こんなことを思ったり。ぼちぼちかんげき。

保護猫と同居人と暮らすアラフィフがビンボーと戦いながら、観劇したものなんかを感激しながら記録。

実は画期的なラブロマンス@映画「キャロル」

映画はあまり見ませんとか
前回書いておきながら、
映画の感想つづきですみません。
サブタイトルの「ぼちぼちかんげき」は取るべきでしょうか。
でもまあ、これ、とっくにお気づきのことでしょうが、「観劇」と「感激」兼ねていますので
とりあえず、残しておいていいですか?

その上に、放映が終わった映画ばかり書いているのも貢献度が少なくて、なんだかなあと。
まあ、誰にも貢献する必要もないブログなんですけど。
ただ、「キャロル」のDVDの売り出しが9月らしいですね!なので、もしご覧になられてなくて、ご興味もたれましたら、ぜひ!

キャロル [Blu-ray]
ケイト・ブランシェット,ルーニー・マーラ,カイル・チャンドラー
KADOKAWA / 角川書店




予告で

同性愛が一般的でなかった1950年代のアメリカ。
そんな中惹かれあうキャロルとテレーズの禁断の物語。


とか流されちゃうと、悲劇なんだ、これ、と思うじゃないですか。
だって、今まで単なる「同性愛」のラブロマンスなんて映画、見たことないからです。
面白おかしくされていたり、悲劇的だったり、逆に感動的だったり、
「同性愛」というテーマを押し出したり、
まあ、とりあえず、なんかしらの「同性愛」でなければならない要素があったんですよ。

ところがです。
見てびっくり。
「キャロル」は本当に普通にラブロマンスだったんです!
惹かれあったのが女性同士ってだけで、甘いラブストーリーなんですよ。

映画、あんまり見ないのでいい例が思いつかないんですけど、
ローマの休日」とか、「ゴースト」とか、
君に届け」とか、
まあ、男女のラブストーリーで
見ながらキュンキュンしちゃうやつあるじゃないですか。
それの女女バージョン。

でも裏を返せば、今までレズビアンの人たちには、置き換えなくてもキュンキュンできる映画が
今までなかったってことなんですよね。

そんなわけで、映画「キャロル」はロマンチックにクリスマスが近づく季節からはじまります。

デパートのおもちゃ売り場で働くテレーズのところに、優美なマダム、キャロルが娘のクリスマスプレゼントを買うためにやってきます。
最初からなんとなく惹かれあう2人。
お互いにアプローチしあって、クリスマスをキャロルの家で過ごすとこまでこぎつけます。
そこへ、キャロルの夫がやってきて、クリスマスをぶち壊します。
でも、それをきっかけに2人の旅がはじまるのです。


ラブストーリーにはやきもきさせるところもあります。
お約束です。そんなお約束も、うれしい。
さらに私が映画「キャロル」の好きだなーと思うところは、
ラストシーンがハッピーエンドなのか、違うのか、観客に委ねられていること
観客は好きな方を選べばいいのです。
そして、好きに楽しめるのです。

しかも、美術も衣装も、主演女優2人もどこまでも美しい。
男性はテンプレートで、キャロルとテレーズ、どちらにもそれぞれ見ているこちら側がスカッとするように描かれています。
男性のみなさん、すみません。
でもスカッとしました。

とりあえず思うのは、
女は女を誉めるのがうまい。
これは「Sex and The City」でも「The L Word」でも思いました。
パワーレズビアンズがシャーロットに
「その靴、ステキ」と言うシーンとか
マリーナがジェニーに「そのエプロン、
似合っていてかわいい」と言うシーンとか
キュンキュンしたものです。

もちろん、キャロルも
サンタ帽をかぶったテレーズに、
去り際にさりげなく
「その帽子、好きだな」と言うんですよ。
しかも、その言い方がめっちゃくちゃ、格好いい!
そりゃあ、テレーズも、ぽーっとなりますよ!
ぜひご覧になっていただきたい!

がしかし、私がキュンキュンした方は、実はテレーズだったりするんです。

キャロルのケイト・ブランシェットは、本当に優雅で美しくて、ステキです。
あんな女性になれるものならなりたいなと憧れます。

そこへ行くとルーニー・マーラが演じるテレーズは、純朴、というか、あか抜けない。
メニューさえ、自分で決めることができない、と恥じ入るようにいう様子。
なのに、いそいそとキャロルに精一杯のクリスマスプレゼントを買ういじらしさ。

かわいい!かわいいです!たまりません!

そんなテレーズが、キャロルとの出会いを経て、お約束のやきもきもあって、
自分の道をみつけ、自信をつけ、美しく花開くさまが見事です。

そして、また、キャロルも「自分らしく生きていく」道を選びます。
キャロル側の事情を考えると、それは奢りでもあって、非難もあびるでしょう。
もちろん、キャロル自身も犠牲を払いました。
だから、あざやかです。

まあ、有閑マダムだったキャロルがこれからどうやって生きていくのかは
ちょっと心配ではあるんですけど、そこはそれ。
単なるラブロマンスなんですから、現実は忘れて世界に酔いましょう。

キャロルもテレーズもがんがんマティーニなんて強いカクテルを呑んでいますが、
映画そのものは、ある特定の層(ストレートの女性含む)にとっては、
きれいで、ストレスなく酔える、優しいお酒のような、そんな作品。
ぜひとも味わっていただきたいものです。