こんなことを思ったり。ぼちぼちかんげき。

保護猫と同居人と暮らすアラフィフがビンボーと戦いながら、観劇したものなんかを感激しながら記録。

バックステージショーとしても18年間の思い出としても最高@宝塚雪組「ALL BY MYSELF」

5/4 16:00~、5/6 11:00~、15:30~ @NHK大阪ホール

彩風咲奈ドラマティック・リサイタル
『ALL BY MYSELF』
-BLOOM’S COLORFUL MEMORIES-
作・演出/野口 幸作 

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出演者

彩風咲奈

愛すみれ/天月翼/諏訪さき/眞ノ宮るい/有栖妃華  

愛陽みち/絢斗しおん/音彩唯/美影くらら/月瀬陽/華世京/白綺華/瑞季せれな/妃奈環/瞳月りく/苑利香輝/清羽美伶/千乃新

 

これをブログに残すかどうかも非常に迷ったですし、どういう形で書くのがいいのだろうかとも悩みました。

というのも、この作品が「トップスターの卒業前ご褒美コンサート」という位置づけにしては「ショー作品」としてよくできたのです。

多分「彩風咲奈」を知らなくても、少なくとも一部は飽きずに「ミスター・ブルームの一代記ショー」として、バリエーションに飛んだ歌とダンスを楽しめるものとして成り立っていると思いました。

最初の「オープニングナイト」の幕開きとか、トニー賞っぽくておしゃれですし、そこからスター「ミスター・ブルーム」が登場して、彼が主演する最後のショーのフィナーレのシーンに続き終演後、カイルという編集者が「ミスター・ブルーム」の舞台の歴史を本にしたいと楽屋に訪ねていく、という流れもわかりやすい。

そして、本を書くために「ミスター・ブルーム」がカイルに今までの自分の舞台を振り返りながら説明していくさまを、ショーで魅せていくという作りは非常にうまいなと思うのです。

二幕は長尺に感じる人はいるだろうけれど、全体に普通にショーとして楽しめる作品になっていたこと、これが本当に最も素晴らしいところだと思いましたし、彩風咲奈さんのファンに途中からなった人にとっても、見られていなかった時代の彩風さんが、映像ではなく生で見られる喜びもあるし、なおかつ、彩風さん入れて全19名という少数精鋭のメンバーでしたが、ほぼメンバー全員にも見せ場があって、全方向に親切で楽しい作品だったと思います。

 

とはいえ、「彩風咲奈」に堕ちたのは「るろうに剣心」からだけど

(下記はその堕ちた記録です)

stok0101.hatenablog.com

「彩風咲奈」を「ソルフェリーノの夜明け/Carnevale睡夢」から認識し、「ロミオとジュリエット」の新人公演と「灼熱の彼方」を見に行っている人間としては、それまでの歴史抜きにはもう見られなくて、オープニングナイトの幕開きまでに、音楽学校ポスターから現在の彩風さんまでの写真が映るのですが、そこでもう胸いっぱいで泣くわけですよ!

こんなもの、冷静に見れるわけがないじゃないですか!

そんなわけで以下は保とうとしている冷静と隠しきれない興奮の間に的な感想になっております。

ABMの思い出に浸りたいから読んでやってもいいぞという方だけどうぞ。秩序もなく長いです。

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とは言え、オープニングからの「新人時代」ターンも非常によくできていたと思いました。

今回このリサイタル用のグッズがたくさん販売されていたわけですけれど、その中のTシャツとパーカーを「新人時代」の稽古場レッスン着として使用しているのが、まず上手い!(2種類あるけど、彩風さんと他の皆さんが色違いで日替わりで変えてくれた模様)グッズのマフラータオルを出演者のみんなが持っているのも自然ですし、稽古場なのでセットの奥が鏡になっていて、そこに客席のペンライトが映るので、持っているこちらも舞台という画面をより華やかにするためにペンライトを点けたくなるのです。

さらに「ミスター・ブルーム」を導いた人物として「ビジット先生」(諏訪さきさん)が登場し、課題をこなせなくて弱気になっている「ミスター・ブルーム」を「世界の王」を歌いながら励まし、さらに客席を巻き込んでマフラータオルで一緒に躍らせ、「ミスター・ブルーム」に「客席が見えただろう。客席はいつも味方だ」とアドバイスするという作りには唸りました。

しかもね、セット転換の関係でロミジュリの新人公演は「仮面舞踏会」までのシーンをばっさりカットしていたので、「世界の王」はあの時の新人公演では聞けなかった曲なのですよ!それを新人を演じながらも「完成された男役」になった咲ちゃんが歌うともう万感の思いなんですよ!

あの時、少年役ってある程度、男役として出来上がっていないと難しいのだなあ、と研4のまだまだ女の子の雰囲気漂う彩風咲奈ロミオを見ながら思ったのですけど、このショーでの出来上がった彩風さんは紛れもなく「魅力的な少年のロミオ」で、「ああー、今!今!咲ちゃんのロミオが見たい!他の曲も聞きたい!」と思ってしまいました。

その前のへなへなで「ソルフェリーノの夜明け」の主題歌を歌う彩風さんも、めっちゃくちゃ可愛くて、この可愛らしさも好きになった一因だなと改めて思いました。

 

そんな懐かしさ、可愛らしさに酔っていたら、「衣装係のヴァイオレット」(愛すみれさん)が登場し、「ミスター・ブルームは手足が長いから日本物の衣装も映えて作り甲斐があった」みたいな紹介とともに、まさかの「お祭りマンボ」です。

しかも愛すみれさんが本当に上手い!何度かこの曲、他の人でも聞いたけれども、私の中ではイメージも雰囲気もリズムも彼女が一番でした!

で、ギンギラの和風衣装で懐かしい日本物公演の曲やショーの曲をノリノリで歌い踊っているのをあっけに取られて見ていたら、やってきた「若手スター時代」。

 

衣装係りの次は「客席係りのルイ」(眞ノ宮るいさん)のセリフでつないでいく、というのもバックステージ物、というコンセプトがうまく使われていました。

ここは5作品分の曲をメドレーで彩風さんが「ミスター・ブルーム」として歌いながら、彩風さんが当時演じた役を若手男役さんと眞ノ宮るいさんが当時の彩風さんの衣装を着て踊るというシーンになっていました。

その中で「灼熱の彼方」だけ、彩風さん演じたオデュッセウス役だけじゃなく、W主演だった彩凪翔さんが演じたコモドゥス役も舞台上に登場するのですが、バウホールワークショップ公演でW主演だったことは特に説明されないので、配信も含めると3回目の観賞のときに「え、もしかしてこれ知らなければ、両方の役を彩風さんが演じたと思われないだろうか、というか2役ということに気づかれているだろうか、もしかしてプログラム買ってなかったら同じ役の衣装違いと思っている人もいるんではないか」ということにやっと思い至ったくらい、もうコモドゥス役も舞台上にいることに感動してしまって、全く冷静になんて見られてないことを自覚しました。

(そして3回目の観劇で「My Life Your Life」の歌い方が音月桂さんに似ていることに気づきました。ダンスと男役の基礎は水夏希さんの、歌は音月さんの影響を受けた、本当に雪組の御曹司なんだなあ涙)

 

私は彩風さんの18年間の舞台生活のうち、4年目からぐらいしか認識していないし、「灼熱の彼方」を除いてバウホールやシアター・ドラマシティ等での公演は見ていません。それでも比較的若いときからゆるーく応援してきた身でさえ、もう懐かしくて泣くんですよ。さらに「灼熱の彼方」が特にそうなんですが、東京から大阪に戻ってきて、転職活動に四苦八苦していたときの公演で、その後の音月桂さんトップ時代後半と、壮一帆さんトップ時代、早霧せいなさんトップ時代前半は、前の会社で余裕なく死ぬほど働いていたので、かろうじて公演は見ているけれど感想もあんまり残せていない、とかそういう自分の歴史まで思い出すから、18年という時の重みも感じるのです。

この私が余裕なく働いていた期間は、彩風さんも彩凪さんと並びたち、彩凪さんの人気に押されていて伸び悩んでいるようにも見えていたのですが、コモドゥスが登場したことで、彩風さんにとって彩凪さんの存在はとても大切なんだろうなと勝手に感じてしまったのです。

「灼熱の彼方」で彩風さんを見たとき、「この人はきっと真ん中でこそ輝く人だ」と感じました。

でも伸び悩んでいる時期も見て、3番手として公演ポスター入りした時も、2番手になったときも、このままトップスターになれるんだろうか、と不安に思っていたこともありました。

だからこそ、初めて主演での全国ツアー公演(がコロナ禍の影響で梅芸公演に変更)「炎のボレロ」で、「真ん中で輝く彩風さん」を見たときの感無量感も思い出しました。

そうだ、この人は真ん中に立ってこそ発光する人だったんだ、としみじみ感じたことも思い出して泣くのです。さらにこの後、「炎のボレロ」と一緒に上演された「Music Revolution- new spirit-」を諏訪さきさんが歌う!

ああー、彩風さんはショースターになるんだなと感じた作品です。

もう見ながら情緒が乱れ乱れて大変な「若手スター時代」から一転「るろうに剣心」の斎藤一が登場!「悪・即・斬」が、あの頃ですらかっこよくて死ぬと思ったのに、けしからん見た目完成度になっていて、格好よすぎて血管が切れるかと思いました。また後ろの映像に当時は流れなかった原作漫画の映像とか流す特別仕様。この流れは、もう彩風咲奈ファンを殺しにかかっているとしか思えません。

そしてこの後、楽屋のセットに戻るのですが、「久々に演じたら疲れたよ。若さってすごいな」みたいなセリフがまた、「二十年以上の復讐心を抱えたロジェの気持ちが、生きている時間より長くて分からなかった、あの若い若い咲ちゃんがーーー」と涙なんですよ。

ここでカイル(華世京さん)との会話で、「ターニングポイント」を本に入れようとなって、選ばれた「ターニングポイント」が「SUPER VOYAGER」の「海の見える街」でした。

どの理由か気になるところではありますが、こんなけ書いておきながら、一部の体感は毎回秒速でした。

ちなみに「SUPER VOYAGER」自体は私個人的は色々嘆いて、

はじめて再構築まで考えたショーだったので、そんなショーを作っていた野口先生がこんなステキな「さよならリサイタル」を作ってくださったことに、ただただ感謝。

成長するのは役者だけではないんだなとしみじみ思いました。

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二部もカイルとミスター・ブルームインタビュー映像のカイルのポーズから同じポーズの冴羽獠原画イラストに変化して、「Get Wild」からのトップスター時代の再現がまたいい。

とりわけ「愛の宝石」のデュエットダンスを白綺華さんという若手娘役さんと再現されたことに感心しました。

宝塚の娘役さんは一曲まるごとトップスター格とデュエットダンスする機会なんて本当に限られているのです。彼女が将来娘役のトップスターになれるかどうかは分かりませんが、どうであってもこの経験は素晴らしいものだと思いました。また彼女と踊る彩風さんの全身から溢れ出る慈しみが最高!

そしてこの演目の中で、手堅い中堅〜上級生に支えてもらいながら、華世京さんを中心に男役から娘役まで、若い人たちを育てていこうという「思い」が伝わってくるような気がしました。

 

それから雪組が誇るマルチバイプレーヤー、天月翼さんが「大道具係のウィング」として登場して、ミスター・ブルームは運転が上手く狭い袖に上手に車を入れてくれた、というようなセリフがあって、「ボニー&クライド」から3曲披露されます。残念ながら「When I Drive」はクライド1人でしたが、続く「How 'Bout a Dance」にはボニー役として、当時子ども時代のボニーを演じていた愛陽みちさんが登場。デュエットこそはありませんでしたが、キスシーン付きのラブシーンを魅せてくれて、日に日に愛陽みちさんにボニーらしさとヒロインたる存在感がまして、彩風さんとのラブな雰囲気にドギマギしたし、こういう経験も限られた娘役さんにしかないので、本当に素晴らしいなと。

「This World Will Remember Me」をそのシーンの出演者全員で盛り上がったあとの、信頼と実績の天月翼&愛すみれコンビが、流れゆく道路の映像と歌った演出も好きでした。

 

で、ですね、この後にカイルの映像がまた流れて「ミスター・ブルームでぜひ見たいと思っていた夢のステージ」が繰り広げられるのですが、配信と観劇1回目、2回目とも「Luck Be A Lady」だったので、これは純粋に衣装にツッコミながらも楽しみました。でも3回目が大浦みずきさんのサヨナラ公演のショー「ジャンクション24」の「Dance With Me」で、最後の観劇にしてボロボロにやられました。

なんか今思っても幻だったような気がしてなりません。彩風さんの後ろに大浦さんがいて、自分が高校一年生に戻ったようでもあり、彩風さんに大浦さんの面影を重ねながら、ショースターダンサーとしてのトップスターをありがたく拝んでいるような、そんな感覚だった気がします。

 

この後に、通常、若手男役がショーでよくやるアイドルっぽい歌とダンスを、若手娘役さんたちが韓流アイドルのように歌い踊ってくれたのは眼福。

そして 、そのシーンが「Dance With Me」のシャツを脱いだ状態の衣装であることに気づいたので、やっぱりちゃんと見てたんですね「Dance With Me」。

 

あと私は知らなかったのですが、彩風さんのこれ

www.tca-pictures.net

で踊られていた「カナリヤ」が多分、このショー版として作られていたような気がします。とても美しいダンスシーンでした。

 

からのダンサー役のアリス(有栖妃華さん)の「ミスター・ブルームがクサく歌うラテンが好き」的なセリフからラテンシーンへ。ラテンショー自体は「リオ・デ・ブラボー」とか「ラ・エスメラルダ」とか私が個人的にとても苦手なサイトーショーだったのでちょっとテンション下がりましたが(そして彩風さんのトップ時代にサイトーショーがなかったことを心から個人的に感謝)、このラテンシーンの中に観客もフラッグ持って踊りに参加するターンがあって、これはもうただ楽しい。彩風さんのゆるーい振り付け講座がかわいいし、一階席の時は客席に降りてきてくれた美しいフェアリーさまたちを有り難く至近距離で拝ませていただきました。

 

そしてODYSSEYコーナーへ。ここは華世京さんとのシーンの再演だったのですが、華世さんの成長ぶりはもちろん、当時のトップ娘役だった朝月希和さんが娘役を率いて踊ったシーンを、舞台いっぱい使って瑞季せれなさんが堂々たるダンスを魅せたのも、このショーのよかったシーンの1つだと思いました。この経験も早々、娘役さんにあるものではない。

今回、この作品を見て改めて思ったのは宝塚の娘役さんは、当たり前だけどチャンスがあって経験を重ねれば、充分に真ん中としてシーンを成り立たせることができる、ということ。そしてだからこそ、もっと娘役さんが活躍できる場をどんどん作ってほしいということでした。

あと個人的に、私がODYSSEYを見た日は美穂圭子さんが別箱出演日で、美穂さんのパートを音彩唯さんがやっていて、はじめて音彩さんを「歌が上手くてかわいい娘役さんがいるなあ」と認識したので、再び音彩さんで同じシーンを見られるのも嬉しかったです。そして音彩さんももちろんあの時よりずっと上手く、もっとキレイになられているので、その力量に見合った今後の活躍を切に切に願います。

 

最後のミスター・ブルームとカイルの会話があって、「クロージングナイト」で劇場に戻っていく。そして「あなたが誰かの夢になる」というキャッチコピーとともに音楽学校のポスターモデルをしていた彩風さんが、レビュースターとなり「わたしがみんなの夢になる」と結ばれる流れもキレイでしたし、彩風さんじゃなきゃ着こなせないだろう、なザ・レビューの衣装も素晴らしく、充実すぎるショーでした。

何より卒業を前にして、肩の力が1つ抜けた彩風さんが本当に幸せそうに舞台を楽しんでいるようなのがいい。

大阪初日のカーテンコールで「幕を下ろしたくない」とおっしゃったのはリップサービスだけではなかったと思いたいです。

 

そんなわけで、分かりやすくロスです。

今はとにかく円盤が発売される日を今か今かと待っています。