こんなことを思ったり。ぼちぼちかんげき。

保護猫と同居人と暮らすアラフィフがビンボーと戦いながら、観劇したものなんかを感激しながら記録。

出会いと結果が面白いザッツブロードウェイミュージカル@宝塚月組「ガイズ&ドールズ」

8/9(土)15:30~ @宝塚大劇場 

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キャスト

スカイ・マスターソン    鳳月杏
サラ・ブラウン    天紫珠李    
ネイサン・デトロイト    風間柚乃        
ミス・アデレイド    彩みちる
ナイスリー・ナイスリー・ジョンソン 礼華はる    
アーヴァイド・アバナシー 悠真倫
カートライト将軍    梨花ますみ    
ミミ    白雪 さち花
ベニー・サウスストリート 夢奈瑠音
ラニガン警部    佳城葵    
ビッグ・ジュール  英かおと        
ホット・ボックス・ドールズ 彩海せら/咲彩いちご/八重ひめか/一乃凜/花妃舞音

クリエイティブ

原作/デイモン・ラニヨン 
作曲・作詞/フランク・レッサー
脚本/ジョー・スワーリング、エイブ・バロウズ
脚色・演出・訳詞/稲葉 太地

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宝塚でも何度か上演されているこの有名作品なんですが、実は初めての観劇でした。

作品自体は2004年に「エジンバラ・フリンジ・フェスティバル」でアマチュア団体が公演していたのを見たことがあるのですが、英語でかつ遠い記憶すぎて「アマチュアでもこんなに歌えて踊れるんだ」くらいの感想しか思い出せないレベルの知識で赴きました。

そして私のブログを読んでくださる方は何度も書いているのでご存じかと思いますが、私は「ボーイがガールにミーツして、サムシングハプンのちにハッピーエンディングというシンプルストーリーをソング&ダンスでゴージャスにしたエンターテインメントショー」が大好きです。古いブロードウェイミュージカル、大好物です。

そんなわけでこの作品もめっちゃくちゃ楽しく見ました。

1950年代の古いミュージカル作品ですからもっと繰り返しが多くて中だるみするかなと思ったのですが、まあ長尺だなと感じるシーンはないとは言えないんですけれど、それでも終始、楽しく見られるくらいには、きちんと仕上がっていたと思います。

逆に古いミュージカルにしてはボーイがガールにミーツする理由があるのが非常に面白いなと思ったりしたくらいです。

スカイは偶然とかじゃなく、ネイサンに仕向けられてサラに会いに行っている。「偶然の出会い」ではなくて、意図的に計算的に「サラを落としに行く」のです。

なのでスカイとサラの駆け引き部分がとても興味深く、かつ、まさしくそこが「男役力」が試される部分なのですが、これをもう鳳月スカイが軽々やっちゃう。

てか、もう出てきた瞬間にかっこいい!そしてサラをなんとか口説き落とそうとするそのやり方もいたってスマート。

一方のサラなのですが、「救世軍」に属する女性で、これが多分英語で見ていたときも分からなかったところだったのですが、ザクっとWEBで調べるところ「キリスト教プロテスタント」の一派が始めた慈善事業団体、のようですね。でまあその団体の考え的に効率的だということで「軍隊形式」を取っているみたいです。梨花ますみさん演じるカートライト将軍はおそらくその慈善事業団体の最高責任者に当たるようです。

サラの「軍曹」は単なる活動する信者の呼称でボランティアっぽい。(Wikipedia先生によると「他教団における教会役員」とありましたが、これすらよく分からない・・・。ただボランティア活動に身を投じられるということは、アメリカのキリスト教文化の下地ももちろんあるけれど、そもそも経済的に困っていない余裕のある家庭で育っている可能性は高いのかな、と思っています)

作品解説には「お堅い女性」と書かれていることが多いのですが、プロテスタントキリスト教信者でその布教活動に精を出していることがイコールで「お堅い」のかどうかが私にはちょっと分からないのですが、とりあえず、サラは彼女なりの信条があって情熱を持ってその活動を行っていることは分かりました。

で、そういうことが重要なので、サラの「救世軍」あたりはもうちょっと分かりやすい、というか、誤解が少なくサラの生い立ちや背景が分かる設定になるといいのになあとは個人的に思いますが、これがカルチャーギャップで、こういうことを今さらながら学べたりするのも、観劇のオプションかなとも思います。

まあそんなわけで、使命に燃えるサラにはスカイのスマートだけど軽々しい誘い文句はなかなか通じない。その辺の二人のやり取りはやっぱり見ててニヨニヨできて、楽しいです。

ハバナに移るシーンの盛り上がりからのサラが伝道所巡りばかりするくだりの盆くるくるの装置は、スカイのまいった感も伝わってきて、非常に面白く見ました。

 

一方で、14年も婚約中のカップル、ネイサンとアデレイドなんですが、こっちは私は割と親しみやすく感じました。それこそ2004年に一緒に「エジンバラ・フリンジ・フェスティバル」に参加していた仲間が当時からカップルでしたけれど、未だに「婚約中」で、「永遠に婚約中で結婚はしない」と宣言してたりするからです。

それに身近な男性の友人たちからも「好きで付き合ってて長く一緒に暮らしていても、いざ結婚、となるにはなかなか」的なお言葉を聞いていたりしたので、ネイサンはまあ「普通の男性」だな、という印象でした。そしてその普通の、しかも14年も婚約しているくらいには年齢を重ねている男性に見えたあたり、本当に風間柚乃さんの演技力には毎回唸らされます。

ただネイサンは「婚約中」がちょうど良くても、アデレイドはそうではない。そして、なかなか結婚に踏み込んでくれないネイサンに不満はあっても、「自分がネイサンを好きで愛しているからがんばる」姿を、ものすごくチャーミングでコミカルに魅せてくれた彩みちるさんが本当に素晴らしかったです。

やりすぎると哀れにもなりそうなこの役を、もう本当、終始キュートでチャーミングに演じて、ちゃんと台詞の抑揚や間合いで笑いに変えてくれて、対するネイサンもやっぱり受け方がうまくて、その絶妙なズレが笑いを産んでいるのは、本当なかなかできることではないので、お二人のお芝居のテンポ感の結晶だな、と思いますし、何より二人が同じに愛し合っているというのがちゃんと伝わってくるのは、この二人の関係性においてめちゃくちゃ大事だと思うので、そこが本当に良かったです。

そこへ行くと、割と「笑い」を産みやすい部分を振り分けられているはずのナイスリー、ビッグ・ジュール辺りは、もっともっと自然にこなれてくれるといいな、とこれからの進化に期待します。でもお二人ともやりすぎ感はないのがいい。こういう役はやりすぎると存在が煩わしくなるので、その辺りもきちんと抑えられていて、こういうなんてことない話しを楽しく、ハッピーに見せてくれて、個人的にはとてもいいなと思いました。

そしてもう一つ、こういう古いミュージカルなのにしては珍しいなと思ったのが、「男が変わってハッピーエンド」になるところでした。

今年になって観劇した「ホリデイ・イン」や、宝塚でも上演されている「TOP HAT」とかでも主人公の男性は変わらなくて、その男性にぴったり合う女性とカップルになる、みたいなことが多いし、作品としては大好きな「GREASE!」なんかは、なぜかヒロインが男性にあわせて変身してしまうのが納得いかなかったので、この逆転はとても見ていて心地よかったです。

そのハッピー感を引きづったまま、幕が下りてもオーケストラの演奏が続いて、演奏終わりにオーケストラに拍手できるのも、「ああー、ミュージカル、見てる!」という昂揚感が増して、個人的にはとても大好きになりました。

時間とお金に余裕があったら役替わりの彩海せらアデレイドも見たかったです。

 

でも本当に彩さんのアデレイド、よかったんですよ。

「ホット・ボックス」のショーでドールズたちと最初に歌い踊る「A Bushel And A Peck」の可愛らしさといったらもう!

心の中でもう「かわいい、かわいい、かわいすぎる!」とずっと叫んでいたくらいです。

もちろん二幕幕開きの「Take Back Your Mink」のせり上がりの存在感と華やかさもすごくて、今までさまざまなヒロインを演じた経験があってこその「この真ん中力」なんだな、そして、こういうチャーミングな役がめちゃくちゃ似合う人だったんだな、と痛感しました。

ええもちろん買いに行きますよ、舞台写真。

shop.tca-pictures.net

(しかしなぜ「A Bushel And A Peck」の全体写真がないのかが疑問。あそこのみちるが本当にめっちゃくちゃ可愛かったし、ドールズたちもキュートので、東京公演版はぜひ全体写真をください!1人映りが出せないからこそ、みちるバージョンで!

あと何気に私が一番萌えたぎった妄想のスカイと妄想のネイサンもあるんですね!ここがステキに見えるお二人がさすがですよ)

まさしく集大成で、二番手娘役というあり方も悪くなかったなと思わせてくれたんですよね。寧ろ最後なのにこの役なの?というトップ娘役もいることを考えると、この大役は役替わりとはいえ、彼女の最後にふさわしいものだったと思います。なので、昔みたいにサヨナラショーもやらせてあげてほしかったです。

 

ところでこの作品といえば、の曲は数曲あるんですが、やっぱり「Luck Be a Lady」かなと思います。そしてこの曲に至るまでの理由をわかっていなかったので、改めてこういう内容の曲だったのか、面白い!ってなりました。本当にスカイの心のすべてを賭けて願って歌われているのが伝わるパフォーマンスで、改めて鳳月さんのすごさも感じられ、少なくとも私みたいな、オールドブロードウェイミュージカル好きにとっては良き作品でした。

 

ということで映画も機会があったら見てみたいです。当時のアメリカが詰まった作品ではあるので、それをもうちょっと理解したいなと思いました。