Messiah
脚本/演出 原田諒
主な配役
天草四郎時貞 明日海 りお
流雨 仙名 彩世
山田右衛門作 柚香 光
益田甚兵衛 一樹 千尋
渡辺小左衛門 瀬戸 かずや
松倉勝家 鳳月 杏
松平信綱 水美 舞斗
徳川家光 紅羽 真希
徳川家綱 聖乃 あすか
いい感じに明日海さんから光線でてますねー(^◇^;)←写真下手ですみません🙇♀️
原田諒先生というと私はバウホール公演の「ロバート・キャパ」(画像は中日劇場公演)
宙組 中日劇場公演DVD 『ロバート・キャパ 魂の記録』『シトラスの風II』 | |
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宝塚クリエイティブアーツ |
その後原田先生の作品を見る機会がなかったのですが、聞こえてくるのはあまりいい評判ではないものばかり。
Messiah、どんなものだろうと戦々恐々だったのですが、これでまだマシという評価なら今までのはどんなのだったのだろう、とちょっと思ってしまいました。
とりあえずMessiahのあらすじを。
海賊の頭として生きる夜叉王(明日海りお)。島原あたりにお宝があるらしいと聞き、仲間と目指しているうちに難破します。
運良く打ち上げられたのが天草・大矢野島。
海賊とバレないよう何も語らない彼に、増田甚兵衛が「復活祭の日にここに流れ着いたのもデウスの思召しかもしれない」と自分の4人目の子どもとして迎え入れ、天草四郎時貞という名前を与えます。
天草の人々は飢饉と藩主からの重税、キリスト教の弾圧からの拷問や処刑に苦しんでいるのに、四郎に優しく接し、四郎も心を開き、彼らの「信じているもの」、キリスト教を知りたいと思うようになります。
そんなキリスト教徒の人々のために、島原の岩しかないと言われている島に隠れるように住みながら、宗教画を描く南蛮絵師のリノ(リノは洗礼名。本名は山田右衛門作)と、モデルを務める流雨。
しかしながらキリスト教の弾圧と年貢の取り立ては厳しくなる一方。さらに流雨を見初めた藩主は彼女を城に差し出せば、少しは譲歩しようと持ちかけます。
見かねた天草四郎は「死んでパライソ(天国)に行ってなんになる、生きたまま幸せになるのだ」と天草と島原の人々に藩主へ立ち向かうことを訴えます。それを聞いた彼らは、四郎こそ「神が使わせたメサイアだ」と彼の後に続くのです。
島原の乱については書簡や資料も残っており、そのものの実態もまあまあに明らかではあるようですが、総大将だった「天草四郎」については生まれ年さえ不明。諸説さまざまあります。
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今回の天草四郎は元は海賊でキリスト教徒でもなんでもない、という設定。
これ自体は面白かったです。
だって終盤、天草四郎が天草の人々に訴えかける言葉は正直、手塚治虫の「ブッダ」
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なのに天草の人々は彼の言葉に説得されて、彼らの信仰の中に当てはめ、天草四郎を「メサイア」として、信じてついていく。
傷めつけられた人々が「この苦しみは神が与えた試練でいつかはきっと天国に行ける」という希望にすがるというのは信仰が広がる大きな要素ではあるんだなということを改めて感じました。
この頃には信仰すれば誰もが極楽浄土へ行ける浄土宗も存在しているのですが、長崎という土地柄、ポルトガルから入ってきたキリスト教の方が届きやすかったのかもしれません。
この話の中では、島原の乱がキリスト教徒の信仰を守るための聖戦ではなく、それ以上に普通に幸せに暮らしたいと願った人々の反乱であったということはよく分かりました。
史実的にもこちらの方が真実に近いようです。
そんなわけで痛めつけられる人々についてはよく描かれているのですが、いかんせん夜叉王から四郎への変化の部分がすっ飛んでいるので、なんか一晩寝たらすっかり明るい人になっちゃった感がいなめないのです。
物語は徳川家綱の時代から島原の乱を振り返る、というていなのですが、あの前後いる??
いやまあ、徳川家綱の屋敷の一室のセットが写実的にそれはそれは美しくて、目は嬉しかったですが、写実的なセットが好きかと言われたらそれはまた別問題なんですよね。
寧ろあの後世の徳川家をばっさりカットして、ちゃんと夜叉王から四郎として変化していく過程を描いた方が、物語的には見やすいです。
その過程にちゃんと流雨とのやりとりも入れ込めば、もっと恋愛感情が育っていくのも納得できるのですが、そこがないから四郎の感情の全てが唐突なんです。
島原の乱だけを描きたかったなら、流雨との恋愛はいらないと思うからよけい、宝塚歌劇だし、前回「ポーの一族」でトップ娘役との恋愛なかったからいれとけ感がなんかもう。
そんな中で明日海さんはじめ役者のみなさんは大健闘されてました。
シーンとして特になくてもいいとはいったけれど徳川家綱や家光、さらに幕府側を演じた人々の装束の着方から所作まで、日本物としての美しさを保っていたのが本当に素晴らしい!
さらに柚香光くんの最後のセリフの締め方も素晴らしい!ここで幕でもいいよ、と思いました。
あの若さで、セリフにそれだけの説得力を持てているのが本当にすごい。
写実的に美しいセットはあれだけど、盆が回りながら、キリエを歌う人々が登場し、次のシーンへ移るところとか、最後の大階段の使い方や、破れた人々が折り重なり、十字に照らされる照明の使い方なんかは、すごく美しくて、こういう大きな舞台の「魅せ方」という点では私は好きです。
というのも、やっぱりセット&照明を含むヴィジュアル面もきちんと作り込んでこそ、ステージアートだと思うからです。
なので、結論は、演出脚本を一緒にするのは、宝塚歌劇の特徴だけど、そろそろ限界では、ということでした。
さて「むぎ焼酎 天草四郎」が薄っすら入って、なんかピンク色のシロップをたくさん入れてソーダで割った公演カクテル「Messiah」とルマンのサンドイッチを食べながら戦々恐々とショーを待ちました。
というのも今回のショー「ビューティフルガーデン」の作演出家・野口先生が前回作られたショーが、私が激しくがっかりして再構成を考えてしまったあげくにツイッターでそれを垂れ流すという所業をしてしまったくらい、私史上イケテナイものだったからです。
ショーには好みがあって、もちろん苦手な演出家の作品もたくさんあるのですが、前回の「スーパーボヤージャー」は好み以前にショーの構成そのものに問題あるだろう、という思いが捨てられなかったのですね。
席に戻るとこんな感じになっていて、またまた悪い予感が走りました。
え、また映像?
でも始まればそれが杞憂だったことが分かってホッ。
いや映像は今回もダサく使われてて、とりあえず野口先生はまず映像なしのショーを作ることからやってもらいたいとは思うものの、それと闘牛士シーンに説明のセリフが入っていること以外は普通に楽しかったです。
プロローグもキレイだったし、ラインダンスにボーイが入ってるのも好きだし、何より「雨に濡れても」メドレーが墨絵の世界から踊りで見せているうちに最後に傘がカラーになる感じとか、たまりません!
まあ中詰めの20世紀末J-POPメドレーは好みではないけれど、もう21世紀だしありかと。
久々に1階席の後ろの方で座ってみてたのですが、客席降りで天真みちるくんが、かなり後方のA席ゾーンである私たちのところまで、やってきてくれてサービスしてくれて、時間を使いすぎ、本気のダッシュで舞台まで戻っていったのが、面白くて愛おしくて!!
本当、天真みちるくんありがとう!
あなたのおかげでショーはかなり気分あがりました!
さらに「花男子」のシーンに行くまでのブロードウェイショー的3シーンは大好きです!
特に仙名さんがいい!エロい!!←褒めています!
もちろん歌はクリアな音質で改めてすっごい好きだと思ったのですが、まさかの脚ぼれ(笑)
美しいおみ足のタカラジェンヌはたくさんいらっしゃいますが、品よくエロい足ってなかなかないですよ!←何を力説しているんだ、私(^_^;)
明日海さんはショーの人ではないので(でももちろんトップスターとしての存在感はきっちり見せてました!)、二番手の柚香光くんはじめスターたちが踊る、歌う、踊るで非常に楽しいショーでした。柚香光くんは女装もきれいだったし、本当にショースターとしての今後が楽しみです。
そして野口先生も次回作がもっとよくなるよう期待しています。