こんなことを思ったり。ぼちぼちかんげき。

保護猫と同居人と暮らすアラフィフがビンボーと戦いながら、観劇したものなんかを感激しながら記録。

和希そらによせて@宝塚雪組「ボイルドドイルオンザトイルトレイル」「FROZEN HOLIDAY」

12/6(水)13:00~ @宝塚大劇場

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Happy“NEW”Musical
『ボイルド・ドイル・オンザ・トイル・トレイル』
-Boiled Doyle on the Toil Trail-
作・演出/生田 大和

※11月10日~30日、12月7日11時開演、12月8日~10日の公演は中止。

わたしがこのとてつもない日に大劇場で観劇したのも、そもそもが元々の11月の観劇日が全て中止になり、最後に残った12月の観劇日がお取次ぎなし、となったためでした。

しかしながらお取次ぎなしの日も最終的に公演中止となり、観客側としては最後のお気楽な気持ちで見られる大劇場公演だったのか、と思うとなんとも言えない気持ちになります。

そんなわけで感想を書くつもりもなかったのですが、2/11に無事東京公演の千秋楽を配信で見て少し安心したこともあり、簡単に記録しておこうと思います。

キャスト

アーサー・コナン・ドイル 彩風 咲奈    
ルイーザ・ドイル 夢白 あや    
シャーロック・ホームズ000 朝美 絢    
ハーバート・グリーンハウ・スミス 和希 そら
ウィリアム・ブート 諏訪 さき
シドニー・パジェット    眞ノ宮 るい    
ウォルター・パジェット    咲城 けい
ビアトリス・エリザベス・B・ハリスン 音彩 唯
ミロ・デ・メイヤー教授    縣 千
アーサー・バルフォア    華世 京            
チャールズ・ドイル 奏乃 はると    
メアリ・ドイル    妃華 ゆきの    
ロティ・ドイル    野々花 ひまり    
コニー・ドイル    華純 沙那        
雑誌売りの少年(ノエル)    愛羽 あやね    
シャーロック・ホームズ001(老人)天月 翼    
シャーロック・ホームズ002(老婆) 愛 すみれ
シャーロック・ホームズ003(牧師) 叶 ゆうり
シャーロック・ホームズ004(水夫)    紀城 ゆりや
シャーロック・ホームズ005(阿片窟の男)    蒼波 黎也        
シャーロック・ホームズ006(馬丁)    絢斗 しおん        
シャーロック・ホームズ007(物乞い) 夢翔 みわ        
シャーロック・ホームズ008(司祭)  霧乃 あさと        
シャーロック・ホームズ009(配管工) 風立 にき        
シャーロック・ホームズ010(船長)  苑利 香輝  

プログラムに「宝塚は四世代が楽しめるものでなくちゃならない」という大先輩の言葉から、「あるべき楽しさを追い求めて」この題材を選んだ、と書かれていたのですが、それって本当に難しいのだな、と痛感した作品でもありました。

肩書きに「Happy」と入れてあるのだから、「ベイジルタウンの女神」のように、「Happy」に徹した方がよかったような気がします。

つまりドイル家の事情はばっさりカットして、せっかくシャーロック・ホームズが11人もいるのだから、それぞれの活躍シーンを作って、「シャーロック・ホームズ」のエピソードの見せ場をショー的に見せながら、読者がキャーキャー言っているようなシーンの方が見たかったなと思ったのです。

そしてそんなシャーロック・ホームズたちに翻弄されながらも、最終的に和解するコナン・ドイル、くらいの軽いストーリーでよかったと思うのですが、ドイル家のシリアスな状況や、シャーロック・ホームズに狂乱するファンたちをしっかりと描いたために「Happy」になり切れなかったな、という印象でしたし、なにより11人いるシャーロック・ホームズがほぼモブで、いる意味がないのが、本当にもったいなかったように思います。

それでも衣装もセットも可愛らしかったし、シャーロック・ホームズたちの登場シーンのショー感、コナン・ドイルがワトソンくんであり、最終的には物語に入ってモリアーティになるという使い方も大変興味深く、味付けとして面白いところも多々あっただけに、毎回生田先生の作品は同じ感想になって申し訳ないんですが、「惜しい」。この作品に限っては「たいぶ、惜しい!」と思ってしまいました。

それでも和希そらの卒業公演として繰り返してみるには苦にはならないくらいの出来だったので、大劇場でそれができなかったのは、ただただ残念です。

 

そんな芝居よりも時期的にもっと残念だったのがショーでした。

Winter Spectacular
『FROZEN HOLIDAY(フローズン・ホリデイ)』
-Snow Troupe 100th Anniversary-
作・演出/野口 幸作

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中詰めまでずっとクリスマスメドレーなんですよ。本来11月初旬から12月半ばまで聞くには楽しかったと思いますし、わたしなんかはどんぴしゃの時期に見たので、それなりに楽しく見れましたが、東京公演の特に後半くらいはもう季節が節分からバレンタイン商戦に動く時期なので、この前半戦はかなりキツイんじゃないだろうか、と思ってしまいました。

中詰めで正月が来て、そこから急に雪組100周年の内容になるのもぶった切り感があって、ううーんという感じだったのですが、最後の「人生のメリーゴーランド」の作り方が素晴らしかったので、終わり良ければ総て良し、な力技を発揮したショーだったなと思います。

何より和希そらの餞別シーンは本当に素晴らしかった!歌もダンスも素晴らしくて、その上で「泣かないで」とか歌われても泣くわ!状態でした。

なので、そこから急に正月な中詰めになっても気持ちが切り替わらない!

泣いたまま正月迎えた気分でしたが、まあそれはそれでしょう。

 

さてわたしが和希そらという名前を知ったのは「ハッスル・メイツ」の頃でした。東京の友人が彼女のダンスのファンで、バウホールまで遠征してきていて、そうか、そんなダンスの魅力的な人がいるんだ、と思ったのが最初です。

でもなかなか宙組を見に行くことはなく、「アナスタシア」を見たときは中年の女性の役だったので、男役としての魅力には気づかないまま「夢千鳥」スカステ上演を見て、その逸材ぶりに驚きました。

そうこうしているうちに、雪組に組替えになって、3番手になった頃、宝塚の人事のことなんて何も知らないわたしは夢を見ました。

和希そらが雪組のトップスターになってくれるという夢を。

朝美絢さんの下で二番手として美味しい役をする和希そら。満を持してトップスターとなって、魅力的に輝く和希そら。

96期という重荷を、その実力ではね返し、「これでもか!」と魅せつける和希そらを見る未来があると思っていました。

でも残念ながら、彼女は卒業公演で清々しいほどの魅力を放ちまくって、これ以上もないくらい自然体に、爽やかに、笑って、笑わせて、鮮やかに巣立っていきました。

彼女が卒業しなければトップスターになれたのかは分かりません。

でも彼女の未来は彼女が決めるもので、年齢などの節目節目に考えるところではあるだろうし、何かのタイミングや出来事で、こっちの道を行こうと思うこともあるでしょう。

卒業後の彼女がどのような道を歩くのか分かりませんが、どんな形でもいいから舞台に立つことを選んでくれたら嬉しいなとは思います。

そして未練たらしく、彼女の「ヴァレンチノ」が心から見たかったことだけ、最後に書き残したいと思います。

野々花ひまりちゃんのジューン(ボニクラのカップルぶりが実力者同士で大好きだったので)で、ルディを演じる和希そらを見たかった。本当に見たかったよ。

 

【3月1日追加】

とりあえず何かしらの活動はしてくれるみたいです、和希そら!嬉しい!

和希そら オフィシャルサイト