4/24(土)より大阪にまた緊急事態宣言が発令され、現在5/31(月)までその期間が延長されています。
この期間にわたしは2つの公演のチケットを持っていました。
地球ゴージャスプロデュースの「The PROM」、そして「スリル・ミー」成河×福士ペアの再演です。
「スリル・ミー」は2012年の田代×新納ペアの再々演を見ているし、2年くらい前に成河×福士ペアによる再演があったときに見に行かなかったので、自業自得だと納得できたのですが、「The PROM」が見られなかったことは本当に残念でした。
(ブロードウェイミュージカルは特に版権の問題が大きく、簡単に無観客配信などできないのです。とか言ってたらスリルミーのオンライン配信が5/16発表されました!ありがとう、ホリプロさん!)
というのも、まさか翌年から開催されなくなるとは予想すらしなかった2019年のトニー賞で「The PROM」の映像を見たときから、とても好感を持った作品だったからです。
「Tonight Belongs to You」で女の子(エマ)に「きみはエルフィー、私はグリンダ」と歌うおじさん(バリー)。
WICKEDのWヒロインの名前がミュージカルの歌詞になるんだ・・・!という衝撃からの、今本当に学校内とかで踊られていそうなダンスを「ブロードウェイショーとして魅せられるものに仕上げた」振付けに感動。
そこから、2人の女の子(エマとアリッサ)が手をつないで「I just wanna dance with you」と歌ったとき、自分でも驚くほど心打たれてしまったのです。
トニーのプレゼンターから「落ちぶれたブロードウェイスターたちが、自分たちの高感度をあげるために田舎で同性の恋人とプロムに行きたいと願っている高校生をバックアップしようと奮闘する話」的な紹介があったので、てっきり落ちぶれたブロードウェイスターのドタバタ劇だと思ったのです。
そして最初のパフォーマンス「Tonight Belongs to You」はまさしくそういうシーンでした。
けれどもその後のエマとアリッサの「プロムで好きな人と踊りたい」という、まっすぐで小さな望みが心に突き刺さりました。
そんなことすら許容できない社会を哀しく思ったのです。
でもどうも最後には2人は幸せに踊る、その全貌を知りたいと強く思いました。
そんな中、年が変わって2020年の春が訪れるころ、コロナウイルスは猛威をふるい、ブロードウェイの劇場は閉鎖され、毎年6月のお楽しみ、トニー賞授賞式もなくなりました。
一方でNetflixは勢いを増し、Netflix映画として「The PROM」を配信しました。
これがもう楽しかった・・・!
音楽もダンス(振付け)もキャッチーでいいし、落ちぶれたブロードウェイスターを演じる豪華すぎるキャスト。さらに妙にミュージカルオタクをそそってくるコネタ。
しかし舞台版をご覧になられた方の感想をちらほら見ていると「エマとアリッサの物語がきちんと描かれていない」というのがありました。
わたしがこの作品に一番心惹かれたところは、もちろん「エマとアリッサ」の存在なのです。そうなるとやっぱりどうしても舞台が見たい、と思った頃に、地球ゴージャスさんがこの作品を輸入上演するという話を知りました。
同じく地球ゴージャスさんプロデュースの「フラッシュダンス」を見ていた
だけに演出・訳詞部分に若干の不安を覚えたものの、でもブロードウェイが閉まっている今、日本でその全貌が知ることができるならありがたい、と飛びつきました。
東京公演の評判はさまざまでしたが、それもふまえて見に行く日を楽しみにしていたのです。しかし、まさかの大阪公演全中止には泣きました。
一体いつまでこんなことが繰り返されるのか分からない現状は、単なる観客よりも関係者の方々の方が悔しいだろうし、不安でしょう。
しかしやっぱり一観客だって、理解できても哀しいという感情には完全にふたをすることは難しいのだなあと改めて思いました。
だって、劇場には「ライブの魔法」があるから。
はじめて聞いたときも感動した2019年トニー賞のオープニングソング「Salutes The Magic Of Live Broadway」。
これを自粛生活がはじまったころ改めて聞いて、ぼろぼろ泣きました。
ここにはわたしが「舞台を見る理由」が全部表現されていたからです。
以下、歌詞の大意です。
見るべき素晴らしい作品はいっぱいあるけれど
リモコンを手放して
ソファから立ち上がって
劇場へ足を運ぼう
ショーには違う種類の体験がある
それはなんていうか「ライブ」なんだ
本物の生きている人々が
目の前で作り上げている
それがライブ!
とある場所で独特な時間を過ごして
そこで何かを感じて
そこで何かをシェアする
それがライブ、ライブでやるってこと
ハッシュタグも付けられないし
ツイートもできない
でも劇場に踏み入れるだけで
至福のときが訪れる
出演者はベストを尽くして観客をもてなす
ライブの時間こそ最高だと称えよう
こんな感じではじまり、出演者側の苦労(1週間8公演あって、ハイヒールで踊り続ける、テレビの方がずっと出演料がよい等)や観客側の不自由(狭い座席、短いトイレ休憩、写真禁止、携帯禁止等)も歌い踊られます。
でも、と続くのがこんな感じの内容。
舞台上のパフォーマンスを見つめていたら
アートはあなたの心に光を灯し
あなたの心を喜ばせ
あなたのお腹を笑いで満たし
あなたの目は涙で覆われる
それが言い表せないくらいの喜びで
あなたはその完ぺきな喜びの瞬間に存在している
ショーを見に行くんだ
ショーを見ればあなたがここにいて
リアルに存在していて
「生きている」って感じさせてくれるから
ブロードウェイは9月から再開がはじまりそうです。
開催されるトニー賞こそ、恐らく今後もわたしが生(ライブ)で見ることはとても難しいだろうし、それこそテレビの画面越しにしか見たことがないですが、それでもコロナ禍を経た来年のトニー賞授賞式を心待ちにしています。
そしていつか、地球ゴージャス版「The PROM」の再演を見られる日も楽しみにしたいと思います。