こんなことを思ったり。ぼちぼちかんげき。

保護猫と同居人と暮らすアラフィフがビンボーと戦いながら、観劇したものなんかを感激しながら記録。

OUR HOUSE

6/25 14:00~ 新国立劇場 中劇場
ジョー:中川晃教
サラ:池田有紀子
レーシー:池田成志
ジョーの悪友:坂元健児・新納慎也
サラの友達:入江加奈子・瀬戸カトリーヌ
プレスマン:後藤ひろひと
ジョーの母:香寿たつき
ジョーの父:今井清隆
演出:G2
音楽:マッドネス

まず、マッドネスを知らない、という残念さはある。アバ、クイーン、ロッド・スチュワートと続く、いわゆるジュークボックス・ミュージカルは常にこの個人的なカルチャーギャップがつきまとうので、これは仕方ないと言えば仕方ないだろう。音楽と物語の融合具合も、その他ミュージカルと比べ、劣っていたとは思えない。この手の昔の音楽を使って、新しいストーリーを組み立てる、というミュージカルの部類では、今回このOUR HOUSEはアバの「MAMMA MIA!」には遠く及ばないものの、クイーンの「We Will Rock You」、ロッド・スチュワートの「TONIGHT'S THE NIGHT」に比べれば遥かに私好みの作品でもあった。

いわゆる、人生の境目で、どっちの道を選択するか、というストーリー。良心に従うか、それとも悪魔の囁きに耳を貸すか。こういった選択は日々誰の中でも行われており、結局選べるのは一つしかないのだけど、ふと過去を振り返ったときに、あそこであちらを選んでいれば、今の自分はどう違っていたのだろうと思うことがある。そういう疑問をそのまま舞台に乗せた作品である。良いジョーと悪いジョーの歩む人生。それが白は黒に黒は白にそして、交錯していく、という構成はかなり好きだった。だからこそ悪徳不動産屋と地元住民の対決という安易な設定と、最終的に良いジョーが正しかったという帰結は、残念な気もしたが、それはそれで、教育作品として若者に見せるのは面白いかもしれない。また、安易な設定ではあったけれど、「OUR HOUSE」というタイトルに戻っていくのは、個人的にはカタルシスも感じた。

ロンドンに置ける、民族的な孤立や差別はやはり理解し難く、この作品におけるアイリッシュ、の立場というものが分からなかったのは、この作品が全世界に広がる難しさは感じる。
けれど、まるで、本当のカムデンタウンにいるかのようなセットは、ロンドンで短い間とは言え、生活した私には心躍るものだった。始めて、松井るみさんのセットが良いと思ったし、ロンドンの地下鉄の看板や道路標識などのデザイン性の高さを改めて確認した。

キャストには文句なし。それぞれが個性と実力を放ち、楽しませてくれた。