こんなことを思ったり。ぼちぼちかんげき。

保護猫と同居人と暮らすアラフィフがビンボーと戦いながら、観劇したものなんかを感激しながら記録。

RENT

12月24日(水)19:00~ シアタークリエ
ロジャー:Ryohei
ミミ:Jennifer Perri
マーク:森山未來
エンジェル:田中ロウマ
コリンズ:米倉利紀
モーリーン:望月英莉加
ジョアンヌ:Shiho
ベニー:白川侑二朗

一言で言って、今回の日本版RENT、私はものすごく楽しかった!
演出とか訳とか細かい点を上げ連ねて、ダメだった部分も述べることはできる。
でもそれ以上にこのショーを楽しめてしまった、そのことが嬉しかった。
多分、それは、10年というときの中で、様々なRENTを目にして、そして、私自身も登場人物たちよりも随分年上になって、だから今、このRENTを楽しめたのだと思う。
現代っ子たちの、今の日本語で語られるRENTは、遠い外国の話じゃなくて、もっと身近で、でももう年齢が離れてしまった分、今の若者たちをオトナとしてみているような感覚で、色んなところが可愛らしくいとおしかった。
そして、久々にRENTを見ながらよく笑った。随分笑った。
そう言えば、まだRENTを見始めた頃は特に一部はこれくらい笑いながら見ていたなあということを思い出したのだ。

だから、その分、歌の方に力を入れた今回のキャストでは、二部の哀しみや苦しみや切なさを出すには、演技力が足らず、それはそれとして、RENTのもう片方の方の魅力を伝え切れてはいなかった。けれども、ここ数年の繰り返され、歌舞伎の型のようになってしまったRENTがもう出すことが出来なくなったものを出せた点では、私は評価したいと思う。

昨年ロンドンでRENT REMIXEDを見たときに
「だから、私個人としては、オリジナルはオリジナルでそのまま変えず上演してもらい、その一方でこういうRENTがその時代時代で形を変えて存在してもいいのではないかと思うのだ。
オリジナル版は永遠のテーマ(生と死、若者の焦燥、エイズクライシス、愛と友情)とその楽曲と演出の素晴らしさで、キャストさえ良ければいつまでも人々に衝撃と感動を与え続けられるだろう。
けれども、一方でその現代性を失ってしまった。「現代のミュージカル」というのはジョナサンが求めたテーマの一つだと思うから、オリジナル版が失ったものを補うRENTがあっていいと私は思う。」
と感想を述べたのだけど、これと同じことを多少今回のRENTでも思った。
今回のRENTはそのままのあの時代のニューヨークだから「現代性」は確実には伝えられず、もし私個人がRENTという作品を手がけるならば、REMIXEDの方が、より追求したい方向性だったことは確かだ。特に今、エイズもドラッグもより身近になって、更にここ最近の不況で明日が見えない状況なんかも、悲しいかな現実の方がより似通ってしまった部分もあるので、日本語に転換して、これほど変えてくるなら、あの時代のニューヨークにしなくても良かったんじゃないかな、とは多少思う。
そして、私たちのような古いRENTファンじゃなくて、しかもミュージカルもあんまり見ないような若い世代に見てもらえたらもっと良かっただろうな、とも思った。そのためにはやっぱり12000円は高すぎるチケットであることは否めない。そういう層がそれなりにフレッシュに見れるくらいの出来ではあったと思うし、そういう層が見てくれれば、ジョナサンがやりたかったことの一つを担えたと思うので、ちょっと残念だなと思った。

言い連ねれば、いろんなことを思うけれども、December 24thでの観劇ということで、出演者からのクリスマス・プレゼントなんかもあって、本当に楽しいイブの一時を過ごさせてもらったことは確か。