DVD買っちゃおうかな、くらいの気分にはなっています。

ところでグッズなんですが、Tシャツがレディースは2種類、メンズが3種類くらいありまして、これがめちゃくちゃ肌触りがいいうえに、Tシャツ似合わない体型族の私が着られる、首元大きく開いたバージョンのがありまして、思わず購入しました。

着てみたらレッスン着によさげな着心地でかわいい!

さらに8月上旬からはオンライン販売もあるということなので、メンズのSサイズも購入しようか迷い中です。(メンズの方がかわいいデザインのがあったのです)

と同時に、この首元大きく開いたグッズTシャツ、ぜひとも他の公演でも販売してほしいなと思わずにはいられなかったです。

各作品、グッズ担当のみなさま、何卒ご検討くださいませ。

あの愛おしい世界に再会できる幸せ@ケムリ研究室no.4「ベイジルタウンの女神」

5/24(土)17:30~

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作・演出 ケラリーノ・サンドロヴィッチ

キャスト

マーガレット・ロイド 緒川たまき
王様(マスト・キーロック)他 古田新太
ハム(メリィ・キーロック)他 水野美紀
ハットン・グリーンハム/水道のハットン他 山内圭哉
ヤング/公園を追い出された乞食他 坂東龍汰
スージー/靴磨きの少年他 藤間爽子
ミゲール/パト他 尾方宣久
チャック・ドラブル/トレンチコートの男他 菅原永二
コブ・スタイラー/宿の女主人他 植本純米
ドクター/フォンファーレ(古物商)/他 温水洋二
サーカス/旨目の女/オババ他 犬山イヌコ
タチアナ・ソニック/スージーの母親/乞食の老女他 高田聖子
乞食/ロイド家のメイド他 小園茉奈・後東ようこ・斉藤悠•依田朋子•中上サツキ・秋元龍太朗

スタッフ

振付:小野寺修二
映像:上田大樹
音楽:鈴木光介
美術:小松倍雄
照明:関口裕二
音響:水越佳一
衣裳:黒須はな子

 

初演の感想はこちらです。

stok0101.hatenablog.com

ヤングとスージーは若手育成枠として変更になるのは納得として、仲村トオルさんの、あの格好良くてチャーミングで太陽のようだった王様を古田新太さんが演じる、と一報を聞いた瞬間、「絶対見に行く」と決めました。

初演DVDも同居人が購入しているので、何度も見ているのですが、このシーンだけと思ってもいつも全編見てしまって、いつの間にか3時間強が経っているという恐ろしい作品なのです。古田新太さんの王様が決まってからも数回見直したのですが、何度見ても古田新太さんの王様が想像つかないのです。どんな王様になっているのか、本当に楽しみに赴きました。

ただ残念ながら初演の評判が当たり前だけどよかったせいか、今旬の人・坂東龍汰さんが出演されるせいか、かつてないほどチケット取りに苦労しまして、なんとか手にしたチケットが2階席後ろから二列目。

でもこの席で見られたからこそ、本当に装置やプロジェクションマッピングなどが、一切の手抜かりなく作られていることに改めて気づけました。

ドアくらいのサイズの白い板にさまざまなプロジェクションマッピングが施され、転換されていくのですが、板の側面部分もちゃんとプロジェクションマッピングが彩っていることが分かり感動。ここが見えちゃうんだというのは「トレンチコートの男」の肌色下着(それも本当に少しだけ)くらいで、本当に完璧に作りこまれているすごさ!

改めて一級品のエンターテインメントほど、現実を見せないよう最大の工夫をされているのだなと感じました。(ディズニーリゾートも園内からは外の風景は見られないようになっていますものね)

そんなわけでこの上演時間の体感速度は瞬間でした。

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再演に当たって大きく変わったのは冒頭シーンくらいで、ここも「ベイジルタウン」が現在どういう町であるか、ということを分かりやすく説明するために付け加えられたと思います。もちろんアニメーションの追加で可愛らしさが大幅増加し、「正夢のスージー」や「ネズミ殺しのモイ」など、登場人物の位置づけが分かりやすくなる言葉は増えていて、だからこそハムの元カレ話をマーガレットにするくだりとか、初演よりもすごい笑いが起きていたシーンなども多くて、再演に当たってKERAさんが「より分かりやすく、より楽しく、より面白く」を意識されているんだろうな、ということが伝わってきました。

 

今回初めてこの世界に出会った観客の方々が、本当に心から楽しんでいるのが伝わる客席で、かつ私みたいに再び出会えた人にとっては「映像(DVD)で何度も見ているけれど、目の前で繰り広げられると改めてこの世界、この人々が大好きでもう一度会いたかったんだ」と気づかせてくれる舞台でした。だから本当に再演してくださったことにただただ感謝です。

 

そして今回の目玉、といっていいのか古田新太さんの王様が、もちろん仲村トオルさんとは違うけれど、大きく印象が違わなかったのが不思議でした。

いやもちろん、ここのシーンは古田さんの方が好きだな、とか、ここのセリフは仲村トオルさんの方が好きだな、とかは個人の好みであるんですよ。そして王様としての存在の在り方も違うんですよ。でもものすごく違う、ということがなくて、どちらも「ベイジルタウンで王様と呼ばれている人」だったことに、改めてKERAさんの演出と古田新太さんのナチュラルを極めた演技に感動したのです。

全体的に包容力のある王様で、再演だったことも大きいでしょうが、ハムの水野美紀さんがすごくラクそうに演じられているように感じられました。

ヤングは王様が古田新太さんに変わり、坂東龍汰さんの初々しさもともなって、王様との親子みたいな関係性に見えたのがよかったなと思います。

そして今回、私が感動したのがスージーですよ!藤間爽子さんは断然舞台がいい。演技とかそういう以前に、舞台での立ち姿が美しいんです。日舞の家元というのはこういうことかとしみじみ感じ入りました。品のある佇まいがまた吉岡里帆さんとは少し違うスージー像になっていて、このスージーもとても魅力的でした。

 

先述したようにこの作品は全てのシーンが大好きで、全ての登場人物が大好きなんですけれど、その中でとりわけ好きなのが「タチアナがマーガレットの子どもの頃の日記を読むシーン」と「マーガレットとタチアナの和解からの過去思い出しシーン」なんです。

この2つシーンのパワーワード命名:同居人)が、なぜか子どもの頃、本で読んで憧れていた世界をパーッと思い出させてくれて、すごく心をつかまれるのです。

ポニー、ねずみにビスケットをあげる、トマトの次くらいにニンジンが好き、クリスマスの夜、いちごジャム、揺り椅子、ロッキングチェアー・・・。

DVDのコメンタリーの方でこれらの「パワーワード」は緒川たまきさん作の言葉であることが分かり、ケムリ研究室というユニットで緒川たまきさんのクリエイティブワークがどのくらいなのか見ている側には分からないのですが、こういったところも緒川たまきさんと作られることで表現できる幅が広がっているのだなと思うと、来年の公演も楽しみです。

 

さてこういう幸せな作品だからもっと楽しんでもらいたい、と思われたのか、今回グッズも多く、かつ登場人物のイラストのランダムアクリルスタンドが登場しました!

イラストはアニメーションのなかねありささん作なので、もう全部かわいい!そしてどの登場人物も好きだから全部ほしい!しかしお財布の中身は有限だ、ということで、同居人と計11回チャレンジした結果のうち、被ったキャラクターを除いたのがこれです。

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(同居人が最後のダメ押し1回で、ベイジルタウンの女神ことマーガレットお嬢さまを当てたところで打ち止めました。でも開演前に私が引いた3つが、タチアナ、サーカス、スージーで嬉しくて開演前からテンションあがりました!)

かわいい、めちゃくちゃかわいい!

しかし個人的な一番狙いだったミゲールと、ここまでくるとハムとドクターがいないのが淋しい・・・。そして贅沢いうなら、水道のハットンと仲村トオルさんバージョンの王様もほしくなるくらい、はじめてグッズのアクスタでランダムくじ引き式が楽しかったのもさすがだなと思っています。

タイトにすることで見えるもの@宝塚星組「阿修羅城の瞳」「エスペラント!」

5/18(日)15:00~ @宝塚大劇場

ミュージカル『阿修羅城の瞳

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クリエイティブ
原作/劇団☆新感線阿修羅城の瞳」(作・中島 かずき)
原作演出/いのうえひでのり
潤色・上演台本・演出/小柳 奈穂子 
  
キャスト
病葉出門(わくらばいずも) 礼 真琴        
闇のつばき  暁 千星
    
四世 鶴屋南北  美稀 千種        
十三代目 安倍晴明  ひろ香 祐

美惨(びざん)小桜 ほのか
阿餓羅(あがら)白妙 なつ
吽餓羅(うんがら)紫 りら

安倍邪空(あべのじゃくう)極美 慎

安倍雷王(あべのらいおう)碧海 さりお        
安倍鳴王(あべのめいおう)夕陽 真輝
安倍震王(あべのしんおう)大希 颯

安倍毘沙門(あべのびしゃもん)天飛 華音        
安倍大黒(あべのだいこく)稀惺 かずと  

桜姫 詩 ちづる 

火縁(ひえん)澪乃 桜季
水誼(みなぎ)七星 美妃
樹真(じゅま)二條 華
谷地(やち)都 優奈
呼鉄(こてつ)綾音 美蘭
    
笑死(えみし)瑠璃 花夏        
少女  茉莉那 ふみ

 

大人気の礼真琴さんサヨナラ公演で、かつ劇団☆新感線の人気演目を宝塚化、ということで、絶対見られないだろうと思ったのですが、阪急交通社さまの貸切公演に応募したところなんと当選してしまい、観劇が叶いました。

とはいえ、実は本家本元の劇団☆新感線版「阿修羅城の瞳」を見たことがなかったので、ありがたい配信600円で先に予習してから行きました。

video-share.unext.jp

2003年版、天海祐希さんが「闇のつばき」を演じたバージョンです。

これを見たときの感想が「分かるけど、分からない」でした。

「恋をしたら鬼になる女」というのは分かるのですけれど、だからと言って最後のつばきの行動が、理屈的には理解できるけれど、感情的にそうあってほしくない、というのは、やはり天海祐希さんが演じられていたのかもしれません。

恋をしたら、というか、恋情が恨みに変わって鬼になる女は好きなんです。

一番好きなのが、この作品の中に多分入っている「桜の森の桜の闇」。

雨月物語」の「浅茅が宿」がベースになっているのですが、浅茅が宿」の宮木にあたる白衣の選択がすごい。ああ、これが「待つ女」の心理か...とものすごく納得していて、未だに大好きな話しなんですけれど、ここにあるのは女のリアルで、「阿修羅城の瞳」にあるのは男のロマンなんですよね。

(そしてさらに私は「鬼」というテーマではやはり木原敏江さんの世界観が好きだなとは思いました。鬼と人間、マイノリティとマジョリティ、差別と特殊能力が引き起こす哀しみと憎しみの連鎖やそこから生まれる愛情なんかは、木原敏江さんの作品からの方が私は受け取りやすかったです)

今回のプログラムで劇団☆新感線の演目の中で宝塚でやるなら「阿修羅城の瞳」しかない、なぜならこの作品はラブストーリーであるから、と演出のいのうえひでのりさんが書かれておられましたが、そう考えるとラブストーリー主体の演目というのは劇団☆新感線には少ないのかもしれません。

しかしこれをトップ娘役不在の今やる意味、というのは考えてしまいました。

 

2003年の劇団☆新感線版「阿修羅城の瞳」は175分ありました。これを宝塚歌劇版は95分に短縮されています。そのため、皆大好き、かどうかは知らないけれど、私は大好きな劇団☆新感線の常連キャラクター抜刀斎は登場しません。その他もろもろバッサリとカットされて、さらには主要キャラクターの心情を吐露する歌も追加されています。でもしっかり「阿修羅城の瞳」でした。

構成が時系列になっているのも、良し悪しは別として、短縮せざるを得ない中でストーリーを分かりやすくするのにとても効果的だったと思います。

2003年の劇団☆新感線版にたっぷりあった笑いの部分はほぼカットされていましたが、桜姫の詩ちづるさんがやりすぎない可愛らしさで笑いの部分をカバーされていたのと、阪急交通社の貸切アドリブをたんまり入れて、その辺は補っていたように思います。

晴明先生と南北先生あたりの出番がめちゃくちゃ少なくなってしまったのは残念でしたが、まあこれくらいでも話はちゃんとつながるのか、とびっくり。

あと殺陣がちゃんとしていたのも素晴らしかったですね。もうこの辺は本当に礼さんの身体能力の高さに唸るばかりでした。

そしてもやっとしていた出門とつばきの関係も、宝塚歌劇化されることでファンタジックに感じられて、大詰めシーンの見せ方含め、いい感じにスペクタクルになっていて、本当によかったです。このあたり、さすがですよ、小柳先生!

しかしこの壮大な大詰めラブシーンこそ、宝塚の伝統美トップコンビで見たかった・・・!いや、暁さんは可愛くて綺麗で本当に素晴らしかったのですよ。ただ本当に命がけのラブストーリーだからこそ、トップコンビで演じるバージョンも見てみたいので、ぜひともまた再演をお願いしたいところです。

あと邪空の出門への執着が、歌とともに少年時代を見せることで分かりやすくなっていたのもさすがというか、本家の邪空もこんな気持ちだったのかどうかは分かりませんが、人間関係を見せるという点では、個人的にはすごく見やすくなったなと思いました。なので極美くん、スポンサーさまもついたし、花組への組替えも待っているところなので、とにかく「発声と滑舌」を、礼さんが最大限に実践されているこの間にあともう一歩しっかり身につけてくださることを願うばかりです。

礼さんは集大成にふさわしい役で本当に素晴らしかったです。礼さん主演の作品を振り返っても、今まで一番好きな役は「柳生忍法帖」の柳生十兵衛だったので、シックな着流しをさらりを着こなす役が実は一番似合っていたのではないか、と最後の最後に思いました。

そして憎い最後のセリフ。あの厳しいコロナ禍を綱渡りのように駆け抜けざるを得なかったトップ時代を思い出すと、本当に「おつかれさま」の気持ちでいっぱいで、惜しみない拍手を捧げました。

 

ファンタジック・タペストリー『エスペラント!』
作・演出/生田 大和

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ショーも「青い星、地球」をテーマにきれいにまとまって、ノンストレスのいい作品でした。小桜ほのかちゃんがほぼトップ娘役扱いになっていたのも嬉しい配慮でしたし、踊れる礼さんの横で踊る暁さんの迫力はさすがで、礼さんもゴールが見えているからか、いつもよりも少しだけ肩の力を抜いてショーを、歌い、踊ることを楽しんでいるようにも見えて、最後のソロダンスも、歌も気持ちよく見せて聴かせてくれて、本当に110周年が誇る実力派トップスターの力を堪能しました。

そしてその実力派トップスターと冒頭に一緒にタップダンスを踊るという構成だった、初舞台生ラインダンスが素晴らしかったです。111期生の方々も緊張もあったけれど、舞台で踊るモチベーションもあがったのではと思います。これからの活躍を期待しています!f:id:morton:20250520175340j:image

最後に両方ともいい作品に恵まれたことも、礼さんの実力があったからこそだと思います。

後は配信を見るのを楽しみにしているので、最後まで、無理なく完走されることを心より願っています。 

live.tv.rakuten.co.jp

 

幸せをつかみとるために@ミュージカル「ウェイトレス」

5/15(木)18:00~ @梅田芸術劇場

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キャスト
ジェナ 高畑充希
ポマター医師 森崎ウィン
ドーン ソニン
ベッキー LiLiCo
アール 水田航生
オギー(Wキャスト) おばたのお兄さん/西村ヒロチョ
カル 田中要次
ジョー 山西 惇
ルル 瀬川真央/本田涼香/山口晴楽
岩﨑巧馬 茶谷健太 堤 梨菜 寺町有美子 照井裕隆 中嶋紗希 永石千尋
(スウィング)中野太一 中原彩月

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クリエイティブ
脚本 ジェシー・ネルソン 
音楽・歌詞 サラ・バレリス 
原作映画製作 エイドリアン・シェリー
オリジナルブロードウェイ振付 ロリン・ラッターロ
オリジナルブロードウェイ演出 ダイアン・パウル
共同制作 バリー&フラン・ワイズラー
演出補・振付補 アビー・オブライエン
音楽スーパーバイザー ライアン・キャントウェル
翻訳・訳詞 高橋知伽江
日本版演出補 上田一豪
演出家通訳 鈴木なお
音楽スーパーバイザー通訳 天沼蓉子、寺田ゆい
インティマシー・コーディネーター 浅田智穂

 

ハミルトン旋風が起こった2016年の(私の中の)伝説のトニー賞

その際にノミネートされた作品で、賞獲得にはいたりませんでしたが、なんか面白そうと思ったのが「ウェイトレス」でした。

www.dailymotion.com

なので本当は日本版初演もすごく見に行きたかったのですが、間違いなくお財布の都合で見逃していたので、再演、本当に嬉しかったです!

(そしてこれをやりたいと言って、日本上演を成り立たせてくれた高畑充希さん、本当にありがとうございます!)

しかし相変わらずお財布は厳しかったので天井桟敷で見たのですが、逆に高畑充希のすごさを身に沁みて感じられたかなと思う観劇でした。

元々の原作はこちらの映画らしいですね。

見終わった今、映画も見たいけれど、歌とダンス抜きでこの物語をどうやって楽しくしているのか想像つかなくて、ちょっと見るのが怖い気もしてます。

そのくらいまず主人公ジェナの夫がひどい。

公式ホームページには「魅力はあるが」と説明されていましたが、梅芸の3階席ではその「魅力」は全く伝わってこないだけに、ただただジェナの「怯え」が伝染してくるのです。そして表面上は明るく冷静にそして何気なく過ごしているジェナの「怯え」を、3階まで伝える高畑充希が本当にすごかったです。

ということで、この先、多分、高畑充希がすごい、しか繰り返さない気がしますけれど、一応感想を書いていきたいと思います。

 

まずこの作品の面白いなと思う点は、場所はアメリカ南部の田舎町とまあざっくり紹介されているのに時代については言及されていないところです。昔っぽいのに、今そこにある現在にも見える(何かあったら電話して、という割に、出会い系アプリ的なものはありそうな設定なのですよ)。時代をこういう風に自然にぼかすのはなかなか難しいように思うのですけれど、あっさりそれができているのが、まずすごい。

開演前の「携帯切ってねアナウンス」も歌になっていて、めっちゃくちゃ楽し気に見せておきながら、いざ物語が始まってみると、等身大の3人の女性としょーもない男ばっかり出てくるわけです。

その中でもジェナの夫・アールは、もう拗らせ具合もリアルなDV夫で、ジェナは別れたい、でもお金がないから別れられない、でもいつか、とパイ作りに逃避しているわけです。

驚いたのがジェナはダイナーのウェイトレスだけど、パイ作りの全てを任されていて、なのにお給料はたいしてもらってなさそうなところ。やりがい搾取、という言葉が若干頭をかすめるんですけど、これをずっとかすめる状況で置いておくというのも見事な仕掛けだなあと思いました。

そんな中、望まぬ妊娠、つまり夫に酔い潰されたて犯された(これも性暴力です。結婚していても同意なしの一方的なSEXは性暴力に当たることを「プライマ・フェイシィ」で学びました)結果の妊娠に気づくところから物語ははじまっちゃうんです。

パイ作りの大会で優勝すれば2万ドルがもらえる、ことを教えてもらうわけですが、パイ作りは得意でも、そこで優勝できる腕前なのか自信がない、そしてお腹にいる赤ちゃんを喜べない自分に葛藤しているからこそ、ポマター先生との不倫に逃げちゃうのが、すごく自然に見える。これもすごいなと思っています。

そのポマター先生とのデュエットソング(Bad Idea)もなんていうか、もう、こんな内容のデュエットソングある?みたいな内容でめちゃくちゃ面白い!

お恥ずかしながら男女の仲的なものには何の経験も知識もない私には、本当すごく興味深かったのですが、これ、普通に恋愛とか結婚とかされている方にはどう見えるのか、それも気になりました。

 

逆にですね、欧米産ミュージカルでは初めて見たかも、なドーン役には激しく共感しました。恋愛市場に一度も参戦したことがない身だからこその思い込みとか自己肯定感の低さとかとまどいとか、アラサーの頃の自分を見ているようで、だから同じ道を選んでほしかった気はするのですが、まあそうは単純にいきませんね。

 

あとベルのようにポイント的に鳴り響く「シュガー」という音の使い方も新鮮で、セットも工夫されていて、本当いろんなところに感嘆しながら見ていたんですけど、セットはトニー賞の映像を見る限り、やっぱり追いついてないな感、ありますね。涙

惜しいのはやっぱり音楽で、もちろん見ている間は楽しいのですが、終わった後にめちゃくちゃ印象に残るかというと、そうでもないのが、テーマがいいだけにもったいないかなと思いました。

でもトニー賞でも披露されていた二幕の「She Used to Be Mine」は圧巻!

そしてこの歌を表現し梅芸3階までその繊細な演技を届ける高畑充希さんがすごすぎました!

今の状況を打開したいなら、少しでも幸せになりたいなら、怖くても最初の一歩は自分で踏み出さなくてはならない。

その先にあるものはそれぞれだけど、この作品は「その先」に少し夢を見せてくれるのです。

 

ポマター先生の森崎ウィンくんはもちろん、ドーンを演じた信頼と実績のソニンもものすごくよかったし、LiLiCoさんもそこの歌唱力にくらいつくくらいにはちゃんと歌えて、かつやはり見た目の派手さがすごくこの役に活きていたと思っています。

そこへいくとやはり山西さんとか、歌は気になるところがあるのですが、それでもこの作品を締める演技の塩梅がすばらしい。この人がこうでないと、このエンディングにはならないので、歌も大事だけど演技もね、と心から思いました。

 

ということで、配信、アーカイブもあるので、ちょっと見てみたいなという方にはおススメします。アーカイブある分、高いけど、アーカイブないと見られない日程なので、ありがたいです。

live.au.com

ただ映像で見てもあの3階まで届く高畑充希さんのすごさ、は伝わってこないだろうなと思うので、本当、見に行ってよかったです。

そしてせっかく時代をぼかしているので、ぜひとも再演も重ねてほしいなと思います。

この広さを埋める知名度と実力を兼ね備えた高畑充希さんみたいな存在はなかなかいないけれど、逆にこの作品、もう小さい劇場の方が似合うとも思うんですよ。

なので、アラサーくらいの歌唱力、演技力には文句なしだけど、大劇場を埋める知名度だけないよ、という実力派ミュージカル俳優たちの登竜門的な作品になって愛されていくことを願っています。

そしてもしそうすることでチケット代を抑えることができるなら、個人的には高校生くらいの人たち、特に男子に見てほしいなと思う作品でもありました。セクシーシーンもあるので、それで吊りながら、でも大切なことを教えてくれる作品でもあると思うのです。

 

ところで、今回、作品とコラボということで、アップルパイの販売がありました。これ自体は世界観を広げてくれるので、すごくいい取り組みだなと思ったし、アップルパイ、美味しかったです!

でもこの作品で登場する魅力的なパイの数々(とりあえず私はあのチョコレートとパッションフルーツのパイが食べたい!)は、いわゆる日本の「タルト」に近いんですよね。なので本物の「アメリカのパイ」を提供したら、よりこの作品の世界観が伝わる気がするんですけど、難しいだろうので、私がお気に入りの色んなパイを作ってくれるアメリカ人シェフのインスタを貼り付けておきます。

 
 
 
 
 
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あー、キーライムパイ、今年は食べられるといいなあ。

退廃的で耽美な荻田ワールドにふさわしい妖精@彩風咲奈1st Concert「no man's land」

5/3(土)13:00~ @梅田芸術劇場

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キャスト

彩風咲奈

竹内將人/菜々香/鈴木凌平
天野朋子/酒井比那/井上弥子/澤村 亮/感音

スペシャルゲスト 水 夏希

スタッフ

構成・演出 荻田浩一 
音楽監督・編曲・指揮 かみむら周平 
美術 石原 敬 
振付 原田 薫 大野幸人 三井 聡 Seishiro 橋本由希子 
照明 柏倉淳一 
音響 山本浩一 
映像 O-beron inc. 
衣裳 十川ヒロコ 大西理

 

チケット高の折、これを見に行くか、見に行かないか、大変迷ったのですが、「やっぱり行こう!」となったのは、宝塚時代の「ALL BY MYSELF」をはじめ、配信とはいえディナーショー、サヨナラショーと見てきて、彩風さんの中にはご自分の見せたいものがちゃんとあって、それを的確に演出家に希望として伝えることができることを痛感していて、さらにその出来上がったものたちが、本当に「ショー」として素晴らしいものだった、というのは1つあります。

さらに今回は演出に元宝塚歌劇団の演出家、荻田浩一さんをご本人自ら希望したこと、そして極めつけはスペシャルゲストに大阪は「水夏希さん」の出演があったことでした。

水さん時代の雪組で宝塚観劇復活し、水さんも大好きだったので、1回くらい見てもいいよね、な気持ちになって行ってきましたが、本当に彩風さんの見せたいものには間違いがない!

相変わらずほぼMCなし、キャスト全員に見せ場があって、自分の作詞曲とかも絶対に歌わず、過剰に客席参加型にもせず、徹底して「ショー」として魅せてくれたな、という印象でした。

そして何よりタイトルにもなった「no man's land」、曖昧な状態の彩風さんが、めちゃくちゃ荻田先生が得意とされる世界観に似合っていて、とても魅力的だったのです。

曲によって、組む相手によって、彩風さんが少年にも少女にも男性にも女性にも見える。

衣裳も全体的に「70年代美少年漫画の主人公」が着ているようなものが多くて、すらりと背は高いけれど、小顔で華奢な彩風さんにとてもよく似合っていました。

とりわけ黄色いフリルシャツで鈴木凌平さんと踊られるシーンは、「風と木の詩」の

ジルベールとオーギュにも、

トーマの心臓」の

ユーリとサイフリートにも(しかもこの表紙のエーリクに近いふわふわショートなヘアスタイルとカラーでしたね!)、

さらにはニジンスキーとディアギレフにも見えて

つまり支配しようとするもの、支配から逃れようとするものの間にある歪んだ愛憎みたいなものが見えて、なんか久々に私の脳内が萌えで腐りつくしたような気がします。本当すみません。

でもそのくらい色気のある美しいシーンだったのです。

彩風さんはもちろん、鈴木凌平さんも素晴らしかったのに、以前、彼をダンスパフォーマンス公演で見ていたことに気づかなかった自分の記憶力がちょっと哀しかったです。

てか、このダンスパフォーマンス公演に、このシーン入れて、もう一回やりませんか?

stok0101.hatenablog.com

そのくらいこのシーン単体でも、もう一度見たいです。

(しかも読み直したらアフタートークの司会者が鈴木凌平さんだったというのに、全く記憶がないのが我ながら唖然とします・・・。そして感音さんも出演されていたのですよね・・・。記憶を甦らせたい・・・。でもそのくらい本気のダンサーメンバーだったのだなと改めて実感。そして振付がどなたかだったのかも知りたい。)

 

セットは上手側にゆるく弧を描いた階段の上に踊り場がある可動式の大道具が1つだけで、それが最初は恐らく真ん中に置いてあって、踊り場の高い位置から、紗幕を少し彩風さんの手で開ける、というオープニングも秀逸でした。

下手奥にはミュージシャンの皆さんがいらして、その辺りに兀みたいな形の背景版が降りてきて、そこに映像が差し込まれるんですが、その映像がまた荻田先生のセンスが光るんですよね。

荻田ショーの魅力を、そして彩風咲奈の見た目の魅力を最大限に表現した作品だったように思います。

なんだろう、宝塚時代よりもずっとフェアリー感があって、そこにいて発光しているのに触れたら消えそうに儚く思えたのです。それが荻田先生独特の退廃的な世界観とあいまって、夢か幻か、みたいな空気感が漂っているような作品でした。

スペシャルゲストの水さんとお話しする以外は、客席降りまでコンテンポラリーダンスを中心としたダンスと歌がバランスよく散りばめられた完全なる「荻田ショー」でした。

客席降りは嬉しかったけれど、こういう「美しいショー」を見られた喜びの方が大きかったので、企画・彩風咲奈、演出・荻田浩一で2、3年に1回くらいでいいから、こういうショーをこれからも作ってほしいなと思ってしまいました。

「REON JACK」も多分そのくらいの頻度だと思うので、あり、だと思うんですよね。

黄色いフリルシャルのシーンしか言及していませんが、もう一つ素晴らしいなと思ったのは、ポールダンスのシーン。

ここは彩風さんは登場されていなくて、天野朋子さんのポールダンスが、竹内將人さんの歌声の中、淡い照明に映し出されてまるで幻想のように美しかったんです。

クラブイベントやバーレスク的なショーの中で、アクロバティックでセクシーなポールダンスは何度か見たことあったけれど、エアリアルのような夢の世界を広げるようなポールダンスを見たのは初めてで、本当、全体的に夢を見ているようなショーだったのが、まさに荻田イズムの極致だなと思いました。

ゲストなしの「通常回」もとても良かったとのことなので、それもぜひ見たかったなと思いますが、とりあえず、東京公演の配信は全力でいろいろ整えて見るつもりです。

live.tv.rakuten.co.jp

かつて荻田先生のショーがお好きだった方には全力でおすすめしたい作品です。

東京は望海さんのすばらしいに違いない歌も聞けますしね。

でも私は望海さんより水さんが好きで、歌よりダンス派なので、水さん回が大阪だったことを心から感謝しています。

 

私が観劇したのが、水さん回の最後ということで、相変わらず水さんのトークがキレキレで素晴らしかったです!笑

「どうしてこういうコンサートにしようと思ったのかとか聞こうと思ってたけど、プログラム読んだらね、もう全部書いてあった!今までの想いとかこれからの思いとかもね、全部載っているから、買ってください」とかいう水センパイ、サイコー!

その割にはグッズのことは全然知らなくて、指輪型ペンライトに感心する水センパイ、サイコー笑

結局、過去を振り返ろうということになって、彩風さんが実は雪組配属研1の時に、AQUA5の代役で水さんパートだったことをお話しされ、「結局ね、持っているんですよね、もうそういうのは。だってトップスターの代りでしょ」と水さん自身も本科生時代の衣装部見学のときにたまたまトップスターの衣装を着させてもらったというエピソードを披露されて、「え!トップさんのですか!?すごい!」と普通に感心してる彩風さんがとっても可愛かったです。

あ、AQUA5って何?って方がもしいらっしゃったら、参考にこちら↓↓↓をどうぞ。


www.youtube.com

この時、雪組のプロデューサーがテレビ志向だったのか、宝塚をもっと売り出そうと阪急全体で力を入れていたのか、原因は何か全然知りませんが、とりあえず当時の雪組スター5人(水夏希彩吹真央音月桂彩那音凰稀かなめ)が組まされたユニットがAQUA5です。歌手活動はもちろんテレビ番組からCMまで本当に幅広く出演していたんですよ。(そしてトップスターだった水さんは忙しすぎてこの時期「満身創痍」だったと後に語っていらっしゃる涙)

なのでまあ「ソルフェリーノの夜明け」の次の作品が「ロジェ」だったことを、水さんがすぐには思い出せなかったことも仕方ないのですよ・・・。(因みに水さんの歌われた一曲目「マリポーサの花」は「ソルフェリーノの夜明け」の3作前の本公演で、一緒だったショー「ソロモンの指輪」は荻田先生の宝塚最後のショーだったのに、「マリポーサの花」の方を歌われたのが個人的にツボでした)

そんな水さんがトップスターの時は、だいたい水さんの斜め1mくらい後ろでしか踊ったことがないので、と彩風さんがおっしゃられ、実践される水さんと彩風さんの位置が本当に「当時そうだったよね、そしてその辺りでよく千風カレンさんと踊ってたよね」とか思い出させてくるから、「水さんと踊ってみたい」という彩風さんのリクエストで、二人で踊られたダンスはムネアツすぎて、記憶がパーンっと弾けてしまって、うっすらとした幻影しか思い出せない自分が再びとても哀しい・・・涙。

そのダンスシーン終わりで、「私はお着換えで・・・」と遠慮がちに話す彩風さんを捌けさせた後、彩風さんのスタイルの良さを誉めて、「もう、フィギュア!」と言い放った水センパイの声しか思い出せないていたらく・・・。本当にすみません・・・。

 

でもその後の水さんの歌「失われた小鳥たち」は圧巻で、上の動画を見ていただくと分かるんですけど、水さんはどちらかというと歌は苦手な部類のトップスターだったのに、こんなに進化されるのか、と本当に感動しました。

水さんのアルゼンチンタンゴについてはこの時からずっと気になっていて、

stok0101.hatenablog.com

一度見てみたいなあとずっと思っていたので、このビルボードライブも

spice.eplus.jp

激しく行きたくなってしまうという沼のようなコンサートでした。

娯楽作品の醍醐味@ミュージカル「ホリデイ・イン」

4/26(土)18:00~ @SkyシアターMBS

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スタッフ
音楽 アーヴィング・バーリン
脚本 ゴードン・グリーンバーグ
   チャド・ホッジ
演出・振付 ビル・ディーマー
振付補    アシュリー・グラハム
翻訳・訳詞 高橋亜子
音楽監督 小林恵子
美術 伊藤雅子
照明 奥野友康
音響 山本浩一
衣裳 前田文子

キャスト
ジム・ハーディ 坂本昌行
テッド・ハノーバー 増田貴久
リンダ・メーソン 柚希礼音
ライラ・ディクソン 夢咲ねね
ルイーズ 保坂知寿
武藤寛、斎藤准一郎、藍実成、石川里奈、鯨井未呼斗、小島亜莉沙、鈴木万祐子、根岸みゆ 春口凌芽、MAOTO、森内翔大、吉田彩美、米島史子
岩下貴史、皆川梨奈 (スウィング)

 

有名なこのクリスマスソング


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が生まれたミュージカル映画原作、という前情報以外は何も入れずに見に行きましたが、この曲が生まれた時代のミュージカル映画は多分イコールで大好きなMGMミュージカルだろうと思っていたら、その通りでした。

しかも元のミュージカル映画(邦題:スイング・ホテル)はビング・グロスビーとともにフレッド・アステアが主演ということで、ぜひとも元のミュージカル映画も見たいなと思っています。


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Wikipedia先生によるとストーリーは今回の2016年にリメイクされたミュージカル版よりも原作映画の方がちょっと混み入っている感じがします。

くらい、今回のミュージカル版はショーが主体で、そのためのラブストーリーがある、みたいな感じで、全く毒のない、これぞ娯楽作品という空気に包まれた幸せな作品でした。見ている間中、私はニッコニコしていました。これがどういう評判だったのか分かりませんが、個人的にはこういう「ミュージカルの本質」みたいな作品は、ずっと大事にされていくといいのになあと思います。

でも多分にこういう作品が日本では受けづらい気もするので、そこと興行収益を重ね合わせた結果のこのキャスティングだったのだと思います。

そして、主演の坂本さんは「TOP HAT」の主演もされているので、恐らく十分にペアダンスを学ばれたんだろうなというダンスと、歌も芝居もがっつりちゃんと魅せてくださいました。

そこからいくと、増田さんは恐らくフレッド・アステアの方の役なので、相当難しかったろうなと思います。

いや、お一人で踊る分には歌もダンスも十分なんです。でも途中で素人のリンダをリードだけで踊らせるというシーンがあって、ここを魅せられたらもっとよかったのにな、というところはあります。

今回のミュージカル版の中では、リンダはかつてショースターを夢みてニューヨークに行ったけれど挫折して故郷に帰ってきたことになっています。

つまりリンダにはそもそものダンス経験はある。

ダンス経験のあるフォロワーが素晴らしいリードで軽々踊れるというのは、ペアダンスでは充分にあり得ることなんです。

そして前半なぜ柚希さんがこの役を、とずっと疑問だったのですが(というくらい前半の歌のキーが厳しかったので涙)、ここら辺で理解しました。「踊るために産まれてきた」を体現したような柚希さんは、宝塚を卒業してから10年の間にさまざまなダンスを経験されてきたので、ペアダンスシーンも柚希さんだから魅せられた部分があって、それはそれで作品としてはあり、なんですが、ペアダンスをちょっとでもかじっていたら、テッドの「リンダと踊りの相性がピッタリだった」みたいなセリフへの納得性が落ちてしまったのが、ちょっぴり残念だったのです。

とはいえ「ホリデイ・イン」というタイトルどおり、一年間のアメリカの祝日を歌と踊りで魅せてくれる本当にハッピーで楽しい作品なので、ぜひとも再演もしてほしい!

その再演の場合はテッド役の方には事前にペアダンスを徹底していただけると嬉しいなと思います。こういうペアダンスが見たいのです!


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さらにテッドとライラのチャチャチャのショーシーンも、ちゃんとラテンダンスになっているバージョンも見たい!

そしてその時はもっと潤沢に製作費をかけられるといいなとも思います。

簡素ながらもセンスのある衣装とセットだっただけに、これをもっとゴージャスにできたら、日常を忘れられる没入感のあるエンターテインメントになる気がするんですよ。

ということで、ブロードウェイ版を上映した松竹ブロードウェイシネマも見たいです!


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ダンスのスキルに若干の不満はあったものの、それでもさらにこの作品への個人的満足度をあげてくれたのは夢咲さんのライラでした。

いやー、もう、金髪のねねさまサイコー!プロかわいいも立派なスキル!チャチャチャはもうちょっとがんばってほしかったけれど、真っ赤な衣装が激しく似合っていてかわいくて、真ん中を立てながら自らも発光していたのがさすがすぎたので、もういいです。夢咲さんだけに甘くてすみません。

本当に全ライラの舞台写真、欲しかったです・・・。

なんで舞台写真はグッズにならないのだろう、というどうでもいい疑問を抱きました。

最後に管理人ルイーズを演じた保坂知寿さんのオールマイティっぷりに、改めて感心しました。イースターパレードの衣装、あれはきっと知寿さんじゃないと着こなせない・・・。

突っ込みどころはところどころあったものの、全体的にはとても完成度の高い舞台だったので、本当にぜひ再演お待ちしています。

その際は、もう少し若いSTARTO社の方と、リンダ和希そら、ライラ鈴木愛理でお願いしたいと思います、知寿さんはそのままで。

映画館でのライブビューイングも今日、明日とあるのですが、ゴールデンウイークが全部休みじゃないとみられない日程が厳しい・・・。

www.holiday-inn-musical.jp

6,000円はちょっと高いけれど、5/3~6までの間にディレイビューイングやってくださったら、見たかったくらい好きな作品でした。