こんなことを思ったり。ぼちぼちかんげき。

保護猫と同居人と暮らすアラフィフがビンボーと戦いながら、観劇したものなんかを感激しながら記録。

Miss Saikon ミス再婚

3月25日(土)18:00 銀座博品館劇場
高嶺希美:香寿たつき
君島彰/フォーチュン・テリー:安崎 求
後藤慶太:平澤 智
キム・カンミン:パク・トンハ
高嶺礼子:成瀬こうき
桐ヶ谷俊介:新納慎也
演出・振付:謝 珠栄
原作:大谷美智浩
音楽:崎久保吉啓

初めて銀座博品館劇場に行ったのだけど、席数381と小さくて、長方形のシンプルな好きなタイプの空間。そして、作品と空間がピッタリとはまった大きさだったことがまず好感が持てた。
オリジナル・ミュージカルということで、正直、何の期待も抱かず見に行った。確かに前半は(実際は1年以上前に構想のあったストーリーとのことだけど)昨年末のワイドショーを賑わせた株の買収劇をそのままブームに乗って取り入れましたよ、という感じがあって、なかなか気持ちが乗っていかなかったし、TIMESと呼ばれる主人公の心の動きを表現するダンスや歌があまりかみ合っておらず、どうなのかな、と思った。
ミュージカルというよりは、歌とダンスのあるテレビドラマを見ているような感覚。でも、見ていくうちにこういうのもアリだな、と思えてきた。

いわゆる「負け犬」の女性の日常と悩みを描く、流行でありがちなテーマ。でも、実質上「負け犬」まで後一歩になった私にとっては、共感もできるし、希美の妹、礼子の言葉が一言一言響いてくる。そして、見ながら、うん、何か色々と頑張ってみようかなと思える、ちょっと疲れたときに見に行きたくなるような、癒し系の娯楽ミュージカル。こういう肩の凝らない感じも、エンターテインメントとして価値があるなと思えた。普段着で、落ち込んだ時とかに会社帰りに見たくなるような作品だった。こういう気楽な舞台が、もっと思いついたときに見れるような金額、状況があれば良いなと思う。

もちろん、リフレッシュしてくれるような作品を作るには、役者がハラハラするような実力では出来ない。俳優陣はみんな歌・ダンスともに文句なく、音楽は可も不可もないけれど、耳に心地よく響いてくるように歌ってくれる。衣装は衣装というよりも今の女性誌から抜け出したようなちょっぴりカラフルめのおしゃれなもので、しかも、元モデルの新納さんとモデルばりのスタイルの成瀬こうきが着るので、ファッションショーを見ているような感覚さえある、色んな意味でお得感のあるショーであった。
何より、俳優陣がみんな仲良く、また楽しそうに演じている感じが見ている方にも伝わってきて、特にアンコールはバント組の暴走もあって、素のまま、やる方も楽しそうにやってくれたのが、見ていて本当に楽しかった。
元気をくれる癒し系の日常エンターテインメント・ミュージカル。こういうのも悪くない。
付け加えると、プログラムがA5サイズのおしゃれな作りで、思わず購入。これならバックにポンと入れられるし、電車でも恥ずかしくなく読める。こういう心遣いはちょっと嬉しい。