こんなことを思ったり。ぼちぼちかんげき。

アラフィフ負け犬がビンボーと戦いながら、観劇したものなんかを感激しながら記録。

ごちゃごちゃだけど楽しいは大事かもしれない@宝塚雪組「CITY HUNTER」「Fire Fever!」

8/14(土)15:30~ 宝塚大劇場

ミュージカル「CITY HUNTER-盗まれたXYZ-」

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スタッフ

原作 北条 司

脚本・演出 齋藤吉正

作曲・編曲 青木朝子

作曲・編曲 宮崎朝子(SHISHAMO

キャスト

冴羽 獠 彩風 咲奈
槇村 香 朝月 希和
ミック・エンジェル 朝美 絢
槇村 秀幸 綾 凰華
海坊主【伊集院 隼人】 縣 千
海原 神 夏美 よう
野上警視総監 奏乃 はると
宇都宮 乙【小林 知花是】 千風 カレン
ジェネラル【将軍】 真那 春人
サリナ 妃華 ゆきの
美樹 星南 のぞみ
政 諏訪 さき
冬野 葉子 野々花 ひまり
野上 冴子 彩 みちる
野上 麗香 希良々 うみ
エラン・ダヤン 汐聖 風美
アルマ・ダヤン 夢白 あや
竜神 さやか 花束 ゆめ

 

人気コミック原作ということで、やはりわたしの「シティーハンター」認識度からお知らせしておくのがいいのかなと思います。

1985年に少年ジャンプで連載がはじまった原作「シティーハンター」。アニメ版も1987年にはじまり、当時小学生だったわたしは、どちらも読んで、見ていた記憶があります。

そして2019年に公開された映画を映画館に見に行ったくらいには「シティーハンター」が好きです。

 ただ原作を読み返したり、アニメを見直したりするほどにはファンというわけではないので、この作品が宝塚化、しかも斎藤先生の手でミュージカル化されると聞いたときには不安しかありませんでした。

 

しかしながらポスターが公開され、普段は宝塚を見ない世代の男性陣から「シティーハンターなら見てみたい」という言葉を聞いたとき、上演する意味はあるのかなと思い始めました。

そんな不安と期待を半々に抱きながら向かった阪急電車の中で見た中づりポスター!

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左の方もめちゃくちゃかっこういい仕上がりになっていて、テンションは少しずつあがりました。

公演グッズも今回とてもいい出来なんですよね。(はじめて観劇バッグ買ったよ←それくらいにはシティーハンター好き。プログラム入れじゃなくて普通に使います!)

公演グッズ一覧|キャトルレーヴ|宝塚歌劇をグッズで楽しむ|宝塚クリエイティブアーツ公式ショッピングサイト

グッズに関してはこのクオリティを毎回期待したいものです。

 

さて、その公演内容ですが、この相関図を見ていただいたらわかるように、色んなエピソードと、「グジャマラ王国」等の宝塚オリジナル設定などがごっちゃごちゃに詰め込まれています。

公演解説 | 雪組公演 『CITY HUNTER』『Fire Fever!』 | 宝塚歌劇公式ホームページ

(すみません、あまりにぐっちゃぐちゃに詰め込まれすぎていて、ストーリーを整理して書くのを放棄しました・・・)

それでも、開演前のこのアニメーションといい、

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プロローグのメインキャラクターの紹介アニメーションからの、香役が「City Hunter〜愛よ消えないで〜」を歌ったりして、アニメで夢中になった層には大変楽しい作りになっています。

宝塚ファンを不安にさせた「もっこり」は「ハッスル」に置き換えられました。

ただセクハラ部分は原作より取扱いがひどい。

原作では香のハンマーでだけでなく、多くの女性たちが獠や男性たちからそういった行為を受けたら、平手打ちをはじめとした色んなパターンで報復しています。しかし宝塚版では、「キャッ」だけで終わったり、女性自ら尻を触るよう差し出すシーンなんかもあったりして、その辺りの「原作リスペクト」はないんだろうか・・・と思わずにはいられませんでした。(こういうことをされたら少なくとも平手打ちしていいんだぞ、こういうことしたら報復されるんだぞ、というのを教えてくれるのが「シティーハンター」だと思っていたんですがね。)

ストーリーはぐっちゃぐちゃで、見せ場がいまいち盛り上がらない演出になっていて「とりあえず1から整理してみようか、斎藤くん・・・」と言いたくなるので、本当にいろいろもったいない。

個人的には最初に「シティーハンターの仕事」紹介的に宇都宮乙とその息子のエピソードを原作1話目の形に戻してさらっと見せてから、獠の過去が絡む槇村、海原、海坊主、ミック・エンジェルとエンジェル・ダストの話しをグジャマラ王国の設定でやった方が見やすかったと思います。(好演していたので心苦しいけれど、シティーハンターを追いかけるフリージャーナリストの辺りにいる人たちはただの喫茶店の店員と客にして、警察官と暴力団の方も最低限だけ残した方がわかりやすい気がしました。)

そして原作ファンなら説明はいらないだろうけれど、アイテムとして出してくるのであれば、「槇村から託された指輪」と「エンジェル・ダスト」はしっかり描かないと、原作知らない観客には分からないです。

(1発券の100枚つづりも説明なく出てくるけれど、これは原作ファンだけ分かればいいと思うので、あの出し方でよし)

見終わってから、フランス映画版を見たのですが

 こちらでは「槇村から託された指輪」の存在はカットされていたので、今回もなくてよかったのでは。

(あ、フランス映画版は全く違う話しで、いい意味でサイコーにくだらないです)

ただ「エンジェル・ダスト」はどれくらい危険なドラッグなのかはもうちょっと突っ込んで描いてほしかった。シリアスとギャグのバランスこそ「シティーハンター」で大事にされるところだと思うのです。

ところで男性が獠ちゃんに憧れるのは分かるのですが、獠ちゃんが「初恋の人」という世代の女性がいる、というツイートを見かけて驚くくらいに、わたしは冴羽獠に全く興味がありませんでした。

そんなわたしでも咲ちゃん(彩風咲奈)が演じる獠がGet Wildを歌いながら、銀橋を渡ってくれるところではときめいてしまう宝塚マジック。

(ちなみに同じくTM NETWORKの曲でアニメで使われた「STILL LOVE HER(失われた風景」も獠ちゃんが歌ってくれます。)

それからミック・エンジェルの登場シーンも「Catch Me If You Can」みたいでミュージカルとして魅せてくれたりするのです。

さらに映像をメインに置いたセットは2階席で見るとさびしい、と聞いていたのですが、とにかく舞台上に人がいっぱい登場して、それぞれに魅せるし、槇村は踊るしで楽しい部分も多いにあったので、本当にいろいろ惜しいなと思います。

北条司さんが描く男性に全く興味を抱けないかわりに、彼の描く女性は大好きでした。

とりわけ今回も登場している「野上冴子」に小学生の頃から憧れ続けているのですが、その彼女が今回「胸の谷間」を描いていたことは、またもう一つがっかりしたところでもありました。冴子の魅力はそういうところではない。というか北条司さんが描く女性の魅力はそういうところではない。刑事、科学者、医者などハイキャリアの職業に就いて自立し、知性があって強く、自分の信念で生きているところが魅力に感じていたのです。宝塚化するにあたって、現在のファンのほとんどが女性なわけですがら、宝塚ファン向けにそういう女性をきちんと描く方がよかったと思います。

そんな中、出演者はみんな好演していました。

特に香役の朝月 希和ちゃんと、海坊主役の縣 千くんが素晴らしい。鬘や衣装の着こなし、動き方、セリフの言い方、そういう技術をさらりとこなして「香」をキュートに演じていたひらめ(朝月 希和)ちゃんに完敗。

さらに役が決まる前から「登場するのかしないのか、登場するなら誰がどうやるのか」と話題だった海坊主を全く違和感なく、なんか1.5倍くらいの大きさにみせてきた縣くんの凄さ。まだまだ若いだけに末恐ろしく、これからがますます楽しみです。

ラストシーン直前までは「ううーん」という感想だったのですが、最後の辺りで彩風・朝月新コンビの関係性を彷彿とさせるセリフで宝塚ファンを制し、ラストシーンの絵で原作ファンを制してきて、終わってお手洗いに向かったら、新大劇場になってから見たことのない男性トイレの利用率で、やっぱりなんだかんだとファンの裾野を広げるためにはこういう作品もいるのだな、と思いました。

そしてなんだかんだ言っても、まあそこそこ楽しい。

雪組は本公演でシリアスなものばかり続いていたので、特に今、それなりに楽しいって大事だな、と思いました。

なので宝塚ファンの方にはおススメするかどうかは激しく迷うけれど、原作ファンの方はよかったら一度見に行ってもらえたらいいなと思います。

こんな状況下で、前トップコンビがとても人気を博していた組だけに、新しく劇場に足を運んでくれるファンは必要なので。あ、一瞬だけどキャッツ・アイも登場しますし!(←こういう釣りだけのための登場ですけどね。まあ演目的に釣るのも大事、たぶん)

 

そして前の花組の感想でも書いたけれど、どんなに芝居があれでも宝塚には、そして宝塚ファンにはショーがある!

ショー オルケスタ
『Fire Fever!』
作・演出/稲葉 太地

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サイコーでした、楽しかったです!!

と言い切りたいのですが、ワンシーンだけ「シティーハンター」よりも今の時代的に問題なところがありました。

「宝塚初観劇観客用に輪っかのドレスを見せたい」意図は分かりますが、その宝塚初観劇観客が、このオチを問題とする認識をもたない方が多いと思うので、よりこれを見せてしまうのは危険な気がするのです。

セクハラがコミュニケーションだと信じられていた時代も終わったと同時に、セクシャリティや見た目を笑いにする時代も終わりました。

このオチは速攻に止めて差し替えてください。

【10/2追記】

東京公演でちゃんとこのオチが改変されていることをTwitterで知りました。

ああ、東京公演を見たい!

ということで、全力でショーはオススメします!

 

それ以外はもう本当に個人的に大満足。

プロローグで妖精のように産まれるあーさ(朝美 絢)の輝く美貌。

そしてその後ろからやってくる火の鳥のようにゴージャスな咲ちゃん。

その咲ちゃんのパートナーとして、組子を率いて真ん中でバキバキに踊ってきめてくれるひらめちゃん(朝月希和)。

支えるのではなくて一緒に組を率いていく存在、としてトップ娘役が、そしてその関係性がまぶしてステキでした。

あやなくん(綾 凰華)、縣くんもバンバン銀橋渡ってアピールするし、スーツ姿の男役だけの歌もセリフもなくストーリーもないダンスシーンはかっこいいし、その後は娘役だけで歌い踊るのもこれまたかっこよくて素敵でした。

でも何より71人ラインダンスですね。

ラインダンスになる前も特技のあるコたちが、それをバシバシ披露してくれて見せ場があるし、トップスターのみロケットボーイで他はみんな普通にロケットダンサーとしてラインダンスを見せてくれたのが圧巻でした。

ここのところ感染症対策としてラインダンスの人数も少ないことが多かったので、やはりこの大人数で魅せるのも宝塚の魅力なんだなと改めて思いました。

衣装もスパンコールと羽をふんだん使ってとにかくぱっと見、豪華そのもの。

そのギラギラ衣装が似合うトップスター彩風咲奈が最高のパートナー朝月希和とともに雪組を率いる時間は短いかもしれないけれど、この先も楽しみにしたいです。