こんなことを思ったり。ぼちぼちかんげき。

保護猫と同居人と暮らすアラフィフがビンボーと戦いながら、観劇したものなんかを感激しながら記録。

初春花形歌舞伎

2009年1月4日(日)16:30~ 新橋演舞場
一、歌舞伎十八番の内 七つ面(ななつめん)
      元興寺赤右衛門    海老蔵


二、恋飛脚大和往来(こいびきゃくやまとおうらい)封印切

           亀屋忠兵衛    獅 童
            傾城梅川    笑三郎
          槌屋治右衛門    寿 猿
         丹波屋八右衛門    猿 弥
          井筒屋おえん    門之助


三、弁天娘女男白浪(べんてんむすめめおのしらなみ)白浪五人男

  序 幕 雪の下浜松屋の場
      稲勢川勢揃いの場
  大 詰 極楽寺屋根立腹の場
      同山門の場
      滑川土橋の場

 弁天小僧菊之助/青砥左衛門藤綱    海老蔵
            南郷力丸    獅 童
            鳶頭清次  市川右 近
            忠信利平    段治郎
           赤星十三郎    春 猿
          浜松屋幸兵衛    右之助
          日本駄右衛門    左團次

初めてお正月時期の歌舞伎鑑賞。観客も着物の方が多く、お正月らしい雰囲気。
そんな中上演された演目は、歌舞伎初心者の私でも、一度は耳にしたことある「梅川・忠兵衛」の物語に、「弁天小僧菊之助」という有名なもので、最初の「七つ面」も合わせて、実にお正月らしい、豪華で華やかな舞台だった。

まだまだ歌舞伎の芝居、芸事の良し悪しが分からないのと、どれも初めて見る演目ばっかりだったので、比較の対象がないのとで、歌舞伎役者としてどうなのかは分からないのだけど、個人的に中村師童の忠兵衛がもの凄く好みだった。あまりに気に入ったので、上演時間がもう少し遅ければもう一度一幕見でみたいくらいだ。
甘ったれで見栄っ張りで小心者の色男という役がぴったりで、情けなくも可愛らしく、身からでた錆、なんだけど、その結末に同情する気持ちで見れたのがとても良かった。また、梅川との決めポーズというのか、型がとてもきれいで、ああ、歌舞伎って型の芝居なんだなあと実感。
さらに、歌舞伎役者って本当に上方言葉のイントーネーションもほとんど気にならないくらい完璧で、やはりそのあたりの徹底ぶりはさすがだと思う。

海老蔵は歌舞伎の良し悪しが分からない身にも、その芸がすごいんだろうなということが伝わる舞台で、最初の踊りにしても、弁天小僧にしても、ただ溜息。テレビなどでは、割と男っぽいイメージだし、荒々しい男役も勿論重厚に演じられる人だけれど、個人的には、こういった、ちょっと女性的な部分も垣間見られる役が、本当に美しいので好きだなと改めて思った。
今まで、古い映像や説明文なんかでしか見聞きしたことのなかった「知らざあ いって聞かせやしょう」から始まる有名なセリフのシーンなんかは、はだけた着物と刺青とで、本当に格好良く、美しくて圧倒された。
最後の大詰は、大掛りなセットの転換と、アクロバティックな立ち回りで、歌舞伎の面白さをギュッと凝縮した、楽しい舞台だった。