こんなことを思ったり。ぼちぼちかんげき。

保護猫と同居人と暮らすアラフィフがビンボーと戦いながら、観劇したものなんかを感激しながら記録。

ホンモノの野獣は誰か@実写映画版「美女と野獣」

特にロンドン滞在中、ミュージカル観るためのロンドン来たと公言していたので、日本人の方に
「ミュージカルってものを見たいのだけど、何見たらいい?」
という質問を受けることがよくありました。
私の答えは下記の通りです。

泣きたいなら→オペラ座の怪人
楽しみたいなら→美女と野獣


なぜかというと、英語で見るにあたって、ストーリーを映画で予習できるというメリットがあることが大前提にあって、さらに恐らく初めて生でミュージカルを見る方が「ミュージカルに求めること」がつまっていると考えているからです。

豪華な衣装とセット、素晴らしい音楽と歌、そしてザッツ「見せ場」

偶然にもこの2つがフランスが舞台なのが面白いなと思います。

そして、この2つなら、私は「美女と野獣」の方が好きでした。そんなわけで、私は唯一この演目を、日本とニューヨーク、ロンドンと3か国で見ています。
舞台版の何が素晴らしいかって、野獣が王子に変身するシーンなんですよ!
舞台上で野獣が吊り下げられて、目の前でくるくる回っている間に王子に戻るんですが、何度目をこらしてみてもどこで特殊メイクがはがされていくのかわからないんです!すごいです!

何が言いたいかというと、私はこのシーンが大好きで、だから、実写映画版に魅力を感じていなかったということなんです。
だって、映画なら変身シーンなんてお手の物でしょう。
なのに、ワクワクと日本公開を待ち、早速見に行ったのは彼のせい以外他ならないです。
そうです、ガストン役のルーク・エヴァンスです。

(画像は公式サイトより)
因みに私はガストンという役が嫌いです。
頭も身体もマッチョは私の好みの正反対にある人間です。
なのに、まさか、「美女と野獣」をガストン目当てで見る日が来るとは。
未来とは分からないものですねえ。
ていうか、ルーク・エヴァンスを初めて見た15年前には、彼がこんなメジャー映画に主要キャストで出演するなんて想像もしていませんでした。

しかもねえ、ディズニーの公式ホームページにネタ的に「ガストン」コーナーが作られるなんて!
http://www.disney.co.jp/movie/gastonandbeauty.html
ガストンポスターアート ムビチケカード未発売!
とか
「俺様と美女」サントラ発売未定!
とか、本当に売ってくだすっていいんですよ、ディズニーさま。買いますから。

そんなルーク・エヴァンスがウエストエンドデビューを飾ったTABOOという作品の布教のために、しつこく、AmazonのDVDを貼っつけておきます(笑)
TABOO〈ボーイ・ジョージ・ミュージカル〉 [DVD]
ボーイ・ジョージ,ユアンモートン,ポール・ベイカ
ビデオメーカー

この作品に関しては、また別の機会に暑苦しく語る予定ですw

ということで、これ、今さらストーリーの説明とかいりませんよね?
ただ、アニメよりも舞台よりも、少し突っ込んだ部分があって、ベルと野獣を近づけた理由がきっちり描かれます。そして、新しい曲が3曲あります。

おかげで、想像よりもかなーりミュージカル映画です。
なので、想像よりちょっと重い。
ミュージカルが苦手な方には向かない重さです。

でも、アラン・メンケンの才能は爆発しています。新しい曲の1つ「Evermore」がとくに素晴らしい。
野獣がベルへの片思いを歌うのですが、これ、舞台で野獣役やった人たち歌いたいだろうなあ、と思わずにはいられませんでした。圧巻。
男性版「レ・ミゼラブル」の「On My Own」ですね。
ミュージカル好き女子のそう少なくはない数の人が歌ってみたい曲の1つに「On My Own」があると思うんですが、「Evermore」もきっとそんな一曲になる気がします。
もう野獣の切ない思いにキュンキュンします。
だから、ベル、お願いだから野獣の元に戻ってあげて、と思ってしまうんですね。うまいです。
この曲終わったあと、本気で拍手したかったです。

私がアニメ版より舞台が好きなところは、「Be Our Guest」です。ここはもう舞台のライブ感が全面に出て、素晴らしいだけに、再び映画になるとどうかなあと思っていたら、こういうところはディズニーさまは裏切りません。
舞台の楽しさはそのままに、映像でしかできないスペタクル感と色彩感覚をこれでもか!と見せつけてきます。

逆にアニメ版で素晴らしいのが、ベルのドレスなんですよね。
ディズニープリンセス、色々いるなかでもデザインも色も傑出していると思います。私にもし姪がいたら、このベルのドレスを買ってあげるのが夢だったくらい大好きなんです。
(残念ながら妹も嫁にいっていない哀しさよ)
もちろん、舞台版もこのイメージを損なわないリアルなドレスを見せてくれるんですが(ロンドンではもう1つクラシカルなデザインのドレスになっていました←こういうことだけやけに記憶力がいい私)、この実写映画版のドレスがまた素晴らしい!
あの素材感といい、さりげなく足されるあしらいとかもうすごいステキです。また着こなしているエマ・ワトソンもたまらなく可愛いです

そして、このドレスを最大に活かしたデュエットダンスシーンの作り方も良かった!
宝塚の娘役さんとか、理想のドレスの裾さばきはディズニーアニメのドレスの裾の動きが見本、みたいなところがあったりします。まあ、なかなか出来る方は限られているんですけれど。
だからこそ、実写映画版があまりにひどいと哀しいなあと危惧していたのです。だって、野獣役のダン・スティーブンスも、ベル役エマ・ワトソンもダンスの経験は経歴を見るかぎりあまりなさそうだからです。
案の定、2人のダンスは対したことありません。でもカメラワークと振り付けでちゃんとロマンティックに見えるんです。
何よりドレスの翻り方がその雰囲気をサポートしていました。美しいドレスの動き方をきちんと計算にいれている振付、さすがです。

で、私の目当てのルーク・エヴァンスが演じたガストンなんですけど、あれですね、ディズニー敵役なんで、やっぱり本当にやなヤツです。好きな役者が演じてても好きになれない徹底ぶりw
決め台詞の「It's hero time」、最高でした。

これ、アニメにあったか記憶にないのですが、ガストンが野獣を倒しに行くシーンで、ガストンのお付きのル・フウが「ここにも野獣が」というようなことを言うんですね。
これが結構ゾクっとしました。
本当の野獣というのは、彼のような人を言うのではないかと。
また、ベルのパパが、ベルの嘆きに対してこう言うんですね。
「ここの村は小さい。人の心も小さい。でもだから安全だ」
これが、なんだか今の世界の考え方を示唆しているようで考えるところもありました。

ル・フウのゲイ問題に関しては、ちょっとまだ考えがまとまらないので、改めてルーク・エヴァンスの件と合わせて書きたいなと思っています。

全体的には、完璧な娯楽ミュージカルで、うわーと盛り上がるシーンは盛り上がるし、キュンキュンするシーンもあるし、スリルも満載だし、めでたしめでたし、で終わってすっきり、楽しめます。きっと何度見ても楽しい。ディズニーの娯楽に対するクオリティ、さすがです。

ところでこれ、ミュージカルオタク的に日本語吹き替え版がすごい豪華なんですよね。

岩崎宏美さんと島田歌穂さんのタッグなんていつの「レ・ミゼラブル」?くらいの凄さです。村井国夫さんもそうか。
もちろん、ベルの昆夏美ちゃん、野獣の山崎育三郎くん、ルミエールの成河くんも大好きなので、日本語吹き替え版でも見てみたいです。