2017年の春にオープンした「360°シアター」。
客席がぐるぐる回るという新型劇場のこけら落とし公演として上演された、劇団☆新感線・代表作の1つ「髑髏城の七人」が今ゲキシネとして全国の映画館で公開されています。
ちなみにこの360°シアター「髑髏城の七人」は合計6バージョンあり、1年以上かけて上演されました。
その一番最初が「花」、そして今公開されているのが「鳥」、来月は「風」バージョンのゲキシネが上映される予定です。
ゲキシネとは「劇×シネマ」ということで、劇場で上演されたものを映画館で配信するということなのですが、このジャンルにいち早く取り組まれた劇団☆新感線さまのゲキシネは、単なる配信ではなく「映画として見られる編集」が施されています。
つまり映画として見ても面白い。
そして嬉しいことに観賞代金も通常の映画料金(1,800円)+200円の2,000円に改定されました!
そんなわけで「映画はまあまあ見るけど演劇はみたことないや」って方にぜひこの機会にゲキシネ「髑髏城の七人」を体験してもらいたいのです。
「髑髏城の七人」はこんなストーリーです。
時代は「本能寺の変」から8年後。豊臣秀吉が天下統一を目前にしている頃。
関東に逃げ延びた織田信長の残党が「髑髏城」を築き、その頂点に「天魔王」という人物が君臨しています。
彼の野望は「再び乱世に戻し、自分が織田信長の意志を継承すること」。
そんな天魔王の野望に、捨之介という世捨て人と「色街・無界の里」を極楽大夫とともに作った蘭兵衛が巻き込まれていく・・・。
雑賀党なんかも登場するし、殺陣たっぷりのエンターテインメントなので戦国時代好きの方には特に楽しいと思います。
来年の大河ドラマの主人公・明智光秀がなぜ「本能寺の変」を起こしたか、とかの解釈もちょっと触れたりします。
さらに今回のゲキシネ「髑髏城の七人」はバージョンごとに映像監督も違うので、映画好きの方もその違いを楽しめるんじゃないでしょうか。
(わたしは映画のカット割りとかの楽しみ方はよくわからないのが残念です・・・。でもバージョンごとにキャストと設定、演出や衣装が違うので演劇ファンはもちろん楽しいです)
ちなみにチケットは普通に上映映画館でも、ネットサービスでも買えます。普通に普通の映画と同じ買い方です。
ただ上演時間がもともと演劇なので長いため、1部と2部の間に15分の休憩があります。
休憩時間はこんな感じでお知らせが入り、
こんな感じの静止画が流れています。
上映スケジュールや上映館などはぜひ下記からご覧ください。
(ついでにぜひ予告編の映像も見てください!)
わたしは2011年版のゲキシネ「髑髏城の七人」(通称:ワカドクロ)からしか見てない本当に髑髏城初心者なのですが、今回あらためてこのゲキシネを花バージョン、鳥バージョンと見て、「これはもっと大衆受けするべきすばらしい娯楽作品だ」と思ったのです。
花と鳥だと、花バージョンの方が初心者には優しいかなと感じたので、もっと早くこのブログを書けばよかったなと後悔。
鳥バージョンはロックオペラ的な演出も多いので、ミュージカルが苦手な方には向かないかもしれません。
花バージョンの何がよかったって、小栗旬の絶対的なさわやかな主役感に、清野菜名ちゃんが少年ぽい少女をこれまた元気に演じていて、その組み合わせの王道っぷりが物語の真ん中にある心地よさ。
蘭兵衛の山本耕史、天魔王の成河くんともに実力充分の演技でがっしり物語を盛り上げ、さらにりょうの極楽大夫が文句なしの美しさを添えていたのです。
その上に、その上にですよ、贋鉄斎という天才刀鍛冶を古田新太が演じる贅沢!
もう古田新太がすごすぎて、面白すぎて、3時間半があっという間でした。
だから鳥バージョンを見はじめたときには、花バージョンのがよかったかなあとか思っていたんですが、ハマったのは鳥バージョンだから不思議です。
鳥バージョンの最もすばらしい点は天魔王・森山未來と蘭兵衛・早乙女太一の殺陣。
あの迫力と美しさはもはや芸術の域です。
迫力ある殺陣シーンをご覧になりたい方は全力で鳥バージョンをオススメします。
贋鉄斎は池田成志さんで、どう演じてくるかなと思っていたら、主人公・捨之介を演じた阿部サダヲさんと二人掛かりで、古田新太さんとは違う方向でめちゃくちゃ笑わせてくれました。
ただ笑いの方向的には小劇場演劇的なので、普通に淡々と演技で笑わせた古田新太さんがやっぱりすごいなと。
ということで、だまされたと思って一回見に行ってみてください。
だまされても失うのは3時間半という時間と2,000円だけです。
新しい元号も来月にははじまるのだし、これをきっかけに新しい趣味として、チャレンジしてみませんか!