こんなことを思ったり。ぼちぼちかんげき。

保護猫と同居人と暮らすアラフィフがビンボーと戦いながら、観劇したものなんかを感激しながら記録。

どこまで戦えるか@BENT

8/26(土)18:00~ 森ノ宮ピロティーホール
作:マーティン・シャーマン
演出:森新太郎
出演:
佐々木蔵之介
北村有起哉
新納慎也
中島歩
小柳友
石井英明
三輪学
駒井健介
藤木孝


ナチスドイツ政権下での同性愛者迫害を描いた演劇なのですが、まず「BENT」ってどういう意味なんだろうと調べてみたら、まんま、英語の俗語で「ホモ」ってことらしいです

ナチスドイツが同性愛者迫害を迫害していたことは知っていたのですが、その扱いがユダヤ人や犯罪者よりも下だったとこの芝居を見てはじめて知りました。
「BENT」は男性同士が描かれるわけですが、女性同士はどうだったのか、そちらも見てみたい気がしました。

そして、戦時中の日本はどうだったのか、それも気になりました。
色々勉強したいことがたくさん増えた、いい観劇でした。

一部は主役の佐々木蔵之介さんとその時の恋人が、ある日突然始まった「同性愛迫害」でゲシュタポに追われ、捕らわれ、収容所に送られるところまでが描かれます。
この間に主人公は色々な選択を迫られるわけです。
生き延びるために。
その選択には、とてもとても厳しいものもあって、本当に、いつかこの主人公が「しなければならなかった選択」をさせられる日がこないとは限らないと思うと心から怖く、芝居にひきこまれ、あっと言う間に幕間がやってきました。

二部は佐々木蔵之介さんと北村有起哉さんの殆ど2人劇になっています。
蔵之介さんはゲイよりもユダヤ人の方が扱いが良かったので、ユダヤ人になります。
そのために買収と、さらに、ゲイでないという証明のために、人間の尊厳を問われる行為をするのです。
この辺の彼の選択も、少しでも生き延びるため、なのですが、一方の北村さんは、買収するお金もなかったかもしれませんが、自分を偽らないことを重要視している気がしました。

だからこそ、北村さんは蔵之介さんに反発するのですが、一緒に精神的ダメージを与えられるためだけの無意味な作業を行ううち、徐々に2人の関係が変化していくさまは「蜘蛛女のキス」にも似ている気がします。

2人は決してお互いの名前を呼びません。

2人の会話は面白い部分も多く、悲劇と喜劇は紙一重で、だから最後に向かっていくさまは、恐ろしく、やりきれないです。

緊迫感と程よい笑いで成り立つ二幕は会話劇として良く出来ていて、だからこそ、あのチープな背景スクリーンが気になってしょうがなかったです。
ふたりの演技と会話で、暑さや寒さはちゃんと感じられます。
寧ろそうした方がより緊迫感が際立ったと思うのです。
照明だけで効果をつけたらよかったのに、とセット、照明フェチとしてはついつい思ってしまいました。

再演があるなら、転換とセットを再考していただけると嬉しいなあなんて

ところで、新納さんは一部のワンシーンだけオカマバー(?)の女装スターとして登場するのですけれど、カーテンコールでのお辞儀の仕方まで、女性バージョンでおののきました
極めすぎている!
しかも、お辞儀終わったら、バサッとドレスを格好良くさばいて、颯爽とヒールで歩く姿に恐れ入りました

どうでもいいことなんですが、せめて、私も来週の社交ダンス発表会までに、ああいうお辞儀ができるよう精進したいと思いましたです、はい