こんなことを思ったり。ぼちぼちかんげき。

保護猫と同居人と暮らすアラフィフがビンボーと戦いながら、観劇したものなんかを感激しながら記録。

常夏の楽園は本当か@浅田次郎「シェエラザード」

前職時代、一緒に働いている方にこんな本を貸していただきました。

シェエラザード(上) (講談社文庫)
浅田 次郎
講談社
シェエラザード(下) (講談社文庫)
浅田 次郎
講談社


その中にこういう一文があったのです。

シンガポールは美しい町だった。常夏の楽園だ。日本人も中国人もインド人もマレー人も、それぞれの民族に敬意を抱いて、仲良く暮らしていた。

それまでの私のシンガポールのイメージと言えば、女子が手軽にショッピング旅行に行く、新しい街、でした。
つまり、なんの興味もなかったのです。
実際にパンフレットを見ても、食事にマリーナベイサンズのプールとか、ナイトサファリとかボタニカルガーデンとか、エンターテイメントに徹したところばかりの紹介で、それ以上深掘りもしなかったので、シンガポールの歴史を全く知らなかったのです。

でもこの小説を読んでみたら、シンガポールが世界平和のユートピアのように感じたのです。

小説は、第二次世界大戦終戦間近の弥勒丸という戦火で沈められた豪華客船と、それを引き上げようとする現代との二重構成で描かれています。
弥勒丸の物語は実際の阿波丸事件を元にして書かれたとのこと。

本来なら、世界を旅するために作られた豪華客船だった弥勒丸が、戦争によって、赤十字の徴用船として運用されていて、ある目的のためにシンガポールへ赴くのです。

その目的のためにシンガポールで動いている人たちも描かれていて、終戦間近で日本が占領していた頃のシンガポールを読んでいるうち、段々と魅せられていきました。

今のシンガポールは本当はどんなところなのだろう、本当に色々な人種が共存した常夏の楽園なのだろうか、そんな興味が膨れ上がっていきました。

そんなことを考えはじめていた頃、色々なことがタイミングが会い、尊敬する前職の同僚がシンガポール派遣で働きはじめたこともあり、今だ!と思い、行ってきました。

たった2日間で何が分かるものでもないけれど、それでも、実際の街を歩いてみると、感じること、考えることがたくさん生まれた旅の記録を残そうと思います。