こんなことを思ったり。ぼちぼちかんげき。

保護猫と同居人と暮らすアラフィフがビンボーと戦いながら、観劇したものなんかを感激しながら記録。

一人の男の物語@ロジェ

8/15(日)16時公演の宝塚雪組「ロジェ」「ロックオン!」を見に行った。
演劇的な感想はちょっと難しいので、私の個人的で一方的な見方の感想を^^;

良く良く考えたら、私、正塚先生の作品を生で見たのって「銀の狼」以来じゃないだろうか、ということに気づく。
だから、改めて見た正塚作品「ロジェ」は、その舞台照明とセリフに格好良いな、と思わされるところが多々あった。
そうだ、正塚ワールドってこういう照明の中に構築されたんだった、と思いだす。この陰影あってのあのワールド。
正塚芝居は、必ず、通行人が本筋とは関係ない会話をするところが、要所要所に差しはさまれるんだけど、これがやっぱり舞台で見るといいのだ。
通行人たちは、彼らの別の物語を紡いでいて、今はロジェの物語を重点的に見ているだけであって、角度を変えるとロジェも彼らにとってはただの通行人しか過ぎず、だから、結局、正塚先生が描きたいのは、「一人の普通の男の物語」なのだな、ということが、改めて分かったのだ。
そして、それは、格好良い、と思う。

思うんだけど、その、「一人の普通の男の物語」は相変わらず独りよがりでしたたらーっ(汗)しかも、ロジェが本当に精神年齢が低くて泣き顔
自分にしか興味がないから、他人の心の内を考えようとかそういう思考回路すらない。人生には自分が中心にただあって、他を思いやる余裕がない。とにかく、自分の苦しみが全て、なのだ。
水さんの見た目が死ぬほど格好良いので(すみません、私、水さんの見た目が凄く好きなのです)、その見た目と中身のギャップがこれまた残念な感じで。

けれども、セリフのない群衆の中で、雪組生たちがそれぞれにちゃんと芝居をしていて、だから、「一人の普通の男の物語」がちゃんと活きていた気がする。クラブでのアルゼンチンタンゴを踊るカップルもそれぞれの人生をちゃんと考えて演じていて、愛おしくなってくる。

そして最後、捕われ続けた復讐に終止符を打ったロジェが銀橋に立ち、雪組生が全員本舞台でロジェに向かって歌うところは、なんかもう涙が出た。
水さんのトップ人生、最初の相手役さんも先に卒業、それから様々な大人の事情に呑み込まれ、同期生と二番手を見送り、本当に切なかったなあと思うのだけど、それでも、個々に成長した雪組生たちが一人一人の力は小さいけれど、みんなで一丸となって、何かを水さんに投げかけようとしているように見えて、すごく感動した。

だから、色々あるけど、ロジェはこれでいいんだと思う。
それにしても、ちょっとだけだけど、水さんがアルタンを踊るところが格好良くてハート達(複数ハート)あの差しのべられた手を取りたいっと真剣に思いました(笑)

「ロジェ」は残念ながらこんな感じだけれど、ショー「ロック・オン!」はいいです!
王道、マンネリ、ベタ、だけど、とにかくオープニングから一気に観客のテンションをあげる作り。ひたすらキレイで格好良くて楽しい。オススメです!