こんなことを思ったり。ぼちぼちかんげき。

アラフォー負け犬がビンボーと戦いながら、観劇したものなんかを感激しながら記録。

宝塚月組「紫子」「Heat on Beat!」

2月20日(土)12:00~ 中日劇場
『紫子(ゆかりこ)』-とりかえばや異聞-
木原敏江原作「とりかえばや異聞」(小学館文庫)より~
脚本/柴田侑宏
演出/大野拓史

紫子/佐伯碧生 霧矢 大夢
舞鶴姫 蒼乃 夕妃
たず 邦 なつき
笹島 花瀬 みずか
梅沢三太夫 一色 瑠加
丹波 桐生 園加
風吹 青樹 泉
天野外記 星条 海斗
お香 咲希 あかね
宮乃 舞乃 ゆか

『Heat on Beat!(ヒート オン ビート)』
作・演出/三木章雄

宝塚歌劇団はあと4年で100周年を迎える。100年続けば、それは一つの立派な日本の伝統商業演劇のスタイルと言えるのではないか、と個人的に思う。
そういうことがあってのこの「紫子」は古典的な宝塚らしい名作だと思うのだ。
私個人は初演は20年くらい前にお借りしたビデオを見た限りである。それでも、ファンになってまもない頃、その他も色々なビデオをお借りし色々な作品を拝見したが、この作品が一番心に残り、いつか再演されたらぜひ見てみたい、と心から思った。
そんな機会が20年たってやってきた。そして、生の舞台で見た「紫子」は本当に素晴らしかった。
初演は87年。確かに古い舞台だ。「女・子供の娯楽」である宝塚歌劇らしく、物語はコーラスで説明するところなど、とっても分かりやすいが故に、今見るとちょっと苦笑いもしてしまう。心情を全て分かりやすく直接的なセリフで吐露するところもそうだ。けれどもシェイクスピア劇がそうであって、それはそのまま古典として演出を変え今も愛されているならば、この作品もそうであっていいのだと思う。今回大野先生によって劇場に合わせて再度作り直されたセットや衣装の色の合わせ方など、現代らしくスタイリッシュに整えられ、宝塚歌劇としての美しさを引き立たせているし、何より宝塚の華奢で儚い「日本物」の美しさは、個人的にやっぱり捨てがたい。

前半線はコメディタッチだからこそ、中盤からどんどんと運命に翻弄される主人公たちの悲劇は際立ち、心を打つ。また、主人公紫子の嫉妬を舞と歌で表現する、素晴らしい見せ場もある。二番手男役の風吹役は女性客を虜にするくらい、ただひたすらに格好良く、トップ娘役は美しく賢く、健気で、本当に見ていて「宝塚歌劇」の良さが伝わるのだ。
また、原作から比べても、もちろん原作の設定にあったところをないことにしているが上での無理は生じている(特に風吹が暗殺者として領主に乗り込むくだりなど)部分もあるけれど、その設定を抜くことで、宝塚っぽい悲劇性がより成り立つところもあり、原作を舞台化する上で、舞台には舞台の魅力をのせてくる脚本はやはり素晴らしいと思う。

ショーも三木先生、という大御所。目新しさはないけれど、宝塚のショーの見せ方を知っているベテランが作るシーン、シーンはそれはそれで見どころがあり、知らぬ間に楽しませてしまう。

宝塚歌劇は現在本公演は年に10本ある。なので、その内の1本くらいはこういう昔の良作を古典扱いで上演してもいいのではないかな、と強く思った。

全般にトップスター霧矢大夢の技術と存在感と安定感が光る舞台だった。こういう人がトップスターと呼ばれてしかるべし、と思わせた。もう少し若くてトップになれたなら、長く在任して、かつての月組らしいカラーを作り、後進を育てられただろうに、と思うと惜しい。