4月12日(日)17:00~ シアタークリエ
石丸幹二(ゴードン・シュイン)
マルシア(リサ / ホームレスの女)
畠中洋(ロジャー)
パパイヤ鈴木(リチャード)
樹里咲穂(ローダ)
初風諄(ミミ・シュイン)
赤坂泰彦 (ミスター・バンジー)
友石竜也(医師)
田村雄一(牧師)
中村桃花(ナンシー)
音楽・作詞=ウィリアム・フィン
脚本=ウィリアム・フィン、ジェイムズ・ラパイン
演出=ダニエル・ゴールドスタイン
まず、舞台天井に並ぶ3つの輪、下がる薄いカーテン、そして、真ん中に置かれたピアノ、シンプルで、けれどもとてもアーティスティックな装置に、これは素晴らしい舞台なのかもしれない、という予感がした。
2時間に満たないノンストップのショー。
スピーディーな展開。
けれども、その短い時間に起こったものは、ものすごく濃密で幸せな体験だった。
まずはミュージカルとして、何よりも音楽が素晴らしい。
奇をてらわない、まっすぐな様々なバリエーションの音楽たちは、すんなりと頭に心に心地よく、時に深く切り込んできて、飽きさせない。素晴らしいミュージカルは、まず第一に素晴らしい音楽があってこそ、という基本を痛感した。
ストーリーはこちらで確認していただきたい。
これは、音楽・作詞のウィリアム・フィンの実体験に基づいているという。死に瀕すという体験をただの安っぽいお涙頂戴的なものではなく、そこから見えてきたものの喜びがまっすぐに突き刺さるのである。
つまり、彼にとってはそれは音楽であって、また音楽を生み出せる喜び、そういうものが、本当にストレートにやってきて、親子や恋人の愛情と絡みあい、なんとも言えない感動が押し寄せる、そういう作品だった。
勿論、死に瀕す場面の哀しみや恐怖なんかにも心動かされ、涙した瞬間に、次はびっくりするほど、ショーアップされた賑やかな場面がやってきて、一気に笑顔になったり、本当に見ている間目まぐるしく忙しく、だから、あっという間なのに、振り返るとものすごくたくさんの体験をしたような、そんな気持ちになった。日本で見れる数少ない一流のブロードウェイ・ミュージカルであると思う。セットも演出も音楽も、とても洗練されていて、本当の大人のための作品である。
キャストは適材適所で素晴らしかったけれども、特にマルシアの存在感と歌唱力が印象に残った。