こんなことを思ったり。ぼちぼちかんげき。

保護猫と同居人と暮らすアラフィフがビンボーと戦いながら、観劇したものなんかを感激しながら記録。

マシュー・ボーンの「白鳥の湖」

6/13(日)13:00~ 青山劇場

ザ・スワン/ストレンジャー ジョナサン・オリヴィエ

5年ぶりにスワンレイクを見てきた。
1999年にトニー賞を取ったことをきっかけでこの作品を知ったのだけど、その時、男性の白鳥たちの写真を見て、その美しさに衝撃を受けたのを覚えている。
当時のビデオを思い切って購入して見たのが最初で、だから、5年前の来日公演は本当にドキドキしながら大興奮して見ていたようだ。

というのも、今回見てみて、色々なところを覚えていなくて、改めてあの時興奮しすぎていたんだなあ、と思ったのだ^^;
ということで、落ち着いて見てみた「スワン・レイク」の感想は…

改めてマシュー・ボーン、天才だ!

ということだったw

個人的には2年前にロンドンでたまたまシーズンだったため、「くるみ割り人形」を見たのだけれど、あの作品を見たことで、マシュー・ボーンの世界観、というものが、私の中で土壌が出来て、だから、その「らしさ」を今回は充分に楽しむことができたのも良かった。

衣装とセットの色合いのポップでミニマルな美しさ。
まず私がマシュー・ボーンの好きな点はここだと思う。
さらに、初の来日公演時にも感動したけれど、影を使った表現方法。
これだけ見ても、彼のヴィジュアル構成力の高さ、というのが伺える。

その上で、古典から新たな物語を産み出す。
王子のマザー・コンプレックスと孤独。絶望。
王子との愛から起因する白鳥同士の傷つけあい。
最後に訪れる悲しい死と愛の成就。
王子と白鳥にされたお姫様との単なるおとぎ話が、こんなに心の深淵を探るような物語になるのだだから、やっぱりマシュー・ボーンはすごい。
くるみ割り人形」でも「スワン・レイク」でも導入部分が若干退屈してしまうのが難点だけれど、そもそもはクラシック音楽に乗せた古典なのだから、そこのところは仕方ないだろう。

前回の観劇では、残念ながらアダム・クーパーに当れず、首藤さんは首藤さんでステキだったのだけど、改めて今回ジョナサン・オリヴィエという英国のダンサーで見てみると、やはりストレンジャーの部分の危険なセクシーさが本当にステキで、ようやく、見たかったものを見れた気がした。
ザ・スワンはあちらのキャストに囲まれて日本人ダンサーが踊っても、異形のもの感がフィットして、違和感なくステキに見れたけれど、「人間の男」しかも、女王と王子を誑かす男性、としては、やはり、今回のジョナサン・オリヴィエの方が、見ていてドキドキしたのは確か。
バレエの技術の巧拙は私には分からないけれど、ジョナサン・オリヴィエは、跳躍が軽やかでステキだった。

ただ、今回録音音源での公演ということで、それは承知の上だったし、そのために、通常の公演よりも安く観賞出来たのは大変有難かったのだけれど、やはり、オーケストラの演奏と一体になっているクラシック・バレエなので、オーケストラを聞かす、という部分で成り立っている時間があり、そこのところは、やはりさすがに録音では辛かった。
録音での上演を今後も考えていくならば、その辺りの転換や演出をどうするか、ということが今後の課題だと思う。