こんなことを思ったり。ぼちぼちかんげき。

保護猫と同居人と暮らすアラフィフがビンボーと戦いながら、観劇したものなんかを感激しながら記録。

赤い城 黒い砂

4/25(土)17:00~ 日生劇場
脚本:蓬莱竜太
演出:栗山民也
出演:片岡愛之助中村獅童黒木メイサ 他

シェイクスピアの「二人の貴公子」をアレンジした作品ということだが、原作を未読なので、どのくらいのアレンジが行われていたのかは分からない。
しかしながら、骨太で演劇的ないい作品に仕上がっていると思う。とりわけ、外国作品のアレンジということで素晴らしいなと思ったのは、それぞれ敵対する国名を「黒い国」「赤い国」としたことだ。架空の名称をつけるよりも、主人公たちがどちらの国に属しているのか、観客により理解しやすく、物語を分かりやすく整理できたように思う。また、クライマックスで新たな第三国を「青い国」としたところも、違う国が攻めてきたのが瞬時に理解できて、ファンタジー音痴にとってはとても有難い配慮だった。後半の処理に甘さが残るが「トライアングル」よりはずっと舞台作品の脚本として買える。
また、舞台を架空の国とすることで、外国作品を日本人が演じる違和感も緩和。衣装の色合いも美しく、殺陣も迫力があって、舞台作品として十分に楽しませてもらった。

キャストは、やはり中村獅童が好演。前半の可愛らしげのある粗野で単純な男と、後半の親友の裏切りを受けて変貌した男との違いを明確に演じ分けて好印象。
片岡愛之助は、中村獅童の自由奔放さの中で、冒頭の印象が薄かったのが、今回の役柄の二面性を演じるには損をした感じがあった。最初から、中村獅童へのねじ曲がった思いをもう少し見せることが出来たなら、作品全体にも役にも深みが出たのではないかと思うと惜しい。ただ、甘いマスクの腹黒い男はとても似合っていて説得力があった。
黒木メイサは、舞台の基礎的なことは実によく訓練し、そして美しかった。初舞台としては及第点。初舞台の固さや青さはそのまま役柄によくあっていたものの、その中にある狂気の炎や迷いを表現するには至らず、物語に深みを与えるまでには至らなかったのが残念。役柄への理解力とその表現力を今後伸ばしていけるかが、舞台俳優としては重要になってくるだろう。ココ役の南沢奈央の方が、声もよく通り、十分に役柄を演じていて好感。