こんなことを思ったり。ぼちぼちかんげき。

保護猫と同居人と暮らすアラフィフがビンボーと戦いながら、観劇したものなんかを感激しながら記録。

Triangle~ルームシェアのススメ~

4/18(土)19:00~ パルコ劇場
脚本:蓬莱竜太
演出:宮田慶子
CAST:井上 芳雄  新納 慎也  彩乃 かなみ

伝説の舞台「SHOW GIRL」のDNA を受け継ぐ新作という呼びこみ、そして、事前の評判も上々で、どんな斬新な舞台が見られるのか、という期待を持って行ってしまったのが良くなかったと思う。
舞台そのものは娯楽作品として、見ている間ずっと笑って、歌に聞き入って、めいっぱい楽しめる、楽しいものであることは間違いない。芝居に、耳馴染みのあるスタンダートミュージックのメロディ&日本語歌詞の歌の融合は、思った以上に自然で、歌と芝居のエンターテイメント・ショーとしての価値は十分あった。
問題は、個人的には脚本にあると思った。
現実離れした華やかな世界を目指す若者の、あっさりとした成功は割とありきたりなちょっと夢見がちな少女漫画的で、挫折を繰り返すモラトリアム期間の悩みというテーマはありきたりな小劇場芝居的で、「新しいエンターテインメントを!」という今回の舞台の目指すところには届いていなかったように思ってしまったのだ。
これならば、ワイドショー的ではあったけれども「ミス再婚」の方が、「うん、まだまだ改善の余地はあるけれど、こういうテレビドラマのような気軽なミュージカルってのもありだよな」と思わせる力はあった気がする。
それは多分、私がこの舞台のストーリーやキャラクターに親しみを覚えるには年を取り過ぎたせいなのだろう。とは言え、実際の観客の年齢層的には私くらいが多数だろうし、これを「現代の新しい舞台作品を!」というテーマで見せるなら、たぶんもっと、テレビでも活躍しているような若手俳優を入れて、普段舞台を見なれていない若い層を呼び込んだ方が良かったのではないかと思わずにはいられなかった。ファッションもおしゃれだったしね。
後はもう少しセットにセンスを。
ニュー・ブレイン」のシンプルで素晴らしいセットを見た後では、どうにもその洗練されなさが、ああ、やっぱり日本ってまだまだなんだと思ってしまった。

とは言え、キャストの三人は本当に三人三様に魅力的で、可愛くて、格好良くて、堪能。こういうポピュラー・ミュージックくらいだと、井上芳雄くんには楽に歌えるのか、どの曲もとても伸び伸びと心地よく聞かせてもらえたのも良かった。そして、何より三人のチームワークが良く、三人ともこの舞台をめいっぱい楽しんでいる、そういうムードが伝わって、見ている間は本当にハッピーにしてくれた作品だった。