5月8日(土)17:30~ 四季劇場[秋]
マリア 井上智恵
トラップ大佐 鈴木綜馬
エルザ 坂本里咲
マックス 勅使河原武志
ロルフ 飯田達郎
リーズル 谷口あかり
フリードリッヒ 竹林和輝
ルイーザ 飯塚萌木
クルト 川原一輝
ブリギッタ 片岡芽衣
マルタ 鈴木アリサ
グレーテル 平井花南
アンドリュー・ロイド・ウェバーがプロデュースしたバージョンの上演となった今作。
ミュージカルを見るとき、何を重要視するか、という点で、私は結構「演技」それもセリフ回し、を重要視する傾向にあって、その点において、四季は、あの独特の発声法が、個人的に感情の伝わらないロボットみたいに見えて、とても苦手なのだ。
今回も、マリアもシスターも、例えば入れ替わっても全然分からないくらい、個性がなくて、ロボットが与えられたセリフを的確にしゃべっている、というように私には感じられて、切り抜かれた空の幕とそれが開いて透かして見えるマリア像のセットの美しさには見とれたものの、マリアとシスターたちの最初のシーンではやっぱり見に来たことを後悔してしまうくらいだった。
けれども、おなじみの曲が流れて、子供たちがわらわらと出てきて、段々と歌を通じてマリアと心を通い合わせ、心を閉ざしていた父親とも、歌を通じて再び家族となる感じがもう妙に感動してしまって、最終的に、例え演技がおぼつかなくとも名作と名曲と、普遍のテーマは強い、ということを痛感した。
清々しくて優しくて、改めて心洗われるような作品であることを再確認。
子供の頃、何度も何度も見返したミュージカル映画をもう一度見たくなるとともに、四季ですら、こんなに感動するのだから、ロンドンで見たかったなあ、と思ってしまった。
キャストの中では、やはり鈴木綜馬さんが、一番良かった。残念ながら四季で演技をするということで、四季仕様に戻っての演技だったけれど、他と比較して感情のある歌い方と歌声が魅力的だった。
セットと照明はシンプルで全体に統制され、美しかった。
そして、今回日本人におなじみのペギー葉山さんの訳詞をそのまま上演するということで、亜門版なんかも見ている私としては、それはいい効果を生むのかどうか、という点が気になるところではあったのだけど、訳詞として、古い部分はもちろんあったけれど、個人的には良かったと思う。
というのも、帰り道、観劇した子供たちが、それぞれに「ドー、はドーナツのド♪」というおなじみの「ドレミの歌」を歌いながら帰っていたのだ。この効果は違う訳詞のときにはなかったもの。その帰り道の子供たちの様子も、心温まる光景だった。