こんなことを思ったり。ぼちぼちかんげき。

保護猫と同居人と暮らすアラフィフがビンボーと戦いながら、観劇したものなんかを感激しながら記録。

少年の心とは遠く離れたものよ@スーパー歌舞伎Ⅱ「ワンピース」

原作:尾田栄一郎 脚本・演出:横内謙介 演出:市川猿之助 
スーパーバイザー:市川猿翁

モンキー・D・ルフィ/女帝ボア・ハンコック/赤髪のシャンクス:市川 猿之助
エドワード・ニューゲート(白ひげ):市川 右近
ロロノア・ゾロ/ボン・クレー/スクアード:坂東 巳之助
サンジ/イナズマ:中村 隼人
ナミ/サンダーソニア:市川 春猿
はっちゃん/科学部隊隊長・戦桃丸/ニューカマー・スー:市川 弘太郎
女医ベラドンナ:坂東 竹三郎
ニョン婆:市川 笑三郎
ジンベエ/マーシャル・D・ティーチ(黒ひげ):市川 猿弥
ニコ・ロビンマリーゴールド:市川 笑也
監獄署長マゼラン:市川 男女蔵
中将・大参謀つる:市川 門之助
ポートガス・D・エース:福士 誠治
ブルック/大将‘赤犬’サカズキ/ニューカマー・サッチン:嘉島 典俊
元帥センゴクエンポリオイワンコフ/シルバーズ・レイリー:浅野 和之

「海街ダイアリー」という漫画があるのですが、とある男性に「読んでみたけれど、女性っぽすぎてダメだった」と言われたことがあります。
そして、それを、逆の意味で痛感したのが、この「ワンピース」でした。

とは言っても、私は「ワンピース」の原作漫画を読んでいません。
ほぼ知識なし、といってもいい状態です。
なので、あくまで、原作ではなく、このスーパー歌舞伎Ⅱ「ワンピース」のシネマ歌舞伎の感想です。

スーパー歌舞伎Ⅱ「ワンピース」のシネマ歌舞伎版は、なんらかの理由で、2時間弱にカットしての放映でした。
まあ、お財布に優しい2100円なので、そんなことに文句はいいません。
寧ろ、短縮してくれてありがたかったです、実は
それほどまでに、ちょっと辛かったのです繰り広げられる「ピュアな少年ワールド」が!

そうですよね、少年漫画だから当たり前なんですけど、「一番大切なものは仲間!仲間ができてオレは淋しくなくなった。だから仲間を守るためならなんでもする!」みたいなことが繰り返し繰り返し叫ばれるわけですよ。
もちろんそれは正しいし、なんの問題もないわけなんです。
むしろ、問題は、そんな「ピュアソウル」を受け止められなくなった私にあります。
夢・冒険、そして仲間!
うーん、辛い。この世界観が辛い。ほんと、すみません
見ながら、こんないたたまれない気持ちになったのは久しぶりでした。

もしこれを舞台で見ていたら、もうストーリーは無視して、スペクタキュラーショーとしての楽しみだけを追求できたんだと思うのですが、いかんせん「シネマ歌舞伎」なので、そこのところもできず、これは、もし見るんだったら、ちゃんと舞台に行くべきだな、と大いに反省いたしました。

しかし、登場人物が多い上に、説明セリフが多いので、やはり色々把握しきれず、原作を知らないとつらいな、と思ってしまったのは、少し構成に工夫がいるかも、と思いました。
逆に原作ファンの方はどんな感じでご覧になられたんでしょうか。

個人的には、原作知らないにも関わらず、ビジュアルが辛かったです。
衣装とメイクももうちょっと工夫の仕方があったかなーと思いました。
そんな中、唯一の希望の星がエースの福士誠治くんでした
格好良かった
そして、歌舞伎役者勢に囲まれても全く見劣りのしないスキルと演技力、素晴らしいです。
「RENT」のマーク役も個人的に日本版マークとしてはナンバーワンくらいに好きなので、その才能に改めて惚れましたね

後は黒子など役付きじゃない役者さんが本当に舞台上を飛んではねてのアクションで色んな効果を生み出していて素晴らしかったです。
とくにルフィの伸びる腕のところは、さすがというかなんというか。
だから、ビジュアルに抵抗がなくて、ワンピースの知識があって、はじめて歌舞伎にはある程度楽しめるかもしれません。

ただ、これも原作を読んでいないので、本来どういう書き方をされているのか分からないのですが、この舞台の中での「オカマ」の描き方は個人的に少し違和感を覚えました。
この辺は「キンキーブーツ」を見に行く予定ですので、再度考えてみたいなと思います。

そんなわけで、「地球投五郎」「阿弖流為」「ワンピース」と新作歌舞伎(と言っていいのかわからないけれど)を3つ見た中では、私は圧倒的に「阿弖流為」が素晴らしかったです。
歌舞伎本来の魅力と新感線の魅力が相乗効果をなしていました。

それでも、そんな比較ができるくらい、色々な挑戦的なものが生まれてくるのはいい風潮だと思うので、松竹さま、歌舞伎界の皆さまにはますます挑戦を続けていってもらいたいです。