こんなことを思ったり。ぼちぼちかんげき。

保護猫と同居人と暮らすアラフィフがビンボーと戦いながら、観劇したものなんかを感激しながら記録。

ラ・カージュ・オ・フォール

12月14日(日)12:30~ 日生劇場
ジョルジュ(「ラ・カージュ・オ・フォール」経営者) 鹿賀丈史
ザザことアルバン(ジョルジュの情婦) 市村正親
アンヌ(ミッシェルの恋人) 島谷ひとみ
ジャン・ミッシェル(ジョルジュの息子) 山崎育三郎
ジャックリーヌ(レストラン経営者) 香寿たつき
シャンタル(カジェル) 新納慎也
ハンナ(カジェル) 真島茂樹
ダンドン議員 (アンヌの父) 今井清隆
ダンドン夫人 (アンヌの母) 森公美子
ジャコブ(ザザの侍女) 花井京乃助

9年前にこの作品を大阪で見たとき、とにかく楽しくて楽しくて、ものすごい興奮状態になったせいか、ショーの細かいストーリーやら、内容やらはなんだか記憶の彼方にすっとんでしまっていて、「楽しくて感動した」けど、どう良かったのかさっぱり覚えておらず、9年振りに再演を見るにあたって、友人に勧めてたみたものの、あんまりだったらどうしよう、とちょっぴりの不安を抱えての観劇だった。

けれども、結果は

やっぱりこの作品楽しい!最高!
ミュージカルってなんて素晴らしいんだ!

ということを実感。大満足の一日だった。

ストーリーとか、本当になんでもないし、間とか演出とか細かいところでは気になったところもあるのだけど、正直そんな些細なことを気にしたら、この作品を見る意味がない。勿体ない!
男性ダンサーだけのカジェルたちのド派手で迫力あるショーシーンとナンセンスギャグ、そして名曲の数々を心の底から堪能。
さらにこの作品が「ボーイ・ミーツ・ガール」の単なるB級エンターテインメントに留まらないは、連れ添って20年のカップルの愛と、親子の愛が言外に、さりげなく、でもしみじみと、ああ、全ての人間の関係って「愛と思いやり」なんだということを感じさせてくれるからだと思う。
90%の油断のすきもない、口角の下がるヒマさえない楽しさの中に、さりげなくこういう心温まるベースがあるからこそ、やっぱりこの作品は名作なんだと思う。

そして、ファイナルの市村ザザがとにかく良かった。
一幕エンディングのこの作品の代表曲「I am what I am」が、もう歌詞とか歌の技量とかそういうものを飛び越えて、もう振動のようにひたひたひたと心に迫ってきて、圧倒。あれを聞くだけでも、十分この作品を見に行く価値はある。
鹿賀丈史のジョルジュは、やはり岡田真澄さんのチャーミングさには適わないけれども、演技と歌の技巧と市村アルマンとの信頼で、二人の結びつきを感じさせて健闘。ジャン・ミッシェルの山崎育三郎は演技はまだまだなんだけれども、とにかく役にぴったりの嫌味のない可愛らしさと歌唱力の確かさで、この作品に華を添えてくれた。残念だったのは「クルクル回れて可愛かったら誰でもいい」役回りのアンヌなのに、可愛いけれどもクルクル回れなかったことぐらいか。誰でもいいけど、可愛くて「クルクル回れる」ことは必須条件だと思うので、他が贅沢なキャスティングなだけに惜しいなあと。

でもその他はカジェルたちも、この一公演終わったら死んじゃうんじゃないかってくらいの大迫力のショーシーンに、拍手喝采森公美子さんにしても、カジェルたちにしても、そして、私たち観客も、とにかくこの作品が好きで愛しているのが伝わる本当にいい舞台だった。ミュージカル好きによる、ミュージカル好きのための、そして、ミュージカルを知らない人でも誰でも楽しいことが好きならきっと好きになれる最高のエンターテインメント、それがこの「ラ・カージュ・オ・フォール」だと思う!

久々に手を痛くなるまで、腕がだるくなるまで拍手し続けたけれども、こんな素敵な舞台を見せてくれてありがとう、とずっとずっと拍手を送りたかった、そんな舞台だった。

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