こんなことを思ったり。ぼちぼちかんげき。

保護猫と同居人と暮らすアラフィフがビンボーと戦いながら、観劇したものなんかを感激しながら記録。

オペラ・ド・マランドロ

7/26(日)18:00~ 東京芸術劇場中ホール
マックス/別所哲也
マルゴ/マルシア
ルー/石川梨華
タイガー/石井一孝
ジェニ/田中ロウマ
シュトリーデル夫人ヴィクトリア/杜けあき
シュトリーデル/小林勝也
バハバス/東山義久(DIAMOND☆DOGS)

原作・作曲 シコ・ブアルキ
脚本 鈴木勝秀
演出 荻田浩一

ブレヒトの「三文オペラ」をベースに、舞台をブラジルに変え、ラテン・ミュージックで彩ったミュージカル。
まず、ラテン・ミュージックばかり、というミュージカルが、割合斬新なイメージだった。改めてミュージカルはアメリカや西ヨーロッパの産物なんだな、と感じる。
個人的にラテン・ミュージックが好きなので、音楽はとても心地よかったが、全体に歌詞が聞き取りにくく、また半分くらい歌の苦手なキャストだったので、聞きごたえあるほどまでにいけなかったのは残念。
とは言え、この作品の価値は、セリフやストーリーがどうの、というところではなかった。寧ろセリフとストーリーを追うのをやめようと思ったときから、どんどん魅力的に見えてきたくらいだ。

つまり、それほど、演出家荻田浩一の色彩感覚、ヴィジュアル感覚が鮮やかで面白い作品だったのだ。薄汚れた路地のセットに切り取られた南国の青い空の対比。くすんでいるのに鮮やかな娼婦たちの衣装。男性の衣装も白いスーツにカラフルな原色のシャツと、セットから浮きだつようなカラーバリエーションが美しく、音楽とともに、見たことのないラテンの国を浮かび上がらせてくれたと思う。
さらに、石川梨華が、本当に歌も下手だし、動きも全然なってなくて、全く素人がそこにいるような感じだったのだけど、とりわけマルシアとの喧嘩のシーンが、彼女にしか出せないキャラが立っていて、ああこれだけで彼女の意味があるなあと思わせるなど、彼女に限らず、キャラクターが適材適所で、実に魅力的だったのもさすがだった。

総括すると、ものすごく面白いショーだった、と言えると思う。
ミュージカル作品というよりも、ラテンショーを見に行くつもりで行くと本当に楽しめる作品だ。
残念だったのは、東京公演のみ参加のサンバチームが、ほぼ素人だったところだろうか。もう少し、ちゃんと踊れる人たちを連れてきてくれた方が、フィナーレは盛り上がるのになあ、と思ってしまった。