こんなことを思ったり。ぼちぼちかんげき。

保護猫と同居人と暮らすアラフィフがビンボーと戦いながら、観劇したものなんかを感激しながら記録。

100歳の少年と12通の手紙

9月16日 17:00~ 東京グローブ座

オスカー 彩吹真央
ローズ 新納慎也

白血病で入院中の10歳の少年オスカーは、自分に対して本当のことを何も言わず、腫れ物に触るようにしか接しない大人たちに不信感を抱いていた。しかし、ローズさん、と呼ばれる女性の、言葉遣いは悪いが歯に衣着せぬストレートな物言いにオスカーは惹かれ、心をひらく。そのローズさんに1日を10年と考えて過ごし、毎日神様に手紙を書くようにオスカーに言われ、神様など信じないと言うオスカーだったが、諭され、早速手紙を書く。

朗読劇を見るのは三度目。前二回は長く上演されている「ラブ・レターズ」だったので、まず、ダンサーの存在に驚いた。
朗読劇は言葉から想像を働かせるものであるから、ダンサーを使用してその世界観を抽象的に魅せていくというのは、個人的は面白い試みであったと思う。
けれど、しかしながら、今回は私にはこのダンサーの起用や、照明、セット、音楽の使い方にいたるまで、どうにも有効に働いているように見えなかったのが残念だった。これは個人の好みによるところだとは思う。

ただ、余命少ない少年が1日を1年として、人生を駆け抜けていく様は鮮やかで興味深く、誰にでもある「生と死」を、そして人生を考えさせてくれる、興味深い内容であった。
今回はこのキャストでしか観劇出来なかったのが残念なくらい、多分演じる人の数だけ、オスカーと彼を取り巻く子供たちの顔があり、ローズさんの顔があるのだと思う。

彩吹真央のオスカーは、私の中では、やせっぽっちでちょっとひねくれた、でも大きな目で真実を見抜こうとする少年の姿をしていた。そして、新納慎也のローズさんは、大柄で粗野ででも包容力があって暖かい眼差しをしたおばさんの姿だった。
そして、そういうことを想像するのが朗読劇の楽しみであると思う。
だから、私は、その病院の光景も礼拝堂も、目と鼻が取れたくまのぬいぐるみも、ローズさん家のピカピカ光るクリスマスツリーも、想像したかったし、そういうことを想像させてくれる演出とセットと照明であれば、尚良かったと思ってしまった。